しかぁし!ここで諦めないのが私、神ノ邪神です!
と、言うことで本編へどうぞ!
私たちが最初に向かったのは、お父さんとお母さんを最後にいたのを確認した紅魔館。私たちは飛んで移動しているけど、湖に霧がかかっていて、前が全然見えない状態になっている。それにも関わらず、苅亜は怖いもの知らずでどんどん前を進んでいく。まぁ、真っ直ぐ行けば紅魔館の門まで行けるのだけれど、ここは普通に妖精たちが遊んでるからぶつかると危険なところでもある。さすがはお兄ちゃんって思うけど、危なかしいなぁ…
「れいあぁー!だいじょーぶかぁー!」
「うーんっ!ちゃんと後ろにいるよぉー!」
たまに後ろを向いて私が着いてきているか確認してくれる。そこがまた苅亜の優しいところだ。妹想いってのもあるかもしれないけど、苅亜の場合はこれもまた罪滅ぼしとか言うんだろうな...私を誘拐した命儚と共犯だったという事実があるから余計にそういう気持ちが強いのかもしれない。7年経った今でも多分、一番後悔してて反省してるんだと思う。私はとっくのとうに苅亜のことを許している。だって、苅亜だって命儚に利用された一人なんだもん。苅亜は悪くない。お父さんもお母さんもそう言って苅亜をよく励ましている。
でも、今では他の人から見ても他の兄妹よりも何倍も仲の良い兄妹だと私はそう認識している。確かに、お父さんと星花さんの姉弟もすっごい仲が良いと思う。お父さんはなんか面倒くさがってるけど。
結局、妖精たちには会わないまま紅魔館の門へと無事着けた。門には美鈴さんが寝て──
「─ない!?」
そう、今日の美鈴さんは腕を組みながらでも目をぱっちり開いてしっかりと門番をしていたのだ。いつもの美鈴さんなら気持ち良さそうに寝ているのに今日は何かが絶対に可笑しい。
私が驚いていると、苅亜が起きている美鈴さんに話しかけた。
「え、美鈴さん...風邪でも引いたのですか...?」
「私をなんだと思ってるんですか?!今日
「今日『は』?」
「あ......」
美鈴さんが自白してしまってそれを苅亜が指摘する。ということはやはり、いつも寝ているという結論に至るという訳だ。やっぱり美鈴さんは変わらないなぁ、と心の中で苦笑する。
だがしかし、美鈴さんが起きているということは何かしら理由があるに違いない。私たちは紅魔館に入れて欲しいの頼むと真面目な目付きで美鈴さんが一言。
「今日はダメです。」
「何でですか?」
「理由は話せません。きっと二人はお嬢様にご用事なのでしょう。」
「そうだけど...なにか不都合が?」
「そうです。」
「......では亜無さんを呼んでくれますか?」
「亜無さんですか......?」
苅亜がなぜ、亜無さんを選択したのにはちゃんとした理由がある。それは、亜無さんの能力だ。《嘘を見分ける程度の能力》を使えば簡単に今回の事件を解決できると考えたんだと思う。だけどそれは無理だろう。
理由は直球すぎるということだ。星花さんの時には家族ということで通じるところもあったけど、今回のは完璧に他人だ。それならまだレミリアさんを呼んだ方がいいと思ったけど美鈴さんに見透かされたからダメだった。
「亜無さんもダメです。子供であるアナタたちまで危険にさらす訳にはいけませんからね。」
「危険、か......つまりは父さんと母さんはなにかの事件に巻き込まれたってことですね?」
「あっ──!?」
「そういうことになるよね。」
本当に今日の美鈴さんは口が軽い。もう危険なことに巻き込まれるのは承知の上でこの場に挑んでいる。なら今の私たちにできることはといえば、強行突破でしかないだろう。
私は両手にナイフを逆さ持ちし、戦闘体制に入る。
「苅亜!美鈴さんは私に任せて中に入って!」
「実力行使はあまり良くないが...今はしょうがないか!」
そう言って苅亜は門の横の壁をよじ登り、中へ突入して行った。美鈴さんはため息をつきながらも拳を前に出し構える。
どうやら私との戦いに了承してくれたらしい。私は全身全霊で美鈴に挑みにナイフを突き立てた。
◆
零愛を置いて紅魔館の中へ潜入する。レミリアさんを見つけて事情を聞かなければ。美鈴さんがあんだけ拒否ったんだ。その焦りようで俺は確信した。
ここが発端で父さんと母さんは失踪したんだ。
だが、何が原因で失踪したのか。相当のことがなければ失踪するわけが無い。父さんは一度失踪したと聞いている。まぁ、それは俺が原因の一つだったのだけど。しかし今回のは、記憶を消したからとかではない。
そういえば、父さんは一人行動することが多い時がある。星花さんも話していた。もしその話が正しければ……
「いや、俺の考えすぎか。」
一応そういうこともあると過程の上で動くとしよう。あの粘り強い父さんがそんな簡単に死んでたまるか。そんな命儚のような奴がポンポンと幻想郷に現れるんなら博麗神社の大結界を怪しむことになるじゃないか。
そう試行錯誤しながら館内を早歩きしていると、後ろから俺に対して声をかけられた。
「あれ?苅亜じゃないの。こんな所で何しているの。」
「ッ!?──って、霊夢さん!?」
後ろを振り向くとそこに居たのは紅魔館の人ではなく博麗神社の巫女さんである霊夢さんだった。霊夢さんも父さん母さん探し仲間のはずだ。星花さんが信頼に置いている博麗神社ということもあり、魔理沙さんや紫さんたちも探しているはず…
一人でずっと考え込んでいると、霊夢さんの後ろからぞろぞろと何人か合流してきた。そこにいたのは、レミリアさんと咲夜さんは当たり前で、他には魔理沙さんや紫さんもいる。
なるほど、今日俺たちがここへ来るのは間違っていたらしい。そして、最後に零愛をおんぶしている星花さんもそこへ合流した。
「星花さん...謀りましたね...!」
「さぁ?何のことやら。」
ニヤニヤと俺を小馬鹿にするように笑っている。他のみんなはこの事が分からずキョトンとしている。
この人は道中であんなことを話してたが、全然俺らを帰らせる気満々だ。やられた。これは完全に星花さんの掌の上で踊らされていたんだ。
さて、ここからどうする?まだ霊夢さんの質問にも答えていない。零愛は星花さんが持っているし、戦おうにもこの人数差だ。太刀打ちできない。ならば今の俺ができることは、逃げずにこの全員に答えを聞くまでだ。
「...皆さん、現状わかっていることだけでいいです。父さんと母さんの失踪事件にわかることを全て教えてください!!」
『っ...!!?』
俺はその場で土下座をしてみんなに懇願する。 普通に聞いても帰りなさいと一蹴されるに違いない。この人たちはこの人たちなりに俺たちを守ってくれているんだ。だからこそ俺もみんなに誠意を見せていかなくてはならない。俺が今できる限りの精一杯はここまでなんだから。
みんながどうするか話していると霊夢さんが俺の予想を裏切らない言葉を発した。
「駄目よ。今回は絶対にね。」
「ッ...でしょうね.........」
「ちょっ、霊夢...さすがに自分の親のことだぜ?現状ぐらい話してあげてもいいじゃないか。」
「実の親だからこそ話しにくいんじゃないの...この現状を子供に話すのはさすがに酷だわ。」
「それはそうね。霊夢の言う通りでさすがに今の師匠やサグメのことを子供たちに話せる内容じゃないわね。」
「しかしそれでは苅亜君があまりにも可哀そうです。」
「咲夜、同情の気持ちは私も同じよ。だが、これは私たちの問題だから子供たちまで巻き込むわけにはいかない。」
大人たちが父さんと母さんの状況について話し合う中で、話に参加しなかった星花さんが突然ねぇ、と呼びかける。
また説教でもされるのかと身構えていると、2人のことを話す派での賛成意見だった。周りにいるみんなの目が丸くなる。
「星花、その理由を聞かせてもらってもいいかしら?」
話すことに疑問を持つ霊夢さん。みんなの話を聞いてる感じだと父さんと母さんの捜索隊を結成したのは星花さんということらしい。そんな隊長格である人から子供である俺たちにすべてを話すなんて誰が予想しただろうか。
「もう隠しきれないんだよね。子供たち2人の我慢が既に限界なんだと思う。だから私たちが今まで得てきた情報全てを話すべきだと私は思う。」
この場が再び時が止まったように静かになる。俺はじっと待つことしかできない。ただ、みんなの判断に任せるしかないのだから。
みんなが黙り込んで悩む中で初めに口を開いたのは霊夢さんだった。霊夢さんの顔を見ると、覚悟を決めたように神妙な顔で俺に話しかける。
「......判ったわ...星花の言う通りにしましょ。でも苅亜、後悔のないように先に聞いておくけど、真実を受け止める覚悟はあるわね?」
「それではここへ来た意味がわかりません。俺たちは真実を聞き出すために、父さんと母さんを家に連れて帰るために動いたんです。何も知らないままの方が後悔するに決まってます...!」
「...そう。ならまずは零愛を起こさなくちゃね。話はそれからよ。」
苅亜が零愛に対しての罪滅ぼしですが、零愛自身は完全に許しています。しかし苅亜自身の罪滅ぼしとはまた別にあります。それは、“稀神家の完全なる平穏”の完遂です。
あの誘拐事件以来、母であるサグメの考えが少し変わりました。過保護までなることはありませんが、少し怖がっている毎日を過ごしているというのを苅亜は父である神司よりも先に確認してしまうのですよね。
苅亜はその事を神司に相談し、神司は夜、安心できるようにと一緒に寝ることが多くなりました。最近はサグメのメンタルも良くなってきたということもあり、別々の部屋で寝ていますが、今回のようなことが起きてしまった。
苅亜からすると、命儚という怪物を作り出してしまったと思っているようですが…それはまた、後の機会に話すとしましょう。
長男としての役割を果たしたいのでしょうね。苅亜は本当に優しい子供ですよ。