普通過ぎる妹とおかし過ぎる兄の話   作:テレサ二号

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どうもテレサ二号です!!
お久しぶりです!!

仕事が急がしかったりFGOのイベントやり込んだりして中々更新できずスミマセン( T∀T)
それでも見てくださる方がいらっしゃるのはありがたかったですありがとう(*-ω人)

では、本編です!!
今回はお知らせもあるので後書きも見てくださいね!!


Order 17:今日からまたいつも通りの景色

蘭との一件を終えた夜、お店の片付けを終え入浴を済ませた氷瀧はつぐみの部屋を訪れていた。

時刻はすでに0時を迎えようとしていた。

 

「つぐみ?まだ起きているのか?夜更かしは美容の大敵だぞ?」

 

「あ、お兄ちゃん。そうなの……、蘭ちゃんの歌詞を自分なりに解釈してみてそれを蘭ちゃんにメールで送るつもりだよ」

 

「そっか……ちょっと待ってろ」

 

「???」

 

氷瀧は自分の部屋に戻ると数ある茶葉コレクションからTHE O RDORと言うメーカーのカモミールティーの茶葉を取るとキッチンに向かう。

 

カモミールティーは、小さくて可憐な白い花を咲かせるキク科の植物のハーブティーである。

古代から多くの人に親しまれてきたハーブの一つでリラックス効果が高いことでも知られている。

 

THE O RDORのカモミールティーは魅了するその香りが特徴的で、古来よりの消化促進の効能があるとして有名なこのハーブティーは、あらゆる年代の方に高く評価されている。

 

氷瀧は通常の倍程度の茶葉をティーポットに入れ熱湯を注ぎ、5分蒸らしてから氷をたっぷり入れたグラスにカモミールティーを注ぐ。

輪切りにしたレモンを添えてつぐみのカモミールティーには少量のハチミツを加えた。

 

「お待たせ♪カモミールティーだ」

 

「わぁ、ありがとう♪…………うん、とっても美味しい!」

 

「そっかそっか♪」

 

氷瀧は空いたスペースに腰掛けると自身もカモミールティーを口にした。

氷瀧からつぐみに聞きたい事はいくつかあった。

しかしそれをつぐみに聞いてあれこれアドバイスするのはただのお節介である事を氷瀧は心得ている。

その為、カモミールティーを飲み終えてもつぐみから何も無ければ氷瀧は自室に戻るつもりでいた。

 

「お兄ちゃん、そろそろ寝る?」

 

「このまま何も無ければ寝ようと思っている」

 

「ちょっとだけお話してもいい?」

 

「俺がつぐみからのお誘いを断るわけないだろ?」

 

「えへへ、ありがとう♪…………あのね?さっきも言った通り、蘭ちゃんの歌詞を自分なりに解釈しようとしてるんだけどね?それって蘭ちゃんにとって迷惑じゃないかな?お兄ちゃんはどう思う?」

 

「つぐみ、お前は優しいな」

 

「そんな事ないよ。この前お兄ちゃんに言われた自分にできることをやってるだけで。…………それよりどう思う?」

 

「そうだな……。俺は迷惑じゃないと思うぞ?辛いときに誰かが自分を理解しようとしてくれているというのは立ち直るきっかけになるものだから。ただ今の蘭は素直になるまでにもう少し時間が掛かると思うから、それまでは待ってあげるのが優しさかな?」

 

「そっか……じゃあ私のやってることは間違っていないんだね」

 

「それは今の段階じゃ誰にも分からない。その時の行動が正しかったかなんて後から振り返って答えが分かるんだ。だから今は自分の信じた事を貫け。それが正しいかは分からないがそれがベストではあるだろう」

 

「よーし!頑張るぞ~!!」

 

「あんまり無理するなよ」

 

「うん!おやすみなさい♪」

 

「おやすみ♪」

 

もう心配する事は無いだろうと氷瀧は安心して自分のベッドに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

翌日、羽沢珈琲店自体は定休日であったが氷瀧は備品の手入れをしながらケーキの試作品を作っていた。

つぐみは学校で不在、両親は夫婦水入らずで買い物に出掛けていた。

そんな羽沢珈琲店の扉が開かれた。

 

「いらっしゃいませー。大変申し訳ありません、本日は定休日となっております」

 

氷瀧が店の入口に視線を向けるとそこには蘭が立っていた。

蘭は何も言わず氷瀧に一番近いカウンターに腰掛ける。

 

「いらっしゃい、学校は?」

 

「今日は休校日……」

 

「んな訳あるか!」

 

「いたっ!」

 

氷瀧はメニューで軽く蘭の頭を叩く。

先程伝えたようにつぐみが学校に行っている以上、休校日はありえないのである。

蘭は少しムッとした後で氷瀧に微笑んだ。

 

「ご注文は?」

 

「ん……」

 

蘭はこの前氷瀧から貰ったケーキの引換券を差し出した。

 

「どのケーキにする?」

 

「氷瀧君のオススメで」

 

「売り物じゃないけど、今作ってる試作のケーキでいいか?」

 

「売り物じゃないって事は誰も食べたこと無いの?」

 

「そーだな。このまま誰も食べなければご近所さんにお裾分けだ。北沢精肉店に持って行けばお肉やコロッケと交換して貰えるし、山吹ベーカリーに持って行けば余ったパンと交換して貰えるのだ!」

 

「氷瀧君、ちょっとセコくない?」

 

「それが相手側にも喜んで貰えているから、win-winの関係なんだよ。……それで?試作品でいいのか?」

 

「じゃあ、それで」

 

「承りました」

 

氷瀧は試作品の中からリンゴのフランを選び、一人分を切り取ってからお皿に盛り付けてブラックコーヒーを添えた。

リンゴのフランとはりんごをカットして専用のシロップにてソテーし、タルトにプリン生地を混ぜて注いで焼くだけのシンプルなお菓子である。

 

「羽沢珈琲店の新メニューだ。これならシンプルだし母さんや親父、つぐみにも作れるからな。ただし、シロップ調合とタルト作りは俺の担当になるだろうがな」

 

「なんで氷瀧君以外はしないの?」

 

「シロップは企業秘密だしタルト作りは全ての鍵を握るからな。羽沢珈琲のパティシエとしてそこだけは簡単には任せられないな」

 

「なんか氷瀧君って父さんみたいな事言うね」

 

「褒め言葉だよ」

 

「なんで?」

 

「おじさんは華道の家元として一流だからな。そんなおじさんと一緒にしてもらえるのは光栄だ」

 

「ふーん、男って意外とお互いの事を認めあって生きてるんだね」

 

「ん?なんだって?」

 

「別に?こっちの話……」

 

おもむろに蘭はケーキを口にした。

リンゴのコンポートの酸味と甘味、そしてプリン生地のミルクの濃厚さとタルトの香ばしさがマッチし口の中に旨味が広がる。

 

「うん、美味しい♪」

 

「だろう?久しぶりに手応えありだからな」

 

「氷瀧君って試作品を作るわりにはお店の新メニューにしないよね?」

 

「あくまでお店のテイストに合わせたケーキだけ新メニューにしている。他のはボツにしている訳じゃないさ」

 

「どうするの?」

 

「来るべき日に備えているのさ」

 

「ふーん……」

 

蘭がふとカウンターに置かれているレシピや設計図に目を向けると見慣れたピンクの熊のデザインを捉えた。

 

「あれ?ミッシェル?」

 

「なんだ知ってるのか?」

 

「知ってるも何もハロハピのマスコットみたいなもんでしょ」

 

「みたいだな」

 

「何で氷瀧君がミッシェルを?」

 

「もうすぐそのハロハピってバンドのメンバーの子が誕生日らしくてな?弦巻家の黒服さんからケーキの特注を依頼されてな?」

 

「あれ?氷瀧君ってこころの誕生日にケーキ作りを拒否して弦巻家を敵に回したんじゃないの?」

 

「回してねぇよ!!それどころか後日こころさんがウチの店に来てくれて、特別なケーキを作っておもてなししたんだよ。そしたらこころさんから気に入られて……」

 

「それどういうこと!?こころが氷瀧君を好きってこと!?」

 

「そういうんじゃねーよ……。ただその時のケーキを気に入ってくれたみたいでな?今度のメンバーの誕生日のケーキは俺の作ったケーキがいいって言い出したみたいなんだ」

 

「それで黒服さんからお願いされたの?」

 

「そういうこと。ただ以前の事もあったからお断りしたんだけどね。弦巻家の御当主からもお願いされてね……」

 

「断れなかったんだ?」

 

「報酬が魅力的過ぎて依頼を受けてしまった」

 

「どんな報酬?」

 

「まぁそれは大人の秘密だ」

 

この話はここまでと言わんばかりにレシピや設計図を氷瀧は片付け始めた。

 

「それで?そっちはどうなんだ?」

 

「…………まだみんなと話せてない」

 

「そっか……」

 

「ただ……」

 

「???」

 

「…………ただ、ひまりにはちゃんと謝りたい」

 

「そうだな」

 

少しずつ陽が傾き出した頃、蘭のスマホが鳴った。

 

「RINE?巴からだ」

 

『緊急事態!みんな、屋上に来てくれ!』

 

「お、屋上!?い、今から!?」

 

蘭の驚いた刹那。氷瀧は急いでエプロンを脱ぐと蘭の手を引き、店の外へ出た。

 

「ちょっと!?私、行くとは言ってないんだけど!?」

 

「いつまでグダグダ言ってんだ!!……さっきひまりに謝りたいって言っただろ!?今がそのチャンスじゃねーか!!」

 

「それは…………まだ覚悟が決まってないというか……。そのうち謝ろうと……」

 

「今度やろうはバカヤロー、明日やろうもバカ野郎なんだよ!!」

 

氷瀧は自転車に跨がった。

 

「乗れ!!」

 

蘭は少し戸惑ってから頷き荷台に座った。

 

「しっかり掴まってろよ!!」

 

氷瀧は蘭がしがみつくのを確認してから地面を蹴り、思い切りペダルを踏ん込んだ。

みるみる加速していきドンドン景色が流れていく。

 

「ちょっと!!飛ばしすぎー!!」

 

「うっせー!!1秒でも早く学校に蘭を送り届けんのが今の俺にできることだからよー!!」

 

「どういう意味ー!?」

 

「こっちの話だー!!」

 

氷瀧は前しか見ていない。

その姿に少しだけ蘭は前を向く勇気を貰った。

蘭は氷瀧に抱きつく口実を貰っていた事を思いだし、強く氷瀧に抱きつくと氷瀧からする甘い匂いに心をときめかせた。

 

「あんまり喋るなよー!!舌噛むぞー!!」

 

「うわっ!!」

 

転倒しないかハラハラしながらやっとの思いで学校に到着した。

 

「おし!行ってこい!!」

 

「…………………………うん!」

 

蘭は屋上に向けて駆け出す。

その視線は決意に満ちていた。

そんな蘭を送り出した氷瀧は安堵の息を漏らす。

 

「もうこれで大丈夫だろう……。今晩はつぐみの好きなオムライスでも作ってやろうかな♪」

 

氷瀧はスーパーマーケットに向けて、今度はゆっくりと自転車を漕ぎ始めた。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「お父さん、お母さん!お兄ちゃんに休みをください!」

 

Afterglowのケンカ騒動が解決した数日後、家族の揃う晩御飯のテーブルでつぐみは両親に頭を下げていた。

 

「氷瀧の休み希望に何故つぐみが頭を下げているんだ?」

 

「それは俺にも分からない。つぐみ、まずは理由を聞かせて貰えるか?」

 

「そ、そうだよね!順序を間違えちゃった」

 

つぐみは"えへへ"と少し恥ずかしそうに照れてから説明の続きを話し始めた。

 

(うん、やっぱりつぐみは天使だな)

 

「お兄ちゃんに次の私達のライブに来てほしいの!!」

 

「ライブに?」

 

「うん、今回の私達の騒動でお兄ちゃん色々と頑張ってくれたでしょ?」

 

「そのお礼と言うのなら俺は受け取らないぞ?俺が勝手にお節介をしただけだ。別に俺が何もしなくてもお前達は仲直りできていただろう」

 

「…………違うよ?お兄ちゃんには成長した私達を見て欲しいの!」

 

「成長したつぐみ達……」

 

「行って上げたらどう?」

 

「母さん?」

 

「たまには違う分野の刺激を受けるのもいいんじゃない?インスピレーションが湧くかもしれないわよ?」

 

「…………確かに一利あるな」

 

母からの思わぬ援護を受けて、つぐみは追い込みを掛ける。

 

「あとね!今回はパスパレの事務所が主催のライブだから千聖さんやイヴちゃんの演奏も観られるよ!?」

 

「千聖か……」

 

パスパレのライブには以前のお渡し回の際に行ったきりである。

その時はノリノリの紗夜に気を取られ演奏中の千聖をしっかり見ていなかった事を思い出した。

つぐみからのお誘いを断る理由が氷瀧には無いが何故か千聖がいるということが行く事を決定する後押しになった。

 

「分かった。では来週の日曜日だったな?いいだろう。それまでにしっかり演奏を磨いておくように」

 

「うん!せっかくお兄ちゃんが来てくれるんだから、恥ずかしい演奏はできないもんね!!」

 

胸の前で拳を握る可愛い妹に氷瀧は胸を撃たれると頭を撫でたい衝動に駆られて優しくつぐみの頭を撫でた。

つぐみはそんな兄の行動が嫌では無いので素直に受け取り、少し恥ずかしそうにほころんだ。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

迎えたライブ当日、氷瀧はつぐみ達のバンドであるAfterglowが出演するライブが開催される『ライブハウスCiRCLE』を訪れていた。

予めつぐみから貰っていたチケットで入場を済ませたが、開演までの時間があり氷瀧は暇を持て余している。

そんな氷瀧はパスパレの楽屋の前に来ていた。

しかし氷瀧はマネージャーらしき人物に止められていた。

 

「スミマセンがここから先は関係者しか入れませんので」

 

「あ、それはスミマセン。実は白鷺千聖さんの知人で、今日は差し入れをお持ちしたのですがお会いできませんか?」

 

「アポイントは?」

 

「ありません……」

 

「ではお引き取りください」

 

「…………それじゃあ、これだけでも渡していただけませんか?」

 

氷瀧は持ってきていた紙袋を差し出す。

 

「スミマセンがメンバーへのプレゼントは事務所を通していただく決まりになっております」

 

「生物なのでそれは厳しいです」

 

「だったら尚更受け取れませんな」

 

「そんな……」

 

しかしこれはメンバーの身を守る為のルールであることを氷瀧は理解した。

 

「ご迷惑おかけしました」

 

氷瀧がその場から離れようとした時、楽屋からピンク髪のツインテールの女の子が出てきた。

パスパレでボーカルを務める丸山彩である。

 

「あのー?何かあったんですか?」

 

「いえ、この方が差し入れをお持ちしてくれたのですが、ちょうどお断りしていた所です」

 

「あー、そういう事なんですね。お気持ちは嬉しいのですが……」

 

彩はようやく氷瀧と視線を合わせる。

一度、テレビのロケで羽沢珈琲店を訪れているがそれ以上の面識は二人にはない。

 

「えっと……つぐみちゃんのお兄さんですか?」

 

「あ、そうです……」

 

(やっぱりそうだ!!と、言うことはこの人が千聖ちゃんの!私ってばファインプレイ!!)

 

「…………あのー?丸山さん?」

 

「え?あっ!大丈夫です!!この人の身元は私が保証します!…………だから、この人を楽屋にお迎えしてもいいですか?」

 

「は、はぁ……。まぁ、丸山さんがそこまで言うのであれば……」

 

「ありがとうございます!!では、こちらへどうぞ♪」

 

彩が氷瀧を手招きする。

そんな彩に連れられて氷瀧は楽屋へ入った。

そんな彩にメンバーである日菜と千聖が声を掛ける。

 

「彩ちゃーん。外に誰かいたのー?」

 

「うん、外に男の人がいたよ?」

 

「ちゃんとご丁重にお帰りいただいたかしら?」

 

「ううん?今、楽屋に入って貰ったよ?」

 

「ちょっと彩ちゃん!?それはどういう……」

 

ようやく千聖と氷瀧の視線が交わった。

あまりのサプライズに千聖は驚きのあまり声が出ない。

 

「あー!つぐちゃんのお兄さんだー!!今日は何か差し入れを持ってきてくれたのー?」

 

「おぉ、日菜ちゃん久しぶり♪察しの通り、差し入れだぞー♪」

 

差し入れの紙袋を差し出した氷瀧の背中に柔らかい感触が触れる。

 

「氷瀧さん、今日は来てくれて嬉しいです♪これは感謝のハグです!」

 

「イヴちゃん!?いつもハグは禁止って言ってるでしょ!?」

 

「まぁまぁ、そんなに怒るなよ千聖。イヴは俺の妹みたいなもんなんだから」

 

「そうです!氷瀧さんは血こそ繋がっていませんが、私にとって兄の様な存在です!」

 

氷瀧はつぐみにしてやるようにイヴの頭を優しく撫でる。

えへへとイヴは嬉しそうに微笑んだ。

 

「むむ……」

 

「!!!」

(そういう事だね、千聖ちゃん!任せて!)

「千聖ちゃん!私とじゃんけんしない?」

 

「じゃんけん?」

 

「そう!!それで勝った方が氷瀧さんに頭を撫でて貰えるって事で!!」

 

「ちょっと彩ちゃん!?」

 

「氷瀧さんもいいですよね!?」

 

「あ、あぁ……。別に構わないが……」

 

彩の強烈な勢いに押される形で氷瀧は彩からの提案を承諾してしまった。

 

「それじゃあ行くよー?じゃーんーけーんぽんっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

(ふぇぇぇん……どうしてこうなっちゃうの?)

 

じゃんけんに勝利した彩は氷瀧から頭を撫でられていた。

彩が犯したミスは自分が勝つ可能性を考慮しなかった事である。

 

(ち、千聖ちゃんの視線が痛い……。顔は笑ってるけどきっと怒ってるよね?)

 

「そろそろ終わってもいいかな?」

 

「あ、はい。スミマセン。ありがとうございました……」

 

氷瀧は彩の頭から手を離した。

 

「それじゃあ、俺は失礼するよ。ムースはそれぞれのイメージカラーに合わせておいたから味わって食べてくれ」

 

「おにーさんありがとねー」

 

「紗夜ちゃんによろしく」

 

「はいはーい☆」

 

氷瀧は楽屋の出口に向けて歩みを進める。

 

「あっ、待っ……!えっと……」

 

出口付近まで歩いた氷瀧の足が止まり声の主である千聖と氷瀧の視線が交わる。

 

「えっと……その……」

 

「……今日は期待してる」

 

「へ?」

 

「今日はつぐみに誘われたから来たけど、一番の目的は輝いている千聖が見たくてここに来た。だから、今日は一番輝いている千聖を俺に見せてくれ……それじゃ」

 

氷瀧は扉を開け出ていった。

 

「………………。『1番輝いている千聖を見せてくれ』、ね……。ふふっ、氷瀧さんが薫が言いそうなことを言うなんて」

 

千聖ははにかむと氷瀧が作ったムースに向けて歩みを寄せた。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「ハァハァハァ……」

 

パスパレの楽屋を出た氷瀧は走ってその場を後にしていた。

 

「なにが『一番輝いている千聖を見せてくれ』だよ……。………………あぁ!!何であんな歯の浮いたよーなセリフを言っちまったんだ!?」

 

氷瀧は頭を抱えて自問自答している。

 

「おや、羽沢氷瀧ではないか」

 

氷瀧が視線を声がした方向に向けると一風変わった真っ赤な法被を着た蘭の父が立っていた。

 

「おじさんこんにちわ。あの……その法被は?」

 

「これか?格好いいだろう?」

 

蘭の父が背中を向けるとそこには大きく蘭がプリントされていて"Afterglow Ran Mitake"と書かれていた。

 

「それは……」

 

「今日届いた蘭の法被だ。これで蘭のファンの子達にも一目置かれる事は間違いないだろう。きっと蘭も喜んでくれる」

 

(一目置かれる理由は尊敬じゃなくて幻滅じゃないだろうか……)

 

「これからどうするんだね?」

 

「……あ、はい。これからつぐみ達にお菓子の差し入れをと思いまして」

 

「そうか私も同じだ」

 

「それじゃ、一緒に行きましょうか」

 

「あぁ。そうだ今度君の妹の法被も用意しておこうか?」

 

「………………妹と相談させてください」

 

氷瀧と蘭の父はAfterglowの楽屋に足を進めた。

途中、周囲の視線が痛かったのは言うまでも無い。

 

 

 

 

 

Afterglowの楽屋に到着すると楽屋の扉をノックしてから楽屋に入る。

 

「あー、ひーくんと蘭パパだー」

 

「え?氷瀧君!?…………ってうわー!!!」

 

楽屋内に蘭の悲鳴が響き渡る。

 

「いきなり何だ蘭。はしたないぞ」

 

「と、父さん…………それ…………」

 

「ん?この法被か?格好いいだろう?」

 

蘭の父は背中のプリントを愛娘に見せつけた。

 

「っっっっっっっっっっっっ」

 

蘭の顔がみるみるうちに茹でタコの様に真っ赤に染まっていく。

 

「今日届いたのを早速着てみたんだ」

 

「これを着てここまで来たの?」

 

「もちろんだ!」

 

「………………で……」

 

「ん?」

 

「今すぐ脱いで!!そのダサイ法被!!!」

 

今日一番の蘭の怒声が再び楽屋に響き渡った。

あまりの大声にその場にいた全員が咄嗟に耳をふさいだ。

 

「ダサイ?この法被か?」

 

「そんなの着てここまで来たなんて信じられない……」

 

蘭は顔を机に伏せて泣き出してしまった。

 

「な、なに?これが恥ずかしいとでも言うか……」

 

「おじさん。ちょっと言いにくいけど流石に身内にそれをされたら恥ずかしいよ……」

 

巴が泣く蘭の頭を撫でながら、蘭の父を諭した。

Afterglowの全員が巴に同意するように頷く。

 

(おじさん……つぐみの法被の件は無かったことで……)

 

ショックを受ける蘭の父に氷瀧は心の中で手を合わせた。

 

 

 

 

 

 

しばらくして蘭が泣き止んでから氷瀧は差し入れのお菓子を取り出した。

 

「おー!ひーくんのお菓子待ってましたー」

 

「はいはいモカくん、崇め奉れー」

 

「ははー」

 

モカは氷瀧に向けて両手を合わせる。

 

「それしなきゃ食べれられないの!?」

 

「ダイエット中のひーちゃんに代わって、モカちゃんのお口にお出迎えしちゃうねー?」

 

「なに言ってるのモカ!?ちゃんと演奏で燃焼するから食べるに決まってるでしょ!!…………ところで今日のお菓子はなに?」

 

「今日のお菓子はガトーショコラだ。外はトリュフチョコレートで中央はビターな生チョコになってる」

 

「ビターなら蘭ちゃんも食べられるね♪」

 

「…………うん」

 

蘭の機嫌も少しずつ戻ってきたようで蘭の父も少し安堵した。

 

(今日は貸しにしておいてやろう羽沢氷瀧。この借りは必ず返すからな!)

 

「良かったらおじさんもどうぞ」

 

氷瀧は丁寧にカットしたケーキを紙皿に取り分け、蘭の父に手渡した。

見渡すと蘭やつぐみ達がとても美味しそうに食べている。

モカに至っては二つ目に手を伸ばしていた。

 

「せっかくだからいただこう」

 

ガトーショコラを口に運ぶ。

麗しいトリュフの香りとしっとりした口当たり、そして生チョコの濃厚さとビターの苦味が後から押し寄せてくる。

しかし最後には苦味の奥にあるほのかな甘味に着地した。

 

「美味しい」

 

「ホントですか!?」

 

「あぁ。そういえば君の作ったお菓子を食べたのはこれが初めてだね」

 

「そう言われたらそうかもしれません」

 

「君も立派なパティシエになったのだな」

 

「いえ、まだまだですよ」

 

氷瀧は大きめの水筒から紅茶を紙コップに人数分注ぎ配る。

その紅茶からも爽やかで豊潤な香りがした。

 

「…………」

 

「どうかされました?」

 

「今度私にも簡単なビタースイーツの作り方を教えてくれないか?」

 

「「「「「!!?」」」」」

 

蘭の父から出た意外な言葉にAfterglowの五人が一斉に振り返る。

しかし氷瀧だけは不器用な蘭の父なりに蘭へ歩みを寄せようとする行動なのだと察した。

 

「承りました。その代わりと言う訳ではありませんが、俺にも華道を体験させて貰えませんか?」

 

「華道を?」

 

「美竹家の御当主に軽率な気持ちでお願いするのは失礼かもしれませんが、華道の造形美がスイーツの創造の役に立つかもしれません。俺も自分の"形"を追い求めているのでプラスになることは何でもやってみたいんです」

 

氷瀧の熱い眼差しが蘭の父の心を掴む。

男同士というのは案外話が早いものである。

 

「分かった……。では君の都合のいい日を別途連絡してくれ」

 

「承知しました」

 

その頃、楽屋の外から歓声が聞こえた。

 

「そろそろイベントが始まる時間だな」

 

「そうですね。我々は客席に移りましょう。それじゃあ、みんな、頑張れよ」

 

「うん!任せて!」

 

「やってやるぜ!!」

 

「全力のモカちゃんを見たまえー」

 

「いつも通り、落ち着いていこう」

 

「それじゃあ、いつものやつ行くよ!?えい!えい!おー!!」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「何で誰もやらないのー!!」

 

五人の落ち着きに二人は安堵してから、氷瀧と蘭の父は楽屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

客席に着くと既に前列は各グループの熱狂的なファンによって埋め尽くされていた為、二人は後方からライブを観戦することにした。

 

「ここからでもステージが良く見えますね」

 

「そうだな。…………そういえばこの間からずっと蘭が何かに塞ぎこんでいたようだが、数日前からそれが嘘のように明るくなった。君は何か知っているか?」

 

「彼女達の中で思い通りにいかないもどかしさや葛藤などがあったようです。些細なキッカケでそうなったようですから、些細なキッカケがあれば修復するのが世の常でしょう。それを見守るのが我々保護者の務めです」

 

「えらく大人びた事を言うんだな」

 

「これでももうすぐ二十歳ですからね」

 

「私からしたらまだ君も見守る対象だ。何かあればもう少し周りを頼りなさい。きっと皆喜ぶ」

 

「……肝に銘じておきます」

 

「そういえば、来週だったね君の誕生日は」

 

「良く御存じですね?」

 

「たまたまだよ」

(ウチのカレンダーに蘭が記載しているとは言えないしな)

 

「誕生日には私のとっておきの日本酒と湯呑みをプレゼントしよう」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

 

いよいよつぐみ達Afterglowの出番となり、つぐみ達がステージに上がる。

つぐみ達には全く緊張の色が見えない。

 

「どうもAfterglowです。まずは一曲目『Scarlet Sky』」

 

蘭のギターから始まりそれに続くようにモカのギター、巴のドラム、つぐみのキーボード、ひまりのベースがカットインしてくる。

 

「当たり前のようにこんなにも近くでつながってて、欠けるなんて思わないよ」

 

蘭が歌い始める。

今まで蘭の歌声を聴いたことが無い氷瀧はその歌唱力に驚きを隠せなかった。

 

「へぇ~、綺麗な歌声だな」

 

そんな氷瀧を置き去りにするように歌詞が流れていく。

 

上手くいかない現実の葛藤や自分達が持っている、当たり前だけどとても尊くて大切な物を自分達の等身大の歌詞で表現していた。

氷瀧は素直に素敵な歌だなと感心し心を掴まれた。

それは妹達だからという贔屓目抜きにした、純粋な気持ちから来ている。

 

「続いていくぜー!『Y.O.L.O!!!!!』」

 

巴の掛け声と共に、蘭とモカのギターのユニゾンから曲が始まる。

完璧までといえるレベルの高いユニゾンに観客は歓声で応えた。

 

「考えたことなかった、外の景色の姿を」

 

「あたしたちだけの」

 

「世界しか知らなくて」

 

蘭・モカ・ひまりの順番で歌っていく。

どうやらこの曲はボーカルの蘭だけではなく、メンバー全員で歌うようだ。

 

この曲は先程の『Scarlet Sky』と同様に颯爽感のあるメロディーラインに夜空をイメージした歌詞が散りばめられている。

その美しい歌詞に氷瀧は感心させられた。

 

言の葉と音を用いて景色を創造する。

形は違えどこれはこれで"造形美"に繋がりがあり、氷瀧はインスピレーションが刺激される。

 

(星空をイメージしたスイーツか……。プロジェクションマッピングなんかを活用したら面白いスイーツができるかも!!)

 

氷瀧はすかさずスマホにイメージをメモする。

氷瀧の母が言った通り、氷瀧にとってはプラスにはたらくことが多くなりそうである。

 

「――――ありがとう。続けて聴いて貰いました。次、最後の曲は新曲です」

 

その瞬間、偶然ではあったが蘭と氷瀧の視線が交わる。

蘭は『本当にありがとう』の気持ちを込めて氷瀧に微笑んだ。

 

「…………羽沢氷瀧よ」

 

「何ですか?」

 

「蘭が私に向けて微笑んだぞ……」

 

「おじさんの気持ちが伝わったのかもしれませんね」

 

蘭の父はハンカチを取り出しほのかに浮かんだ涙を拭ぐう。

この残念な父親と鈍感な男のせいで、蘭の気持ちは正しい意味で正しい人には届かなかった。

 

そんな事には気づかず、蘭は表情を整えると再び話を続ける。

 

「あたし達の空はずっと繋がっている。それが『いつも通り』だから……。『ツナグ、ソラモヨウ』」

 

夕陽が沈むようにしっとりとつぐみのキーボードが鳴る。

それに合わせて蘭が歌い始める。

 

「夢物語じゃ終わらせるもんか、空よ連れてゆけ」

 

モカと蘭のギター、ひまりのベース、巴のドラム、つぐみのキーボードが重なり"曲"を紡ぎ上げていく。

 

時の流れの速さをイメージさせる曲調と紆余曲折、四季折々と表情を変える空模様とその景色を大切にしたい自分達の想いがしっかり詰まっている素晴らしい曲だった。

 

モカ・つぐみ・ひまり・巴の音の土台の上で、蘭が気高く歌っている。

四人の音が蘭の支えになり誇りになっている。

 

(あたしの背中を信じてついて来て!!)

 

歩みを合わせるのではなく、みんなで一緒に前に進むために自分は歩みを止めない。

蘭の覚悟が歌声に、歌詞に、視線に乗って会場を包み込む。

 

 

 

 

 

 

この日一番の歓声が五人の少女達に贈られた。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「どうも!Pastel✽Palettesです!」

 

『あやちゃーん!!』

 

『可愛いー!』

 

『千聖さーん!』

 

今回のライブの主役であるパスパレの登場に会場内のボルテージが一気に上がる。

 

「凄い人気だなぁ……」

 

「えぇ、今回の主催ですからね。最近は知名度もうなぎ登りみたいで、イヴも最近芸能活動が忙しくて中々お店に顔を出せないくらいですからね」

 

 

 

 

 

「早速一曲目に行きたいと思います!!それでは聴いてください『ゆら・ゆらRing-Dong-Dance』」

 

イヴのキーボードのリードで始まり、ドラム・ベース・ギターが重なり、ボーカルの丸山彩とベースの白鷺千聖が歌い始める。

 

「ゆら・ゆら・ゆら・ゆら Ring-Dong…」

「ゆら・ゆら・ゆら・ゆら Ring-Dong…」

「ゆら・ゆら・ゆら・ゆら Ring-Dong…」

 

「きみを映したきれいな姿は、“わたし”で見てた まぼろしだったの」

 

「ため息泳ぐくもり空見上げ、与えられたレールをひとり歩く」

 

千聖の美しくも儚い歌声とその表情で構成された世界観に氷瀧は引き釣りこまれていく。

この歌詞は千聖自身を表している。

氷瀧にはそれが届いた。

 

「まずは一曲目の『ゆら・ゆらRing-Dong-Dance』でした♪」

 

パスパレはAfterglowとは違うしっとりとしたテイストでスタートした。

アイドルといえば可愛らしい楽曲のイメージがあるが、この曲は女性らしく美しい曲だった。

 

 

 

それから数曲が過ぎ、丸山彩がサプライズに動く。

 

「ねぇねぇみんな!私、急遽やりたい演目があるの!!」

 

「おぉ!!アドリブに弱い彩ちゃんから予想外のフリだね?」

 

「もー!日菜ちゃん!!それは言わないで!!」

 

「まぁまぁ、日菜さん。せっかくですから彩さんの提案を聞きましょう」

 

「私ね?『世界は恋に落ちている』をやりたいの!!」

 

『世界は恋に落ちている』はCHiCO with HoneyWorksの楽曲で、パスパレもカバーしており何度かイベントでも演奏した事がある楽曲である。

 

「自分は全然構いませんよ?皆さんはどうですか?」

 

「アタシも全然問題なーし!イヴちゃんは?」

 

「はい!武士たるものいついかなる時でもベストを尽くせるように準備しておくものです!!ブシドー!!」

 

観客から笑いの合いの手が入る。

 

「千聖ちゃんはどうかな?」

 

「全く……仕方ないわね?彩ちゃんは言い出したら聞かないんだから」

 

「やったー!!言質とったからね?」

 

再び彩がファンに正対する。

ファンは彩の一挙手一投足に熱い視線を送った。

 

「では!『世界は恋に落ちている』を千聖ちゃんに歌って貰います!!」

 

「…………!!?ち、ちょっと彩ちゃん!?」

 

まさかの無茶ぶりに普段は冷静な千聖も同様を隠せない。

そうこうしている間にファンが外堀を埋め始める。

 

『ちさとー!』

 

『ちさとー!』

 

『ちさとー!』

 

『ちさとー!』

 

『ちさとー!』

 

この場にいる全員が千聖の『世界は恋に落ちている』を求めている。

 

「で、でも私……この曲を歌いながら歌うのはできないかなぁ……って……」

 

「だったら、主旋律はアタシのギターと麻弥ちゃんでやるから大丈夫だよー!やれるよね?麻弥ちゃん?」

 

「はい、自分は問題ありません。イヴさんは大丈夫そうですか?」

 

「合点承知の助です!!全身全霊をかけてお二人について行きます!!」

 

「…………っつ」

 

いよいよ外堀は埋まった。

ファンの熱気も下がらない。

むしろ上がり続けている。

千聖は観念して覚悟を決めた。

 

(彩ちゃん……あとで覚えててね♪)

「分かりました。歌います」

 

今まで一度も無い千聖のソロに会場の歓声はこの日一番を更新した。

 

「それでは聴いてください。白鷺千聖ちゃんで『世界は恋に落ちている』」

 

「世界は恋に落ちている 光の矢胸を射す

 君をわかりたいんだよ「ねえ、教えて」」

 

ギターのブルージーな旋律をメインに綺麗かつ少し切なさを感じる演奏が始まる。

咄嗟な出来事で千聖は気持ちを準備していなかったため、珍しく恥ずかしさもあり顔を少し赤らめている。

それがとても可愛らしく一部のファンが発狂していた。

千聖は恥ずかしさを誤魔化す為に視線を後方部に向ける、偶然にもそのタイミングで氷瀧と視線が交わり、千聖は氷瀧の位置を把握してしまった。

そしていよいよ歌うには一番恥ずかしい部分を迎える。

ここまでの歌詞に自らの想いを重ねてしまった千聖は氷瀧から視線を外せずにいた。

 

「バカ……君の事全部わかりたいって思っちゃう

 これが恋だって初めて気づいたの

 絶対振り向いてほしい

 遅かったけど諦めたくない

 だって・・・好きだから」

 

観客が湧く。

氷瀧は自分に向けられたと思い、顔を真っ赤に染めた。

そんな二人だけの世界が終わりを告げるように曲が終了する。

氷瀧は自らの鼓動が高鳴っている事を認識した。

 

「さすがは女優だな……表現力が凄い」

 

蘭の父は千聖の表現力の高さを称賛した。

 

「表現力…………ですか?」

 

「あぁ、本当に恋をしている女性の雰囲気を出していた。あれを演技で出せるとは素晴らしい」

 

氷瀧は自分に向けられたメッセージだと勘違いした事を恥ずかしく思えてきた。

 

(そうだよな。千聖みたいな美人で別世界にいるような女性が俺の事を好きになるわけ無いよな……。自惚れていたのかもしれない)

 

氷瀧は自らの気持ちにフタをした。

結果として蘭の父の言葉は蘭に大きな手助けをしたことになった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様でーす」

 

「お疲れ様ー」

 

ライブ終了後、パスパレとAfterglowは楽屋の前で雑談をしていた。

彩だけはライブ後に千聖からお説教を受けたのでシュンとしている。

 

「そーだ!パスパレとAfterglowで打ち上げしない?」

 

「あ、いいですね♪」

 

「では、羽沢珈琲でやりましょう!!私とつぐみさんでおもてなしします!!」

 

「……そうだ!!皆さん、来週の土曜って空いてます?」

 

一同がそれぞれの予定を確認する。

偶然にも皆予定は空いていた。

 

「土曜日に何かあるのかな?」

 

シュンとしていた彩がやっと口を開いた。

 

「土曜日にパーティーをやるので良かったら皆さんも来ませんか?」

 

「何のパーティー?」

 

「お兄ちゃん20歳の誕生日パーティーです♪」

 

「氷瀧さんの?」

 

「「「「「誕生日パーティー!?」」」」」

 

いよいよ氷瀧の誕生日パーティーを迎える。

しかしAfterglowとパスパレが交わる誕生日パーティーがまさかあんな事になるとはこの時の氷瀧はまだ知らないのであった。

 

 

 

 




いかがでしょうか?
今回は長文になっちゃいましたね(笑)
いよいよ次回は氷瀧の誕生日イベントです(^^)

それと冒頭のお知らせですが、UA10万・お気に入り1500人突破記念でこの作品をイメージしたイラストを"Ya-MeNさん"というイラストレーターの方に描いていただきました!!
この小説の目次に貼っておきますので是非ご覧ください!!

これからもよろしくお願いします!!

では今回はこの辺で失礼します。

評価・ご感想・お気に入り登録ドシドシお待ちしております。

執筆の励みになりますので小さな感想でもとてもとても嬉しいです(^^)

それではまた次回!ほなっ!(^^)ノシ



使用楽曲コード:20260181,22918710,23128194,23359412,24003361

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