体育祭の回同様原作に沿いつつ少し楓奏たんの絡みを混ぜるように書こうと思っています。少しとりあえず書いて行きますのでよろしくお願いします。それではどぞ。※後半少々改変あり
あれから一週間ほど経ち今日は平和な木曜日です。件のドン☆パチの翌日、クラスでは「若宮さんって岩槻さんとどういう繋がりなの!?」と驚かれ、クラスメイトが聞きにくる始末。あら私有名人なのかしらと少し困惑していたどうも若宮楓奏です。
そして修学旅行の時期が近づいできて、実は修学旅行が少し楽しみだなと密かに思っていたりする。
……文化祭あたりのころの私だったらこんなことは思わなかっただろーな……その頃は比企谷くんとの繋がりなかったし、友達もほかのクラスだし、京都行ってはいおしまいってなりそう。でも今は比企谷くんとは友達だし少しは楽しめそう♪
え? 友達だよね? 一方的じゃないよね……でも比企谷くんなら否定してそう。だってめっちゃ捻くれてるもん。
ちなみに今はかの情報屋な2人とサイゼで放課後のお茶会をしている。あ、もちろんミラノ風ドリア食べるよ。
「こうして外で飯食うの久しぶりじゃね?」
「だねー」
「ちょっと言葉遣い汚いわよ」
「別にいいじゃーん」とぶーぶー言っている夏鈴。「女の子なんだから多少は気をつけないと」と諭す美笹。やっぱこの2人の会話聞いてるだけで落ち着く。なんというか実家のような安心感。違う? うん違うね。
「そういえば楓奏ちゃんのとこ修学旅行で行くとことか決まってる?」
「うん。大方決まってるよ」
「お寺とかあんま興味ないんだよねー、あ、清水寺は見たいかも」
「それだとYouは何しに京都へってなっちゃうわよ……」
「食べ歩きしたい!」
「えぇ……」
「たはは……2人はやっぱり有名どころな清水寺や金閣寺とか行くの?」
「そうだねーあと二条城とか北野天満宮とか」
「そっかー……向こうで会うのは難しいそうだね」
「そだねー……クラス違うし難しいよね。一緒に京都回れたらいいんだけどねー……」
◇
はぁー……修学旅行でだるい依頼が流れ込むとはなー……
「俺、修学旅行で海老名さんに告白するから、振られないように手伝ってくれ!」と戸部の依頼。
「私は今のグループのままがいい。変わりたくない」と海老名さんの依頼。
2人の依頼を簡単にまとめるとこうだ。海老名の言う「今のグループのままがいい」というのは遠回しに戸部の告白を阻止してほしいという意味だ。
誰とも付き合う気は無い海老名さんに戸部が告白したら、このグループ内で気まずくなり最終的には間違いなく関係にヒビ割れが生じる。
そして戸部の依頼は言葉通りの依頼。振られないようにって無理難題なんだよなぁ……てかそもそも振られるか否かは相手次第じゃん。告白のサポートなら分かるが振られないようにというのは無理です責任取れませんお引き取り願います。
「はぁー……どうすんだよこれ……」
部屋に響く虚しい独り言。ダメだ。ぜんぜんいい策がねぇ。八方塞がりとはまさにこういうこと。
告白したい戸部の依頼、それを阻止してほしい海老名さんの依頼。この矛盾してる依頼をどう片付けるか……
☆
時は少し流れ、今日は修学旅行初日である。そんな中満員御礼の総武線に揺られ東京駅へ向かう。デカい荷物持ってるからものすごく申し訳ない。
そもそもJRさんが大都会千葉駅を新幹線の始発駅にしないのが悪い。よって俺は悪くない。違うか? うん違うな。
クレーマーもビックリな暴論を考えていたら近くに見覚えのあるアホ毛がいた。まあ電車内はなるべく私語を慎みましょうと習ったので話しかけな……いでおこうと思ったら向こうも気づいた模様。アホ毛はやっぱり通じ合う何かがある。
「おはよ比企谷くん! 偶然だね」
「お、おうおはよさん」
「やっぱ総武線すごく混むねー……」
「あぁ、全くだ。ま、朝の東京方面だから仕方ない」
どれぐらい混んでるかは想像はついていたがやっぱり辛いものは辛い。次の駅で降りて家へ戻りたいまである。ちなみに隣の線路を悠々と走っている快速は文字通り1度決まった体勢はもう変えられないレベルの混雑だ。
「東京駅行くなら快速乗った方がいいけど、乗り換えるのも無理そうだよね……」
「デカい荷物あるから乗り換えは難しいな……時間はあるし秋葉原で乗り換えるか」
「そうだね……うわっ!」
「急停車します。お掴まりください」と機械的に放送が繰り返し流れていると、ガクンと電車は止まった。
『ただいま西船橋駅にて非常停止ボタン押されたため安全確認を行っております。運転再開まで今しばらくお待ちください』
……マジか……この状態でしばらく待つのはちょっとキツいな……
「「……」」
「えっと、ごめんね比企谷くん……」
「あ、あぁ、まぁ仕方ねぇよ……」
急停車したはずみで俺と若宮が向かい合ってくっついてる状態だ。これは非常に心臓によろしくない。なんなら俺の心臓も非常停止しそう。あ、停止したら死んじゃう。
「な、何があったんだろうね……」
「線路に誰か入ったとかじゃねーの……知らんけど」
これ以降、どちらも言葉を発さなかった。ちなみに10分ほどして運転再開をした。少しというかなり気まずくなり、乗り換える予定の秋葉原までお互い無言を貫いていた。
☆
新幹線乗ってからしばらく経った頃。都心からだいぶ離れ、車窓からは一軒家や畑などが多く見えてきた。席は車両のいちばん後ろで、目の前に比企谷くんその隣に戸塚くんがいる。戸塚くんは窓の方に寄りかかって寝ている。
戸塚くんが寝てるから小さめな声で比企谷くんと話していたら、「いやー難しいもんだねー……」と由比ヶ浜さんは嘆きながら空いてる席に座った。
「あっちでなんかあったのか?」
「やっほー由比ヶ浜さん」
「やっはろーかなかな……それがさー……戸部っちは川崎さんにずっとビビってるから、もうぜんぜん会話弾まない感じ……。姫菜は姫菜でいつもより凄いんだけど」
「戸部も災難だな……」
「二人きりになれる時間があればいいけど……」
「でもあの二人だけだとなんもならんぞ」
「それってもしかして奉仕部の依頼なの?」
「あぁ、まあ守秘義務てのがあるから詳細は話せんがな」
「あ……戸部くんの……」
「ん?」
「あ、彩ちゃん聞こえちゃった……?」
そうこう話しているうちに戸塚くん目が覚めた。夏休みにあったボランティア活動で戸部くんの話を聞いたとかなんとか言っていた。どうやら複雑そうだな……首は突っ込まないほうがいいのかな?
☆
京都。中三の修学旅行以来だから2年ぶりぐらいに訪れたということだな。京都とは寺社仏閣が多く点在しており、歴史に大変縁のある地である。清水寺から初め銀閣寺、金閣寺、二条城など両手の指で数えられないぐらい寺や神社がある。俺は今その有名な清水寺の境内にいる。
「ヒッキー、ちょっといい?」
「後でな」
「仕事忘れたの? もう戸部っちと姫菜呼んあるから早く早く!」
俺は由比ヶ浜に引っ張られ随求堂の胎内めぐりに行ってそのあと地主神社へ行った。ちなみに地主神社は恋愛成就で有名な神社だそうだ。
「私は凶だー」
「いやでもそれあれでしょー、こっから良くなるしかない的にいいことでしょー」
「……おい、結ぶなら上の方がご利益あるらしいぞ」
そう言ったら戸部は俺にサムズアップして海老名さんのおみくじを上の方に結んだ。ご利益あるといいですね。
「特に俺たちがなんかしなくても結構頑張ってんぞ」
「この調子で上手く行ってくれるといいね」
「あぁ」
☆
ホテルに着き、夕食と風呂を済ませロビーにある自販機の横のソファーで一息ついてた。マッ缶がねぇ……無いと分かっていたら何本か持ってくれば良かったな……ん? あのアホ毛は……
売店で買い物か……その人は少し店内を見てすぐ出て行った直後俺のことに気づいた。
「あ、比企谷くんやっほー」
「おう」
「比企谷くんは何してるのー?」
「あぁちょっと考え事をな」
「……もしかして奉仕部の事?」
「ま、そんなところだ」
「内容は分からないけどあんまり根を詰めちゃダメだよ?」
「そうだな……如何せん複雑なもんだから考えどころだ」
偶然若宮とロビーで会って少し話をしていたところにサングラスかけた不審な人が。いやこの人平塚先生じゃね? 隠せてないですよ先生?
◇
ロビーで偶然会った比企谷くんと話していたら平塚先生に遭遇した。サングラスで変装したつもりでしょうけどぜんぜん隠せてないですよ……
そのあと平塚先生と比企谷くんと私3人でラーメン屋へ行ってきた。しかしこの時間帯に食べるラーメンってほんと身体に毒って感じがたまらないのよねー! え? カロリー? 大丈夫なのって? 大丈夫大丈夫。自転車乗りゃこんなカロリー一瞬で消えるよ。
「いやー美味かったなぁ!」
「美味しかったですー!」
「若宮ってラーメン食べれんだな」
「うん! こう見えてたまに1人でラーメン屋行くよ?」
「へぇー……そのなんだ……カロリーとか気にしないのか?」
「あんまり気にしないなー。ほらカロリーなんか気にしてたら美味しい物食べれないじゃない?」
「確かにな。しかし先生、なぜ俺らが同伴してるんですかね……」
「たしかに。教師がそんなことしていいんですか?」
「いいわけないだろ。だからこうしてラーメンで口止め料払った」
「その行いはさらに教師らしからぬのでは……」
ホテルの数十メートル手前のコンビニでタクシーから降りた。平塚先生はコンビニで晩酌用の酒などを買うため、俺と若宮は先に歩いてホテルに向かった。
「話戻るけど、その奉仕部のお仕事は解決出来そうなの?」
「わかんねぇ……出来ると出来ないで半々だな。まぁ最悪最終手段を取るしかないな」
「最終手段って……?」
「元々は2つの依頼が絡んでいて、その2つを同時に解決……もとい解消せねばならん。その解消できそうな方法は正直この方法しかないと思っている」
「そっか……私は応援しか出来ないけど、頑張ってね比企谷くん!」
「お、おう」
正直この方法は若宮にとっては決していい方法ではないと思っている。一応言おうか言わまいか迷ったが今は言わないでおいた。なぜなら若宮なら止めに来そうだからだ。俺はあの屋上の言葉は鮮明に覚えている。もちろんその約束は守りたい。だが、その約束を破ってしいまそうだ。遅くとも明日実行に移す前に話した方がいいのか……
と、俺は頭の中で迷いながら眠りについた。
なんとか書きました。次は件の2日目です。すぐ書くのでお待ちください。