合宿スタート
◆◆◆
やあ、ライザー・フェニックスだ。
ジャパンでは4月末~5月初頭は、ゴールデンウィークと呼ばれる、大型連休が有るらしいな。
しかも今年は、土曜日曜が絶妙な位置取りらしく、学生からすれば、1週間連続で学校が休みだそうじゃないか。
リアス率いるオカルト研究部メンバーは、この長期休暇を利用して、某県のグレモリー家所有の山での強化合宿を行う事になっていた。
俺は今回、そのコーチ役を自ら申し出て、一足先に、下僕達と この山頂の別荘でスタンバっていたのだが…
お、見えてきた見えてきた。
≫≫≫
「ゼィ…ゼィ…」
「あ…あの…少し持ちましょうか?」
リアスを先頭に、姫島君、木場君、白音君。
そしてヴラディ君にアルジェント君と…最後は兵藤君か。
木場君、白音君、兵藤君は早速トレーニングとばかり、この山登りでも全員分の荷物を担いでの登場か。
ん。感心感心。
既に兵藤君が一杯一杯な気がするが、まぁ、見ない事にしておこう。
「アレが、今代の赤龍帝…なのか?」
「フッ、やはり同じドラゴン系の
「…………………。」
◆◆◆
ゼィ…ゼェ…
ィ…イッセー…だ…。
今回のオカ研の合宿。
何時もの旧校舎から転移したのは、見知らぬ山の麓。
この山頂に、合宿中 俺達が寝泊まりする別荘が有るらしいけど、合宿は此処からスタートだった。
俺、白音ちゃん、木場の3人は全員の荷物背負って、山頂を目指す事に。
普通に登山でもキツいのに、この荷物は かなりキツい!
しかし木場は俺の約2倍、白音ちゃんなんて、更に その約3倍の荷物を背負って、平気な顔で進んでいる!
アーシアが「手伝いましょうか?」とか優しく言ってくれてるけど、
「負けられるかよぉおっ!!」
ダダダダダッ…!
「い、イッセーさん?!」
俺は そんな天使の言葉を跳ね除け、最後の力を振り絞ってのダッシュ!
「おぉ~う、兵藤君、お疲れ♪」
「……………………………………。」
誰よりも先に、ライザー様が待機していた山頂に到着したのだった。
「お~い? 兵藤君~、大丈夫か?」
「…成る程。
これが所謂、『真っ白』ってヤツか。」
≫≫≫
「リアスお義姉様~!」
タタタタ…ガシッ
「ふふ…久し振りね、レイヴェル。」
そして部長以下、オカ研メンバー全員が別荘前に到着した時、1人の女の子が部長に走り寄り飛び付いてきた。
金髪の、ドリルツインテの美少女だ。
「おねえさま」って言ってけど、妹には見えないし…って、金髪って、もしかして?
「イッセーとアーシアは、初めてね。
この娘はレイヴェル。
ライザーの妹、つまり、私の
「レイヴェル・フェニックスですわ。
以後、お見知り置きを。」
「り、リアス部長の
「あぁあ…アーシア・アルジェントです。
リアス部長の
やっぱりライザー様の
山登りでの疲労を忘れ、荷物を背負った儘で直立不動、敬礼して名乗る俺。
そして噛み噛みアーシア。
「うふふ♪ 兵藤様にアルジェント様…ですね。
よろしくお願いいたしますわ♡」
≫≫≫
別荘に荷物を降ろした後、改めて外の玄関前に集合した俺達。
「それじゃあ、早速だが…」
ライザー様の後ろに、眷属らしき人達が控えている。
この人達が、今回の俺達のコーチになる訳か。
皆さん、明らかに強者オーラを纏ってるのが、ぺーぺー悪魔の俺でも判る。
「ぅ…ぅう~…」
ギャスパーは その中に、余程 苦手な人物が居るのだろうか、顔を青くして震えっぱなしだ。
「リアスと姫島君は、ユーベルーナに任せる。」
「リアス様、姫島さん、よろしくお願いします。」
「「はい!」」
ライザー様の隣に立っていた、長い紫の髪の、如何にも『魔法専門です』な綺麗な女の人が一歩前に出て、部長達に一礼した。
「木場君は、ミリアルドから指導を受けて貰う。」
「はい!」
「よろしく頼むぞ、木場祐斗。」
軍系スーツを着た男の人(イケメン!)が木場に一言挨拶すると、2人は早速、山の奥に向かって行った。
「白音君は、黒歌に。」
「
ガシッ!
「ちょ…?!」
…で、いきなり この黒歌さん?
着物を着崩した格好の猫耳の女の人が、白音ちゃんに抱き付いてきた!
「黒歌姉様、止めて下さい!」
「にゃ~?」
そして つい少し前まで、常に無表情だった あの白音ちゃんが顔を赤くして、黒歌さんを振りほどく…って、姉様?
「あの黒歌さんは、白音ちゃんの実の お姉さんですぅ。」
そう教えてくれたのは、ギャスパーだ。
あー、言われてみれば猫耳で、気付くべきだった。
…て事は白音ちゃんも、数年後には、あんな感じなダイナマイツな お姉さんになるのかな?
いや、今でも十分に可愛いけど!
「アルジェント君は、レイヴェルから魔力の活用法を学んで貰う。」
「は…はぃ!よ、よろしくお願いしゅましゅぅ!」
「改めて、よろしくですわ。」
アーシアに着くのはレイヴェル様。
またテンパったのか、アーシアは噛み噛みになってるけど、まあ、大丈夫だろう。
「ヴラディ君は、DIOに」
「フ…ン…久し振りだな。
お手柔らかに頼むぞ、小僧。」
「ひぃぃいっ!??」
ギャスパーを教えるのは、ライザー様と同タイプな、悪人面系イケメン…即ちワルメンの男性だ。
ギャスパーが必要以上に怯えている気もするが、大丈夫だと思いたい。
…てゆーか、俺も他人の心配事をしている余裕なんて無い筈だから…!
「最後に兵藤君は、このラダマンティスと…そして この俺が、戦闘の いろはを教えてやる!」
「よろしく頼むぞ、今代の赤龍帝よ。」
なぁ?!
俺、2人掛かりですか?
しかも1人は、ライザー様自ら?
俺は てっきり、1人残った貴族系スーツの人(やっぱりイケメン)が、担当してくれると思っていたのに?
ライザー様は総監督で、全体的に色々と指示指導するポジションだと思っていたのですが?
それか、部長にゲームの戦略云々を教えるとか?
「この前も言ったろ?
キミは、超雑魚だと。
…だからこそキミと同じ、ドラゴン系
それから、リアスの戦略指導等は、夜に行う予定だ。」
…天国の お爺ちゃん、元気にしてますか?
俺の方は どうやら、地獄の始まりが、始まったみたいです。
それと、『超雑魚』は普通に凹むから、止めて下さい。
≫≫≫
「ひぃ~?!死ぬ!死ぬるからぁ?!」
「馬鹿者!そうならない為の特訓だ!」
そんな訳で只今、この2人を同時相手の、
いや、最初から、こんな超々ハードな内容じゃなかったんですよ。
午前中は、腕、脚、胸、腹、腰に、合計100㌔近い重りを着け、この鬼教官2人が乗ったリヤカーを引っ張っての、山の登り降り全力ダッシュを5セット。
「"鬼"とは失礼だな?」
「我々は、悪魔だぞ?」
……………………………………。
次に魔力上昇を目的とした、精神集中の座禅(弛んでると判断されたら、ラダマンティスさんの無慈悲な
そして午前の締めは、昼食の"食材狩り"。
捕まえた野鳥や兎は、その場でラダマンティスさんが下ろしてライザー様が
そして昼食の後、漸く重りを外されたと思ったら、この2人相手のバーリ・トゥードな組手が始まったのでした。
「ドラゴンの鍛練は、昔から実戦が定番だが、兵藤一誠、お前は その実戦が出来るレベルに至っていない。
だから、午前中は基礎トレーニングで底上げをして、午後から実戦訓練。
1週間、この繰り返しだ。」
木場、確かに あの時、頭に浮かべていたのは天国だったよ…まる
≫≫≫
「でやぁっ!」
しゅぃいんっ!
ドラゴンを象る漆黒の鎧を着たラダマンティスさんが繰り出す拳や蹴りは、実際に触れずとも そのモーションから衝撃波を生み出し、俺を襲う!
これ、避けた後、大木や大岩に ぶつかったら、粉々に砕いてしまう程な凄まじさなんだぜ!
「でぇぇえいっ!!」
どっごぉん!!
そして地面を殴れば、その場にクレーターを作り出し、その際に生じた波動の壁が、土塊や石片を巻き込みながら、
「こなくそぉっ!」
俺は それをクロスガードしながら飛び込み突き抜け、反撃のパンチを放とうとするが、
『相棒、逆サイドだ!』
え゙?!
「ほらほら兵藤君!
キミは さっきから、右の拳を打とうとする時、
ぶぉん!
其処に、脚に炎を纏わせたライザー様の、回し蹴りが!
「危なっ!」
これも単に、蹴りを避けて終わりじゃない。
脚の炎が、鞭みたいに延びて襲ってくる…寧ろ、
「攻撃は今は まだ、一方向への特化でも構わないが、防御は常に全方向、身体全体を固めてないと、想定外の攻撃で想わぬダメージを貰う事も有る!」
「は…はい!」
「午前中、体内の魔力の通わせ方を教えただろ?
その魔力を単に高めるでなく、防御力に回すイメージだ!」
「はい!」
ライザー様の攻撃は確かに鬼畜だが、このヒトは その都度、『何が悪い』『何処が悪い』『どの様に悪い』『だから こう対処、改善すべき』と、攻撃しながらも、丁寧に教えてくれる。
俺自身、それ等をこの場で全て飲み込める訳じゃないが、このヒトの説明は解り易く、アドバイス通りに動けるだけで、何となくだがレベルアップしている実感が有った。
「皇鳳焔!!」
ぶゎおぉぉう!
「ひぃぃっ!?」
しかし、攻撃は鬼畜マジ鬼畜。
今度はライザー様、正しくThe・フェニックス!…な、巨大な火の鳥を象った火焔弾を撃ち放ってきた!
俺は それを、ギリギリの処で躱す!
「おぉ! お見事!」
「…じゃ、ないですよ!?
今のはマジ、死ぬかと思いましたよ!」
「いや、多分 大丈夫…ってレベルで火力を抑えていたから問題無い!」
「た、『多分』って、何?」
「【多分】…①量・程度が大きいこと。沢山。かなり。②恐らく。大抵。…の意。」
「
ガシッ!
そして、何だか天然?な発言をしながら攻撃してきたラダマンティスさんの拳を、魔力を体内に流しながら、同時に強化させるイメージ…それを実践して受け止める。
「はっはっは!
兵藤君! キミは何だかんだで、実は才能は有るのかも知れないな!
どんな手段かは知らんが、
『う…うわぁああぁぉおぁあん!!』
「ライザー様! それ!禁句ですから!」
…そうなのだ。
実は俺は つい3日前、詳細は端折るが、己の中に眠る
今も、真紅のドラゴンの鎧を纏った状態で、
…尤も至った時の、その余りにも しょうもないと云うか情けない切っ掛けが原因で、
≫≫≫
「死んだ…100回は死んだ…」
「よし、今日は この辺にしとくか。」
漸く、合宿1日目が終わろうとしていた。
「兵藤君は寝た儘で良いから、簡単な反省会と行こう。」
「…………………………。」
しかし、まだ別荘に戻る前に、大の字になった儘、色々と今日の事で駄目出しを貰ってしまう。
「ラダマンティスよ、他に何か有るか?」
「うむ。強いて言えば、俺達の方も、準備が足りなかった…と云う部分が有る。」
「ああ。実は俺も、それは感じていた。」
そして それは俺だけで無く、ライザー様ラダマンティスさん自身の反省点へと話が移った。
「明日はシルバーに頼み、塩胡椒に醤油、カレー粉や香草等の調味料を用意しておこう。」
「そうだな。流石に鳥も兎も、"素焼き"は味気無かったからな。」
…そっち?
反省すべき点て、
≫≫≫
「や…やぁ…イッセー君…」
「お…応…」
「ぅぅう…先輩~ぃ!」
「「……………………。」」
頭陀襤褸になった体に鞭打ち、別荘に戻ると丁度、やっぱり襤褸雑巾の様になった木場も同じタイミングで帰ってきた。
かなりな特訓を積まされた様で、疲労からか、イケメンフェイスも見る影も無く、普段の謎のキラキラエフェクトも、鳴りを潜めていた。
そしてギャスパー。
着ていたジャージは、そう破けたり汚れたりは してないが、兎に角 大泣きだ。
…何が有った?
「…とりあえずキミ達、飯の前に汗、流したらどうだ?」
そ、そうさせて頂きます。
≫≫≫
ライザー様に言われる儘、俺達オカ研男子は別荘内の浴室へ。
きっちりと男女別になっている大浴場。
ガラリ…
扉を開けると、湯気の中に人影が1つ。
「む? 今日の訓練は、終わったのか。
お疲れ様だな。」
「………!!?」
其処には湯船の側で入念にストレッチをしている、Muscleさんが いらっしゃった!
次回は浴室場面からスタートだ!
え?女湯??
(  ̄ー ̄)ふっふっふっふ…
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