なんか思てたんと違う   作:似非地球人

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//{主人公}の{特殊性}
{特殊性} = {攻撃性のものではありません}


3.太陽系を抜け出して

//開始

 この世界、性的倫理感はゆるゆるオブゆるゆるである。

 

 男は守るべきものである──同時に、女性の所有物である。あんまりもな言い草だが、真実、ホントウだ。

 対等さはどこにもない。そもとして守られるだけの男がそれに準じている事も起因しているのだけど、力関係があまりにも圧倒的で、且つ生命へ直結する絶対的なものであるから、女へ逆らおうと思う男がいないのである。

 

 無論集団のサガとでもいうべきか──自分の(守られている)立場(事実)を無視して、対等な人権を主張する集団もあるにはあるのだが、世界的に見て極一部、下火も下火なのが現実だ。

 その正誤、あるいは善悪は井戸端ででも議論してもらうとして、それが極一部──つまり、大多数の男が「女性が優位にある」と認識している事が性的倫理感を下げている。下げまくっている。

 

 僕のようにウェルカムウェルカムな男が全員だとは思わないけれど、「まぁ仕方ないかな」くらいの気持ちの男がわんさか山盛りいるわけである。

 妊娠のリスクとか、大変さだとかが変わったわけではないからね。男が失うモノ、男が負うリスクが少なすぎるのが、現状の要因を担う一端なのだ。

 

 その上で女性の方が力強く、立場的に上で、生物的にも上位であるから先日の僕みたいな事が起こる。

 

 あそこで走雷が僕を襲おうとしていたのは、なにもそのまま、という事ではない。

 「今ヤらなくても、飼いならしておけばいずれ手に入る」という話。下世話な事だけどね。

 軍人なんて身で、すぐそこに死の危険が迫っているからこそ──獲物にはいち早くマーキングしたいってワケ。

 

 この世界の男はすぐに求婚をOKする、っていうのも付け足しておこうかな。

 全員が全員、好かれるってワケじゃあないからね。

 

 

 

 そんなワケで、民間人よりよっぽど女所帯の軍はアアイウ事が頻繁に起こるのだ。

 そして必ずと言っていいほど阻止(邪魔)が入る。相互監視状態だから。同じ部隊のメンバーだ、仲は良い。でもソレとコレは話が別。そんな感じ。

 

 走雷の謹慎があまりにも短いのもそういう理由。有り触れたことは軽く見られがち。僕がそれでいいって言ったのが大きいんだけどね。

 

 こういう世界だから、走雷の謹慎が解けた後も気まずい空気になることはなかった。気まずさとは無縁。僕はそもそもこういう性格だし、隊長はカリカリしてたけど2日経てば機嫌も収まっていたしで、特に問題なし。ノー問題モーマンタイ。

 槍の練習相手はさすがに変えられたけど。

 

 

 

 

 さて、奪還部隊の仕事に焦点を合わせよう。

 

 本部の下には先も言ったように観測部や測量部なんかの部隊があり、奪還部もその中の一つ。

 その奪還部も本部所属の奪還部と地域所属の奪還部があって、僕らは地域側。

 さらに地域所属の奪還部が01から09まで分けられていて、各隊には最低一つの区画が分け与えられている。ちょっと外国寄りの言い方をすれば、領地に近いかな。

 守り、治めなければならない土地。一つ目こそ本部から与えられた土地だけど、そこからは自分たちで奪還していくのが規則。化生(Ghrowhst)を完全に殲滅し、安住と言えるまで整えて初めて「奪還」と言える。整えるのは僕らの仕事ではないけどね。

 

 自らの区画じゃ商業施設は基本的に優待だし、民間の人からも歓迎されている。まぁ、こっちの態度が悪かったり権力でどうのこうのしたら真っ先に笠雨さん*1に報告・通報が行くからこそ保てている"リョウコウなカンケイ"かもしれないけれど。

 

 そんな領地を守るのが、第一の仕事。化生(グロウスト)にとっては区画も何も関係ないからね。男がいなければ女を食う奴らから守る。大事な仕事だ。

 ただし、これはメインじゃない。哨戒部隊と防衛部隊っていう警戒専門と守護専門部隊が控えているから、あくまで「お前らも見つけたらやれよ」的な仕事であって、メインじゃあない。*2

 

 さっきも言った通り、メインは奪還だ。

 積極的に外に出て、探し、殺し、殲滅し、制圧する。それが仕事。

 だから奪還部隊は外にいて当たり前で、出撃しているのが普通なのだ。

 

 なのだ。

 

 

 

 なのだが。

 

 

 

「ねぇ、(はやて)クン。守ってもらっておいてなんなんだけど……こんなトコにいてイイの?」

 

「良い質問だねママ。真昼間からスナックに入り浸る軍人を前にしてすごくいい質問だ」

 

「お酒飲まないクセに、入り浸るも何もないけどねぇ。で、いいの?」

 

「うん。僕も戦場に行きたいのはヤマヤマなんだけど、おっかない(オペレーター)がいてね。今日の敵は隼にゃあ危険すぎる! とか言って、離してくれなかったのサ。おかげで置いてけぼりを食らった僕は、こうしてママの所で美味しいゼリーを頬張っているところだよ」

 

 というワケである。

 化生(Ghrowhst)にもいろいろな種類がいて、こないだ戦った大百足(ワーム)なんかは虫種(Bugs)。あの個体こそ非常に強い部類であったけれど、基本的には群れなければ強くない敵だ。あれの下位種であれば、僕でも倒せるからね。

 逆に鍼燕(ピロメラー)みたいな鳥種(Birds)は全体的に強い傾向にある。まず空を飛べるというアドバンテージに、非常に好戦的。攻撃手段も豊富で、急襲が得意。種類も個体も相当数いて、対策が大変。

 挙げるにキリがないけど、非常に厄介なのだ。鍼燕(ピロメラー)は鳥種の中でも最弱らしいんだけど。

 

 で、今回の敵は獣種(Beasts)。コイツらは全部が全部、ヤバい。中でも白徳利(トシュカトル)とかいう化け狸で、(守護対象)を連れていく余裕がないんだとか。狸程度なんだよ、なんて思ってはいたけれど、映像資料を見せられて少なからず驚いたよね。

 充満する煙。その中で、煙管を持つ腹の出た狸──体高、多分7、8m。

 この煙は男が吸うとモノの数秒で意識が落ちるらしく、女でもずっと中にいるのはキツいのだとか。

 

 状態異常系かぁ、無理だなぁ。ってことで、お留守番に渋々頷いて今現在。

 

「おかわり、いるぅ?」

 

「うん、ちょうだい」

 

「んふ~、言うと思ってたから、もう用意してあるわ」

 

 区画の一角、スナック(ヒビキ)

 こういうお店は基本的に男がやるのが常識なこの世界で、ようやく見つけた"普通のスナック"。

 ほとんど僕以外が来ないためゆったりとした時間の流れるここは、僕のお気に入りの場所である。

 

 一階に弟さんのやっているスナック(キョウ)があり、8割方弟さんの好意で成り立っている店なのだとか。この世界になってから僕が凄まじい額を落としているけれど、売り上げで敵うはずもない。

 それでも優しく迎え入れてくれるママは僕の心の癒しである。

 

「   ……あと少しねぇ」

「いつも思うけれど、本当、美味しそうに食べるわね。そこまで高いものじゃないんだけど」

 

「値段は知らないけど、本当に美味しいからね。ママの愛情が籠ってるって感じがする」

 

「……そうかしら」

 

 うん。心がポカポカするもの。冷たいゼリーなのに。

 

 頷きながら、僕はおかわり十二皿目を──。

 

「ん……」

 

「あら……また?」

 

 頼もうとした寸前で、警報を聞いてしまった。

 

 警報。

 チラっと窓の外を見れば、黄色と緑色の煙が東の空に上がっているのが見えた。

 

「うーん、最近多いね。あ、これお代ね」

 

「……気を付けてね?」

 

「大丈夫大丈夫。これでも奪還部隊だからね」

 

 襲撃だ。区画への侵入──正確には、その兆候アリ。侵入されたんなら、赤色が上がるはずだからね。

 そして緑色だから、危険性もかなり低い。

 

 それでも上げるのは万が一を考えて。規則だから、っていうのもあるけどね。

 哨戒部隊は基本二人行動のはずだから、人数的な問題があるのかもしれない。

 

 ともかく防衛部隊が駆けつけるまで、真実微力ながら力添えをしますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「数が、多い!」

 

「信号は上げたのか!?」

 

「さっき上げたでしょ、見てなかったの!?」

 

「余裕がなくてな!!」

 

 大柄なナイフを持った女。金属の弓を持つ女。

 その二人を囲む、数十匹の蜘蛛。体高は1m程。何匹かは二人を無視して区画の方へ這って行くも、ギリリと絞られた弓から放たれる矢によって絶命していく。

 

 弓を持つ女性に近づく蜘蛛は、ナイフを持つ女性が。

 だが、その迎撃の手は少しずつ足りなくなっていく。

 

「こいつら、幼体か!」

 

「どこかに巣があるのだろうけど、探してる余裕はないわ!」

 

「わかってる!」

 

 化生(Ghrowhst)にしては小さな蜘蛛。

 それは当然だ。これらはすべて、今生まれたばかりの幼体。幼き大絡新(アラクネー)

 どこかに卵を産み付けられた化生(Ghrowhst)の死骸があるのだろう、それを巣として、地上に這い出てきている。

 その大本を叩かなければこの大津波は終わることなく、しかしここを離れるわけにはいかない。

 

 せめて防衛部隊の到着を待ち、ここを完全に任せてからでなければ。

 

「マズいな。群れの全体が私達から興味を無くし始めている」

 

「通りで忙しいと思ったわ! どうする気!?」

 

「祈るしかないだろう。ああ神よ、地獄に堕ちろ」

 

 ここで二人の女を食らうのと、向こうにいる沢山の人間、そして男を食らうの。

 どちらが"好み"か、など。

 

 わかり切っていることだ。

 

 最前の蜘蛛が、区画を囲う防壁に辿り着く。その一匹を射抜いても、その後ろから来た二匹が。さらに、さらに、さらに、さらに!

 防壁に巡らされた鉄棘に蜘蛛が刺されども、その死骸の上を這って後続の蜘蛛が区画へ侵入する──。

 

 

「とうッ!」

 

 

 しなかった。

 

 どころか、区画内から飛び出したナニカに向かって全ての蜘蛛が殺到し始めたではないか。

 それはまるで、磁石に吸い付く砂鉄のように。完全に区画内への興味を無くしたのだろう、その飛び出したモノへ向かって我先にと兄弟姉妹を蹴落としあって進む大絡新(アラクネー)の幼体。

 

 何事か、なんて思わない。

 ことこの区画を担う04の者であれば、だれもが一度は目にしたことのある光景だろうから。

 

「あンのッ……馬鹿が!」

 

「助かるけど、助からないわね!」

 

「あれー!? 僕歓迎されてませんかね──ッ!?」

 

 稲穂隼。

 

 男だというのに奪還部隊に所属し、その最前線で戦う規格外の存在。

 規格外と言っても決していい意味ではなく、危なっかしくて仕方ないというのが満場一致の感想である男。

 

 男だ。

 

 だから、化生(Ghrowhst)は引き寄せられた。

 好物が自分からやってきたのだ。それを逃す奴らではない。

 

「ほら! 僕はここでずっと逃げ回ってるんで、巣を!」

 

「ッ、置いていけというのか!? 私達に! 男を一人にして!」

 

「もうすぐ防衛部隊が来るわ! 貴方が奴らを引き付けてくれるなら、それまで戦う事だって出来る!」

 

「え、いや、効率の問題的に……」

 

「馬鹿にするなよ、男の分際で!」

 

 巣を潰さない限り、際限なく増えるだろう幼体。

 今でさえギリギリの状態で逃げ回っているというのに何を言っているのか。

 

「いやいやいや! ほら! 僕だってこいつら倒せますから! 問題ないですって!」

 

 言うや否や、振り向き、槍を構える隼。

 引き絞られる弓。隼が槍を突き出す──のより断然早く、その足にねばつく糸が絡まった。

 

「うぇ」

 

「そこ!」

 

 糸を断ち切る矢。

 足を取られ、転びそうになった隼に覆い被さらんとする蜘蛛。

 

「だから引っ込んでいろと言っているんだ!」

 

 その蜘蛛を、二筋の閃きが切り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは足手纏いですね。

 

 なんとか立ち直って、弓の女性に指示される通りの場所に移動し続ける事10分。

 ゲームで言うならオーダー、遊撃、タゲ取りという、そこそこまともなパーティとして機能し始めたと言えるだろう。最もタゲ取りがタンクではないから、遊撃とオーダーがかなり忙しい様子なのだが。

 

 でもこれ悪いの僕だけじゃないよ。

 この規模の襲撃なら、煙の色は万一を考えても侵入の赤、危険度は青くらいあってもいいはずだもの。

 

 なんて責任の押し付けは後でするとして、ナイフの女性と弓の女性に助けられながら逃げ回っている現在。ヘイト稼ぎとしては超絶優秀だからね。役目は果たせているはずだ。

 

「っと、危ないな!」

 

 横合いから飛んできた糸に槍を叩きつける。

 巻き取るためのものだ、ねばついてはいるが、槍のコーティング剤が粘着きを許さない。

 人体に有害でなければ体に塗りたくりたいコーティング剤である。

 

 防衛部隊が遅い。

 何かあったのだろうか。10分も来ないなんて、そうあることではないのだけど。

 

「ん……?」

 

 槍を地面に突き刺して、柄を蹴って跳躍。槍の柄についた鎖を引いてこれを回収し、樹上へと移動する。

 その傍らに見えた北の空。

 

「北北西に警戒信号──黄色と、黒!?」

 

「なんですって!?」

 

「くそ、だからか!」

 

 ナイフの女性が悪態を吐く。

 

 黒。危険度、MAX。

 今奪還部隊のみんなが討伐しに行っている白徳利(トシュカトル)クラスの化生(Ghrowhst)が近くにいるというのだ。

 

 おそらく防衛部隊はすべてそちらに割かれていて、黄色と緑のこちらは後回しにされている。

 

「と、いうワケですお二人さん」

 

「何がよ!」

 

「いえ、ですから」

 

 今なお幼体が湧き出し続けている森の方を指さして。

 

 木を登ってきた蜘蛛の頭を潰し蹴りながら、言う。

 

「巣、叩いてきてください。ここは僕が担います」

 

 言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全く。

 

「説得するだけで、一苦労だ。君たちもそう思わないかい?」

 

 キシャイキシャイと、生物とは思えない音を立てる幼体に話しかける。

 当然、返事はない。こちらに意思があると思っているのかも怪しければ、奴らに意思があるのかさえ怪しい。だから、これは独り言だ。

 

「まぁ、そうはしゃがないで欲しいなぁ。()()()()()()()()()()()()

 

 言葉通り。

 

 僕は、槍を手放して。

 

 全身を糸に拘束され──全身を蜘蛛共に埋め尽くされていた。

 正直キモチワルイけど。大きいから逆に気持ち悪くないまである。

 

「大丈夫、大丈夫。()()()()()()()()()()()()()

 

 啄まれる。

 蜘蛛の口って、こんな風になっていたんだね。なんて感想が脳裏を過る。

 もう腕がなかった。

 

 化生(Ghrowhst)がなぜ人間だけを食べるのか。それはわかっていない。果たしてこいつらは満腹になるのか。それすらもわかっていない。

 ただ人間を食べる。男を好む。それだけだ。

 腕がなくなった。

 

 譲り合う、とかいう素振りはない。なんなら今食べている兄弟姉妹の頭を潰してまで餌にありつかんとするその姿勢に知性のカケラも見受けられないけれど、反面人体のどこを拘束したら動けなくなるのかを熟知しているのか、幼体の癖に完璧に僕を抑え込んでいる。

 

 ()()()()()()()

 

 足がなくなった。足が食べられた。()()()()()()()()()()()()()()

 

「はたしテ、キミタチに、知性があるのか、ないのカ」

 

 顔の所々に"穴"があるから、発音がおかしい。

 

 いや──僕のすべてがおかしい事に。

 

 蜘蛛たちも、気付いたらしい。

 ただ食欲だけに突き動かされる存在ではないことがわかったかな。別に、それをどうしようということはないけれど。

 

「おや、どうしたんだ。君たち。僕を食べたいんだろ?」

 

 得体の知れないモノでも見るかのように、最前列の蜘蛛が後退りを始めたではないか。

 それを踏み潰すようにして、後列で今か今かと待ち構えていた蜘蛛たちがまた殺到を始める。

 

「そぉら、()()()()()()()()?」

 

 食われるたびに。

 

 なくなるたびに。

 

 ()()()()()()()()()()()()()

 

「もう、お腹いっぱいなのかなぁ?」

 

 あの二人が巣を潰したのかもしれない。

 

 とうとう、この場にいる大絡新(アラクネー)の幼体は、全個体が。

 僕を遠巻きに囲うようにして、しかし区画の方へ向かうでもなく、沈黙した。

 

 絶命したわけではない。

 ただ、体を重そうに、動けないでいる。

 

「うーむ、こっちはこっちで動けないしなー」

 

 絡みついた糸のすべてが外れたわけではなく、槍も遠いところへ捨てられてしまっているのでどうしようもない。

 膠着状態である。

 

 まぁ、疲れたし。

 眠らせてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全速力だった。二人とも、が。

 

 緊急事態である事。防衛部隊を待っていても、来ないだろうこと。

 自分たちが最善を尽くし、早く戻ってくればいい。立ち向かいさえしなければ、逃げることはできるかもしれない。

 希望的観測と無理やりの楽観視。自身への言い訳。

 

 その他諸々を苦渋と共に飲み込んで、巣を叩いた。

 

 発見は簡単だ。蜘蛛たちを遡ればいい。

 殲滅も簡単だ。守る対象がないのなら、奪還部隊でなくとも十分な攻撃力を二人は持っていた。

 

 速さが必要だったから、多少の環境破壊はしてしまったが、それでも最善を尽くしたといえるだろう。

 

 帰り道、道すがらに蜘蛛をバックアタックしながら、辿り着いたその先で──。

 

 

 顎を、落としかけた。

 

「……これはどういう状況だと思う?」

 

「ふむ。まず、大絡新(アラクネー)の幼体が苦しんでいるな。死んではいないが、毒か、傷か……何らかの要因で動けなくなっている。今のうちに処理するべきだろう」

 

「ええ、そうね。じゃあ真ん中にいるのは?」

 

「男だな。……半裸の男だ。奪還の、あー……稲穂だったか。アイツで間違いはないだろう。胸が上下しているから、死んではいないようだ」

 

「何見てんのよ」

 

「は? ……ちがっ! そういう意図はないぞ!? 私は今の状況を言葉にしただけだ!」

 

「わかってるわよ。……目の毒ね」

 

 平和、というには流石に脅威が近すぎたが、少なくとも静まりかえっているとはいえるだろう。

 

 全身に糸を巻き付けられた、ほぼ全裸の男。足の付け根や肩といった関節部分に糸がまかれているためか、より一層背徳感が増しているような気がしないでもないのだが、まずは化生(Ghrowhst)だ。

 

 チラチラと目の端に映る()()を、相方に見咎められないようにしながら観察しつつ、動かない化生(Ghrowhst)を全滅させる──おそらく、生涯で最も気の散った殲滅であったと言えるだろう。

 

 

 

 

 

「流石に裸の彼を連れて行くのは……犯罪者扱いされそうじゃない?」

 

「うむ……しかし男物のインナースーツなど……」

 

「とりあえず糸をほどいて……ゎ」

 

「……」

 

「とりあえず! とりあえずコートを着せましょう。あとは奪還の通信手の所にでも届けて、ちゃんと事情を説明しましょ?」

 

「裸にロングコートか……ふむ」

 

「いちいち言葉にするなッ!」

 

 

 

//終了

*1
本部との連携役の人

*2
ちなみに割り振られた哨戒・防衛部隊はどちらも第04部隊だよ




増えるワカメ?
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