前回の話はとても好評だったようでお気に入り登録が一気に増えて嬉しい反面、その期待に答えられるかと不安でもあります。
暖かい目で見ていただけると幸いです。
さて話は変わりますが今やってる羽丘の生徒会イベントのストーリーが尊すぎるので皆さんちゃんとチェックしてくださいね!!
個人的にはつぐみのるん♪がたまりませんでした。
では本編です!!
「明日イヴちゃんが挨拶に来るからね?」
「イヴちゃん?」
夕食後皿洗いをしていた氷瀧はつぐみの手伝いの申し入れを拒み、テーブルに座らせアイスティーとクッキーを食べさせていた。
「お父さんから聞いてない?私と同い年でバイトの若宮イヴちゃん」
「あぁ、1人学生のバイトがいるって親父言ってたな」
「その子が若宮イヴちゃんだよ!」
「イヴちゃんって変わった名前だな?"伊武"って書くのか?」
「カタカナで"イヴ"だよ。イヴちゃんはフィンランド人のお母さんとのハーフで帰国子女、モデル兼アイドルでとっても美人さんなんだよ!」
「凄いスペックの詰め合わせだな……」
「それにね?私ともすっごく仲良くしてくれるんだ♪」
「なるほど……」
氷瀧はいつになく真剣な表情を浮かべる。
「お兄ちゃん?どうかしたの?」
「帰国子女って言ったらきっと日本に帰って来てから苦労したんだろうなと思ってな。それにつぐみと仲良くして貰ってて、ウチのバイトに居心地の良さを感じてくれているのなら、俺がいる事でそれを壊さないように努力をしなければならない」
「お兄ちゃん……」
「とは言え俺には情報が少な過ぎるから、つぐみの助けが必要だ」
「うん♪」
氷瀧が優しく微笑むとつぐみは力強く頷いた。
「イヴちゃんが何か好きな食べ物とかあるのか?」
「えーっとねぇ……。ジンジャークッキーが好きって言ってたよ!」
「ジンジャークッキーか……ヨシ!イメージが沸いた!親父!車出して!!」
「え?今からか?」
「今から!!早くしないと明日に間に合わなくなっちまう!」
「うーん、でも明日は仕入れで早いしな……」
「明日の仕入れは俺も付き添うって言ったら?」
「よし、グズグズするなよ!!」
「「・・・・」」
父の心の入れ替わりの早さに羽沢兄妹は言葉を失うのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌朝氷瀧は父親の仕入れと日課となった母親の手伝いを済ませ、つぐみに弁当を作って送り出した後で厨房に立っていた。
「さて、始めますか……」
氷瀧はジンジャークッキー作りに取りかかった。
まずははちみつ50gと卵黄1個をボウルに入れてホイッパーで優しく混ぜて卵液を作る。
常温に戻した無塩バター100gを別のボウルに入れて白くふわっとするまで混ぜ、そこに砂糖80gを加えて砂糖とバターがしっかり混ざるまで混ぜ、先ほどの卵液を少しずつ加え、その都度よく混ぜる。その後にすりおろしたしょうが汁を小さじ1杯加えて混ぜる。
そのボウルに薄力粉200g・シナモンパウダー小さじ2杯・ベーキングパウダー小さじ0.5杯をふるいに掛けて入れ、それを切るように混ぜる。
上手く混ざったらひとまとめにしてしっかりとラップで包み、生地を冷蔵庫で30分以上休ませる。
休ませ終えたらまな板に打ち粉として薄力粉を適量振りかけ、生地をめん棒で5mmの厚さに伸ばし、型で抜く。
氷瀧は型だけでなく器用にナイフを使って型抜きする。
その形はムーミンやトナカイの角、ハサミの形などフィンランドに関わりのある形に仕上げていく。
天板にクッキングシートを敷き、生地を並べ、170℃に予熱したオーブンで12分焼いて冷ます。
クッキーを焼いている間にアイシングの準備を済ませる。
粉砂糖100gと卵白0.5個分、レモン汁0.5杯を加えて粉っぽさがなくなるまでホイッパーで混ぜる。
粉っぽさが無くなったらさらにハンドミキサーでもったりとツヤが出てくるまで混ぜる。
クッキーが充分に冷めてからアイシングで様々な模様を付けていく。
アイシングジンジャークッキーはこれで完成となる。
「さてと……秘密兵器の出番だな」
氷瀧は前日に買ってあったミルク・ビター・ホワイトの三種類チョコレートを湯せんし、ジンジャークッキーにディップする。
余ったチョコレートは様々な形に整え仕上げて行く。
「ここでアーモンドとか色々手を加えたい所だが、今回は形だけに力を入れて素材の味は手を加えないようにしないとな……」
完成したチョコレートとジンジャークッキーをマリメッコというフィンランドのお土産の定番のメーカーをモチーフとした箱に丁寧に包装する。
余ったチョコレートとクッキーは別のお皿に乗せてみんなで食べれるようにしておく。
「これはお店で販売できるレベルだな♪」
氷瀧は自分のお菓子の出来栄えに満足しながら、妹達の帰宅を待った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ただいま~」
「失礼します!」
つぐみと共に元気が良く礼儀正しくイヴが入店してくる。
艶のある銀髪に吸い込まれるような水色の瞳。そしてモデルをしているというのを納得させる容姿に思わず氷瀧は息を飲んだ。
「こんにちわ。初めまして羽沢氷瀧です。いつもつぐみがお世話になってます。俺はつぐみの兄で、最近までフランスに留学してて今はこのお店の店員やってます。これからよろしくお願いします」
「若宮イヴです。つぐみさんにはいつもお世話になってます。お兄さんの話はいつもつぐみさんから伺っております。『カッコ良くて優しくて自慢のお兄ちゃんなんだ♪お兄ちゃんの作るお弁当はいつも美味しいんだ♪』って仰っていました」
「ちょっとイヴちゃん!?本人に言っちゃダメ!!」
つぐみは顔を真っ赤にしながらイヴの口を手で覆った。
「二人ともちょっとゴメンな?」
「「???」」
氷瀧は二人をその場に残し、自室に戻ると顔を毛布に沈めた。
「あぁぁぁぁーーーー!!!」
誰にも聞こえないように毛布の中で叫んだ氷瀧は叫び終えると緩みっぱなしの顔を鏡で整えてから二人の元へ戻った。
「お兄ちゃん大丈夫?」
「あぁ大丈夫。病気みたいなものだ」
「えぇ!?大丈夫なの!?」
「大したことは無い気にするな」
慌てるつぐみを氷瀧は制すると会話を続ける。
「さてイヴちゃんと呼んでも構わないかな?」
「はい♪私も氷瀧さんとお呼びしても構いませんか?」
「あぁ、よろしく頼む。今日はイヴちゃんにプレゼントを用意したんだ」
お菓子の入った箱を氷瀧はカウンターの下から取り出した。
「これは何ですか?」
「開けてごらん?」
「…………うわぁ♪チョコレートとクッキーですね♪」
「もしかしてこれもお兄ちゃんの手作り?」
「箱は買ってきた物だけどな?」
「凄いです!才色兼備とはこの事です!」
「多分意味が違うと思うぞ?」
氷瀧は軽い笑みを浮かべる。
喜んで貰えた安堵で少し緊張の糸が解れたようだ。
「早速食べてもいいですか?」
「そっちはプレゼントだから、帰って誰かと食べるといい。余ったやつをお盆に移しているからそっちを食べよう」
「では、いただきます♪南無三!」
「イヴちゃん!?それは今使う言葉じゃないよ!?」
イヴがクッキーを口にすると、クッキーの香ばしさ優しい生姜の香りが口いっぱいに広がり更に噛めば噛むほど、旨味と香りが口中に広がった。
「うん♪とても美味しいです!」
「私も貰うね?…………うん!いつも通り美味しいね♪」
「こっちのチョコレートも食べてみて?」
「これもお兄ちゃんの手作り?」
「いや、これは元々のチョコレートを湯せんして形だけ形成したんだ」
「お兄ちゃんにしては手が込んで無いね?」
「まぁ食べてみろって」
二人はチョコレートを口にした。
「うーん、美味しいけど特別美味しいって訳じゃないなぁ。イヴちゃんはどう思う?…………え?」
チョコレートを食べたイヴは大粒の涙を流していた。
「イヴちゃん!?大丈夫!?」
「スミマセン。お兄さんの優しさに驚いてしまって」
「お兄ちゃんの?」
「はい♪恐らくですが、このチョコレートはファッツェルというフィンランドのメーカーのチョコレートです。フィンランドでは大人から子どもまでファッツェルのチョコレートが大好きなんです。このチョコレートを食べた時、フィンランドのおばあちゃんがいつもくれてたのを思い出しました」
「そうなのお兄ちゃん?」
「あぁ、そのチョコレートは確かにファッツェルの物だよ」
「昨日の夜に慌てて買いに行ってたのはこれだったんだ」
全てを察した妹に氷瀧は優しく微笑んだ。
そしてその後でイヴの頭に手を乗せ頭を撫でた。
「この店は君の実家のように思って貰って構わない。何かあれば俺を頼れ」
イヴは頭を撫でられている恥ずかしさから少し顔を赤らめたが、その行為を受け入れると氷瀧のように優しく微笑んだ。
「氷瀧さんをお兄さんのように頼らせていただきますね?」
「それはダメ!!」
珍しく語尾を強めたつぐみの言葉に氷瀧とイヴは驚いた。
その反応を見て語尾が強かった事を自覚したつぐみは慌てて補足を加えた。
「だ、だってお兄ちゃんは私のお兄ちゃんだから……」
狙ってはいないと思われるがつぐみの上目遣いがイヴと氷瀧の心に突き刺さった。
((か、可愛い!!))
「大丈夫ですよつぐみさん♪氷瀧さんの妹さんはつぐみさんしかいません!相思相愛です!」
「使い方が違うからー!!///」
つぐみは顔を真っ赤にするとイヴの発言を否定した。
「それではご挨拶も済みましたのでこれからモデルのお仕事に行ってきますね♪」
「うん♪お兄ちゃん、イヴちゃんを送ってくるね?」
「おう、帰り気を付けてな」
「うん♪行ってきます!」
「お菓子ありがとうございました!失礼します!」
イヴとつぐみは氷瀧を残し羽沢珈琲店をあとにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
二人が帰った後も学校帰りの学生を中心に羽沢珈琲は賑わっている。
その中に常連客である、松原花音と白鷺千聖は店を訪れていた。
「つぐみちゃんとイヴちゃん今日はいないみたいだね?代わりに新しい店員さん?がいるみたいだね?」
「そうねぇ……男の店員さんって少し苦手なのよね」
「ご、ゴメンね千聖ちゃん。私がケーキが食べたいなんて言ったから」
「いいえ、ちょうど私も花音とお茶したかったから」
「千聖ちゃん……。うん♪早く注文しよう♪」
花音は嬉しそうに千聖に微笑み、カウンターにいる氷瀧を呼んだ。
「いらっしゃいませ、ご注文を承ります」
「季節のフルーツタルトと紅茶のアールグレイを」
「わ、私はイチゴショートケーキと飲み物は、お、同じで!」
氷瀧は一瞬躊躇した。
その様子に花音が氷瀧に声を掛けた。
「て、店員さん?」
「スミマセン、少しだけオススメをお伝えしてもよろしいですか?」
「オススメですか?」
「はい♪お客様がご注文されたケーキにはそれぞれ最高のマリアージュがございます」
「マリアージュ?」
「スミマセン、マリアージュとはフランス語で結婚を意味し、紅茶などの飲み物では良い相性という意味で使われます」
「へぇ、紅茶にお詳しいんですか?」
「いえ、スイーツに命を懸けているだけです」
「ふふ、変わった事を仰るんですね。それじゃあ、オススメをご教授いただいてもいいですか?」
「承りました。まずイチゴショートケーキには甘い香りでコクのあるアッサムがオススメです。バニラエッセンスの香りと相性がいいので、バニラエッセンスを使ったケーキやカスタードクリームを使ったお菓子によく合います」
「な、なるほど……」
「私のフルーツタルトには何が合うのかしら?」
「お客様のフルーツタルトにはダージリンが良いです。ダージリンは細かい種類がありまして、当店に今置いてある品種はダージリンセカンドフラッシュしかございませんが、そちらはフルーツタルトとの相性が抜群です。マスカットのようなフルーティーな香りでスッキリとした渋みが強いのが特徴となっております」
「紅茶のソムリエさんなんですか?」
「いえ、紅茶コーディネーターの資格を取ろうとしている所ですがまだ資格を授与されておりませんので今は少し詳しい店員さんです♪」
氷瀧が優しく微笑むと千聖はその柔らかい笑顔に少しだけ好意を抱いた。
「それじゃあ、オススメの紅茶をいただこうかしら」
「私もオススメの紅茶でお願いします♪」
「はい♪かしこまりました」
氷瀧は注文を受けると店内の奥に消えて行った。
「優しい人だったね?」
「そうね。見た目で判断した自分が少しだけ恥ずかしいわ」
「「ふふふ♪」」
花音と千聖は向き合って微笑み合った。
しばらくしてから氷瀧が注文されたメニューと共に二人の元へ戻ってきた。
「お待たせ致しました。こちらイチゴショートケーキとアッサムティー、こちらが季節のフルーツタルトとダージリンになります。ごゆっくりどうぞ」
氷瀧は頭を下げるとそのままカウンターに戻って行った。
その動作を千聖は無意識に目で追っていた。
「千聖ちゃん?」
「え?えぇ!!早く食べましょ?」
「うん♪…………うーん、美味しい♪」
「ふふ♪」
頬っぺたが落ちるのを支えるポーズを取った花音に思わず千聖が微笑んだ。
「あの…………白鷺千聖さんですよね?」
千聖に見知らぬ男が声を掛けた。
「は、はい……そうですけど」
「一緒に写真いいですか?」
「スミマセン、今はプライベートですので」
「そんなつれない事言わないでさー」
「と、友達もいますので」
「じゃあ、友達も一緒にさ?良く見たら友達も可愛いじゃん?」
「ふぇぇ……」
(花音が困ってる……。キッパリ断らなくちゃ!!)
「失礼ですが、貴方の行為は迷惑です!今はプライベートですので、貴方のご要望にはお答えしません!」
千聖の声に周囲の視線が集まる。
しかし男は逆上しているようだった。
「は?俺はただ写真を頼んだだけなのに、何でそこまで言われなきゃならないんだ?お前ちょっと調子にのってないか?」
男の声色の変化に千聖は多少の恐怖心を抱いた。
それ以上に花音は恐怖心を覚え、震えてその場に凍てついていた。
「そもそも色んな所で写真なんて撮ってんだろ!?俺とは撮れないってのか!?えぇ!?」
男が声を上げる。
千聖と花音の瞳には恐怖で薄ら涙が浮かんでいる。
「お客様、失礼ですがこちらのお客様達が困っておりますのでそこまでにしていただいて構いませんか?」
たまたまケーキを運んでいた氷瀧が逆上する男に声を掛けた。
「お前には関係無いだろ!!」
「いえ、美味しいスイーツと素晴らしい空間を提供するのが私の務めですから。今のお客様の行動はその信念に反しておりますので仲裁に入らせていただきます」
「俺は客だぞ!?黙ってろ!!」
「他のお客様のご迷惑になりますので。それに……。お客様、女性へのアプローチがなっておりませんね。正直、カッコ悪いですよ?今のお客様は女の子へのアプローチに失敗したから逆上して誤魔化そうとしているただの恥ずかしい男です」
「ぐっ…………」
『パンッ!!』
ぐうの音も出ない程論破された男は氷瀧の頬を叩いた。
勢いのあまり持っていたケーキのお皿が落下して割れ、その上に氷瀧は倒れ頬の下を切った。
切った箇所から出血し、店内には軽い悲鳴が沸いた。
「て、店員さん!!」
花音と千聖は慌てて氷瀧に駆け寄る。
しばらくしてから氷瀧が体を起こすと出血を確認した千聖は止血するように促すが、氷瀧はそれを制し立ち上がった。
その瞳には怒気が湧き血走っていた。
「パティシエはケーキ作りに命懸けてんだ。そのケーキ達はいわば自分の分身。子どもみたいなもんだ。それを粗末にするような事をしたんだ…………。覚悟はできてんだろうな?」
殺気にも似た氷瀧の怒気に臆した男は荷物を纏めると慌てて店を出て行った。
氷瀧はキッチンから塩を持ってくると店先に撒いた。
「二度と来るんじゃねぇ!!」
塩を撒き終えた氷瀧は店の中に入るとその場に座り込んだ。
「大丈夫ですか!?」
「あ、はい。ただ腰が抜けちゃって……。アハハ、怖かった……」
氷瀧は元々怖い物が苦手なので自分でも良く立ち向かったなと改めて振り返っていた。
そんな氷瀧の頬に千聖は手を当てる。
「へ?な、何を?」
「動かないで!!」
段々と近づいて来る千聖に少しずつ氷瀧は顔を赤らめた。
「これでよし♪」
氷瀧の頬には絆創膏が貼られていた。
「ゴメンなさい。私のせいでご迷惑をおかけして」
「いえ、お客様にケガが無くて良かったです」
「千聖……」
「ん?」
「私の名前は白鷺千聖といいます」
「そうですか……」
「…………え?あの、私の事知らないんですか?」
「え?白鷺千聖様ですよね?」
「「え?」」
「もしかして俺と面識ありましたか!?」
「あ、いえ初対面です……」
(私、芸能人だから知られてると思い込むなんてさっきの男性が言う通り少し調子に乗ってたのかもしれないわね)
「あ、そうだ」
氷瀧は千聖の頭に手を置いた。
初めての行為に千聖は驚きを隠せなかった。
「な、何を!?」
「良く友達を庇ったな。怖かっただろうに……。偉かったぞ」
氷瀧は優しく微笑むと千聖は顔を真っ赤にしうつむきながらも氷瀧の行為を受け入れた。
「千聖……」
「???」
「頑張ったご褒美に千聖って呼んでください」
「千聖ちゃん?」
「呼び捨てでいいです。あと敬語もいりません」
「…………良く頑張ったな千聖」
千聖は更に顔を赤らめた。
「名前……」
「ん?」
「店員さんの名前を教えてください。私だけ名前で呼ばれるのは不公平ですから」
千聖は氷瀧と視線は合わせずに見返りを要求した。
「ふふ……アハハ!」
千聖が視線を上げると氷瀧の笑顔が飛び込んできた。
そして二人の視線が交わる。
「俺は氷瀧」
「氷瀧さん?」
「そう。羽沢氷瀧っていうんだこれからよろしくな千聖」
「"羽沢"ってまさか!?」
「え?この店の息子だけど?」
「もしかしてつぐみさんのお兄さん?」
「そーゆーこと。妹と知り合いなんだ?以後お見知りおきを」
氷瀧は立ち上がると千聖の頭をポンポンとした。
「絆創膏ありがとね」
氷瀧は店の奥へと姿を消した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌日、Pastel✽Palettes(以後パスパレ)の練習中にイヴは氷瀧から貰ったチョコレートとクッキーをメンバーに配っていた。
「うーん♪美味しいよこのクッキー!!」
「確かにるん♪と来るね♪」
「これはイヴちゃんが作ったのかしら?」
「いえ、これはつぐみさんのお兄さんからいただいたものです」
「ゴフッ!!」
「ち、千聖ちゃん!?大丈夫!?」
「え、えぇ大丈夫よ?」
千聖は氷瀧の名前が不意に出てきた事でむせた上に顔を赤くしてしまった。
「つぐちゃんのお兄ちゃん?つぐちゃんお兄ちゃんいるんだ?」
「はい♪これは初めましての挨拶代わりとしていただきました。一日一善です!!」
「イヴさん、言葉の使い方間違ってますよー」
「これがあの人の作った物……」
千聖は再びクッキーを口にする。
その優しい味わいに彼を思いだし、再び顔を赤くした。
「ふーん、そういう事か!ピカッと来た!!」
その千聖の仕草を見た日菜は何かに気がついた様子であった。
いかがでしょうか?
正直、イヴちゃんの出し方が一番迷いましたがこれから氷瀧と仲良くやっていけるといいですね(^^)
そしてかのちさを追加しました!!
これで常連客はほぼ全員ですかね?
まぁ、他のバンドリメンバーも出して行きますが今出てるメンバー主体でストーリーが進んで行くと思っていただけると幸いです。
ではこの辺で失礼します。
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それではまた次回!ほなっ!(^^)ノシ