なんか思てたんと違う 作:似非地球人
軍において、上の命令は絶対である。
猛反対、猛反発された僕の招集も、上からの命令では仕方のない事。
せめて警護だけは、とついて来ようとした04の面々だったけれど、迎え、と言って現れたあのお方。
「私がいれば問題はない」
の一言で封殺された。
勿論、桜隊長だ。
歯噛みする響に申し訳なさを覚えつつ、鳴を見れば──なにやら真剣な顔。
まぁ、鳴の事だ。踏み込んでこないだけで、あるいは彼女なら……見抜いているのかもしれない。
そんな感じで、まとめた荷物諸共桜隊長に運んでもらっている。
もらっている、最中の事。
ずっとだんまりだった桜隊長が、口を開いた。
「──今回の標的。特徴は?」
「まだ本体を確認しないことには……」
「余計な事だ。お前は確信している」
……やりづらいなぁ。
本当に。
「
「報告通りだな。他に」
知ってたのかぁ。
いちいち癪に障るのは、僕がこの人に好意を抱いていないからなんだろうなぁ。
「……配下は主に
「本当に詳しいな。まるで、見たことがあるようだ」
「ありますから」
素直に言う。
見たことがある、どころか。
僕が初めて見た
「そうか。それで、本体の情報は」
「……三つ編みの……9歳くらいの少女です。肩から常にキャンパスを掛けていて、それに描いた空想上の魚が……
「……ふむ」
おどろおどろしい空の下。
幻想的──さも幻想的に泳ぎ回る、架空の魚たち。それは魚群となり、空を、世界を埋め尽くす。
その舞台を彩るのは……無数の、腕。
腕。腕。腕。腕。
腕。
忘れるはずがない。
「本体の攻撃性は?」
「基本的にはありません。彼女の攻撃手段は腕と
「基本的でなければ?」
「彼女は大雑把なんです。そして、せっかち。通常、
「……あのクレーターは、つまり捕食痕か」
「はい。ですので、彼女が大きく口を開けたら、その口が閉じられる前に
故に、複数人で当たるべき相手じゃない。
基本ヒットアンドアウェイ。出来なければ死。判断ミスは命取りで、そのまま作戦の失敗に繋がる。
いくら桜隊長と言えど、
「理解した。さて、そろそろ到着だ。お前はテントに入り、
「はい。知識の共有はお願いします。僕の意見は信用されがたいでしょうし」
「……」
桜隊長はまたも無言に戻った。
そして──見えてきた。
蜃気楼のように、揺らいだ空間。
それはまるで、極めて透明度の高い水の塊が鎮座しているかのような光景。
その"水滴"の中に一つの寺院があり、その周囲を優雅に魚が泳いでいる。
久しぶりに──しかし、何度も見た光景。
目に焼き付いて離れない彼女の姿に、胸を握る。
前言通り桜隊長は僕をテントへ降ろし、隊員たちがいるのだろう簡易詰め所の方へ向かった。
双眼鏡を用いて、
瞬間、大量の腕が視界を覆い尽くした。
「……倍率たっか。顕微鏡かな?」
もうコレを見て気持ち悪くなることはない。
勿論気分の悪い光景ではあるけれど、吐く程じゃあない。その期間はもう過ぎた。
腕で構成された寺院。
悍ましいのは、その腕がまだ動いている、という事だろうか。生きているのか死んでいるのかは定かではないけれど、少なくともあの腕は動いている。指をぐにゃぐにゃやったり、ビクビクと痙攣したり……うげ。
やっぱり気持ち悪いわ。
「……アンタが04から招集された知恵袋? ……男がこんなとこにいていいわけ? 食われて死ぬよ?」
ふと、背後から掛けられた声に双眼鏡を顔から離す。
振り向けば──。
「……異人さん?」
「異人さんって……また古い呼び名。というか、ハーフなだけで外国人なわけじゃないし」
金の髪を靡かせる、長身の女性。
顔立ちはこの国のそれとは違う、鼻の高いもの。瞳はライトブルー。
「もしかして、01の通信手さん?」
「ん。そうよ。サブだけどね」
ああ。
「僕は稲穂隼。04から、知識のサポートをするために来ました」
「ん、稲穂ね。私は桃井。食われて死なないでね。寝覚めが悪いから」
確かに寝覚めは悪かろうけども。
サバサバしてるなぁ。まぁ、気楽でいい。
相も変わらず……楽しげに。
「それで」
「はい?」
「どこ、見てるの?
「──……」
アッチ、と指さされた方向。巨大なクレーター。
円形に削り取られたような形をしているそこは、確かに。恐らくは07の区画があっただろう場所。
出る、ということは。
「……なるほど」
そうか。
じゃあ。
「すみません、ちょっとお花摘みに行きたいのですが……」
「ん? あぁ、トイレはあっち。女子用しかないけど」
「大丈夫です」
僕にしか見えていない。
その意図など、簡単。単純。明快。
誘われているなぁ、これ。
「隊長、その知識源信用できるんですか」
隼がテントへと到着してすぐ。
桜が隼より収集した情報を周知している時のことだ。
01の隊員の一人……02の御方、運命の涙に肩を並べるとされる参謀が声を上げた。
「
「信用は出来る。とはいえ常進化するのが
「言い切りますね……まぁ、隊長がそこまで信を置いているってんならウチらも信じますけど」
「信用はしている。信頼はするな。あの男は、私達とは違う」
「言われなくても男なんて信頼しないですよ。頼りなさの権化なんですし」
喋りながらメモになにかを書き記していく彼女は、ぶっきらぼうな喋り方で、しかし高速で思案をしているようだった。01における参謀。それは軍における最高峰の叡智と言って過言ではなく、すでに脳内には数多もの策が浮かび上がっているだろう。
そんな参謀の様子を後目に、桜は心の内で嘆息する。
それだけではない、というのが印象であり直感。
桜の知る稲穂隼ではない方の稲穂隼は、何か別の……
それがなんなのかまでは桜にはわからないが、少なくとも目的の違う人間を率いるなどという危険行為は少なからず桜にストレスを強いていた。
私の知る隼ではないあの男に好意が欠片もない、というのも一因かもしれないがな、と桜はもう一度嘆息。
「桜隊長! 空間に軽微な歪みを検知しました!
言われ、すぐに桜は
確かにそこに、蜃気楼のような……周囲の景色との微かなズレが生じていた。
参謀が口を開く。
「各員、まずは
動き出した隊員たちを一瞥。
桜は体を翻し、
ただの興味だった。
普段あまり見る機会のない男……それも二十を少し過ぎたくらいの、食べごろ。
疲労以外の感情があまり表に出ない自分でも、感情が無いわけではない。
だから、ただの興味。
トイレに行った男。一応警護の意味も込めてその後を
少々頭にきた、というのもあった。
寝覚めが悪いから食われるな、といったのは何も社交辞令ではない。名前を知ってしまった相手が死ぬのは、本当に心が苦しくなる。だから安全なところにいろと言ったのに。
男は──稲穂は、確かな足取りで歩を進める。
向かう先は、先ほど稲穂が双眼鏡で覗いていた
「……何もない?」
何故。
だからそこに何もないという事は、元から何もなかったということになる。
だがここは07区画の周辺だ。
07区画が、街のすぐ近くにあるこんなにも広い土地を野放しにしておく理由が見つからない。
開発するなり、軍の施設……哨戒部隊や防衛部隊のための施設にするといった様々な用途があるはずだ。
じゃあなぜ、ここには何もない。
ここには荒野が広がるばかりで……瓦礫の一つ、ないのだ。
「……まさか」
先ほどメイン通信手──参謀からあった連絡。
空間の歪み。そして宙を泳ぐ点……恐らく
出現している。ならば杞憂か。
そう思って稲穂に視線を戻し──吐きかけた安堵の息を呑み込んだ。
あった。
あった。出た。
いた。
「まずい」
赤紫の空。血で染まった暗雲の下に、一つの寺院が門を開く。
ざわざわと。ギリギリと。
騒めく。騒めく。騒めく。きしむ音を立てて。肉がきしむ音を立てて、音を立てて、音を立てて!
それは腕だ。腕の集合体。腕を建材に造られた異形の門。
地に堕ちる陰影──通常種とは異なり空を泳ぐ
門はすでに開かれている。
手が肘を掴み、腕が腕を折り、肘から血が流れ続けるソコの──境内。
いた。
稲穂隼は、簡素な槍を一つ持っているだけの状態で、そこにいた。
オォォオ、オォォオと響く地響き。否、歓声だろうか。
ギチギチと音を立てて門が閉まり始めた。
桃井は駆けだそうとして、しかし歩を止める。
自分が行っても何もできない。
それよりも、隊長……桜隊長に伝えるべきだ。
だが。
「……くそっ、なんだって……!」
体は言うことを聞かなかった。
止めたはずの足はすでに疾駆へと段階を上げている。
腰へ携えた
それは──恐らくは、全能感と呼ばれるべきもの。
冷静な理性を覆すレベルの滾り。おおよそ無縁だったやる気のような感情。
悲しきかな、残念なことに──間に合ってしまう。鍛えられた脚は、その体を閉じる前の門の中へ、
先ほどまで聞こえていた通信機からの通信が完全に途絶える。
閉じたのだ。
「……ついてきちゃったのか……参ったな」
こちらに振り替えることなくそんなことをつぶやいた稲穂に、流石に怒りがこみ上げる。
軍人だ。だからと言って、こんなところで死ぬ気は毛頭ない。
だが絶望的だ。
「アンタ、どういうつもりで」
「大丈夫です。
有無を言わさぬ口調だった。
ともすれば桜隊長をも彷彿とさせる、常識でも話すかのような口ぶり。
そしてその言葉の通り、周囲を漂っている
それは建材に使われる腕も同じ。気色の悪い動きでその腕を伸ばす先にいるのは、桃井を通り越して稲穂だ。桃井には興味がなく、稲穂しか見ていない。
「……どういうこと? 何故そんなことを知っているの?」
「僕は
そういって歩き出す稲穂。
向かう方向にあるのは、境内に植わった朽ちた木。元が何の木であったのか判別のつかぬほどに朽ち果てたその木に向かって稲穂は歩を進める。
安全、と言われてはいそうですか、と納得できるはずもない。
ただ不用意に刺激するのは得策ではないことくらいはわかる。だから刀の柄から手を放し、警戒だけはした状態で稲穂に続く。
「いいですか。絶対に手を出さないでくださいね」
「……わかった」
稲穂は朽ち木へと一歩。
近づいた。
瞬間、波濤……波のような感覚が朽ち木を中心に境内に広がる。実際に波紋が起きているのだろう、空を泳ぐ
揺らぎは段々と大きくなり、そして水音を大きく立たせて。
「──……やぁ、久しぶりだね。と言っても、君に言葉は伝わらないんだろうけど」
La──la──。
稲穂と自分の視線の先。
朽ち木の根元。そこに、いつの間にか、いた。
三つ編みの少女だ。キャンパスを肩にかけた、10にも満たぬだろう童女。区画にいる子供たちが着ているようなそれを纏い、歌うような声で、大きく鳴いた。
見た目こそ可愛らしい。
だが、違う。絶対に違う。可愛らしいなどという形容は決して当てはまらない。
「これが……
身が竦むのがわかる。全能感は今なお続いているにも拘らず、本能が恐怖している。
精神を保つために長刀へと手をかけようとして、しかし止められた。
稲穂だ。彼は左手でこちらの手を掴み、顔を横に振る。
やめておいた方がいい、ではない。
これは。
「邪魔をするな、って……?」
にこりと稲穂が笑う。
……男という種は、
そのはずだ。
だというのに、コイツは何故。
私より堂々と……
「さて、始めようか。
言って、駆けだす。稲穂は、
私は動けなかった。
三つ編みの少女へと突撃する。
変わっていない。見た目は、ずっと。あの時のままだ。
槍は背負っているけれど、使わない。
彼女を傷つけるつもりはない。僕は彼女を助けたいだけなんだから。
あの遺跡で……ようやく僕は、手段を手に入れた。
10年前からずっと探していたもの。ずっと研究していたもの。
本当に求めていたものとはだいぶ違った。余計なモノもついてきたし、余計なリスクもついてきた。
でも、求めていたチカラそのものは手に入った。
「今行くよ……
接触する。
瞬間、大量の腕……大小さまざま、老若男女問わない"腕の花弁"に、僕は飲み込まれた。
ぐちぐち、ぎちゃぎちゃ……という肉と肉がぶつかりあう音に顔を顰めながら、しっかり意識を保つ。
赤ぐらい部屋。腕の蕾の中。
そこで僕は、少女と対面していた。
「鳰。今度こそ君を人間に戻すよ。さぁ……召し上がれ」
差し出すのは体。
食べづらいだろう衣服の部分ではなく、素肌を晒した手足を。
少女は少しだけ停止し……そして、僕の腕にその小さい手を添えた。
ぶち、という音。
自身の認識より先に聞こえてきたその音は、聞こえ終わるより先に灼熱の痛みを齎した。
痛い。痛みだ。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
捩じるように千切られた腕は少女の胸の中にあり、しかし少女はソレを食べることなく──反対の腕も引きちぎった。
「──!!」
痛みに思考が占有される。
死なない。死ぬわけにはいかない。大丈夫。耐えられる。大丈夫。
言い聞かせて、ようやく。
少女が僕の腕……肘から滴る血液を舐めたのが見えた。
「──はじ、めろ……!」
監視が切れている状態だ。
だから隠蔽を解いて出て来たアイツは、ソレを起動した。
光る。僕の腕の血液。血液が、ではなく──そこから漏れ出る燐光が。
燐光。チラつく光の粒。それは帯を為し、文字を為している。
文字──記号だ。僕らの使うソレとも、否、世界中のどこを探しても同じもののない、全く新しい──あるいはとてつもなく古い言語。
それは算式のような様相を以て、血液と、それを飲んだ少女の周囲に広がり続ける。
「右腕だけ戻せッ!」
ぐじゅるっ、と音がして、少女が腕の床に置いていた僕の右腕が雲散霧消した。同時、同じような水音を立てて僕の方から腕が生える。
慣れない感覚だ。でも、そんなことを言っていられる場合じゃない。
燐光の帯へ指を添える。
そして──書かれている式に、記号を書き足していく。
10年間。研究した。考え尽くした。
ずっとずっと、ずっとずっとずっと。ずっと考えた。
あの日、初めて見た燐光。その後
その法則性。文法性。文字の形。基準。
すべて。
「これで……ッ」
燐光が完全に消える瞬間。
書き終えた。書き切った。
燐光の帯が収束する。
彼女の体内へ──彼女の精神へ。
a──aa──aaaaaaaaaaaaaa!!!
絶叫。
響き渡った。この狭い腕の蕾の中で、鼓膜を完全に破る規模の絶叫が響く。ジッという音が耳でした。これは本当に破れたか。
彼女は三つ編みを振り回して、頭を抑える。僕の左腕は腕の床に落ち、そして雲散した。
じゅるるっ、と生えてくる腕。
「……なんで」
おかしい。
始まらない。僕が入力した式は、分離。
書き込んですぐに始まるはずだ。だというのに彼女は、髪を振り回して苦しむばかりで、何も。
「どういうこと……」
ガタガタと揺れる少女の瞳。
絶叫は止まらない。少女は、鳰は……大きく口を開いた。
そして、ウエッ、と。
何かを吐き出すような動作をする。吐き出されたもの。それは、ぐちゃぐちゃの細胞のような物質に変質した、血の塊。
同時、腕の蕾がパカッと開いた。
「ま──」
排出される。
蕾から。そして、空間から。
僕と、僕の槍と、蕾の外にいた桃井さんが。
不味いものを食べた、とでもいうかのように──吐き捨てられた。
浮遊感。
「ちょっと、上空とか聞いてない──ッ!」
桃井さんが僕の腰を掴むのを感じる。
失意。茫然自失。
絶対成功させるつもりだった。なのに。
右腕が、僕の意思とは関係なく動く。
親指の爪が人差し指の腹を切り、血を滲ませた。
僕を抱えたまま衝撃を殺すために森の樹木へと落ちようとしている桃井さんの口の方へ、血液を飛ばす。
一滴か二滴か、少量でも入っただろう。
「何、力が湧いて……」
ごめんなさい、と。
贖罪の言葉を心に吐き出す。
人の好意を操るなんて真似は、絶対にしたくなかった。身月さんの時だってそうだ。
けれど、仕方がない。
成功するまでは、目撃者を残しておくことは出来ない。
「……これなら。安心して──絶対、守る」
僕の血液を飲んで、身体能力の底上げがされたのだろう。
二人分の衝撃を枝葉を用いて完全に殺し、地面へと舞い降りた。
「ありがとう……ございます……」
「ん。惚れた?」
「あはは……」
先ほどまでとは明らかに態度の違う彼女に、やはり罪悪感が込み上げた。
「つまり
「はい……。
「ふむ。……それで、何故お前は桃井の膝の上に座っているんだ」
「ん、隊長嫉妬?」
テントへと戻った僕らは、ダミー……腕で建造されたもぬけの殻の寺院を攻略していた桜隊長たちに報告を行っていた。
自身の姿を別のところに隠し、ダミーを見せて敵を誘う、なんて知恵までつけ始めた事に恐ろしさを覚えつつも、報告を続ける。
ちなみに桃井さんが見た"事実"は口外しないようにお願いした。
快く頷いてくれた……頷いてしまった事に苦しさを覚えながらも、必要なことだと割り切る。
「テントの中で二人っきりで話していたら仲良くなりまして……」
「04の面々に知られるなよ、桃井」
「あ……病みの小隊」
闇の小隊? え、ウチってそんな暗殺者みたいな名前で呼ばれてるの?
というか何闇って。悪いことしてるみたいじゃないか……。
「一度消えた
「はい。彼女らは決して同じ場所には現れません。そもそも今回この場所に
「……なるほど、06と08が急行したから……もっと来ると思ったのか」
ものすごい速度でメモを書いている女性が、顎に手を当ててうんうんと唸る。この人が01の参謀らしく、桜隊長でさえ口を挟もうとしない。
でも人の事をペン先で差すのは如何なものかと思うよ。
「07の民と06、08の軍人の生存確率はどのくらいだと思う」
「ゼロですね」
「……そうか」
つまりは、そういうこと。
参謀の人はガリガリと後頭部を掻き、顔を顰める。
「……討伐は出来ず、救助も不可……撃退だけでも十分な成果とはいえ……こりゃ士気がダダ下がりだな」
「力になれず、申し訳ありません」
もしあそこで僕が"成功"していたとしても、食べられた人間が戻ってきていたわけではない。
食べられた時点で死は確定している。ただ一つの例外を除いて。
「別にお前のせいじゃあないし、誰のせいってわけでもない。しいて言えば
「そうだな。特に戻ってくるだろう
「ん。私が送り届けるよ、隊長。私、サブだし」
「……もう一人つける」
「えー」
僕の体をさわさわしていた手が止まる。
他の部隊の人だから、04のみんな相手みたいに強く言えないんだよね……。
二人っきりならともかく……いや、二人っきりだと余計に言うこと聞いてくれないかも。
「それじゃ各員、とりあえず後始末と、遺留品が残ってないだけ探してください。それぞれへの指示は別途だします」
あ、通信手としてはしっかりした言葉を使うんだ。
その辺鳴も見習ってほしいかも……たまに何語? ってなる時があるんだよね。
「じゃ、一緒に帰ろうね」
「あ、はい……」
顔をすりすりされながら。
僕は抱き上げられたまま、テントを出るのだった。
//未だ、条件を満たしません。
//ただちに脅威を取り除いてください。
ぐろうすと図鑑
ドナウ・ニクス / 千手寺観音
少女の姿をした
境内と周辺にたくさんの
女性名鑑
桃井 / モモイ
奪還部隊01所属サブ通信手。メイン通信手の出来が良すぎて比較されがち。けど本人はほとんど気にしていない。
最近好きな人ができたみたい。