仗助の双子の姉がいたらというもしも、パート2  第二部『戦闘潮流』へ   作:蜜柑ブタ

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戦車戦。


シーザーと仗助がいるので、メッチャ悩みながら書きました。


展開は原作と同じ部分もありますが、大半は違うと思います。(スレッジハンマーと、ボウガンなど武器の出るところとかは同じ)


長めです。


戦車戦

 ミナミ、ジョセフ、シーザーは、15キロ先にあるサークルストーンの遺跡についた。

 ジョセフがカーズ達に見せつけるように、エイジャの赤石を掲げ、そこにマッチの火を浴びせる。するとその光を吸収・増幅したエイジャの赤石からレーザーのような強力な光が出た。

 カーズは、それを見て笑う。本物だと確信したのだ。

 そして、リサリサと仗助が来て、ジョセフは、リサリサにエイジャの赤石を渡すと同時に、写真アルバムを見せた。

「……見たのですね。」

「ああ。」

「この写真を見たということは、話さなければならないようですね。いや…、戦いの前に話そうと思っていたわ。」

「リサリサ先生…あんた…。」

「50年前……。エリナさんは、大西洋の船上で夫のジョナサン・ジョースターを失った。あなたのお爺さんを…。その時、エリナさんは、ひとりの女の赤ちゃんの命を救った。その写真の赤ちゃんは私です。」

「…ミナミが、そうじゃないかって言ってたからよ…。まさかとは思ったが…。本当にか?」

「ミナミの予想は当たってったことですか、先生。」

「だって、目元と鼻筋が…。」

「続けます。当時、エリナさんに救われた私ですが…、エリナさんは身籠もっていた。そのため、ストレイツォに育てられたのです。」

「ストレイツォに!?」

「私が波紋を身につけたのは、ストレイツォから。そしてエイジャの赤石を受け継いだのも…。ストレイツォが、老いを気にして、カーズが作りし石仮面の狂気に走ったのは残念でなりません。ジョジョ…、そしてそのストレイツォがあなたに倒されたのは…、複雑な気持ちがしますけど、仕方がない、運命だったのでしょう。」

 

「なあ、姉ちゃん…。」

「いや…ここまで話したら、本人に察してもらわないと…。」

 

「おい、そこの双子ちゃん、なにヒソヒソしてるんだよん?」

「いえいえ、なんでもないです!」

「いやいや、ホント、マジで奇妙な運命だな~って思って…。」

「……ええ。実に奇妙な巡り合わせね。」

 

 

「そろそろ決闘を開始する!」

 

 

「どうやら、話はおしまいのようよ。」

 カーズの合図を受けた吸血鬼達が、決闘場の準備を始めた。

 サークルストーンの中央に巨大な炎が立ち上がる。

 満月の月の光と、その炎の光に照らされ、サークルストーンの遺跡が明るく照らされた。

 

 そして、なにやら、地響きが近づいてくる。

 

「なになになになに!?」

「なんか来る!」

 地響きは近づいてきて、それは、巨大な足音となって耳に響き始める。

 

 それは…、馬だった。

 巨大な。

 

「馬!? デカ過ぎね!?」

 あまりの迫力。そして吸血鬼さえも踏み潰していく様は…、もはや怪獣だ。

 ワムウとカーズの所に突っ込もうとしたその馬を、ワムウがひと睨みして、大人しくさせた。

「うむ、いい戦車馬だ。」

「この馬の脳には、石仮面の骨針(こつしん)を打ち込んであり、『吸血馬(きゅうけつば)』としてある。今より、この闘技場で…、ワムウとの戦い! 古式に則った『戦車戦』を実施する!」

「戦車戦!?」

 カーズの宣言により、観客でもある吸血鬼達が、沸き立つ。

 ワムウワムウと、声援をあげる。

 

「この戦車に乗り! この闘技場を戦いながら走り続ける! ワムウ様か、貴様ら! どちらがか振り落とされ、相手の戦車に踏み潰されるか! あるいは、走りの途中で叩きのめされるか! ゴールは“死”のみ!!」

 

 吸血鬼のひとりが戦いのルールを説明。

 

「質問。この戦いのゴールが、死、だけなら、戦車がどうなろうと関係なし?」

「その通り!」

「場合によって、どっちの戦車もダメになって、降りて戦いになってもってのも、あり?」

「その通り!」

「だってさ。」

 質問をしたミナミがジョセフ達の方を見る。

「ちょい待ち! 吸血馬だぁ!? それだとお前らの方の側の部下じゃねぇのか!? そこんところは!」

「心配するな。手綱には波紋が流れるようにしてある。ワムウは、パワーで馬を操るが…、お前達は波紋で操ればいい。」

 カーズがそう答えた。

「なるほど…。」

 シーザーが自分達の方へ来た吸血馬の手綱を掴み、そして波紋を流して大人しくさせた。

「問題ないぜ、軽い波紋で操れる。」

「そっか。で、どうするよ? 仗助は除外として、俺か、シーザー、どっちかが馬を操る必要があるぜ?」

「俺が馬を操る。体格と攻撃の多彩さじゃ、お前の方が上だ。」

「よっしゃ。で、仗助は、場合によっちゃ戦車の修理もしながら、スタンド…ってので、攻撃と回復を頼むぜ。」

「はいっす。」

「……勝つぜ。ミナミが命がけで勝ち取った決闘の条件だ。勝つ以外にないぜ!」

 ジョセフ達は、拳を合わせ、勝利を誓った。

 

 

「では、戦車戦を開始する! スタートの合図は…、あの雲の切れ目から、次に再び月の光が輝き出てきた時とする!!」

 

 

 カーズの宣言により、観客の吸血鬼達が、ワーワー!とか、ワムウコールを送る。

 スタート位置に、二つの戦車が並ぶ。

 一方はワムウがひとり。一方は、ジョセフ、シーザー、仗助を乗せている。

「ところでよぉ、ここ一周何メートルだ?」

「言う必要はない。なぜなら、貴様らは1周とせず、ワムウ様に潰されるのだからな。」

「チッ。ケーチ。」

「1周は960メートルだ。1分で一周できるだろう。」

 吸血鬼の代わりに、ワムウが答えた。

「ってことは…、時速60キロか…。」

「それともうひとつ教えておく。」

 するとワムウがこの戦いにおけるもうひとつのルールを教えてくれた。

 それは、第一コーナーにある柱から武器がぶら下げられ、それを使い相手を攻撃するというものだ。もっとも武器は周回ごとに一つしかないため、どちらかがたどり着いて取るしかないとのことだ。

 そして、柱から武器を吊るす係の吸血鬼が柱に登って武器を吊るした。

「第一の武器は…、大型スレッジハンマー!」

「うお! いきなり大物だぜ!」

「ジョジョ、分かってるだろうな?」

「ああ、言われなくても。あれを取って、油を塗れば、波紋が通りやすくなって圧倒的にこっちの有利だぜ。」

「……お前達が、素晴らしい健闘(ナイスファイト)をしてくれることを期待している。」

「へん。楽しんでるな、ワムウ。」

「フフフ…、これほど胸が躍る戦いは、数千年ぶりでな。」

「そうかよ…。仗助。車輪の周りの石をどかそうぜ。」

「えっ?」

「発進の邪魔になるといけねぇだろ?」

「わ、分かりました…。」

 二人は戦車から一旦降りて、手分けして周りの石をどけた。

「ワムウ、おまえはいいのか?」

「ジョジョ、仗助! もうすぐ月が出ます!」

「分かってるって! 行くぞ仗助!」

「はいっす!」

 二人は急いで飛び乗った。

 直後、月の光と共にスタートの合図が放たれた。

 

 が……。

 

「うおぉ!?」

 ワムウの戦車が発進寸前で止まった。

「ああ! 車輪の下にサークルストーンの石が!!」

 それは、ジョセフが仕掛けた罠だった。

「うぬぅ、おのれ…、全員が月の光を固唾をのんで見上げている隙に、足下であんな小細工を!」

「キタネー、野郎だぜ!」

「へへーんだ! 先にも言ったがよぉ! 俺らが対等に戦えると思うなよ!?」

 ギャーギャーワーワーブーブーと声を上げる観客の吸血鬼達に、ジョセフがベロベロと舌を出した。

「やるとは思ったが…。」

「すげぇっすね、ここまで来ると…。」

「おい、シーザー! しっかり馬の操縦頼むぜ!」

 

「ハア!」

 

 やがてワムウが強引に吸血馬のパワーで車輪を邪魔している石を吹っ飛ばしながら発進した。

 

「おお! さすがだぜ、ワムウ! けど距離は30メートルは差はつけたぜ!」

「ジョセフさん、もうすぐコーナーにさしかかるっす!」

「おう! 握々してやるぜ!」

 ニヤついているジョセフが、戦車から身を乗り出して、手を伸ばす。

 そして第1コーナーの柱にある大型スレッジハンマーを掴んで…。

「うおおお!?」

 戦車のスピードと大型スレッジハンマーの重さに腕ごと身体を持ってかれそうになる。そしてその手から大型スレッジハンマーが離れそうになった時、仗助は咄嗟にクレイジー・ダイヤモンドを出して、大型スレッジハンマーを掴むのを手伝った。

「あ、あぶねーー! 仗助か?」

「はいっす。その武器、ホントに振れるんっすか!?」

「やっるっきゃねえのさ!」

 手にしたスレッジハンマーに、油を塗り、ジョセフは、後ろに迫ってくるワムウを見る。

 しかし、ワムウは、笑っていた。

「!」

「そのハンマーはくれてやる。最初からそのつもりだったからな。」

「なにぃ!?」

「貴様がハンマーを手にすれば…、俺は…。」

 すると、ワムウが腕を伸ばし、ラリアットするように柱を破壊した。

 そしてその柱を片手で掴み、持ち上げた。

「ゲゲッ!? そう来るか!」

 

「フフフフ! この戦い、あくまでスピードではなく、いかに相手を馬や武器を利用して戦うか、そこに駆け引きがある。」

 

「ま、負けたぜ…、スケールでな。」

「ジョジョ! 気負けするな!」

「来るっす!」

「遅い!」

 次の瞬間、ジョセフがハンマーを振るよりも早く、それよりも太く大きな柱をワムウがジョセフ達の戦車に向かって振り下ろした。

「これで…、戦車を飛び降りざるおえなくな…、っ!」

「残念でした! お前らが対等に戦えるだなんて思うなっての!」

 潰され一旦仗助を抱えて飛び上がったジョセフとシーザーは、潰れながら、だが砕けた柱もろとも仗助のクレイジー・ダイヤモンドで修復されていく戦車に再び降りた。

「うぉ!」

 柱が、戻る力により、本来の位置に向かってワムウの方に移動する。

 ゴガンッ!と片側の吸血馬の頭に当たり、戦車がぐらつく。

 

「しまった…! あちらには、あらゆるモノを直せる仗助がいたのだった!」

 

「そういうこと。」

 リサリサの隣にいるミナミが、クスクスと笑った。

 

「ジョジョ! スピードを落とすぞ!」

「あいよぉ!」

 シーザーの操作により吸血馬がスピードを落とし、一頭の吸血馬がグラグラしているため戦車も蛇行しているワムウに近づける。

「行くぜぇぇぇええ!!」

 波紋を伝導させたスレッジハンマーをジョセフが振りかぶった。

「……つくづく…驚かさせるぞ、その力…。しかし…。」

「おおおおおおお!」

 ジョセフがワムウに向かってスレッジハンマーを振り下ろす。

 直後、ワムウが消えた。

「!」

 ジョセフがそれに気づいて一瞬攻撃を躊躇した直後、並行に並んだ吸血馬からワムウの手が飛び出し、石のかけらを仗助とジョセフ達の吸血馬に投げつけた。

「ドラァ!」

 仗助は、冷静にそれをクレイジー・ダイヤモンドで弾く。

「! シーザー、スピードを!」

 

「必殺流法! 神砂嵐!!」

 

 ニュッと吸血馬から出てきたワムウの両腕から放たれる、完全な形の必殺の攻撃が放たれる。

 圧倒的な破壊の風が、スピードが落ちているジョセフ達の戦車を襲う。

「ドラララララ!」

「仗助!?」

「風の軌道を戻すっす! こちらとら、発射されるエネルギーを戻せるんすから、それくらい…。」

「もとより…ソレが狙いよ。」

「なっ…!?」

 次の瞬間、飛んできたのは、尖った岩の欠片、それが仗助の顔めがけて飛んできてため、仗助は咄嗟に手でそれを防ぐが、手を貫通する。そして、その手は、そのまま岩によって戦車に縫い付けられた。

「ぐあああああ!」

「仗助!」

「手を封じてしまえば、直せまい!」

「まさか必殺の流法をフリに使うとは!?」

 

「2週目の武器は…、鉄球のボーガン!!」

 

 そして、そのボウガンは、大きい方と小さい方の二つあった。

「ジョジョー! 次の武器を!!」

 仗助の負傷に汗をかくシーザーだが、馬の操縦をしながら叫ぶ。

 ジョセフは、仗助の手を貫通している岩を取ろうとして止まり、武器を取ることに専念した。

「どっちを取るかだって? 決まってんだろ! 大きい方だぜ!」

 ジョセフは、大きい方のボウガンを掴んで取った。

 照準をワムウの方に定め、弓を引こうとしたが……。

「ぐっ! う、動かねぇ!」

 

「クククク…! 欲張りぃーーーー! 普通のボウガンでも滑車を使って弦を引っ張るほど強いのによぉーーー! ましてや特別製のアイアンボールボウガンの大きい方を選んじまうとは、欲張り者は損をするとはこのことよーーー!!」

 

「この馬鹿! おまえイソップ物語知らねぇのか!?」

「知ってるつーの! けど、普通に考えりゃでっかい方が有利って思うだろうが!」

「喧嘩…してる場合じゃ…。」

「ハッ!」

 見ると、小さい方を取ったワムウが、戦車からこちらに照準を合わせていた。

 そしてワムウの怪力で引かれた弦により、発射された弾丸にも等しいスピードの鉄球が…、仗助を狙った。

「させるか!」

 仗助を守るためにスレッジハンマーを盾にして鉄球を弾くが、その鉄球は、前にいるシーザーの頭上を過ぎ、ジョセフ達の吸血馬の一頭の頭を貫き砕いた。

「しまったぁ!!」

 シーザーは、シャボンカッターで咄嗟に頭を潰された一頭を切り離し、もう一頭だけの力で戦車を引かせる。

「ぐっ…く…!」

 ジョセフは、必死に弦を引こうとしている。だがびくともしない。

「俺も…手伝うっす!」

「馬鹿野郎、お前、手…。」

「スタンドで掴むっすよ。穴は空いちまったが…、スタンドのパワーなら…。」

「…仗助、せーので行くぞ。」

「はい!」

 仗助は、クレイジー・ダイヤモンドを出し、ジョセフが手にしている大型ボウガンの弦を掴む。

「…いけそうっす。」

 クレイジー・ダイヤモンドのパワーにより、キリキリとゆっくりと弦が引かれる。

「せーの!」

 ジョセフの合図と共に、引かれたボウガンから大型の鉄球が放たれた。

 それをワムウは、小さめのボウガンの鉄球を発射し、軌道を逸らす。

「外したーー! ギャハハハハ!」

 観客の吸血鬼達が笑う。

「ヴァーーカ。計算尽くだよ~ん。」

「ハッ!?」

 外れた軌道には、シャボン玉があった。

 そして鉄球が振れた瞬間、波紋を含めているシャボン玉が爆発するように破裂し、大型鉄球が弾かれ、ワムウの頭部に命中した。

「ぐ、ぉ!」

「き、キタネー! 騎手が手を出すなんて!」

「シーザーちゃんをただの騎手だなんて思ってたのは、そっちだろぉん? 俺ら三人がワムウと戦うってことになってたはずだぜ!」

 ブーイングを上げる吸血鬼達に、ジョセフが中指を当てて挑発する。

 ワムウは、頭を押さえ、戦車の上で片膝をつく。

「もう一丁!」

「はいっす!」

 ジョセフと仗助により弾を再装填され、弦を引かれた大型ボウガンが狙いを定めようとして…。

 すでに発射されていたワムウのボウガンの鉄球が迫っていた。

「うぉお!?」

 咄嗟に身をのけぞらせジョセフが避けると同時に、最後の1頭であった吸血馬の頭部を鉄球が貫いた。

 すべての吸血馬を失い、急激に失速した戦車が前に倒れ、ジョセフ達が跳ね飛ばされる。

 仗助の手は、その際に抜けたが、三人は、むき出しの石の上に投げ出された。

 

「先ほどの…、失態は…なまじっか“視力”に頼ったからだ…。ならば…。」

 

「…ワムウ。」

「なにを!?」

 

 次の瞬間、ワムウは、両の目を自ら指で潰していた。

 そして、額から、太いドリルのような角を出した。

「これからは、この角で、風を感じ! 貴様らを仕留める!」

「まさか、そんな…!」

「ジョジョ、来るぞ!」

「仗助! 俺の背中に!」

「!」

「シーザー!」

「おう!」

 ジョセフが叫ぶと同時に、仗助はジョセフの背中にしがみついた。

 迫ってきたワムウの吸血馬をつなげている馬具に、ジョセフがスレッジハンマーを引っかけ、それを横からシーザーも掴み、同じ動きでハンマーを軸にして回転させ、同時に吸血馬に乗った。

「へへーん、ナーイスよ、シーザーちゃん! 俺の考えにようやくついてくるようになったね。」

「うるせぇ!」

「接近したことを…後悔しろ!」

「シャボンランチャー!」

 四方八方に飛ばされたシーザーの波紋のシャボン玉。

 だが、それをワムウは、持っているボウガンの砲身ですべて割った。

「視界を封じた、この俺に死角などない!」

「ドララララ!」

 仗助がジョセフにしがみついたまま、クレイジー・ダイヤモンドの拳のラッシュを放つ。

 それをワムウは、片手でいなす。

「そ、そんな!」

「見えぬからこそ! 感じたぞ! その力! ジョースケ貴様の背後にある力を!」

「…けど、俺の力を忘れてるぜ。ワムウさん。」

「! ハッ!?」

 ワムウの目が治る。

 そしてつい開いてしまったまぶたの下の目が捉えたのは、眼前で大型のボウガンの鉄球を発射する直後のジョセフだった。

「神砂…!」

「その腕じゃ、遅いぜ!!」

「!」

 先ほど仗助の攻撃をいなした腕が、僅かに変形していた。その腕は、仗助によって変形させられたのを治した方で、仗助が変形状態の時の状態に少しだけ“戻した”のだ。

 それを見て、遺跡での恐怖を思い出してしまったワムウの動きが鈍る。

 そして発射された、大型のボウガンの鉄球が、ワムウの胸部に大穴を空けた。

 波紋の力を帯びた鉄球による攻撃で、ワムウは、大穴が空いた身体を戦車から落下させた。

「こ…、このワムウが…、1万と2千年以上もの間生き続けてきたこの身が…。」

 

 

「生物ってのは、トラウマってのを教訓に進化するんだよ? 長いこと天敵らしい敵もいなくって頂点でふんぞり返ってたのが仇になったね?」

 

「…ぐっ!」

 

 ミナミの言葉に、カーズが唇を噛む。

 

 

「お前の負けだぜ、ワムウ。」

「苦しまないよう…、トドメをさす。」

「……このワムウは…。」

「?」

「敵を…楽に…、勝たせる趣味は無い!!」

 シューシューっと胸の穴から溶け始めているワムウの身体に異変が起こった。

「受けた傷も、我が肉体! 今までのダメージも、我が力! 全てを利用し……勝利を掴む!!」

「ワムウ!?」

「ハッ!? ジョ…。」

 察したシーザーが叫ぼうとした直後、二人の喉に、ワムウから発射されたワムウの両の手が喉に食い込んだ。

 ジョセフから落ちた仗助は投げ出され、サークルストーンの中央の炎の所まで吹っ飛ばされた二人を見た。

「そして、我が…風の最終流法(ファイナルモード)!!」

 ワムウの身に周囲の全ての風が集まり出す。

 

「やめろ、ワムウ! それだけは、やめるのだ!!」

 

 カーズがたまらず叫ぶ。

 

 ごうごうと風を集まっていく。

 それとともに、ワムウの胴体から生えてきた筒のようなモノに風が集まり…、まるで生き物のように蠢く。

 それは、炎の下の壁に縫い付けられた二人に向かって振り下ろされようとした。

「最終流法! 『渾楔颯(こんけつさつ)』!!」

 ワムウは、身体を徐々に崩しながらも最後の技と共に叫ぶ。

「ぐああああ!? か、身体が、切れ…。」

 うねる、いわゆる烈風のメスが、ジョセフとシーザーを切り刻む。

 身体が崩壊させながらのソレは、うまく命中しないのか、闇雲のようだ。

「ジョセフさん、シーザーさん!!」

「仗助、行ったらダメ! あなたが倒れたら…!」

「けど、このままじゃ…!」

「死ぬ前ならいける! 考えなさい!」

「考えるたって…、ハッ!」

 仗助は、そこで考えつく。

 そして、地面に大量に垂れているワムウの血のついた石を拾った。

「ジョースケ…、貴様は、最後に殺すとしよう…。この腕の恨み晴らすため!」

「……赤石は…。」

 そして仗助は、赤石の欠片を取り出した。

「エネルギー増幅装置!」

「!」

「自動追尾弾だぜ!!」

 ワムウの血を混ぜ合わせ再形成されたエイジャの欠片が、目に見えぬほどのスピードでワムウの体内に吸い込まれた。

 ワムウの体内で暴れているジョセフの波紋の力を受け、エイジャの欠片が暴走を始める。

「お…!! ぐ…ご…ぉ、おおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

 最終流法により崩壊を始めていた身体が体内から爆散した。

「……へ、ヘヘへ…、さ、さすが、俺の…息子…。」

「あー…確かに、おめぇの血を感じるぜ…、スカタンが…。」

 手足も胴体もすでにボロボロで使いものにならない状態で虫の息の二人に、仗助が駆け寄り素早くクレイジー・ダイヤモンドを使って治療した。

 

「……フフフ…。俺は…、最後の最後までお前に負けていたということか、ジョースケ…。」

 

「ワムウ…。」

「お前に…、あの時…腕を変形させられた時の恐怖…今日まで忘れたことなどなかった。あれほどの恐怖を、俺は知らない…。人間とは…、知らぬ間にこれほどに力を付けているものなのだな…侮っていた俺の負け…だ…。」

「俺は…。」

「知っているさ。お前達が、未来から来たことを……。」

「!」

「カーズ様は、それを知っている…。だがお前達は…、俺達のことを知らなかった…つまりは、そういうことだ。だからこそ覆す方法を模索したのだ。我々の悲願が達成させられたなかったという運命を……変えるには、やはり、究極生物になるより他なかった。だからこそ、俺は、あえて受けたのだ。この身が滅びることも承知の上で、何が何でもお前達を退け、カーズ様に、エイジャの赤石を…。」

「もう…喋らなくていいっす。」

「かくも恐ろしいものだな……運命という見えぬ力とは……、だからこそ、我々は勝利を……。真なる意味ですべての生命の頂点を……。だが、俺は、満足だ…。強者と戦い、そして散ること…、それだけが我が真理…。ジョジョ…、シーザー…、そしてジョースケ……おま、え…達と……戦えて…、本望だ…ったぞ……さ、らばだ…。」

 ワムウの首は完全に溶け、風に乗って消えた。

「……さよなら。」

 仗助は、風の吹く光景を見上げて呟き、そしてジョセフとシーザーもその風を見つめた。

 

 

 




仗助に敬礼させるかどうか悩みました。

ワムウは、最後まで仗助に対して腕をやられた恨みと共に植え付けられたトラウマに翻弄された……。(死ぬまで無意識だった)
生き物は、トラウマをも糧に進化するのだと思ってます。だからこそ、その生きる環境に適応するよう進化し、抵抗しながら生きるのだと思ってます。


果たしてカーズに待ち受ける運命は……。
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