普通過ぎる妹とおかし過ぎる兄の話   作:テレサ二号

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どうもテレサ二号です!!

今回はみんな大好きなあの子が出ますよー!!
タグを増やしたので良かったら見られてください。

では本編です!!


Order 4:ご注文はお菓子ですか?

「いらっしゃいませー。空いてる席へどうぞー」

 

羽沢珈琲店は本日も盛況だ。

元々フランスでもエルメのお店の接客をしていた氷瀧にとって店の手伝いは難しい物では無かった。

 

「あのー?ちょっといいですか?」

 

若い女性の会計中に氷瀧は話掛けられた。

 

「はい、大丈夫ですよ?」

 

「こちらチラシに書いてあるお菓子教室ってお兄さんから教えて貰えるんですか?」

 

「これは基本的には母と妹が主幹ですが、私もサポートには入ります」

 

「だったら私、申し込みたいので申し込み用紙を貰ってもいいですか?」

 

「はい、こちらが申し込み用紙になります。お菓子教室へのご参加お待ちしております」

 

「あとお兄さんにはこれを……」

 

「???」

 

氷瀧は名刺のような物を受け取った。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「ひーくんアイスティー」

 

「私はアイスコーヒーブラックで」

 

「私も蘭と同じのを」

 

「私はアイスロイヤルミルクティー!」

 

「はいはい、承りました」

 

アフターグロウの練習を終えると最近は羽沢珈琲に寄ることが習慣となっていた。

勿論料金は幼なじみ割引で格安となっている。

母からの提案で無料にするつもりだったのだが、四人がそれを頑なに断った為に格安料金に落ち着いた。

 

「私も手伝うね?」

 

「いいから座ってろ。つぐみは何にする?」

 

「うぅ……。それじゃあアイスティーで」

 

「承りました」

 

氷瀧は器用に飲み物を用意する。

コーヒーはサイフォンでもドリップでも氷瀧には特に問題無かった。

 

「氷瀧君、コーヒー淹れるのも上手いんだ?」

 

「ん?あぁ、店の手伝いで覚えたからな。ただバリスタと比べたら俺のコーヒーなんてまだまださ」

 

「流石氷瀧君♪比べる相手のレベルも高い♪」

 

氷瀧の手際の良さに蘭とひまりは称賛の言葉を贈った。

 

「ねーねー、それよりこれなーに?」

 

モカはカウンターに並ぶ名刺の数々を指差した。

 

「あぁ、これはお客さんから貰ったんだ。良かったら連絡くださいって。日本ではこういうの流行ってるのかな?連絡するのが礼儀だったりする?」

 

「「「「ダメ!!」」」」

 

つぐみを除く四人が椅子から立ち上がった。

 

「絶対連絡しちゃダメだよ!」

 

「不審者かもしれないし!」

 

「つぐに害を成すかもしれないだろ?」

 

「もしかしたらオレオレ詐欺かもしれないよー?」

 

「さすがにオレオレ詐欺は無いだろ……」

 

「こんなものこうだ!!」

 

巴は数枚の名刺を取ると全て破り捨てた。

 

「つぐみ!塩!!」

 

「蘭ちゃん!?ちょっと落ち着いて!?」

 

店先に塩を撒こうとする蘭をつぐみが抑えた。

つぐみが抑えた事で場が落ち着いたのを確認してから氷瀧は飲み物を出した。

 

「そういえばつぐ?今度のお菓子教室、お客さん集まったの?」

 

「どうなんだろ?お兄ちゃんどんな感じ?」

 

「盛況だぞ?元々つぐみと母さんの評判がいいからなのか、名簿がすんなり埋まったな。昼間に申し込んだお客さんで定員に達したから募集は締め切った」

 

「お菓子は何作ろうか?」

 

「うーん、簡単なやつかな?」

 

「「・・・え?」」

 

巴と蘭が首を傾げた。

 

「もしかして……氷瀧にぃもお菓子教室に参加するのか?」

 

「そりゃ当たり前だろ。つぐみと母さんだけに任せる訳にもいかないしな」

 

「なん……だと……?」

 

「はっ!?」

 

蘭がひまりに視線を向けるとひまりは勝ち誇った様子でピースサインをしていた。

 

「私は昨日のうちに申し込んだもんねー♪」

 

「ひまり!!抜け駆けなんてズルい!!」

 

「だったらアタシらも!!」

 

「そうだよ!!」

 

蘭と巴は氷瀧に視線を向けた。

しかしそこには両手でバツ印作り掲げた氷瀧がいた。

 

「もう締め切ったって言ったろ?」

 

「「なっ…………」」

 

肩を落とす二人にどや顔でモカが声を掛けた。

 

「モカちゃんは味見係だから!!」

 

「そんな係ねぇよ!!」

 

「えぇー!?」

 

モカの悲痛な叫びが店内に響き、肩を落とす者が二人から三人に増えた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「お兄ちゃん何してるのー?」

 

夕食後、お店の厨房に立っている氷瀧につぐみは声を掛けた。

 

「お菓子教室で作るお菓子を考えてる」

 

氷瀧はお菓子作りに没頭している時はいつも以上に表情が凛々しくなる。

 

(厨房に向かってるお兄ちゃんってちょっとカッコいいんだよね)

 

「つぐみ?」

 

「ううん!何でも無い!//」

 

「クリームチーズブラウニーにしようか?」

 

「普通のブラウニーやチョコブラウニーじゃダメなの?」

 

「マーブル模様がオシャレだからSNS栄えするだろ?女の子は喜ぶと思うんだ」

 

「難しいの?」

 

「いやそこまで難しくないよ。手間がかかる事もあるけど失敗しにくいし」

 

「お兄ちゃんが言うなら間違いないね♪」

 

「何でだよ 笑」

 

「だってお兄ちゃん、昔からお菓子作りと私だけにはいつも誠実だったもん」

 

「褒め言葉として受け取っておく」

 

「うん♪」

 

(やっぱりウチの妹は世界で一番可愛いな!)

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

翌日、いよいよお菓子教室当日を迎えた。

以前のクッキー教室の効果もあってかかなりの人数が集っていた。

予想以上の人数につぐみの笑顔は完全に引きつっていた。

 

「つぐみー、笑顔が固いぞー。リラックスリラックス♪」

 

「だ、大丈夫だよお兄ちゃん」

 

「よしつぐみ、"あー"って言ってみろ」

 

「あー」

 

「ほれっ」

 

氷瀧はつぐみの口にチョコレートを投げ込んだ。

 

「甘い」

 

「甘いものにはリラックス効果があるからな」

 

「えへへ♪ありがとうお兄ちゃん♪」

 

(はい、ウチの妹てーんし!!)

 

続々と入ってくるお客さんの中に見慣れたお客さんを見つけたつぐみはそのお客さんに駆け寄っていく。

 

「紗夜さん♪こんにちは♪」

 

「こんにちはつぐみさん。今日はよろしくお願いします」

 

この時、氷瀧の全神経が反射した。

氷瀧は直感で理解した。

この女とは仲良くなれないと。

氷瀧はつぐみと紗夜の間に割って入るとつぐみを自分の後ろに隠した。

 

「お、お兄ちゃん?」

 

「あの?ウチのつぐみに何か用ですか?」

 

「用というよりは本日は羽沢さんからお菓子作りを学ぼうとこの教室を受講したんです。貴方こそ誰ですか?羽沢さんの彼氏?という訳では無さそうですが?」

 

「羽沢氷瀧。つぐみの大好きなお兄ちゃんだ!」

 

「羽沢さんのお兄様でしたか、今日はよろしくお願いします。私とお兄様は初対面だと思うのですが、どうして私は毛嫌いされているのでしょうか?」

 

「君にお兄様とは呼ばれたくないね!」

 

「ちょっとお兄ちゃん!?どうしちゃったの!?いつもは人懐っこくて大人しいんですよ?どーどー」

 

(羽沢さんのお兄様、どこか飼い主にしか懐かない犬みたいね)

 

「ふん!精々ケガに気をつけて美味しいお菓子を作るんだな!!」

 

「お兄ちゃん!!」

 

(これがツンデレというやつかしら。まぁ、ゆっくりつぐみさんにお菓子の作り方を教わりましょう……)

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「と、思っていたのに……」

 

「君の講師は俺だ♪」

 

紗夜の前にどや顔をした氷瀧が立ち塞がった。

 

「つぐみから教えて貰えると思ったか?残念だったな、君に教えるのは俺だ!」

 

氷瀧目的でこの教室に申し込んだ女性陣(特にひまり)から悲鳴が沸いた。

 

「ハァ……。ではまず私は貴方を何とお呼びすればよろしいですか?羽沢さんではお母様やお父様、つぐみさんと一緒になってしまいますし」

 

「俺の事は氷瀧と呼んでくれ。俺は紗夜ちゃんでいいかな?」

 

「どうぞ好きなように呼んでください。では氷瀧さんと呼ばせていただきます。氷瀧さんはお菓子作りは得意なんですか?」

 

「まぁ得意だと思うぞ。これでもお菓子作り世界一のパティシエのもとで4年間修行してきたからな」

 

「………………」

 

「なんだ?俺じゃ役不足か?」

 

「いえ、それだけお菓子作りに真剣に取り組んでいらっしゃるのに侮るような事を口にしてしまってスミマセンでした」

 

(この子、もしかしたらいい子なのかも……)

 

「改めてよろしくお願いします。私はバンドのメンバーの為にお菓子を作りたいと思っています。私はまだクッキーしか作れないので今日はバリエーションを増やせたらと思い参加させていただきました」

 

「こちらこそよろしく。君とは仲良くなれないと思うが、勿論お菓子作りでは手を抜かない事を世界一のパティシエに誓おう」

 

「よろしくお願いします。羽沢さんのお母様がもう説明に入っているようですが大丈夫でしょうか?」

 

「こっちは俺がゆっくり細かく教えるから母さんの説明は気にしなくていい」

 

「今日は何を作るんですか?」

 

「クリームチーズブラウニーだ」

 

「難しいのでしょうか?」

 

「多少手間が掛かる所もあるが、失敗しにくいから心配はいらない。俺が横で全く同じ物を作るから参考にするといい」

 

「分かりました。失敗しないように細心の注意を払います」

 

いよいよお菓子作りがスタートした。

 

【チョコレート生地作り】

 

まず室温に戻したバター150gをかさが倍くらいになるまでハンドミキサーでホイップさせる。

 

「ハンドミキサーは意外と負荷があるからしっかりボウルとミキサーを握っておけよ?ケガには気をつけて」

 

「倍くらいとはどのくらいですか?」

 

「ボウルのこの辺くらいになるまでだな」

 

氷瀧はボウルの1/3くらいの位置を指差した。

 

「分かりました」

 

バターがミキサーで滑らかにかき混ぜり、徐々にかさが増えていく。

 

「先ほど氷瀧さんが仰った位置よりまだ5mmくらい下なのでもう少しでしょうか?」

 

「いやこれくらいでいい。空気を含ませて口当たりを柔らかくするのが目的だから」

 

「なるほど……」

 

紗夜はレシピを書いたメモの余白に氷瀧のアドバイスを記入していく。

 

(マメだな)

 

ホイップしたバターに砂糖を90g加え、更に白くふわふわになるまでホイップする。

 

「白くというのは真っ白くらいですか?」

 

「いや元々のバターの色もあるから、真っ白より少し黄色寄りくらいの白だ」

 

「ふわふわと言うのは?」

 

「クリームを上に引っ張ってクリームの角が倒れないくらい」

 

「分かりました」

 

更にメモを加えるとふわふわになるまでハンドミキサーでバターをかき混ぜる。

 

「こんな感じでしょうか?」

 

「うんうん!いい感じ!」

 

ホイップしたバターに湯せんして溶いた2個分の卵を少しずつ加えては混ぜを繰り返し乳化させる。

 

「卵を湯せんするのは何故ですか?」

 

「卵は冷たいと表面張力が強くなって乳化しにくくなるんだ。だから湯せんして表面張力を弱くして乳化しやすくしてやる。これを怠ると卵が分離しやすくなるからな。余談だが、スポンジ生地なんかを作る時は仕上がりが良くなるから逆に湯せんしない方がいい」

 

板チョコレート180gを包丁で細かく砕き、こちらも湯せんする。

湯せんの温度はお湯が50~55℃チョコレートが40~45℃の間でコントロールする。

湯せんの完了はチョコレートをヘラで持ち上げ、流れるチョコレートにだまが無いかどうかで判断する。

湯せんが完了したら先ほどのバターにチョコレートを合わせる。

 

「耐熱容器に油分や水分が入ってたらチョコレートが死ぬから間違いなく容器は綺麗に拭き上げておくように!」

 

「お湯の温度が50~55℃なのは何故ですか?もっと温度を上げれば効率良く、溶けムラも無くなると思うのですが」

 

「それは安直過ぎる考えだ。チョコレートの湯せんは温度が高過ぎるとチョコレートの香りが死ぬし、口当たりも最悪になる。お菓子作りのチョコレート関係で失敗する人のほとんどがこの湯せんやテンパリングでの温度管理を適当にやっている。今回はバターに混ぜるから溶けるのを防ぐ為にチョコレートの温度は40~45℃にしているが、生チョコやチョコレート単体で作る場合は45~50℃で湯せんしてくれ」

 

「なるほど。素人が余計な口を挟んでスミマセンでした」

 

「いや、いい質問だったよ。理屈が分かれば人は失敗しにくくなるからね。ただ理解して欲しいのは、お菓子作りでは手を抜いていいところとキチンとやらないといけない所があるということだ」

 

「……ふふっ」

 

「何かおかしいのか?」

 

「いえ、やはり羽沢さんと兄妹なんだなと思わされただけです」

 

「???」

 

薄力粉120gとココアパウダー40gを合わせた物をふるいにかけて入れる。

ゴムベラを使ってボウルの底からかき混ぜるように混ぜたらチョコレート生地の出来上がり。

 

「かき混ぜるのは底からしっかり混ぜておくように!」

 

「分かりました!」

 

【チーズ生地作り】

 

クリームチーズ300gをレンジにかけ、ホイッパー(泡立て器)が抵抗無く通るくらいまで温めた後にチーズが滑らかになるまで混ぜる。

 

「レンジは何分何秒ですか?」

 

「時間は温度や湿度、使うクリームチーズによって変わるから、ホイッパーが抵抗無く通るくらいの感覚を覚えておくように!」

 

滑らかにしたクリームチーズに溶かし卵1.5個と砂糖120gを加えて、更に滑らかになるまでホイッパーでかき混ぜる。

 

チーズ生地完成!!

 

【焼き上げ】

 

紙を敷いて四隅をキッチリ折り込んだ天板にチョコレート生地の9割をまんべんなく流し込み、170℃のオーブンで20分焼く。

 

焼き上がったら、その上にチーズ生地をまんべんなく流す。

その後、残しておいたチョコレート生地にチーズ生地を少し混ぜて先ほど流し込んだチーズ生地の上の所々に落として行く。

 

「チョコレート生地にチーズ生地を少し混ぜるのは何故ですか?」

 

「チョコレート生地は外気で少しずつ堅くなるから、そのままだとチーズ生地と混ざりにくくなるんだ。だからチーズ生地を少し混ぜてチョコレート生地を緩くしておくんだ」

 

その後お箸で表面をかき混ぜてマーブル模様を作っていく。

 

「この時に細かく混ぜ過ぎないで大胆に混ぜるといい感じの模様になるぞ」

 

「こんな感じですか?」

 

「そうそういい感じ!」

 

150℃のオーブンで30分程焼いて、荒熱を取った後に好みの形に切り分けてラッピングをすればSNS栄えするクリームチーズブラウニーの完成だ。

 

生地を焼き上がりを待つ間に使った台所や調理器具を洗って片付けて行く。

 

つぐみは氷瀧が調理器具の手入れに集中しているのを確認してから、メモを整理している紗夜に声を掛けた。

 

「紗夜さん、お疲れ様です♪」

 

「つぐみさん、お疲れ様です」

 

「お兄ちゃん迷惑掛けてませんでした?」

 

「いえ、とても丁寧に分かりやすく教えてくれていましたよ?ホラっ!」

 

紗夜はレシピの余白にびっしり書かれたメモを見せた。

 

「ふふっ、それは良かったです♪」

 

「何故か私は毛嫌いされているので最初は心配でしたが、私の疑問に分かりやすく納得の行くように回答していただきました。あそこまでお菓子作りに真摯な方だとは思いませんでした」

 

「お菓子を作っている時のお兄ちゃんは凄くカッコ良くて私の憧れなんです♪あ!本人に言っちゃダメですよ!?」

 

つぐみが頬を赤らめる。

 

「ふふ、やはりあなた達兄妹は似ているんですね」

 

「それなら紗夜さんと日菜先輩も似てる所ありますよ?」

 

「いいえ、それはありません」

 

「えぇ~、あると思うんだけどな~」

 

つぐみと紗夜は楽しそうに会話をする。

氷瀧の目にはその二人がしっかり写っていたが、今度は割って入るような無粋な事はしなかった。

 

 

30分後、焼き上がった生地を見て体験者はそれぞれ感動の声を上げた。

 

「これが私の作ったブラウニー……」

 

「うわぁ!凄く綺麗に仕上がってますね!!私が作った物より綺麗♪」

 

「ありがとうございます。それではラッピングをしていきましょう」

 

元々つぐみとの買い出しや、日々のバンドメンバーへのクッキーの差し入れでラッピングに慣れて来ていた紗夜は難なくラッピングを終えた。

 

一方のつぐみと氷瀧は初参加のお客さんに可愛いラッピングの仕方やオシャレなリボンの結び方などを教えていた。

 

「氷瀧君!私にも可愛いラッピングの仕方教えて!!」

 

ここぞとばかりにひまりが氷瀧にラッピングを教わりに行くのだった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「ではこれでお菓子教室を終了します。皆さん、長い時間お疲れ様でした!」

 

つぐみの掛け声と共に集まっていたお客さんが散り散りに帰っていく。

 

氷瀧は帰っていくお客さん一人一人にお礼の言葉を贈った。

そして最後に紗夜が残っている事に気がついた。

 

(これからつぐみとデートのつもりか?まぁ、つぐみもお菓子教室の成功に満足してたみたいだし、今日くらいは許してやるか)

 

「あのっ!!」

 

店の扉を閉め、店の奥に戻ろうとする氷瀧に紗夜は声を掛けた。

 

「ん?」

 

「あのっ、今日はお疲れ様でした!」

 

「あぁ、お疲れ様。それじゃあ」

 

「待ってください!!」

 

「???」

 

「き、今日はありがとうございました。おかげで素晴らしい経験ができました。お菓子が上手くできたのは氷瀧さんのおかげです」

 

「それは無いよ。それは紗夜ちゃんが真摯にお菓子作りに向き合った結果さ。俺は助言程度のアドバイスをしたけどね」

 

「だからっ!これをあなたに食べて欲しいのです。そして採点して欲しいのです」

 

紗夜は少し顔を赤らめながらブラウニーを氷瀧に渡した。

氷瀧はブラウニーを受けとると迷わずラッピングを開封し、口へ運んだ。

 

「んー、まぁまぁかな」

 

「点数で言うと?」

 

「55点くらい。俺なら店じゃ出さない」

 

「そうですか……」

 

紗夜は肩を落とした。

そんな紗夜に氷瀧はカウンターの下から自分が作ったブラウニーを差し出した。

 

「ただ初めてにしては良くできていたと思うよ?」

 

紗夜がブラウニーを受けとると、氷瀧は笑顔で別れの挨拶を告げた。

 

「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」

 

氷瀧は店内の奥に姿を消した。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「スッゴク美味しいよ!このブラウニー!るんっ♪って来た!!」

 

「そう、それは良かったわ」

 

「これもつぐちゃんに教わったの?」

 

「いいえ……」

 

「なになにー?気になる気になる!!」

 

「何でも無いわ。残りはお父さんとお母さんに渡しておいて?」

 

「うん!!私はもう1つ貰っちゃお♪」

 

紗夜はリビングに日菜を残し、自室に戻ると氷瀧から貰ったブラウニーを開けるとそのまま口にした。

 

「わ、私のよりも遥かに美味しいわ。これが100点なら55点も納得ね……。私と一緒に作っていてここまで差が出る物なのかしら……。お菓子作りは奥が深いわね」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「うわぁ!お兄ちゃんが作ったブラウニー凄く美味しい!!」

 

「ホントね?」

 

羽沢家ではお菓子教室の反省会が行われていた。

 

「何か隠し味でもあるの?」

 

「あぁ、つぐみを含めて全員が市販のクリームチーズを使ってたが、俺のだけは俺が手作りしたクリームチーズを使ってたからな。勿論材料にも拘ってる」

 

「今度教えてくださいお兄様」

 

「良かろう妹よ」

 

 




いかがでしょうか?

今回はお菓子教室ということでお菓子を作っている描写にも力を入れてみました。

今回、紗夜さんが初登場だったので皆さん知っているか分からない余談を。

紗夜さんのお菓子教室のイベントのシナリオを見ると、街での紗夜さんとつぐみの会話が解放されるのですが、紗夜さんは二人きりだと"つぐみさん"、周りに人がいると"羽沢さん"になるようです。
さよつぐ最高かよ……。

ではこの辺で失礼します。
評価・ご感想・お気に入り登録ドシドシお待ちしております。
特に高評価・感想は執筆の励みになりますのでとても嬉しいですm(_ _)m

それではまた次回!ほなっ!(^^)ノシ

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