ベストプレイス   作:自由人❀

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続きです。それではどぞ。


進まない会議 その1

 次の日の放課後、朝の教室で部活一緒に行こうと由比ヶ浜に言われて現在並んで部室へ向かっている。

 由比ヶ浜は若干俯き気味で俺の若干斜め後ろにいる。どちらも無言である。どうした?我が部のコミュニケーションモンスター。由比ヶ浜はこういう時こそ何かしら会話をすると思うのですが……。しゃーない。

「そういや昼ってどうしてんだ?」

「へ?今までと同じ……」

「そうか」

「あのさ……なんでもない」

「そうか」

 会話終了。実に短い。なんなら俺「そうか」と相槌しかしていない。

 その後俺も由比ヶ浜もカツカツと足音だけ響かせ、部室の前に着いた。左前にいる由比ヶ浜は立ち止まった。え?入らないの?廊下割と冷えるから入りません? 

「はぁ……ふー……」と由比ヶ浜は深呼吸してからいつもの挨拶をした。いつも挨拶するとき1拍挟むのか? 

「あたしとヒッキーが教室で話すの超珍しくない?」

「そう。それは珍しいわね」

「そうでもないよねーヒッキー」

「いやいつも葉山グループにいるだろ。それと正直話すの疲れた」

「疲れたんだ!?」

 相変わらず時々巻き込まれながら由比ヶ浜と雪ノ下はたわいのない話をしている。

 いつまでこれが続くのだろう。いつまでこれで続けていけるのだろう。これを続けなくなるとどうなるだろう。朝の教室でぼうっと葉山たちを見ていたのはきっと、教えてくれる気がしたからだ。剥がれ落ちたものはどう取り繕えばいいのかを。

 そう思っていたら扉からノックする音が響いた。どんな来客だろうか。

「どうぞ」

 雪ノ下の許可と共に勢いよく扉開けられた。

「せんぱーいヤバいですー……ヤバいですヤバいですー……ほんとにヤバいんですー」

 奉仕部一同困惑。とにかくあざとい声で「ヤバいです」と連呼してくる来客は一色だった。さっそく生徒会でトラブルとか勘弁してくれ。

 さっきからヤバいとしか言っていない一色の依頼は、生徒会のクリスマスイベントを手伝ってほしいとのこと。しかも海浜総合とかいう他校と合同でやるらしい。

「その企画、誰が言い出したんだ?」

「向こうからですよーわたしから言うわけないじゃないですかー」

「だろうな……」

「で、普通そんなの断るに決まってるじゃないですか。わたしもクリスマスに予定ありますし」

 断るに決まってんのかよ……。ほら由比ヶ浜もツッコミ入れちゃったじゃねぇか。しかも理由が私的すぎるだろ。

「でも平塚先生がやれって言うから……それで始めたものの上手くいかないというか……」

「他校とじゃそんなもんだろ。気にすんなよ。ていうかこっちに来る前に城廻先輩に相談しろよ」

「えっ、えっとな、なんと言うか……受験生に迷惑かけるわけにはいかないじゃないですかー……」

 いや、めぐり先輩が苦手なだけだろお前。目が泳いてんぞ。

 先輩たちしか頼れないつってもな……まあそこんところ部長の雪ノ下がどういう最終判断を下すかなんだよなぁ。

 だがなぜか雪ノ下が完全に上の空である。由比ヶ浜も困惑して俺にアイコンタクト送ってきた。いや、俺にもわからんわ。

 数秒後、ハッとした表情で雪ノ下が意識を取り戻した。こりゃ話聞いてるかどうかすら危ういぞ。

「そうね……だいたいの状況は分かったけれど……どうかしら?」

「いいじゃん!やろうよ!なんか相談来るのって久しぶりじゃん? ここ最近こういうのなかったし……だから前みたいにちょっと頑張ってもいいかなーって……」

「そう……ならそれでいいと思うわ」

「……いや、やめといた方がいいんじゃねぇの。これは生徒会の問題だ。それに一色が会長になっていきなり人を頼りにすんのはよくねぇだろ」

 俺は立ち上がってさらに横を向いて廊下に出ろという意思表示を出した。

「えぇ!?なんですかそれ……」

 うちは何でも屋じゃねぇんだよ。あくまで手助けするだけだ。押すフリをしながら一色を廊下に出そうとする。

「せんぱいが言うから会長になったんですよ!なんとかして欲しいですー!」

 それを言われると弱る。一色いろはに対して責任を取るのは当然のことだ。

 ……であるなら一色と他にもう1人俺が責任を取るべき相手がいる。

 廊下に出て改めて一色に聞いた。てか寒い。もう12月に入りかなり冷え込む。

「これは部としてではなく、俺が個人的に手伝うってのはダメか?」

「はい? それでもいいですけど……実際先輩1人の方が扱いやす……優しいというか頼りになるというか」

 いやもう言い直さなくていいからね。てか葉山はどうした? それこそ葉山に頼って上手くやるもんじゃねぇの?と思った疑問をそのまま一色にぶつけた。

「葉山先輩も部活で大変ですし、あまり迷惑かけたくないというか……」

 ほーん。迷惑かけたくないとか殊勝なこと考えてるあたり、一色もちゃんと恋する乙女やってんだな。思わず感心してしまう。

「それにガチの厄介事とか重すぎますし、女の子はちょっと出来ないってぐらいが可愛いんですよー」

 ねぇ、やっぱ俺の感心返して。てかそもそも俺なら迷惑かけていいのかよ。まぁいいけどよ。

 しかしほんとどこまでも計算ずくめのあざとい後輩である。

「じゃあこの後校門で待ち合わせしましょう」

「え?今日からやんのかよ」

「あんまり時間ないんです……大丈夫ですか?」

「分かった。ただし集合場所は変えてくれ。一緒に帰ったら友達に噂されると恥ずかしいし」

「は?」

 んん世代が違うから通じないかー。しかも『先輩友達いないですかー』みたいな返しもなくマジ真顔。

「……わかりました。コミュニティーセンターって分かります? そこ集合で」

「分かった。準備したら行く」

 

 

 ☆

 

 

 場所は変わってコミュニティーセンター前。言われた通り来たものの一色はまだ来ていない模様。時間ないと言ったのはどこのどいつですかねぇ……

 横断歩道の傍にあるコンビニから人が出るところをチラッと見えた。というか袋を抱えた一色だった。こちらに気付いたのか、少し駆け足で俺の前にきた。

「お待たせしてすみませーん。買い物に行ってました」

 反射的に一色が持っている袋を取ってコミュニティーセンターに入ろうとしたが一色は「は?」みたいな顔をしてきた。

「なんだよその腹立つ顔……。今の袋重いから持ってくれアピールじゃないの?」

「あ、いえ今のは素だったんですけど……は!もしかして今口説こうとしていましたかごめんなさい一瞬トキメキましたが冷静に考えるとやっぱり無理ですごめんなさい」

 俺は何度こいつに振られればいいのだろうか……。そもそも告白すらしてないんですけどね。もうめんどくさいから袋をかっさらった。

「あ……ありがとうございます……」

「別に。仕事の範疇だよ」

「そういうことなら、今度もお願いしますね♪」

 コミュニティーセンター内にある少し広い会議室に入ったら見慣れない制服の方々がいた。こいつらが合同でやろうとしている海浜総合のメンツか。

 目を少し左にやると俯き気味のうちの高校の生徒会メンバーがいた。あまり上手くやれているようには見えないな……。

 向こうの生徒会長らしき人物が俺に気づいたのかこちらに向かって歩いてきた。

「僕は玉縄、海浜総合高校の生徒会長なんだ。よろしく」

「どうも」

「良かったよーフレッシュでルーキーな生徒会長同士企画できて。お互いリスペクトできるパートナーシップを築いてシナジー効果を生めないかなって思っててさ」

 のっけからいいパンチ打ってくんなこいつ。所謂意識高い系ってやつか。

「あっれー? 比企谷じゃん?」

「……おう?」

 向こうの高校の女子生徒が俺を呼んだ。その女子生徒は顔見知りである。名前は折本かおり。中学が同じでかつてのトラウマに関わりがある女子だ。てかこいつ海浜総合だったのね。

「比企谷って生徒会なのー?」

「いや違うが」

「じゃあ私と同じだー。私も友達に誘われて来たんだけどさー……あれ? 比企谷一人?」

「まぁだいたいいつもな」

「……ぷっなにそれマジウケる!」

 いやウケねぇから。俺は反射的に脳内ツッコミ入れた。

「せんぱいお知り合いいたんですね」

 その言い方だとまるでお知り合いなんて存在したんですかに聞こえるからやめようね。

「まあ中学の同級生だ」

「へぇー……あ、会議始まるみたいですよ」

 一色はそう言って俺を引っ張った。やめろ服伸びるだろ。てか席は端がいいんですけど……

 全員席につき、向こうの会長が仕切りはじめる。

「では前回に引き続き、ブレインストーミングから始めようか。議題の内容は

 イベントのコンセプトと内容面のアイディア出しから」

 ブレストね。ブレインストーミングとは実現可能かさておきとにかく意見を出す場だ。さっそく海浜総合側から1人手を挙げる者がいた。

「俺たち高校生の需要を考えるとやっぱり若いマインド的な部分でのイノベーションを起こすべきだと思う」

「そうなると当然俺たちとコミュニティー側のwin-winな関係を前提条件として考えないといけないよね」

「戦略的思考で、コストパフォーマンスを考える必要あるんじゃないかな」

 ……何やってんのこれ?一色は頷いてるけど何言ってんのか分かってんの?

「今これなにやってんの?」

「さぁ?まぁ向こうからいろいろ提案してくれてるんですよ」

「ほーん……」

「みんな。もっと大切なものあるんじゃないかな」

 玉縄が改めて仕切り直した。そうだよな。わけわからんもんな。会議になってるのかどうかすら危ういもんな。

「ロジカルシンキングで論理的に考えるべきだよ」

 いやそれ同じこと言ってんじゃねぇのか?何回考えちゃうんだよ。

「お客様目線でカスタマーサイドに立つというかさ」

 いやだからそれ同じこと言ってんじゃねぇのか。何回客になってんだよ。

「ならアウトソーシングも視野に入れて」

「今のメソッドだとスキーム的に厳しいけどどうする?」

「一旦リスケする可能性もあるよね。もっとバッファー取ってもいいんじゃないかな」

「ああそうだね。全体的よく見たい」

 

 

 ☆

 

 

 外はすっかり暗くなり、会議という何かは一段落ついた。俺はブラックコーヒーを飲みながら今日の会議を思い出していた。うん。なんも決まってない上に何してたのかよく分からなかった。いやボケはじめてないよ?マジで何してんのか分からないんだもん。

「だいたいどんな感じかわかりましたか?」

「いやなんもわかんなかった」

「あぁなんか難しいこと言ってますもんね……けど、すごーい私も頑張らなきゃとか言うと超ウケがいいですよ。あとはメールの相手しとけばおけーみたいな感じです」

「お前いつか刺されるぞ」

「でも先輩も時々ああいう感じですよ?頭良さげというか意識高い系というか」

「一緒にするな。俺は意識高い系じゃない。自意識高い系だ」

「はぁ……よく分からないです。でもやること詰めてきたので取り掛かっちゃいましょう」

「まぁ向こうとそれなりに仲良くやってんだな」

「?……って先輩が教えてくれたんじゃないですかー。教わろとする年下女子は可愛いって」

 そんなこと教えてねぇよ。

 けどまあこれなら俺いなくても大丈夫そうだな。そう告げると一色は少し困った顔になっていた。そんな時玉縄が長机をこんこんと鳴らし一色を呼んだ。

 そことなく嫌な予感がしたが、当たってしまった。

 一色は玉縄から渡された書類の束を持ってこちら側に戻ってきた。

 生徒会が上手く機能しているとは言えなそうだな。お互い遠慮あるんだろうがそれがやり取りを阻害してしまっているようにも見える。

「会長、これでいいかな?」

「あ、確認しておきますね……」

「あと仕事の進め方なんだけどさ……」

「はい」

「……いや、やっぱりいいや」

「……今のは副会長です」

「なかなか大変そうだな……」

「最初はこんなもんですよ。そのうち慣れてくるんじゃないですか」

 ふむ。これは思ったよりも大変なことになっているな。助けを求めてしまうのも頷ける。

 自転車を取りに外に出る。空は晴れていて星は見えるが、12月の夜なのでとてつもなく寒い。とにかく寒いからさっさと自転車に跨り帰路についた。

 普段より遅い帰宅以外は普段通り愛する小町が作った晩飯を食べシャワーを浴びる。小町に「なんかさらに目が腐ってない?」って言われたのはまた別のお話。あんな会議にもなっていない会議もしてりゃ嫌でも目が腐るわ。

 疲れがあったのか割と早い段階ですんなりと眠りについた。

 

 

 ◇

 

 

 おはようございます。若宮楓奏です。

 12月に入り本格的に寒くなってきた。私は目覚ましに起こされ、眠い目をこすりながら身体を起こした。

 本音を言うともっとお布団に包まれたかった。もっと寝たい……

 カーテンを開けると青空が広がっていて、雲が途切れ途切れにあるような感じだった。

 下の階に降りて朝食をとり、制服に着替えた。ちなみに化粧は基本しない。するとしたらせいぜい目のクマが出たらってぐらいかな。

 そもそも朝早く起きてちまちま化粧するのってなんか性に合わないない気がするし、女子高生がバンバン化粧決めても逆になんか大人ぶっているようでなんか嫌だからだ。お化粧はせめて大学生になってからかな……と思っていたりする。

 鏡を見て大丈夫そうだと確認したら鞄を引っ掴み妹の京楓と一緒に「いってきまーす」と言って家を出る。季節問わず、朝はいつもこんな感じだ。

 しっかし寒いなぁ……でもいい……。

 私は冬が好きだ。空気は澄んでいるし、冷気でシャキっと目が覚める感覚が好き。何よりあまり汗かかないのが1番いい。

 しかし隣並んで歩いている京楓がすごく寒がっている。

「うぅ……寒い」

「そう? 私はちょうどいい感じだよ?」

 今日の天気は晴れで、気温は最高気温12℃だ。いい感じの寒さである。

「お姉ちゃん大丈夫そうだよねぇ……」

「私は冬が好きだからね。ずっとこれぐらいがいい」

「それは勘弁だよぉ……私は秋がいい」

 確かに秋はバランスがいいよね。寒くもなく暑くもない季節だし過ごしやすい。寒がっている京楓を見てそう思った。

「じゃお姉ちゃん行ってらっしゃい……」

 めっちゃ寒そうじゃん……風邪引いてないよね? 私は「風邪ひかないでねー」と言って別れたあと駅の方へ歩いていった。

 

 

 ☆

 

 

 時は流れて今は4限目。数学の授業だ。教室は暖房ガンガンなのでめちゃくちゃ眠い。なんとか堪えてるけど……

 教室に限らず電車の中も暖房ガンガンついてるから席に座ると一気に眠気に襲われるよね。現に今日寝過ごすかと思ったもん。蘇我まで連れていかれたらもう開き直って内房線に乗り換えて旅に出るまであるよ。

 なんとか眠らずに授業が終わった。昼休みの時間に入り教室は一気に活気づく。でも私は鞄を持っていつもの場所へ行く。

 確かに寒いけど私は冬が好きだから外でも何ら問題ない。何よりあそこは静かだし落ち着く。しかも冬だからみんな外に出たがらないのでいつもより増して静か。いい場所教えてくれてありがとね。比企谷くん。

 1人でもぐもぐと弁当を食べて、弁当食べ終わるかってところで特徴的なアホ毛がぴょこっと出ている男子が来た。

「寒いのによく来るなお前」

「私は冬が好きだからねー。むしろ気持ちいいよ」

「マジか……さすがに寒いからたまにしかここに来ないわ」

 その男子は私の横で腰をかけマッ缶を嗜んでいた。比企谷くんはやっぱりこの季節はさすがに教室で食べてるのか。時々来ないこともあるし。てか……

「なんか目の濁りが悪化してない?」

「いきなりひでぇなお前……まあ、ここしばらくは放課後依頼をこなさないといけないと思うと絶望に打ちひしがれてるだけだ」

「比企谷くんって何気に律儀だよね……大変な依頼なの?」

 そう言うと比企谷くんは少し苦い顔で考え込んだ。話すか迷っているのかな? 

 考えた末話すみたい。

 どうやら生徒会が海浜総合高校と合同でクリスマスイベントをやるわけだけど、それが上手く行かず依頼として舞い込んだ。そして仕事を処理するには人員が足りてないとのことだった。

「まぁ良ければだが……来るか?」

「うん。行くよ!できることは手伝うよ」

「……助かる。じゃコミュニティーセンターって分かるか? 放課後そこに来てくれ」

「分かった。またメールするよ」

「サンキュな。じゃちょっと生徒会長さんに報告してくるわ」

 比企谷くんはそう言って立ち去って行った。ほんと仕事がやりたくないとか言いながら律儀に仕事をこなそうとするよね……ま、役に立てるか分からないけど比企谷くんがせっかくお願いしてきたんだし頑張りますか! 

 

 

 ☆

 

 

 5限、6限と授業をこなし、今は放課後。私は鞄を引っ掴み下駄箱へ向かった。

 外履きに履き替え、比企谷くんに言われた通りコミュニティーセンターへ向かう。駅の大通りから少し外れたところにあるのでそんなに遠くはない。

 ブラックコーヒーを飲みながら夕焼けの大通りを歩いてく。寒空の下で疲れた身体に暖かいコーヒーが染み渡る。

 どんなことをすればいいだろうと考えながら歩いていたらコミュニティーセンターの前に着いた。ちょうど着いた頃なのか比企谷くんと生徒会長さんらしき人物がいた。

「やっほー比企谷くん。それと生徒会長さんこんにちは」

「……ヘルプとして来てくださった方ですか?」

「あぁ。説明した通りだ」

「初めまして!1年の一色いろはです。よろしくお願いします」

 元気ハツラツと自己紹介をし、丁寧にお辞儀までした生徒会長さん。生徒会長が1年生の後輩ってやっぱり違和感しかない。

「比企谷くんと同じクラスの若宮楓奏です。よろしくね」

「よろしくです、若宮先輩。さっそくですが……色んな意味で覚悟してください」

 え?どゆこと?戦場でも行くの?とりあえず会議をするんだよね……? 

「まあ行けば分かる」

 頭上では?マークを大量生産しているけど行けば分かると言うので2人の後ろについて行った。

 センター内の会議室につき一旦鞄を置く。戦場に駆り出されなくてよかった。

 早速向こうの高校の生徒会長さんが挨拶しに来たので応対した。

 そして時間少し押している様なので早速会議が始まった。

「企画の概要としてまだちょっと固まりきっていないから、昨日のブレストの続きをやっていこう」

 ブレストは確か出来るかどうかは別として意見を出し合う場だよね。もうクリスマスまで3週間ちょっとしかないというのに固まりきっていないって相当ヤバいと思うよ? 

「せっかくだしもっと派手なことをしたいよね」

「それあるー!大きいことというかとりあえずドカーン的な」

「ふっ……確かに小さくまとまり過ぎていたな……」

 え?まとまってた?配られた議事録の紙を見るとロジカルシンキング云々しか書かれてないんだけど……

「何やるのかよく分からないんだけど……」と耳打ちで一色さんに聞いた。

「まあ、具体的には何も決まっていないですけどね」

「ちょっと規模を上げようと思うんだけど、どうかな?」

「あー……そうかもですねー」

 こちら側が了承らしきことを言ったら向こうの生徒会長さんは指パッチンをした。正直ウザいからやめろ。あ、素が出ちゃったてへ。

「……規模を上げるにしても時間と人手が足りないと思うよ?」

「ううんそうじゃない。ブレインストーミングは相手の意見を否定しないんだ。時間的問題と人員的問題で大きく出来ない。じゃあどう対応していくか、そうやって議論を発展させて行くんだよ。すぐに結論を出しちゃいけないんだ。だから君の意見はダメだよ」

 その割には今即否定したよね? てかそのろくろ回しウザいからやめろ指へし折るぞ。あらやだ私ったら猟奇的。疲れてるのかしらマッ缶飲まなきゃ(棒)

「どう可能にするか話し合おう」

「近くの高校をさらに入れるというのは」

 いやなんで意識高い系ってこうも他人とやるのが好きなの?これ以上高校増えてもメリットないと思うんだけど……

「いいね。地域コミュニティーを巻き込むというかさ」

 もう何がしたいんだこれと私は頭抱えてたら意外な人物から発言があった。

「……これはフラッシュアイディアなんだか、さっきの提案のカウンターとして2校のより密接な関係を築いて連携をとることで、最大限のシナジー効果を期待する方がいいと思うんだが、どうだろう?」

「なるほど……じゃあ高校じゃない方がいいね。大学生とか」

 何とか比企谷くんの言いたいことは汲み取れた。違うそうじゃねぇよ玉縄。だからなんでそんな他のところと一緒にやりたがるの?大学とかアポどうすんだよ。

 脳内のリトル楓奏がどんどん粗暴になってくるよ……。

「いやまて。それだとイニシアティブが取れない。ステークホルダーとコンセンサスを得るにしても、ブレないマニフェストはっきりサジェスチョンすることができるパートナーシップをだな……」

「比企谷くん……」

「せんぱい、何言ってるんですか……」

 一色さんと全く同意見でした。お願いだから日本語で話して……ましてや比企谷くん国語得意なんでしょ……

「いや自分で何言ってるのかよくわからん……」

「確かに」と向こうの生徒会長さん指パッチンしながら言った。

 え?今ので分かった? 

「じゃあ近くの小学校はどう?ゲームエデュケーションって言うのかな、ああいうふうに楽しみながら作業するように出来れば、地域の小学生から力を借りられるんじゃないかな」

「win-winだね」

「win-win……うん!それあるー!」

 さっきからそれあるー!としか言ってないけどどれがあるの?そこのお姉さん。

「小学校へのアポイントとネゴシエーションはこちらがやるとして……その後対応お願いできると嬉しいんだけど」

「そうですねー」

「……どうかな?」

「……はい。わかりましたー」

 こちらの生徒会の方々はもうため息。結局具体的に決まらない上に仕事増えることになるもんね……

 ここに来て初日でも分かる。これは非常にヤバい状況であると。

 

 

 ☆

 

 

 帰り道。私は比企谷くんと並んで駅向かっている。一色さんが言っていた「覚悟した方がいい」の意味が分かった。何も決まらない無駄な会議という何かだった。

「なんなのあれ?」

「会議という名の何かだな」

「あれじゃあ一色さんも苦労するのも分かるよ……役員の皆さんと上手くやれてないし。あ、あと1つ気づいたことあるんだ」

「ん?なんだ?」

「一色さんは1年生。向こう生徒会長さんは2年生。つまり1年生の一色さんは完全に向こうに対してイエスマン状態になっていた」

「……奇遇だな。俺もうすうすそんな気がしてたわ」

 同じ生徒会長という立場とはいえ、後輩だから断りづらくズルズルと引きずっている。これはキツいな……

「……そう言えば雪ノ下さんと由比ヶ浜さんは?奉仕部の依頼じゃないの?」

「……いや俺個人で承った」

「そっか……」

 何か訳ありそうな苦い顔していたので、深くは追求しなかった。でも雪ノ下さんが居たらすぐ反論して論破してくれそうなのになぁ……生憎私はそこまで語彙力もなく、何より反論する勇気がない。

 最低でも来週までには決を取らないと間違いなく失敗で終わる。

 駅に着いたので比企谷くんとお別れ。「また明日」と言って彼は帰って行った。

 私もホームへ上がり、電車乗って帰路を着く。席は空いているけど座ると眠ってしまいそうなのであえてドア際に立っている。

 私ではどうにか出来ないのだろうか、ぼんやりと考えながら東京湾の景色を眺めていた。




また少し間が開いてしまったので長めに描きました。
あと会議シーンをところどころ楓奏ちゃんに置き換えてみましたけどいかがでしたでしょうか。
次もなるべく早く書くようにします(フラグ)それでは。
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