ベストプレイス   作:自由人❀

11 / 36
前回の続きです。それではどぞ。


意外と悪くない人

 あの後比企谷くんと別れて私はカバンを取りに教室に戻った。私も比企谷くんに話をしたいと思って奉仕部の部室行こうとしてたんだけど、特別棟にあるのは知っていても具体的な位置は知らなかった。この辺りだろう、とフラフラ探していたら偶然比企谷くんと会ったわけ。

 しかしいろいろ恥ずかしいこと言った気がする。いや、あの言葉たちは本心だ。彼は傷つける必要なんてないんだから。でもやっぱ恥ずかしい……慣れないことはしない方がいいなってちょっと後悔……

 あれだけ収束させると言ったけど実はこれといった策はあるわけではない。正直上手く収束させることができるかもわからない。でも……

 ───どうにかして解決するが私だもん。

 

 

 

 何か策はないかなと、考えていたら教室に着いた。件のキーパーソンが居た。1人で。ちょうど良すぎんだよ神様よ。感謝してるぜ! 

 この時間は浪費に出来ないと思った私は……

「……えっと相模さんだよね」

「……なに? ウチに用があるの?」

「用というか……もう核心に触れるね」

 まずは件の屋上での出来事は私が聞いた通りなのかの確認してみた。

「……屋上の出来事はあってる。あいつはウチを泣かせた最低なやつだよ……って一時期までは思っていた」

「え?」

「私を泣かせた最低なやつ」という供述は分かるけど「一時期までは」に引っかかった。

「一時期までは……というと?」

「なんでそんなこと聞くワケ? ……まあいっか。それでなんかあるってわけでもないし」

「そういえばよくいるもう2人友達いなかったっけ?」

「え? あぁゆっこと遥ね……文化祭の少しあとから疎遠になったよ。体育祭を境に関わり持たなくなった」

「……」

 相模さんは私と入れ替わりで2人の友達との関わりを失って、私がちょうど比企谷くんと関わり始めた……ってわけか……少し心痛むなぁ……

「それで話を戻すけど、その一時期まではってどういう事?」

「え、あぁそれは……って恥ずかしいな……」

「いいじゃんぼっち同士だし」

「え? あんたヒキタニと付き合ってんじゃないの?」

「な……付き合ってないよ! てか噂どんだけ広まってんだよちきしょうが!」

「な……! ちょっと落ち着きなって」

 ちょっと一瞬冷静さが欠けた私、若宮楓奏はどうにか落ち着きました。ちなみにその一時期までは、という話は簡単に言うとこうだった。

 文化祭での出来事あった時、相模さんは単純にその頃は比企谷くんのことが嫌いになっていた。そして例の良くない噂を流したのは相模さんだった。が、ゆっこさんと遥さんと疎遠になり始めたころで相模さんは自分で気づいた。実は比企谷くんに助けられてたんじゃないかって気づいた。それから彼に対しては特にといった感情を持っていないけど、せめてありがとうは言いたいみたい。

「そっか……でもその良くない噂とやらを流してしまったからより1層話にくくなったんだね」

「そう……だね。それについても謝りたいしね……よく考えたら仕事投げ出したウチが悪いのによくあんなことしたよ、当時のウチは」

「じゃあ、私が場をセッティングしてあげよっか?」

「え?」

「私、比企谷くんの連絡先持ってるから、うまいこと言ってセッティングするよ!」

「……やっぱ付き合ってんじゃん」

「な……! 小声でも聞こえたからね! 付き合ってないってば……! と、とにかく比企谷くんに連絡して場を用意しておくからね? いい?」

「え、う、うん」

 私と相模さんも連絡先を交換して気づいたらそろそろ下校時間になっていた。そろそろ相模さんと別れたり、共に下校しないと比企谷くんたちと鉢合わせする可能性あるからね。しかも部活帰りだから由比ヶ浜さんや雪ノ下さんがいるかもしれないからさらにややこしいことになるの目に見えていた。

「ね、これからサイゼ行かない?」

「は? なんで?」

「まだ聞きたいことがあってね。でもこのままここにいても見回りの先生に帰れって促されるし、最終下校時間だから比企谷くんたちと鉢合わせするかもしれないじゃない? だから早いところ学校を出た方がいいと思って」

「そっか、それならいいよ」

 

 

 

 ☆

 

 

 

 相模さんと学校を出て駅に向かった。相模さんの家は京葉線で稲毛海岸駅からひと駅隣、検見川浜駅が最寄りだった。

 北口を出てすぐ右のロータリーを沿って歩いたあと左へ曲がってまっすぐ行くと交差点があって、横断歩道渡って目の前に小さめなショッピングモールがある。その中にサイゼがある、と相模さんに案内してもらった。

 サイゼの席に着いたら店員さんに私はミラノ風ドリアとドリンクバーを注文した。相模さんはえ? もうそこで注文する? みたいな目線送られつつもティラミスとドリンクバーを注文した。

 え、だってメニュー見なくてもミラドリとドリンクバーって決まってるし、1回席ついてからチャイム鳴らすのめんどいじゃん? 

「で、まだウチに聞きたいことって何?」

「私が比企谷くんと付き合っているやらの噂だよ」

「あぁアレね。そういえばよく分からないぼっちってあんただったんだね」

「ぐ……確かにF組から見たら私はぼっちだけどほかのクラスに何人か友達はいるよ」

「そっ。でもウチも噂を聞いただけで特に何も知らないよ」

「そっかー……」

「でもさっき学校で話したウチが比企谷に対して良くない噂を流した時って、その噂はゆっこと遥が広めたから、その2人が……ってことも有り得るかもしれない」

「だからってその2人が今その噂を流すことによってなんのメリットが生まれるのかは分からないけどね」

 なるほどね。相模さんも知らない感じか。もしそのゆっこさんと遥さんがまだ相模さんと繋がりがあるなら「比企谷をどん底に落とそうぜ」という考えになるのはまだ分かる。なぜならまだ友達である相模さんを泣かせた比企谷くんから守ろうっていう意思を持つと思うから。

 でもそのゆっこさんと遥さんとの関わりはもう既に途絶えたわけだからその2人に確かに何ひとつメリットも存在しない。

 これは捜索が難航するパターンですか……

「お待たせしました。ミラノ風ドリアとティラミスのご注文でお間違えないでしょうか?」

「大丈夫です。ありがとうございます」

「ありがとうございます。お熱いのでお気をつけて召し上がってください」

 

 

 

 ☆

 

 

 

 それから注文したもの食べて私と相模さんで2人で考えてみたけど全然見当がつかなかった。

 いろいろ話を聞かせたお礼に私が会計をした。相模さんは割り勘でいいよって言ってたけどサイゼ行こうと言ったのは私だからと言ったら納得してくれた。

「えっと若宮さん? ごちそうさまでした」

「ううん。私の話に付き合ってくれてありがとう。そしていろいろ話してくれてありがとね」

「役に立てなくてごめんね。ウチも少し探ってみるからなにかあれば連絡するよ」

「ありがとう相模さん。こっちもまた連絡するね!」

「うん。またね」

 相模さんと別れたあと京楓にメールして、帰路についた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 俺は飯食ってシャワー浴びて、ベッドに身体を預けながら考えてた。噂を収束させる……か。一体どうやって収束させるのだろうか。あいつのことだから流石に手荒い真似はしないだろう。信用するべきなのは分かっている。が、できることなら噂は早く収束させたいのは俺も同じだ。奉仕部に相談してみるか? いやそれだとあいつから見て信用されてないと思うかもしれない。そもそも待ってろと言われたしな……

 そんな時に着信が来た。相手は若宮だった。

『もしもし? ごめんね夜遅く』

「おう。大丈夫だ」

『ちょっとお願いなんだけど、明日のお昼休みに会って欲しい人がいるの』

「は? 誰だよ」

『それは内緒』

「なんだそりゃ。つーかどこで会うんだよ」

『いつもの場所で大丈夫だよ。それと明日も私はちょっと友達のところ行くからよろしくね』

「は? お前いないのかよ」

『うん。そこに行くように伝えるからお願いね?』

「はぁ……わーったよ」

『うん! ありがと比企谷くん! それじゃおやすみなさい!』

『ん。おやすみ』

 会って欲しい人って誰だよ……自慢じゃないがそんなに人脈広くねぇぞ? いくら頭捻っても見当がつかない。まぁいいやとりあえず寝よう。




終わる終わるまで詐欺が続いてごめんなさい…3分割になりました。
続きちゃっちゃと書くのでよろしくです。それでは。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。