ベストプレイス   作:自由人❀

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前回の続きです。内容は前回のあとがきに書いてあります。
それではどぞ。


趣味の話 その2

 あれから歩いて20分ほど経って、自転車屋に着いた。ここは割と行きつけで店長さんはお母さんの知り合いなんだ。名前は「名古木 宮子 (ながぬき みやこ)」さん。その店長さんは女性で私なんかよりもゴリゴリ自転車乗っている。ちなみに山登るのが好きみたい。

「こんにちはー!」

「あら、楓奏ちゃんこんにちは。なにか買い物……? あれ? 彼氏さん?」

「ち、違うよ! 同じクラスの比企谷くんだよ!」

「あーえっと、はじめまして?」

「ふふ、比企谷くんね覚えたわ。その比企谷くんがなにかお買い物かしら?」

「あーいや、その」

「もしかして自転車に興味持ったのかしら?」

「え?」

「図星かしら? ふむ、脚を見るとママチャリでかなり乗り込んでるわね……通学で毎日10キロ以上走ってる口ね」

 え、なんでわかんのこわっ! たしかに1回マップで調べたら片道7キロあるみたいだけとさ! 

「えぇ……まぁそうすっね」

「やっぱり? あ、ごめんなさいね私その人の脚を見るとだいたい分かっちゃうの」

 やっぱなんか怖いこの人! 食われそう! すごいけど怖いよ! 

「話を戻すけどロードバイクに興味を持ち始めたのかしら?」

「そうっすね、きっかけはこないだ河川敷のできごとなんですけど──」

「なるほどね。それで楓奏ちゃんと話してたらここに来たと」

「そうですね」

「ここだけの話、1台1台の値段がピンキリだよ?」

「少しネットで調べたんでだいたいは」

「そう……値段が値段だからもし乗りたいなってなったらまた楓奏ちゃんとここ来てね。はい、ここの名刺ね」

「は、はぁ……わかりました」

「宮子さーん、クリートくださいなー」

「はーい、楓奏ちゃんいつもお買い上げありがとうございます」

 ふむ、かなりの値段のするものもあるというのは確かだ。買うにしても乗れなかったら意味ないしな。乗ってみるのが1番だな。

「なぁ若宮」

「うん? どしたの?」

「お前ってロードバイク乗ってるんだったよな、良ければだがちょっとそれ乗ってみてもいいか?」

「……! いいよ!」

「うんうん」

 

 

 

 ☆

 

 

 

 このあと名古木さんに挨拶をして、自転車屋を離れた。自転車屋の中は俺の知っている自転車屋の光景ではなかった。自転車屋は普通のイメージだとママチャリがたくさん並んでて、中で直してもらうというイメージが強いだろう。

 だがここ違った。自転車の軽さから出来たことなのか、だいたいは壁に掛かってたり天井にポールが通してあってそこに掛けたりしてある。工具の数も尋常じゃない。さらに細かいパーツ類もたくさん並べてある。自転車って深いな(小並感)だった。

「じゃあ比企谷くんは自転車だし、私はそこから京成線で行くからまた幕張本郷で合流する?」

「あぁ……言っといてアレなんだが本当にいいのか? 時間割いてもらってる感が否めないのだが……」

「ううん! だって比企谷くんが自転車に興味持ってくれた最初の友達だもん!」

 友達、か。なんか恥ずいな……

「じゃ、また後でね!」

「わかった」

 若宮と一旦別れた直後だった。小町からメール来てた。

『お兄ちゃん何時頃に帰ってくるの? ご飯いるの?』

 やっべすっかり遅くなった。もう19時半じゃねぇか。急いでメールを返した。

『すまん立て込んでた。あと1時間までには着くから飯頼むわ。アレなら買ってくる』

 すぐ返事きた。外で食べろって言われたら泣く自信ある。

『りょーかい 気をつけてね! あっ今のは小町的にポイント高ーい♪』

 はいはい。早く行かねぇとな

 

 

 

 ◇

 

 

 

 電車に揺られながら帰路に着いた。まぁ、また後で合流するけどね。

 今日あったことを思い出したながら車窓を眺めてた。

 私の趣味を理解して、分かろうとしてくれた人は比企谷くんが初めて。ほとんどの人はあまり興味なくだいたいそうなんだ。で終わる。

 自分の趣味分かってくれるのってこんなに嬉しいことなんだね。

 ふふって笑いそうになったときにメールが届いた。比企谷くんかな? 

『お姉ちゃーん あとどれくらいで着くの? もう8時になるよ?』

 あ、楽しい時間はすぐ過ぎるってほんとだね。って結論付ける余裕ないわ! 

『ごめん! ちょっと用事長引いた! あと20時半には着くと思うから!』

 ごめんね! 全速前進で帰るから! ってこの路線各駅停車しかない! ……あ、でもどうしようかな……落ち合ったあと試しにロードバイク乗せてあげたかったけどよく考えたら時間が……明日も学校あるし……休日とかどうかな……合流したらいろいろ聞いてみよう。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「わりぃ待たせたな」

「ううん。割と着いたばっかりだよ」

「あ、そうだ、小町から……あ、妹な。そいつからメール来てだな……」

 小町からのメールを見せた。

「あぁ……私も似たようなメール来たよ。京楓(きょうか)から。あ、妹だよ?」

 お前もか……てか妹いるのな。

「あぁ……それでなんだがな、今からてのも時間がアレだし、今度の土日とかにしないかと思ってな」

「! 私も同じこと考えてた!」

「そ、そうか」

「今度の土曜日はどう? 良かったらウチに来てよ!」

「お、おうそうだな」

「やった!」

「とりあえず帰るか」

「そうだね!」

 また流れに押されて返事してしまった。‪まあ同じこと考えてたからセーフだよな、うん。最近俺らしくねぇな。若宮のペースに流されっぱなしだわ。ここに来てまだ2日しか経ってないんだぜ? 若宮がなんとなく話しかけて来てから、若宮の趣味の話まで(深いところまで)たったの2日だぜ? 俺、変わったのか? 

 いや、2日で変わるのならそいつはそいつじゃない。

 そうだな。言うなら変わったのではなく、理解しようとしてるんだな俺。あれ? 変わってね俺?




と思ったらまた長くなってしまいました。次のその3で終わらせます。
今夜には上げたいと思ったいます。
好きな物は語ってしまうって本当らしいですね(自己分析)

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