お邪魔しまーす♪
おはようございます。若宮楓奏です。昨日の夜メール送った頃は少し雨降ってて、今じゃすっかり晴れていい秋晴れです。ちょっと冷えるけど秋の爽やかな朝って何気に好きだったりする。今日も1日がんばるぞい! あ……ごめんなさい……
いつも通り駅まで歩き、バス乗って海浜幕張駅向かい、そこから京葉線乗って稲毛海岸駅へ向かう。そこから降りて学校へ歩くそんないつもの日常は私は大好き。いつも通り、平常運転っていいよね、平穏な感じで。私は電車の運転士に向いてるのかしら……しゅっ、出発進行ー!
ごめん、忘れて超忘れて……!
そういえば昨日満員電車嫌なっちゃう的なこと言ったのに毎朝満員電車乗ってる。下り方面だからまだマシだけどそれでも混む。それでも毎朝電車乗るのは理由があって、私の趣味は自転車でロードバイク乗ってるんだ。じゃあロードバイクで通えばいいじゃんってなるけどイタズラや盗難も怖いし……てわけで電車乗ってる。イタズラや盗難のない世界だったらどれだけ幸せやら……そしたら30分もかからないで通えるのに。え? ママチャリ? 重くてムリ。
☆
「おはよー!」
「うおっ、びっくりした……お、おはよう」
思いっきり挨拶してみた。視線感じるけど気にしない気にしない。
「教室でデカい声出すなよ。視線集まっちゃうでしょ」
え? そんなに大きかったかな……だとしたらなんかごめん。
「ご、ごめん今度から気をつけるよ」
「え、あ、いや謝んなくていい。俺もイヤホンつけてたしな」
初めての朝の会話してるうちにチャイムが鳴った。
「じゃあまた後でね!」
「おう」
☆◇
あれから中休み挟みつつ授業を受けた。いつの間にか4限の後半に差し掛かってた。眠気は無いものの体はマッ缶を欲している。はやくっ……マッ缶くれ……!
チャイムが鳴り、全国が待ちわびていた昼休みのお時間である。起立、礼をし一気に活気づく教室。友達同士で机くっつけたりして、隣同士で談笑する声があちこちから聞こえる。
そんな中、声掛けてくる女子が居た。アレ? デジャブ? いやいや時間繰り返さない系だよ。
「ねぇねぇヒッキー、ヒッキーってかなかなと仲がいいの?」
由比ヶ浜だった。まあ気になるところか。てか「かなかな」って若宮のことか? 相変わらずのネーミングセンスである。
「仲がいいつーか最近話するようになっただけだ」
「えぇーでもけっこー仲良さげだったじゃん?」
「別にそういう関係ではない。本当ひょんなことから話するようになったんだよ。つか昨日お前いなかったけど三浦とかのつるみか?」
「うん、ゆきのんに言ったはずだけど……」
「そうか。じゃあ俺飯買いに行ってくる」
「う、うん行ってらしゃい!」
背いて軽く手を振ったあと購買に向かった。クソ。少し時間ロスした。パン買えっかなー……
結論から言うとパンは買えた。あとはマッ缶買ってベストプレイスへ。そしたら……
「あ、きた。やっほー!」
本当に来たよ。この子。あそこまで行くと言うならもはや行く行く詐欺なんじゃないかと思っちゃうレベル。
「お、おう来たんだな。来るとは思わなかったが」
「行くって言ったじゃん! ……あ、お邪魔しますね?」
「邪魔と思うなら帰れ」
「ひっどいなこの人」
☆
それからたわいのない会話しつつ昼飯を食べた。てか俺なんで普通に会話出来てんの? たしかに若宮とはなんとなく話しやすい雰囲気ある。というか若宮はなんだろ……距離感をちゃんとはかろうとする女の子か。たしかに初手はだいたい強引に来るけど、俺の反応次第で少し引こうとする女の子だ。適切な距離感を持とうとするところ八幡嫌いじゃないよ。ちなみに彼女の趣味はロードバイクだそうだ。それで昨日の河川敷の話をしたらめっちゃ食いついてきた。小遣い貯めて買おうかなって言ったらさらに食いついてきた。
「あー焼きそばパン美味かったな」
「たまにはちゃんとしたご飯食べないだめだよ?」
「美味いからやめらんないだなこれが」
マッ缶をひっかけながら余韻に浸った。
「……! お前それ……!」
「ん? あ、これ? 美味しいよ。主に暴力的な甘さで」
「なぁ……これ」
右手に持ってる黄色い缶を見せた
「え! 比企谷くんも飲んでるの!?」
「おう……ここで同士を見つけるとはな……」
「これすごく甘くて美味しいよね! 特にあったかいの最高だよね!」
「分かってんじゃねぇか」
こうして握手をし世界平和を誓ったのであった……! って終わらせてたまるか。
「「あっ……」」
「わ、わりぃつい」
「う、ううん大丈夫だよ……」
俺としたことがつい握手してしまうとは。言っただろぼっちは受動体だって。せっかくのマッ缶同士なのに嫌われてしまうな……
「大丈夫だよ! これぐらいじゃ嫌にならないよ! むしろマッ缶同好会作るまである!」
その強引さは今だとすげぇ助かる。若宮神社あったら拝んで祀るわ。
「じゃ、かんぱーい」
「お、おう」
こうして杯を交わし世界平和を誓うのであった。と、こうしてるうちに予鈴が鳴った。
「あ、戻らないとね」
「そうだな」
「一緒に行こ?」
回りくどいけど若宮はこうして人との距離感を掴もうとするのだ。俺はいつの間にか彼女に対する嫌な感情はなくなっていた。むしろ楽しんじゃってるまである。あ、いろいろ聞くの忘れてた。
ほとんど台本みたいな感じになりました。掛け合いを書くとどうしてもこうなってしまいますね。キレイに書ける人は凄いと思います。
それでは。