邪神たちの生きる世界   作:紅鎌 神邪

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お久しぶりです。1年ぶりですね。
試行錯誤していたらいつの間にか1年経過してしまいました。申し訳ないです。
それでは本編へどうぞ。


第151話 情報開示

 零愛が起こす前に、ずっと廊下で話していてもということで、客室の方へ歩いて移動していた。みんなは一言も話さずに空気が悪くなる一方だ。それもそうだろうな。今から話していくのは俺たちの父さんと母さんについての話を息子娘である俺たちに話すわけなのだから。

 客間に着いてから零愛を椅子に座らせてから頬をペチペチと叩き声をかけながら起こす。

 

「零愛〜起きろぉ〜」

 

「むにゃむにゃ…一夜一夜に人見頃……」

 

「何言ってんだ。」

 

 呆れた俺はペチンッと軽く叩く。「あぅ」と声が出た零愛は目を擦りながらゆっくりと目を覚ます。

 

「おにぃちゃ…?」

 

「おはようさん、よく眠れたか?」

 

「よく寝れたよぉ…あれぇ?霊夢さん達なんでいるのぉ…?」

 

 こりゃまだ寝ぼけてるな。

 俺は寝ぼけている零愛の頬をむにっと摘む。「にゃにさぁ…」と言語ではない声を発するが俺は問答無用で起こす。

 

「霊夢さんたちから父さんと母さんのこと聞くんだろ?いい加減起きろ。」

 

「ん…聞く……」

 

 まだまだ頭は夢の中っぽいがこのまま霊夢さんたちを待たせてて申し訳なくなる。何がなんでも零愛を起こしたかったがしょうがない。ここは兄として俺だけでも話を聞こう。

 零愛の頭を俺の膝の上に乗せてあげて撫でてあげながら霊夢さんたちに話しかける。

 

「すみません、零愛疲れそうなのでこのままでもいいですか?」

 

「しょうがないわね。星花、少しやりすぎ。」

 

「さーせん…」

 

 溜め息を吐きつつ呆れる霊夢さん。後ろで星花さんがやりすぎてしまったとしょげている。そんな2人を横目にニコニコしているのが紫さんだ。まるで我が子を見ているようににこやかだ。本当に嬉しそうだな…

 少し間を開けてから重苦しい口を開け霊夢さんが話し始める。俺は零愛の髪をわしゃわしゃとしている。

 

「少し前まで貴方たちのお父さんは、西行妖のところで妖力を高めていたわ。」

 

「西行妖というと…幽々子さんや妖夢さんが住んでるところ、ですよね?」

 

 霊夢さんが頷き俺の意見を肯定してくれた。まずは父さんが生きていた。それだけで十分安心ができる。安堵するが疑問は残る。それは、まだ父さんが帰ってきていないということだ。理由は何となく予想が着く。

 

「そうよ。白玉楼と呼ばれる館があってね。1週間以上も行方を晦ましてたはずなのにある日、急にアイツに似た妖気を感じたのよ。そこに駆けつけると神司…貴方たちのお父さんが佇んでいたわ。」

 

「そんなとこで一体何をして……」

 

「それは私たちも問いたわ。しかしアイツはただ一言だけ、そう私たちに答えてまた目をくらませたわ。」

 

「それはなんて言ったのですか…?」

 

 霊夢さんが少し言うのに戸惑っていると星花さんがそれを待たずに静かなトーンで俺たちに伝える。

 

「“結局何も残らないよな”。」

 

「どういう意味ですか…?」

 

「さぁね、あの独りよがりバカのことなんて知らないよ……けど、一つだけ確信を得たかな。」

 

「母さんの身に何かが起きた。違いますか。」

 

 星花さんが続けて話そうとする所を俺が割り込んで、そうはっきりと紫さんたちに問う。零愛以外のみんなが揃えてポカンと口を開けているが、霊夢さんが違うと断言する。

 

「え…?」

 

 俺の顔が急に赤くなる。間違った答えを堂々と話してしまい恥ずかしくなったのだ。妹の前で自信満々に言った俺が人の話を聞かない前のままと変わらなくなってしまう。

 だけど、今は違う。信頼できる妹や星花さんや霊夢さんたちがいる。昔の俺ではない。

 羞恥している俺を見てクスクスと笑う。

 

「すみません…///」

 

「良いのよ。貴方たちは私たちを信頼してくれたから紅魔館(ここ)を訪ねてくれた。それだけで私たちは、貴方が成長してくれていて嬉しいのよ。」

 

「ッ…!はい…!」

 

 レミリアさんが俺の頭を撫でながら今の俺を褒めてくれる。俺はポロポロと涙が溢れて止まらなくなっている。その様子を見た零愛が俺を優しく抱きしめてくれる。

 みんなが俺のことを好いてくれている。それだけで俺の心は救われる。みんなにあんな酷い仕打ちをしたのに、まだみんなは俺のことを考えてくれて好いてくれている。これがどれだけ俺の心を浄化してくれるだろうか。

 こんな状態でも霊夢さんが話を続けてくれた。

 

「とりあえず話を続けるわよ。サグメの身になにか危険なことが起きたことは確かにそうなのかもしれない。けど、神司が言いたいのはそういうことではないとみんなで話し合ってこういう見解になったわ。理由は確かに貴方たちのお母さん、サグメを探して連れ戻すのが目的、しかし“結局”というワードが引っかかる。神司はなにかに諦めかけている。希望を見出だせない状態に陥っているということになる。このことについての答えは邪神王であるクロムが話していたことになるけどね。それでもっと深刻な話になったのよ。」

 

「ちょっ、ちょっと待って霊夢さん。」

 

 俺に抱きつきながら左手を上げて霊夢さんの話を遮って疑問を持つ零愛。いつの間にしっかり起きたのかそれすら俺は気づかないぐらいに話に集中してたらしい。その零愛の質問に首を傾げながら聞き返す霊夢さん。

 

「何かしら?零愛。」

 

「今さっきクロムさんの名前が出たけどそのクロムさんは今どこに…?」

 

 零愛に言われて俺も気づく。話に出てきたクロムさんがこの場には居ないのだ。

 みんなの顔が暗くなる。そんな雰囲気になったのを感じた。

 

「……クロムは今、幻想郷から離れているわ。邪壊邸の方で現在療養中ということをシロから聞いているわ。」

 

「そんな…まさか!?」

 

「お父さんが…クロムさんに手を出したの!?」

 

 有り得ない。そう信じたい。だけどドラさんが俺たちに嘘をついたことがない。俺たちが産まれる前からずっと父さんの従者だったドラさん。俺たちよりも付き合いが長いんだ。虚言ではない思いたい。

 魔理沙さんが霊夢さんに続いて魔理沙さんなりの意見を話し始めた。

 

「話は戻して申し訳ないが、正邪が神司のやつを私の家に連れてきた時だ。正邪が言うには、『奇襲された』と話していた。誰とは話してくれなかったが、深刻そうな表情だったのを覚えている。それで私と霊夢が人里に聞き込みしに行ってきたんだ。それでわかったことがあった。あの日、神司とサグメは人里の中で誰かと戦っている姿を多くの子供や大人たちが目撃していた。人里の人達が最後に二人を見たところで私は人里(ここ)()()()()()()()()()()()()が残ってたんだ。神司と正邪じゃないのは明確だ。『じゃあ誰なのか』ってことだが、神司を最後に見たのは紅魔館だ。実は、紅魔館の『とある場所』と正邪たちが私の家に来た時の魔力が一致したんだ。」

 

『!!?』

 

「今、サグメが巻き込まれて神司がクロムに攻撃する程に追い詰められている。その魔力の持ち主と2人が関係しているとは限らないが、ほぼだが“確定”していると言っても過言じゃない。2人は()()巻き込まれたんだ。アイツの1つの感情だけにな。」

 

「……魔理沙さん…貴女、何が言いたいんですか…?」

 

 俺の怒りが頂点に上がろうとしていた。父さんと母さんを巻き込んだ人物…だいたい予想できた。これは今度こそ間違っていないだろう。そりゃそうだろう…()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだから。

 

「クソ…またこんなくだらない事で俺たちを巻き込むつもりか……!!ふざけんなよ…巫山戯るなよッ!!針壊(しんかい) 命儚(みょうむ)…ッッッ!!!!」

 

「えっ…!?アイ、ツ…!!?」

 

 俺が叫ぶと零愛も理解したのか、口元に手を当てて体が震え始める。当たり前だろう。

 零愛は前の事件に俺が巻き込んでしまった。命儚は俺も巻き込んだが、まだ稀神家の壊滅を望んでいたのか。というより、まだ生きていたのか。

 つまり父さんと母さんはあの日、命儚と再び出会ったことによって稀神家の歯車が崩壊し始めたのか。

 

「命儚は今どこに!」

 

「居たとしても教えられないわ。」

 

「俺たちも巻き込まれた側です!」

 

「だからこそ教えられないんだよ。」

 

「光矢さん…」

 

 俺が霊夢さんに無理やりにでも教えてもらおうと叫んでいると俺のドアにいつの間にかもたれかかっていた光矢さんの姿があった。

 

「お前らはまだ子供だ。神司たちを助けたいのは分かるが、行ったとしてお前らを守るのは誰になるんだ。」

 

「そりゃあ俺たちの身は俺たちで──」

 

「今の状態の妹を苅亜、お前は護れるのか?」

 

「ッ……」

 

「…先程、気持ちは分かると俺は言ったな…なら星花さんはどうなんだ?怪我してしまう状況下で今は親として動いてくれている星花さんの気持ちを考えたか?どういう思いでお前たちを見送ったか理解した上で今動いてるか?」

 

「………」

 

 光矢さんの淡々と冷静な言葉が俺に突き刺さる。俺たちでもできると過信していたばかりに、俺たちはまだ子供だったことを気にしていなかった。

  俺の行動について後悔していると、レミリアさんが俺と光矢さんの話の間に入って遮る。

 

「光矢、そこまでよ。」

 

「いえ、ここは必要なことです。たまには大人目線の意見も必要ですから。」

 

「えぇ、そうね。貴方の意見は正しい。でも責めすぎるのも違うわ。この子たちは言われた上で理解っている。人の心を読めないような子たちではない。それは、光矢もわかっているはずよ。」

 

 俺たちは黙り込んでしまう。光矢さんとレミリアさんの言葉通りだ。俺たちは母さんと父さんを助け出したい。それは子供である俺たちにはまだできないことであり、()()()()()()訳でもない。俺たちは死闘を乗り越えたとはいえ、まだまだ経験も浅い子供なのは間違いない。この場は、大人に従うのが得策だ。

 

「……分かりました…」

 

「何をかな?」

 

「俺たちは2人で父さんと母さんを見つけ出そうと考えてました…でも、それは見つけ出した手柄としてみんなに褒めてもらいたかったからってのもある…子供染みた甘い考えだった……本気に思っていたのに心のどこかではまだまだ子供だったんだ…だから──!!」

 

「私たちにも2人の捜索隊に加わらせて下さい…!!!!」

 

 大人たちの保護下にいること。それで未成年(こども)たちの立場は明らかに身軽くなる。

 父さんと母さんを見つけ出して稀神家に連れ戻す考えは一切変わらない、変わる気がない。この意思だけは誰に否定されようとも譲るつもりがない。俺らにはそれをやる価値がある。

 

「…ッ!?……ふははっ…その目はまさに本気の2文字に似合いすぎてるなァ…!!霊夢、みんな。私からもよろしく頼みたいよ。この2人の目には大人しく引き下がる意思はなんもないみたいだよ。」

 

「……ッ、はぁ…私も賛成。魔理沙は?」

 

「私も2人に賛成だ。この覚悟を無駄にしたくない。」

 

「もしかしたら私よりも肝が座ってるかもしれないわね…賛成よ。」

 

「私はお嬢様の意のままに。」

 

「横に同じく。」

 

「これだけの覚悟と圧を出せるのは、流石はお師匠様の子供たちってところよね。」

 

「ッ!ってことは…!」

 

「でもこれだけは約束して。“イケると思っても仲間を頼る”こと。いいね?」

 

『…ッ!はいっ!!』

 

 

 

───全員を納得させ、父母の捜索隊に入隊できた苅亜と零愛。霊夢の話に出てきた邪神王と主人公は何を話し合い、西行妖近くで何が起きていたのか。

 

To Be Continued────




次回はクロムの話になります。
執筆開始しておりますがいつ投稿できるかは分かりません。不定期で申し訳ないです…
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