千聖さんハッピーバースデー!!
( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆☆☆☆☆
いやぁ、滑り込みセーフで間に合って良かったです(笑)
千聖さんのバースデーガチャ見ました?
あのドレス姿はヤバすぎましたよね?
軽く気を失いそうでした(笑)
今回は千聖さんの誕生日を祝って、千聖さんが主役の回になってます!!
では、早速本編です!!
「やってしまったわ……」
どうも白鷺千聖です。
冒頭から失礼します。
私は今、ある問題に直面しています。
「……2kgも増えてる」
いえ、そんなはずは無いわ。
きっとこれは体重計が壊れているのよ。
もしくは私の見間違えね。
「……………やっぱり増えてる……」
再び体重計を降りて、しばらく経ってからそっと体重計に乗る。
勢い良く乗ると体重計がブレるかもしれないもの。
残酷にも体重計は私の体重を正しく"デジタル"で表示した。
「体重計の故障じゃないわ……。やっぱり体重が増えてる。彩ちゃんに知られてしまったら何と言い訳すればいいか……」
いつも厳しく彩ちゃんには気を付けるように言ってるもの、彩ちゃんに罪悪感を覚える日が来るとは思ってもみなかったわ。
とにかく、何故太った原因を解析して太った分を削りに行かないと!!
……いえ、まずは己の未熟を認めて一歩目よ。
原因は分かってる。
そう……ここ最近、時間に余裕があれば羽沢珈琲店に通ってケーキを食べているからよ!!
でも、同じような物を食べている花音は太った素振りなんて全く無いわ!?
何故なの!?花音の糖質は全て、どこへ行ってるのかしら!?
もしかして、糖質の吸収先まで迷子になっているの!?
……現実逃避は良くないわね?
きっと花音は見えない所で努力をしているのよ。
私も努力しないといけないわ。
と言うことで時刻は午前4時半。
住宅地は静まり返り、まだ夜明け前なので薄暗い。
今朝から登校やお仕事の前にジョギングを始めます。
痩せる為にはまずは運動!!
大丈夫よ。
ジョギングで脂肪が燃焼し始めるのは開始30分以降だって事は事前にリサーチ済み。
ジョギング前に水分補給とバナナにて、最低限の栄養補給をして準備は万端。
そして、ジョギングのパートナーを紹介するわね?
私の愛犬レオンよ。よろしくね♪
ジョギングと合わせてレオンの散歩も兼ねれば、レオンと一緒にいられる時間も増えて一石二鳥という訳なの♪
レオンのリードを持ち、二人で公園を走る。
朝の清んだ空気が肺を通り、再び外に出ていく。
レオンは朝早いから嫌がるかと思っていたけど、とても喜んでくれて私も嬉しかった。
そして早朝だから人気も無いので、人目を気にせずに走る事ができる。
早朝のジョギングは私に向いているのかもしれないわね。
「さて、少し休憩しようかしら」
公園のベンチに腰掛け、リュックに積めていたミネラルウォーターを口にする。
予め、用意していたお椀にレオン用のお水も入れて二人での給水タイム。
レオンの頭を撫でて上げると、嬉しそうにこちらを向いて尻尾を振ってくれる。
この子との時間はいつも私に安らぎをくれる。
「休憩おしまい♪それじゃあ、行きましょうか?」
私の言葉を理解したのか、レオンは私に続いて小走りを始めた。
……しばらく特にコースを選ばずに走っているとついついいつもの場所に着いてしまった。
「来るつもりは無かったのに商店街の方まで来てしまったわね」
商店街も早朝という事もあってほとんど人がいない。
仕入れ後と思われる店員さん達が店の中に品物を運んでいる。
「もしかして、会えるかしら……なんてね♪」
違う。
会いたいって思っている。
でも太ってしまった今の私を彼には見せたくない。
「行くわよレオン」
商店街に背を向けて、レオンのリードを引っ張る。
珍しくレオンは嫌がり、私を商店街の中へと誘う。
「ちょっとレオン!?」
普段はとてもいい子なのに、時折見せるこのワガママは何故かしら?
通い慣れた道、見慣れた風景を過ぎると彼がいるお店へ来てしまった。
時刻は午前5時過ぎ。
こんな朝早くから彼に会えるはずなんて……。
いた……。
彼は山吹ベーカリーの御亭主、沙綾ちゃんのお父さんと思われる男性と話していた。
「お帰り、今朝は何かいい食材はあったかい?」
「今日は旬のトマト・栗・安納芋・じゃがいも・りんごを仕入れておきましたよ。他に必要な物があれば連絡してくれと八百屋のおじさんが言ってました」
「いつもスマナイな。ウチは生地の仕込みで手が離せないし、最近は沙綾にも無理させてるからな……」
「困った時はお互い様だから大丈夫ですよ♪ウチも仕入れがあるんだからそのついでだし、市場の人達から教わる事も多いし」
「そう言って貰えると助かる。今日も焼きたての食パン持っていくか?」
「いつもスミマセン。山吹ベーカリーの焼きたての食パンを食べるのをつぐみが楽しみにしているので、いつも助かってます」
「新作パンも一緒に入れとくから後で感想を聞かせてくれ」
「はい、喜んで」
彼は沙綾ちゃんのお父さんと別れる。
氷瀧さんの誕生日に巴ちゃんが言っていた。
氷瀧さんは商店街の人達から好かれていると。
きっとこういう飾り気の無い笑顔とさりげない優しさ、ちょっとのおせっかいが人を惹き付けるんだと思うの。
…………そして私もその1人なのだけど。
いつまでも彼に見とれていてはダメね?
ジョギングに戻らないと。
…………あれ?レオンはどこに……?
再び視線を彼に戻した刹那、レオンは彼に飛び付いていた。
「うぉ!?」
「ちょっとレオン!?」
レオンは彼を押し倒し、顔をこれでもかと舐め回している。
うら…………いえ、早く止めないと!!
「アハハ!くすぐったいって!!」
「コラっ!レオン!!何してるの!?」
「ステイ!!」
彼の思わぬ言葉に私とレオンは身体が静止した。
「お手!…………おかわり!…………グッド♪」
今度は彼がこれでもかとレオンを褒め、抱き締めながら全身を撫で回す。
………………。
「おぉ、千聖じゃないか。おはよう。こんな朝早くに何かあったのか?」
「へ?えっと……」
彼は私を見てクスクスと笑い始める。
「女優でもジャージとか着るんだな。千聖ってオシャレなイメージあったから」
大失態だわ……。
ジャージでいることを忘れていた。
こんな格好をよりによって彼に見られるなんて……。
運動用のジャージ姿で汗もかいている。
とても好きな人に見せられる格好では無いわね。
「この子の散歩かい?」
「そ、そんな所です……。ついでに健康管理の一環としてジョギングを……」
「それはいい心掛けだ。そうだ!?一緒に朝御飯食べないか?」
「朝御飯ですか?」
いけない……。
何か断る口実を探さないと。
「わ、私……この後学校もありますし。氷瀧さんがご飯を作るのを待ってる時間も無いかと……」
「その心配は無いさ。もうサンドイッチはできているからな」
彼は店先のベンチにハンカチを敷き、私にその上に座るように誘う。
リュックサックの中からタッパーを取り出すとそのフタを開ける。
「山吹ベーカリーの食パンを使った、レタスとハムのクリームチーズサンドだぞ」
サンドイッチからが光を放っている。
いえ、実際には放っていないのだけれど私にはそう見える。
た、食べたい……。
でもパンには糖質が、クリームチーズには脂質が含まれているわよね。
食べたい。
ダメよ。
食べたい。
ダメよ。
食べたい。
ダメよ。
食べたい!
ダメよ!!
「ゴメンなさい!私、用事を思い出したので!行くわよレオン!!」
「ちょっ!?千聖!?」
私はサンドイッチと彼を残して、その場から逃げるように立ち去った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ハァ……私何やってるんだろ……」
登校後、机に伏せながら千聖は後悔の念に捕らわれていた。
「おはよー千聖ちゃん。元気無さそうだけど大丈夫?」
「おはよう花音。大丈夫よ」
「お仕事で何かあった?」
「そういう訳じゃないけど……。花音には話しておこうかしら」
千聖は花音に体重が2kg増えてしまったこと、そして今朝氷瀧をその場に残して立ち去ってしまった事を説明した。
「千聖ちゃんでも体重を増やしちゃう事あるんだね?」
「完全な失態よ。彩ちゃんに何と言えばいいか……」
「今日のバイトの時に彩ちゃんに話してもいい?」
「花音?それだけは絶対にダメよ?」
ゴゴゴ……と音がしそうな笑みを千聖が浮かべる。
"微笑みの鉄仮面"がそこにいた。
『冗談だよー』と花音が取り繕う。
続いて花音は千聖の頬っぺたをつつく。
「お肉が付いた感じはしないけどね?」
「きっとどこかに付いているはずよ。ところで花音はいつも一緒に羽沢珈琲に通っているけど、太ったりしないの?」
「私、お菓子を食べても太らない体質なんだ♪」
千聖は花音の括れを触る。
しっかり引き締まっていて、余計な肉は付いていない。
「ちょっ!?ちょっと!?くすぐったいよ千聖ちゃん!!」
千聖は視線をウエストから上に向ける。
(いらない所には付かなくて、いる所にはしっかり付いている。花音の体が羨ましくて仕方ないわ)
「千聖ちゃん?」
「なんでもないわ」
千聖は軽く咳払いをして表情を整えた。
「話を戻すけど、サンドイッチを勧めてくれてた氷瀧さんを置いて帰っちゃったんだよね?それじゃあ、氷瀧さんがかわいそうだよ」
「そうよね……。ハァ……」
「ちゃんとダイエット中だから食事制限してますって言えたら良かったね?」
「そんな事言えないわよ。だって……」
ゴニョゴニョと言いたい事を誤魔化す。
可愛いなぁと思いながらも微笑みそうになるのを花音は抑える。
花音はスマホを確認してから、千聖にアドバイスをする。
「ねぇ、明日のジョギングの時にもう一度会いに行ってみたら?」
「行っても会えるかどうか分からないのよ?」
「そうだけど……、やっぱりこのままにしておくのは良くないと思うんだ」
「そうよね?……ありがとう花音」
「うん、気にしないで♪私はお昼のパン買ってくるね?」
「うん、行ってらっしゃい♪」
去り行く花音の背中を見送ってから、千聖は再び机に伏せる。
「何て言って謝ろうかしら……」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
千聖は帰宅中に瀬田薫を見かけたがスルーする事にした。
「おや、千聖じゃないか。どこかへおでかけかい?」
「今から家に帰る所よ。それじゃ」
「つれないなぁ。ただ悩んでいる千聖をそのままにしておく事は、私にはできないよ」
「あなたには関係ないわ」
「なるほど。つまり、悩んでいるということには違いないって事だね?」
(しまった、失言だ……。薫はいつも物事の本質を無意識で見抜いてくるのよね……)
「私には話せない事かい?」
「………………」
千聖は悩んだ。
薫の言葉は決して茶化そうとするような感じは見えない。
しかし人に話せる内容で無い事は本人が一番理解している。
「もし……」
「???」
「もし、薫が大切な人を思わぬ形で傷つけてしまったらどうする?」
「花音とケンカでもしたのかい?」
「私と花音はずっと仲良しよ。……くだらない質問をしたわね」
千聖はその場から離れようとした。
千聖を引き留めるように薫は声を発する。
「もし千聖がその人を大切に想い、その人が千聖を大切に想っているなら、相手は傷ついてなどいないと思う」
「傷ついていない?」
「あぁ、きっとその人は千聖に何かあったんじゃないかと心配しているんじゃないかな?」
「心配……」
「千聖は良からぬ形で相手を傷つけてしまったと思っていないか、相手は心配しているだろう。悩んで動けないのなら、動いて後悔した方がいいと私は思うな」
「……全く、無責任なんだから」
クスっと千聖が微笑む。
その表情を見た薫は満足したようにその場から去って行く。
「では千聖、君の幸運を祈っているよ」
「……全く、人の話を聞かないんだから……」
背を向けて去っていく薫に微笑みかける。
そして踵を返して千聖は帰路に着いた。
翌朝千聖は再び羽沢珈琲店の近くに来ていた。
今日はレオンの付き添いはお休みして貰っている。
千聖は物陰から氷瀧がいないか確認をする。
今日は仕入れ日では無かったが、氷瀧はお店の前を掃いていた。
その隣にははぐみの父が店先で氷瀧に話し掛けている。
「ここらで一発ドカーンとヒット商品を作りたいんだが、氷瀧君はどうすればいいと思うかい?」
「そうですね……。この際、山吹ベーカリーとコラボでコロッケパンでも作ればいいんじゃないですか?」
「思ったよりシンプルだな」
「コッペパンだけ山吹ベーカリーに注文して、あとは北沢精肉店のコロッケやらメンチカツやらを挟んでそのまま手渡す感じで。北沢精肉店の揚げ物の美味しさと山吹ベーカリーのパンの美味しさを知ってもらえてwin-winじゃないですか?」
「確かに山吹ベーカリーのパンは美味しいもんな」
「お互いのお店でポップを作って表示して、お互いのお店を宣伝したら行き来が増えると思いますよ。ウチも俺の提案で、近いウチにコーヒーのテイクアウトを始めようと思ってまして」
「テイクアウト?」
「これは山吹ベーカリーの店長さんとの企画なんですが、山吹ベーカリーでパンを購入したレシートを持っていけば、ウチでカップコーヒーが150円で買えるようにするんです。コーヒーは日によって俺か親父がブレンドしたものを販売しようと思ってます。山吹ベーカリーとしては、ホットドリンクを提供できない弱点を補いながら、ウチとしては忙しくて羽沢珈琲店のコーヒーを飲む時間の無い人に、ウチのコーヒーの味を知って貰うというメリットがあります。特にこれからの時期は寒くなってくるので、温かい飲み物の需要が高まりますしね」
「なるほどな……。良く考えているんだな」
「ただ定量的にウチのシンボルマークがプリントされた紙コップが必要なので、卸して貰えるように用品店と交渉している所ですけどね」
「まったく……羽沢珈琲は跡取りがしっかりしてて羨ましいよ。それじゃ、俺は早速母さんに相談してみるから」
「はい、それじゃまた」
はぐみの父が店内に入っていくのを確認してから、千聖は氷瀧の前に姿を現した。
「あの……」
「おぉ!千聖じゃないか!おはよう!」
「おはようございます」
千聖は自分の言葉を整理する。
言いたい事はまず謝罪。
その気持ちを持って氷瀧と向き合った。
「あの……昨日は……」
「昨日はゴメンな?」
「へ?」
「花音ちゃんから聞いたよ。登校前に事務所に寄る用事があったんだろ?それなのに俺が呼び止めてしまって時間ギリギリになったって。それなのに、千聖が俺からの誘いを断ってその場を去ってしまったことを後悔してるって教えて貰ったんだ」
花音は氷瀧へ連絡を取っていた。
あくまで自然に、それでいて氷瀧も千聖も傷つけないように優しい嘘をついていた。
「私こそごめんなさい。何も言わずに去ってしまって」
「構わないさ。千聖が自分を責めているみたいだったから、それが心配だったんだ。今日は会えて良かった」
氷瀧が微笑む。
千聖はこの笑顔に弱いなと改めて感じさせられた。
「それより今日は時間大丈夫か?」
「え?は、はい!」
「それじゃあ……」
氷瀧は昨日同様に店先のベンチにハンカチを敷き、千聖を誘導した。
「今日は昨日のお詫びに千聖の好きな物を用意したんだ」
「私の好きなものですか?」
「事前に花音ちゃんに千聖の好きな物を教えて貰ったんだ♪」
氷瀧は水筒から紙コップへ紅茶を注ぐ。
その豊潤な香りに思わず千聖の表情が和らぐ。
「この茶葉は?」
「ロンネフェルトってメーカーの、ダージリン スーパーファインって茶葉でセカンドフラッシュだな。俺は基本的に紅茶はマリアージュ・フレールってメーカーを好んでるんだが、セカンドフラッシュだけは、ロンネフェルトのスーパーファインを使ってる。まぁ、そのせいでダージリンだけ少し値段が高くなってるんだけどな」
千聖は嬉しそうに話す氷瀧に心暖めながら、紅茶を啜る。
氷瀧は続いてクッキーを取り出した。
「これは何のクッキーですか?」
「こっちがアサイーとブルーベリーのクッキーで、こっちがベルガモットのクッキーだ」
千聖は自分の好物であるアサイーのクッキーを口にする。
アサイーの風味とブルーベリーの酸味、クッキーの香ばしさが口に広がる。
「どうかな?」
「とても美味しいです」
「良かった♪」
氷瀧が満面の笑みを浮かべる。
千聖もつられて笑みを浮かべた。
それはクッキーが美味しかっただけではない、自分の好きな人が自分の為に時間を割いてくれたこと。
自分を想ってクッキーを作ってくれたこと。
そして自分が今日来る事を待っていてくれたこと。
その全てが千聖には嬉しかった。
「一緒に食べませんか?」
「そうだな♪」
(あぁ……そっか……私には無理だったのね)
千聖は理解した。
自分はこの笑顔が好きでもっとこの笑顔が見たいと思ってしまっていることを。
そしてその為には羽沢珈琲店に通うしかないということを。
千聖はここに"運動量を増やす"ことを固く決意した。
「あ!朝陽が昇りますよ!!」
「今日もいい天気になりそうだな」
きっと今日もいい1日になる。
特別な事がある訳じゃないけど、小さな楽しみや感動が積み重なった何でもない1日。
そんな何でもなくて特別な1日がまた始まろうとしていた。
いかがでしょうか?
千聖さんのバースデーガチャは天井まで行きましたよ。
まぁ、お迎えできたので後悔はありません。
では今回はこの辺で失礼します。
次回はまたしばらく間が空くかもしれませんが、気長にお待ちいただけると幸いです。
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執筆の励みになりますので小さな感想でもとてもとても嬉しいです(^^)
それではまた次回!ほなっ!(^^)ノシ