ベストプレイス   作:自由人❀

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マラソン大会の後の話。ただの日常回。


サイゼで懺悔する話

昼下がりのサイゼリヤ。

食後の血糖値爆上がりタイムを経て、暖房が効いているこのお店で眠りつきそうな今日この頃、若宮です。

今はいつものメンバーと比企谷くんでお茶をシバいている。

割と本当に目を瞑れば今すぐにでも眠れる状態である。

現に隣の美笹と目の前の夏鈴は軽く寝落ちしている。

…ちょうどいいし色々聞いてみよっかな。

「改めてマラソン、優勝おめでとう。」

「おう。随分いきなりだな。ま、サンキュな」

そう言うと彼は途端に頬をポリポリする。

それはとても分かりやすく、照れてる様子だ。

「そういえば聞きたかったんだけど、なんであんなにマラソンを頑張ったの?なんかこう普段ならそこまで頑張るイメージがないというか」

「失敬な。まあ普段なら頑張る必要のないとこはとことん手を抜くがな」

「ですよねー」

うん。やっぱり普段イメージは一言で言えばいつも気だるそうで何事も本気で向き合うような感じではない。

今日のことはその普段のイメージとはかけ離れてて珍しく真剣に取り組んでる様子だった。

それが不思議でしょうがない。

「まあ、超短く端折ると事の経緯は奉仕部の依頼だ。で、色々あって葉山に勝たなければならない理由が出来た。そんな感じだ」

そっか。誰かのために頑張らなきゃいけなかったんだね。

普段はそこまでやる気を感じなくて、でもどうしてもという時は誰よりも真剣に向き合う。そんな彼は素敵だと思う。

こんなにも魅力的なのに理解してあげれる人が少なすぎる。

実際大会で優勝して表彰式を行っていた時も周りは「誰こいつ」みたいな雰囲気が少し流れててモヤモヤしてた。

彼は優勝しているのだから周りの人々は素直に賞賛してあげてもいいじゃないかとも思った。

あれ…。なんか熱弁しちゃってる。

あのマラソンでゴールしたときはかっこよかったなって思ったし、すごいなと思った。

その時は感嘆とかそれに近い感情だと思っていたはずなんだけど、なんかこう今になって胸の奥が何かが込み上げてくる。

そう思って私は飲み物を入れようと立ち上がった。

そして右手をそっと伸ばした。

「誰のためかは分からないけど、よく頑張りました」

右手の伸ばした先にある彼の頭を優しく撫でた。

いきなりこんなことされたら嫌がりそうかなと思ったら意外と嫌がったりしなかった。

いや、驚いてフリーズしてるだけかも。

というか意外と髪の毛さらさらしてて触り心地よくてとても気持ちいい。

アホ毛も触り心地がいい…。んふふ。犬のしっぽみたい。

「あのー…。いつまでやるんですかねぇ若宮さん…」

ようやっと何かを言い出した比企谷くんの声聞いてハッとした。

「へ?…あっ!ごごごめん!」

触り心地かなり良くてついしばらくの間なでなでしてしまった。

「いきなりすぎてびっくりしたわ…」

「ご、ごめん…、…表彰式のとき、比企谷くんに対して誰だっけこいつ?みたいな雰囲気があったじゃん?それで誰かのために頑張って優勝を勝ち取ったのにそれはあんまりじゃないかなってふと思ってつい…」

「まあ、文化祭とか色々あったし俺個人あまりいい評判貰ってないからまあ妥当な反応だと思うけどな」

彼はそう言って頬をポリポリしながらコーヒーを啜っている。

「まぁ、なんだ。頭撫でられんの昔の母ちゃんか小町ぐらいだったしびっくりしたけどあれだ、ちょっとは嬉しかったというか…」

あれ?デレてね?

もしかしてこれ一定の好感度に到達して比企谷くん√に入った感じ?

仮にそうだとしても案外悪くないのかなーなんて…。

いやいやなに考えてんの!?ギャルゲー(ウフフじゃない方)じゃないんだから…。

やはり慣れない運動をして疲れてるのかしらん。

そう、きっとそこには恋愛感情はなく、ちょっと可愛かったから庇護欲がそそられただけだ。きっと母性本能的な何かなんだと思う。

そう結論付けた。

「の、飲み物取ってくるね!何かいる?」

「あ、あぁコーヒーで…」

とは言っても改めて何か言われると恥ずかしくなった。そう思ってそそくさと飲み物を入れに行った。

 

 

しばらくして深い眠りに入りそうな2人を起こして駅前で解散する運びとなり、今はこいつと隣同士でバスで揺られている。

時間帯が時間帯なのか、車内は俺たちを含めても4,5人程度しかいない。

若宮は眠りそうな感じで目を瞑っている。

降りるバス停までゆらゆらと揺られながらさっきのことを思い出していた。

俺はこいつに頭撫でられた。

正直あの時はびっくりしてフリーズしていた。が、嫌な気分ではなかったのは確かだったと思う。

少なくとも同情とかそういった感情で触れてきたわけではないと感じた。

簡単に言えば心地よかったと表現すべきだろうか。

って満更でもねぇじゃ俺。そう考えると顔に血液が集中する感じがした。ダメだ。忘れられん…。

なんだこいつ、俺のことが好きなのか?

告白して振られるまではワンセットだぞ?いいのか?

つっても今じゃこいつと同じ趣味を持ち、いつものお友達がいようがいまいが会うたんびにサイゼ行っている気がする。

あれ?これノベルゲーム(少しムフフな)だったら√に入ってね?入ってるよな?

回収し忘れたCGないよな…?じゃなくてだな…。

あーもうわからん。

実際のところどういう気持ちであれに至ったのかは本人にしかわからんしな。

でも仮に√に乗っかったとしたらどうなんだ?

いや。仮定ほど意味にのないことは無いか。

「仮に」というほど曖昧なものは無いと数学で学んだはずだ。

ちゃんと解を叩き出さなければ採点すらしてくれないのだから。

そう結論付けて終点まで目を瞑った。

 

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