黒歌さんのターンです。
◆◆◆
やあ、イッセーだぜ!
ライザー様のゲーム観戦で、やって来たぜ!アグレアス・スタジアム!
5月の合宿の時にゲームの動画を見せて貰った時から、1度は生で観戦したいと思っていたけど、冥界入り早々に、その機会が訪れようとは!
部長だけで無く、俺達 眷属全員分のチケットを用意してくださった、ライザー様に感謝です!
≫≫≫
「あの~、リアス・グレモリー様ですね?
少し、よろしいでしょうか?」
入場口で、他の観戦客の人達と一緒に並んでいると、如何にもTV局リポーターみたいな人が、カメラマンと一緒に部長…コホン、冥界ではリアス姫…でしたね。…に、マイクを向けて声を掛けてきた。
「姫様に、何の用にょ?」
ずずぅん…
「「ひぇっ?!」」
そんなリアス姫の前に立ち、リポーターに立ちはだかるのはミルたん。
グレモリー仕様の、白の燕尾服を着た彼女?は、"出来るSP"に見えて、凄く頼もしい。
リポーターの人達、たじろいでるじゃん。
「わゎゎ…我々は、冥界通信の者でして…
ライザー・フェニックス選手の婚約者で有らせられる、リアス姫に、コメントを…と…
…っとぉ?! ち、近い!近いですって!?」
顔面弩アップで迫るミルたんの迫力にビビりながら、それでも"仕事"するリポーターさん達。
プロだなぁ。
≫≫≫
「…はい。今日のゲームは この大会場ですから、貴族専用のVIPルームで無く、一般のファンの皆さんと一緒になって、ライザーを応援したい…そう思ったんです。」
そして、インタビューに応えるリアス様…
ん。言い辛い。
声に出さない限りは もう、リアス部長で良いよね?
とりあえずは、一般の お客さんと一緒に並んで会場入りしている事について、受け応えしていましたよ。
「どうも、ありがとうございました。
あ、それから…」
取材を終えたリポーターの人は、良い画が録れたのか、満足な顔を浮かべて その場を去ろうとして、もう一言。
「すいません。客席に着いた後も、分かり易い合図を出しますので、その時はカメラに向けて笑顔を見せて貰えたら、ありがたいのですが…」
▼▼▼
◆◆◆
…白音です。
観客席に入り、チケットに指定された席に着いた私達。
部長を中心に、朱乃先輩とイッセー先輩が その両隣を固め、前後は祐斗先輩とミルたんが。
そして その隣に私とギャー君、アーシア先輩…と云った…
アーシア先輩 ミルたん ギャー君
イッセー先輩 部長 朱乃先輩
私 祐斗先輩 【空席】
…こんな並びです。
部長の斜め前の席は、空席。
誰か もう1人 眷属が居たら、完全に部長を守り囲める事が出来たのですが。
因みにですが、この空席も、私達がチケットで所有しています。
≫≫≫
「…つまり、俺の場合は、8以上の数字にならないと駄目って事ですね?」
「ええ。そうよ。」
そして今、会場では、実況と解説の人が、今回のゲームのルール説明の最中。
ダイス・シュートと云う名称の、今回のルール。
当然、敗れた者は
「それで、相手の"ナベリウス"って、強いんですか?」
「ん~、ま、まぁ、弱く…は無いと、思うんだけど、ね…」
「「「???」」」
そしてイッセー先輩の、今回の対戦相手についての質問に、部長は言葉を濁す様な応え。
これには事情を知らない、イッセー先輩アーシア先輩ミルたんが、頭の上に
……………………………。
今日の相手は、ナベリウス家ですか。
黒歌姉様、大丈夫でしょうか?
▼▼▼
◆◆◆
「…まあ、そんな訳で、今日は黒歌は、出さない方向で。」
「…………………………………。」
黒歌だにゃ~。
控え室。
部屋に設置されたTVモニターには、お嬢がカメラ目線で笑顔で手を振る映像が流れている。
それを見ながらマスターが、『今日は
それは、今日の相手であるナベリウス家と私の因縁を考慮しての発言。
これに、仲間の皆も、無言で頷いたにゃ。
以下、回想。
◇◇◇
ナベリウス家。
以前、私が眷属悪魔として、仕えていた家。
元々は母親が下僕悪魔とかでなく、その家の研究スタッフ?として仕えていたのだけど、ある日、その母親が仕事中、父親共々に事故死。
悪魔社会に家族保護の保険とか在る訳も無く、私は幼い
しかし ある日、私の猫魈としての種族特性に目を付けた当時の主が、白音まで自分の眷属にすると言い出してきた!
自分は白音の身を保証する約束で、悪魔に転生したのに、これは完全に契約違反。
その事を主に問い質すが、主は『そんな下級悪魔との約束事なんて知らん』と一蹴。
そして私は白音の体に無理矢理に、
そう、純血の貴族を殺害した。
理由は どうであれ、転生悪魔が主を殺したとなれば、それは"はぐれ"認定されるのは必至。
私は この際、どうなっても構わないが、その後、残された白音が どうなるかが分からない。
ただ、何れにしても碌な目に遭わされないのだけは、想像が着く。
良くて、放逐。
それでも その先、白音は路頭に迷う事になる。
だから、私は賭けに出た。
自分は処理されても良いが、白音だけは助かる様にと、妹を連れて、ナベリウス領から逃げ出した。
≫≫≫
「此処にゃ…」
逃走先は、グレモリー領。
以前、遠征で1度足を運んだ事の有る この地は、転移で移動する事が出来た。
この地を治めるグレモリー公爵は、慈愛に満ちた名主だと聞いていた。
事情を話せば、主殺しの自分は兎も角、白音だけは保護してくれるかも知れない…
それは殆ど御都合主義展開だが、正しく藁に縋る思いでの行動。
「黒歌姉様?」
「大丈夫、大丈夫。心配する事は無いにゃ!」
仙術を使った穏行術でグレモリー邸に潜入した私は、恐らくはグレモリー公爵の それと思われる強力な魔力を辿り、自分と旁の白音の気配を消した儘、邸の奥へと進んで行く。
そして その、強大な魔力の持ち主が居ると思われる部屋の扉に立つと、
バタンッ…!
勢い良く その立派な装飾が施された大扉を開け、
「お願い!妹を、妹を助けて!!」
「「「「「???!」」」」」
…その部屋で御茶会をしていた人物達に、白音の安全を求めたのだった。
「な、何なのだね?!キミは いきなり?
一体、どうやって此処まで?」
恐らくはグレモリー公爵…が、驚きを隠さない表情で、私に問い掛ける。
「いえ、父上。今は そういう問題では無いですよ。」
「そうですよ、おじ様!☆」
「…………!!」
しかし、確かに そういう問題では無かった。
この、グレモリー公爵と同席していた2人を見て、私は絶望の淵に叩き落とされた気分となった。
この2人の顔は、知っていた。
この2人は魔王。
サーゼクス・ルシファーとセラフォルー・レヴィアタンに違いなかったからだ。
グレモリー公爵を『父上』と呼んでいた処から、魔王ルシファーはグレモリー家の出身という事が分かるが、今更そんな情報は どうでも良い。
まさか、こんな超大物が この場に居合わせていたなんて、完全に想定外だ。
悪魔社会のトップが、主殺しの罪人の嘆願等、聞き入れる筈も無い。
完全に詰んだ…そう思った。
「えーと、とりあえず、貴女?」
「キミは今、『"妹"を助けて』と言っていたが…」
その魔王2人が、私に話し掛ける。
「「その辺り、kwsk。」」
「へ?」
………へ?
≫≫≫
「な、何よ、それーっ!?★」
「確かに それは、看過出来ないね。」
「………………………。」
…言われた通り、包み隠さず話してみると、魔王2人は憤慨。
「うむ。例え身分の低い者相手だろうと、悪魔にとって契約は絶対。
契約破りは重罪だ。」
「ん~、全く、面倒い事、してくれちゃったよね~?
そして これ、更に凄く面倒い展開になる気がするよ~?」
そして、この2人に呼び出された、残る2人の魔王も難しい顔をしている。
…って、4大魔王が勢揃い?
段々と事が、大きくなってきてるにゃ?!
≫≫≫
「…それでサーゼクス、ナベリウス家から、何か連絡は、有ったのか?」
「いや。まだ、無いよ、」
「そうか…本格的な話は、それからだな。
とりあえず この黒歌とやらは、主殺しの容疑で妹と一緒に、その身を拘束しよう。」
「ちょ…?!アジュカちゃん!!?」
「契約違反もだが、主殺しは、それは それで、重罪だ。
セラフォルー、それは お前も、理解出来る筈だぞ?」
「ぅ…★」
「………………………………。」
この緑髪の魔王、アジュカ・ベルゼバブの言葉は正論。
問答無用で処されないだけマシで有り、私と白音は、グレモリー邸の地下牢に閉じ込められた。
≫≫≫
…そして、数時間後。
「良かったね黒歌ちゃん白音ちゃん☆
見事、無罪放免になったよ♪☆」
「にゃ?!」「??」
結論から言えば、私と白音は、生きて牢から出られる事に。
聞けば、あの後 直ぐにナベリウス家が、これは予想通りと言うべきか…
「でも、少なくとも僕達には、黒歌君が力に溺れて暴走した様には、見えなかったからね。
それに、君の供述に比べ、ナベリウスの報告は、曖昧な点が多過ぎた。
どちらが本当の事を言ってるかは、直ぐに分かったさ。」
「それで、私達4人で『それって、本当に そうなの~? 先に言っとくけど、魔王への虚偽報告は、死罪だよ~?★』って、軽~く"圧"を掛けてみたら、ナベリウス当主ちゃん、顔を青くして、土下座しながら全部 正直に喋っちゃったの。
それから黒歌ちゃん、『主殺害』って言ってたけど、黒歌ちゃんの主は確かに重傷だけど、別に死んでないからね!☆」
「え?」
「…それで、ファルビウムが後々の処理を面倒臭がってね、契約違反と魔王への虚偽報告と、
「……………。」
…立場的に被告な私が言うのもアレだけど、魔王様達、力技が過ぎるにゃ!
それと、アバウト過ぎ!(特に、スキンヘッド魔王!)
「…よって、黒歌君は無罪。
とりあえずの身柄は魔王側で預かりだけど…
一応 聞くけど、君は もう、あの家に戻る心算は無いんだよね?」
「…………………。(コクン…)」
紅髪魔王の言葉に、無言で頷く私。
「そりゃ、今更 戻った処で…ねぇ?
対人関係、グダグダだし?★」
それを見た、黒髪ツインテ魔王が苦笑する。
「しかし、問題は まだ、残っているよね。
身柄預かりと言っても、何時までもタダ飯食らいを手元に置いておく訳には往かないし。」
「………………………………。」
確かに。
しかし、私も白音も、既に帰る場所も行く当ても無い。
漸く自由になっても、私は兎も角、妹にひもじい思いをさせる訳には…
「ふむ。それは こまったな、さーぜくすよ。
ところで こまったといえば、わが ぐれもりーけは、もうすぐ めいどちょうが"さんきゅう"に はいり、ひとでが すこしばかり たりなくなるのだが?」
「あー、そーいえば そーでしたね、ちちうえ。
かのじょの あなをうめるいみで、だれか、すみこみで はたらいてくれるものがいたら、すごく たすかるのですがねー?」
チラッ…x2(¬_¬)(¬_¬)
「「あーぁ、だれか うちで、めいどとして はたらいてくれないかなー?」」
「…………………………。」
此処でグレモリー公爵も会話に加わり…って、何故に2人して棒読み??!
う~、分かったにゃ!
此処は、"慈愛のグレモリー"の好意に甘えさせて貰うにゃ!
よろしく お願いします!
≫≫≫
数年後。
白音はグレモリー家長女であり、同家次期当主候補筆頭のリアスお嬢の眷属として、悪魔に転生した。
…この点は、自分の意志で決めた事だから、特に私からは、何も言わなかった。
更に翌年、お嬢が今の私の
同時に私は、メイドで無くライザー眷属として、フェニックス家に移籍。
フェニックス家とナベリウス家の間で、正式に
回想、終わり。
◇◇◇
「…相手さんは間違い無く、黒歌が出てきたら勝敗関係無しに、潰しに掛かるだろうからな。」
「…………………。」
マスターの言葉に、頷く私。
ナベリウス家は、"あの1件"以来、魔王様の信用信頼を失い、それが影響したのか、当時は中堅貴族だったのだが、今は完全に下の下に落ちぶれている。
グレモリー公爵曰く、御家取り壊しにならなかっただけ、奇跡だとか。
そして、その最たる原因である、この私を目の敵にしている様なのだ。
いや…それって逆怨みだにゃね?
加えて言えば、今回の相手の
そう、嘗て私が、瀕死の重傷を負わせた相手本人だにゃ。
そんな訳で あのバカ主(元)なら本当に、私を目の前にした途端、ゲームぶち壊しで暴走しかねないにゃ~?
…尤も、あのバカ主(元)程度なら、余裕で〆る自信も有るけど、ゲームがgdgdに なるのは私も好まないし、今回は本当に大人しくしていた方が、ベストかにゃ?
ただ今日は、会場には白音が応援に来てるから、そういう意味じゃ、出番が無いのは、少し残念だにゃ…
カチャ…
「失礼します。
ライザー・フェニックス選手、それそろ時間ですので、選手入場口まで、お願いします。」
…そんな風に考えていたら、ゲーム開始時刻が迫って来たらしく、運営スタッフが私達を呼びに来た。
「…よし、行くぜ!」
「「「応!」」」
「はっ!」
「「承知!」」
「「は~い♪」」
「にゃ!」
「「うむ!」」
「皆、行くヨッ!」
「「フッ…」」
「…ふん!」
そしてマスターの呼び掛けに対し、皆、返事バラバラで応え、控え室を後にするのでした、まる
▼▼▼
◆◆◆
再びのイッセーだ。
東西のゲートから、ライザー様と相手チームが同時に入場してきた。
ライザー様のチームには、前回の合宿で お世話になった人から、初めて見る人まで。
…あの小さな女の子2人も、眷属なのかな?
そして、相手チーム。
戦士風から魔術師風まで、色んなタイプで構成されているチームだ。
数人程、正体を隠すかの様に、黒のローブのフードを目深に被ってるのが、何だか気になるなぁ。
この両チームがドーム型の自陣に入った処で、アナウンスの人が、ゲーム開始を宣言。
ウォオオオォ~~~~ッ!!
沸き上がる歓声の中、両
出た目は⑥-④、合計⑩だ。
此処で、会場上方に設置されていた巨大スクリーンに、両陣営の様子が映し出された。
但し、その画面に映っている人物の口元は全て、魔方陣で隠されている。
「今は作戦タイムだからね。
会場内でも、読唇術なんかで出場する選手を予想させない為の仕様さ。」
…成る程。
「これが このルールでの、
出た数字で、相手チームが誰を出すか予想し、それを踏まえて自分は誰を出すか…
それを互いに読み合う駆け引きも、観る側としては、このルールを楽しむ場面でも有るわ。」
「尤も、何も考えず、単に超強力な選手を送り出し、シンプルな破壊力だけで全てを蹴散らすって事も…
…でも、それも また、戦略なんだ。」
…成る程!
ブォン…
そんな風に、部長達の解説を聞いていた時、中央の巨大闘技台に異変が。
両陣営みたいに、ドーム状の結界の屋根に包まれ、その内部が荒れ果てた礼拝堂の様な
「ゴラ゙ァアアア゙ァッ!!」
…………!!?
そして現れたのは、巨大な鋼棍を持った、単眼の巨人!
「アトラス…。
転生に
「純粋な
はい! あの見た目、凄く説得力有りますよ!
…ってゆーか! あんな超巨大な人、あっちのチームに居ましたか?
「向こうのチーム、何人かローブを着込んでいた人が、居ましたよね?
あれは身体の大きさを、所謂"標準サイズ"に抑える為の、魔道具なのですわ。」
あー、確かに居ましたね。
あのローブ、そういう意味が、有ったのですね…って、つまり向こうには、そんな巨人サイズの人が、まだ何人か居る訳ですか?
「ふん、ライザー殿の読みが、当たったみたいだな。」
「いきなり最大戦力投下か。
確かに数字が大きかったが…それでも、単純過ぎる。」
「言ってやるな。
レーティング・ゲームには、エンターテイメントの一面も有る。
それを鑑みれば、このオーダーも有りだろう。」
そして あのアトラス登場のインパクトが強過ぎて目立たなかったけど、ライザー様の眷属さんも、この戦いの場に姿を見せていた!
5月の合宿で、散々と俺達を鍛えてくれた、
そして やはり合宿にて、俺達に美味しい料理をだしてくれた、
「フッ! 確かにオープニング・ゲームにて、この私の華麗なる強さを観衆に見せ付けるには、丁度良い生け贄であるな!」
………………………………………。
そして、白のシルクハットに白のタキシード(上のみ)を纏った、謎の白い生き物!
今回 最大の御都合主義…黒歌が助けを求めた先に、権力を持ったシスコンが、2人も居た。(笑)
次回はバトル回です!
感想、よろしくです。