仗助の双子の姉がいたらというもしも、パート2 第二部『戦闘潮流』へ 作:蜜柑ブタ
カーズが馬鹿正直に負けを認めるとは思えないし、かといってねぇ……。
結局、この展開。
「さて……、もうあなたひとりだけれど?」
「……ワムウは…、奴は戦闘者として、あまりにも純粋すぎた! それが弱さにつながったのだ! 残りはこのカーズひとり! だが頂点に立つのは、常にひとり!」
カーズが頭に巻いていた布を取り去り、ウェーブのかかった髪の毛と、特徴的な角を見せた。
「カーズ様! わざわざ、あなた様のお手を煩わせるわけにはいきません! ルール無用! やはり我々がこいつらをーーー!!」
「あれ? あなた達が、こっちと対等だなんて思わない方がいいって言わなかったっけ?」
「! ぎ、ぎゃあああああああああ!?」
足下から生えてきた鮮血色の植物の根っこに捕まり、傷つけられた端から身体が崩れ、吸血鬼達は騒然となった。
崩れた端から青いバラの花が咲き、散らばる。
「うああああ!? なぜじゃ、なぜだーー!? 俺らの身体が勝手に崩れてーーー!?」
「ひいいい! お助けをーーー!」
「かー、情けねぇな。手足ぐらいで…。」
「しかし、クズしかいないようだな。どいつもこいつも。」
「姉ちゃん…。」
怪我は完治したものの、消耗した体力は戻せないため、余裕な顔をしているものの実際にはかなり疲れているジョセフ達。仗助に至っては、手に穴が空いているのだ。
「さてさて…、約束通りワムウとの戦いをさせてもらって、こっちの勝ち。ここから先は…。」
「1対1での決闘はどうかね?」
「えっ?」
思わぬカーズからの提案にミナミ達はびっくりした。
「ジョジョ達は、ワムウとの戦いですでに疲労困憊だろう。ならば、戦いに参加していなかった、そこのエイジャの赤石を持つ女が戦うべきではないか?」
「リサリサさんと?」
「いいでしょう。そのつもりでした。」
「先生!」
「シーザー、あなた達は十分よく頑張りました。ここからは、私に任せなさい。」
「いよ、先生、あんがと!」
「…リサリサさん、油断はしないでくださいっす。」
「仗助。あなたは、ジョジョ達から波紋治療を受けなさい。それで少しは傷も塞がるでしょう。」
「俺の目的は、あくまでも赤石! しかし、エシディシとワムウは、1万年以上も共に生きた仲間! 彼らの死と誇り高い戦いへの思いを貫き通す必要がある。」
「とかなんとか言って…。」
「くだらないと思うか?」
「ううん。そんなことはないよ。」
ミナミから指摘を受ける前に、カーズが言ったので、ミナミは肩をすくめて首を振った。
「ついて来い。あそこだ。」
カーズが顎で示した先は、遺跡だった。
「ピッツベルリナ山神殿遺跡! 闘技場ではないが、立体的な戦闘が楽しめるだろう。」
「先生…、やはり、ここは俺が…。」
「シーザー…、あなたの気持ちはよく分かります。ですが、20代そこいらの小僧からいたわれるほど、柔な人生は送っていない!」
「さっすが、50歳。」
「……。」
「姉ちゃん…、どう思う?」
「なんか、嘘くさい。」
仗助とミナミがヒソヒソと話し合った。
そして、遺跡の足場の悪い柱に、カーズ、そしてリサリサが立つ。
「俺には、流法『輝彩滑刀(きっさいかっとう)』がある。お前には、武器を与えねば、ワムウの誇り高い意志を穢すことになる。そこの好きな武器を選べ。」
「必要はない。この自分のマフラーだけで十分。」
そう言ってリサリサは、用意された武器を蹴落とした。
「そうか…。では、来い!」
「やっぱり…、妙すぎる…!」
「姉ちゃん!」
するとミナミが、指揮者のように指を遺跡へ向けた。
一方リサリサは、殺気のないカーズの攻撃に困惑した。
だがリサリサは、波紋の達人。人生経験と戦いの経験値は、ジョセフとシーザーを遙かに上回る。
そして彼女武器は、波紋のマフラー。
死角からの攻撃を彼女は見事にマフラーを使って避け、マフラーに流した波紋を利用しカーズの頭部に波紋を込めた蹴りを入れた。
カーズは、たちまち溶ける。
だが……。
スタッと立ったリサリサの胸に、カーズの腕の刃が背中から突き抜けた。
「せんせーーーー!!」
「フン! くだらん! 1対1の決闘なんてなぁ~~~。このカーズの目的はあくまでの赤石! あくまでも究極生物になること! ワムウのように戦士になるつもりもなければ、ロマンチストでもない。どんな手を使おうが……、勝てば…。」
「だろうと思ったよ。」
「はっ!?」
気がつけば、遺跡全体がブルー・ブルー・ローズの鮮血色の根っこに覆われていた。
「や、野郎…! やっちまぇ、ミナミーーーー!!」
ジョセフの絶叫に呼応したのか、ブルー・ブルー・ローズが一斉にカーズに襲いかかろうとする。
カーズは、咄嗟にリサリサを掴み、自身の盾にした。
すると、ブルー・ブルー・ローズが止まった。
「ハーハー…! ええい、この植物を見るとなぜか汗が止まらん! 究極の生物になれば…こんなものになど…! 吸血鬼共! 早く、コレを操るミナミを殺せ!!」
「……ぅ…。」
「ミナミ!?」
「姉ちゃん。もう限界だ! ブルー・ブルー・ローズを引っ込めさせないと!」
「だ、ダメ……。で、できな…い。」
ミナミは、出したはいいが、ブルー・ブルー・ローズを消すことも動かすことも出来なくなっていた。
体力や精神力がガリゴリと削られる感じに、ついにミナミは、両膝をついた。
「ジョジョ、仗助! 行け! 俺がここを食い止める!」
「シーザー!」
「シャボンカッター! 連射ああああ!!」
凄まじい数のシャボン玉のカッターが襲いかかってくる吸血鬼達を切り裂き溶かす。
仗助は、ミナミに肩を貸して立ち上がろうとしてふと気づく。
近くにある平らな岩が…、カーズがいる遺跡の素材に似ていると。
「ジョセフさん! そこの岩を使います! 乗ってください! 走るよか早いと思うっす!」
「お、おう! 頼むぜ!」
「ドラララララララ!!」
岩に乗った三人。そして仗助が岩をクレイジー・ダイヤモンドで殴ると、遺跡の一部であったその岩が浮遊し、猛スピードで三人を乗せたまま遺跡の方へ移動した。
「……フッ。そんな方法で移動するか。だが、こちらに来ることは分かっていたぞ。」
するとカーズは、リサリサの足を腕の刃で貫き穴をあけた。
「てめぇ!?」
そして岩から飛び降りた三人の前で、その足にロープを通し、リサリサの身体を放り出した。その結果、リサリサが足を貫くロープで宙ぶらりん。
「先生…!」
シーザーは、息を切らしながら、今だ凄まじい数いる吸血鬼を相手にしていた。
だがワムウとの戦いで体力が戻っておらず、徐々に波紋呼吸さえ練れなくなってきていた。
波紋のシャボン玉の威力は弱まり、吸血鬼に致命傷を負わせられなくなっていた。
「くそ…、こんなところで…! 父さん…爺さん…!!」
シーザーは、襲いかかってくる吸血鬼達を前に、グッと目を閉じた。
その時。
凄まじい光が、丘の上から照らされ、それを浴びた吸血鬼達がたちどころに溶けていった。
「!」
「吸血鬼共! このシュトロハイムと、ナチス親衛隊が相手だ!」
丘の上から現れたのは、シュトロハイムと、紫外線照射装置を身につけたナチス軍隊だった。
「シーザー!」
「ジョジョ!」
「我ら、SPW財団特別科学戦闘隊もいるぞ!!」
「スピードワゴンさんも…。」
「およ? ありゃ、ニューヨークのスモーキーじゃねぇか?」
柱の上からジョセフは、その姿を確認した。
「それどころじゃないっす!」
「リサリサさん!」
「さて…、これをどうすると思う?」
「ハッ!」
ジョセフがハッとし、次の瞬間、カーズがリサリサと繋がったロープを離した。
「この、クソ野郎がーーーー!」
ジョセフが駆けつけて、ロープを掴んだ。
「クククク…!」
ジョセフが来ると同時に、カーズは飛び退いた。
「仗助…、お前の攻撃は自分の傷は治せず…そして距離が短い…。ミナミ、お前のこの根っこだけが今、我が障害となっているが…、その様子だとコレを維持するのは相当な負担がかかると見た。」
「…ぐっ…。」
「お前達が力尽き、その女を失うのが先か、この私の刃がお前達を切り刻むのが先か…。賭けないか?」
「最悪っす!」
「カーズ! てめぇの根性は、畑に捨てられ、カビがはえてハエもたからねーカボチャみてぇに腐りきってやがるぜ!!」
「わめくがいい、ほざくがいい。ロープを掴んでいる貴様にできることはそれだけだからな。」
「ドラララララ!」
「ククク! こう狭い場所では、距離さえ測ればどうにでもなる。さて、問題だ。この下は水晶の岩盤となっている…。リサリサや、お前達が落ちたらどうなるかな?」
「言われなくても分かるわ、ボケ!!」
「はぁ…はぁ…!」
「姉ちゃん…!」
消耗しているのに対し、ブルー・ブルー・ローズは、思ったように動かない。
「消えるのも時間の問題と見た。この根っこ共が消えたら、攻撃に移るとしよう。」
「こんちくしょうが!」
「まったく足癖の悪い男だ。だが、ロープがあっては、この程度の動き。」
カーズが受け止めたジョセフの足を、カーズが切りつけた。
「ぐあ!」
「ジョセフさん!」
素早く仗助が傷を癒す。
「痛手は治せるが…失った体力までは戻れないということか?」
カーズは、クスクスと笑いながら分析する。
やがて…、ブルー・ブルー・ローズが消えた。
「ぅ…。」
ミナミは、がっくりと項垂れていた。
「フフ、ククク! では、宣言通り攻撃に移ろうとするか。」
カーズが近寄ってくる。
「私がこの遺跡を指定したのは、単なるフリだとでも思ったか? お前達と戦うことも考えに置いておいたのだぞ?」
「なるほど…、確かに…仗助の攻撃の距離を測るには…これほど良い場所も無い……。でも…。」
「?」
「あなたは……、やっぱり…私達より優位に立ってるだなんて…思わないで。」
「ハッ!? しまっ…。」
ジョセフが手にしているロープから突如生えてきたブルー・ブルー・ローズの根っこが、接近していたカーズの左目を貫いた。
「シーザーさん…ありがとう…。怖くて…盲目になってたからこそ、見えなかったモノが…今…分かる。」
「おおおおおおおおおおお!」
ブチブチメキメキと、貫かれた左目から凄まじい数の青いバラの花が咲いて落ちる。
「波紋疾走!!」
「ドララララララララララララララララ!!」
顔を押さえているカーズに、容赦なくジョセフの攻撃と仗助の攻撃が喰らわされた。
カーズの腕の刃が折れ、そして体中ボコボコにされたカーズが、落下していった。
そして、引っ張り上げたリサリサを、仗助が治療。
「う…うぅ…。ジョジョ…?」
「リサリサ先生!」
「リサリサさん…、よかったぁ…!」
「カーズ…は? ハッ! 赤石が!」
「あっ!」
下を見たとき、そこには、ナチス軍が水晶の岩盤の上に串刺しになって呻くカーズに、トドメを刺そうとするところだった。
「し…。」
ジョセフ達は見た。
カーズの顔に、赤石がはめ込まれた石仮面が被せられていることに。
そこに、凄まじい紫外線照射装置の光がカーズに浴びせられる。
「しまったああああああああああああああああ!!」
だが、遅かった。
紫外線を吸収し、エネルギーを増幅したエイジャの赤石が石仮面に流れ、石仮面から飛び出した骨針が、カーズの脳を貫く。
そして……。
石仮面がバラバラに砕けて落ちた。
カーズがあり得ない体勢から起き上がる。
すると、ふと、近くにいるリスを見た。
そして右手を上げる。
すると右手がみるみるうちに、リスへと変形し、別のリスの方へ移動した。
「な、なんだ? やばい、何かがやばい!」
「気をつけてください!!」
だが遅かった。
カーズの手から生まれたリスは、別のリスを食い殺し、そして近くにいたシュトロハイムの腹部を貫き、さらに、その向こうにいたナチス軍人を襲ってその表面をまるでもぐらが掘ったみたいに抉ってしまった。
そうして、カーズの手から生まれたリスは、再びカーズの手に戻り、今度は花の形になり、そして次にチョウチョの形になる。
やがて…太陽が昇った。
「フフ…フハハハハ、ハハハハハハハハーハハハハハ!!」
カーズが太陽を背に笑う。
「なんてことだ…! 究極の生物とは、あらゆる生命の、全ての能力を身につけ、全ての生命を兼ねる!! そして、あの美しい、なんという輝き!」
戦慄したスピードワゴンが震える声で叫ぶ。
「ハハハハハ! ついに…ついに、太陽を克服したぞ!!」
「奴に弱点は、もうない!! 不老不死、不死身! 誰も倒せない!! 究極の生命体、カーズの誕生だーーー!!」
「それ、どうかな?」
ジョセフに背負われ、駆けつけてきたミナミが、冷静な声で言った。
「あなたは…確かに頂点に立った…。けれど、分かっていない。」
「……フンッ! 負け惜しみを…。」
「じゃあ、どうして? 汗をかいているのかなぁ?」
「ハッ!?」
「なにーーーーー!?」
カーズどころか、周りがびっくりした。
究極の生命体となったカーズが、あきらかに汗をかいているのがハッキリと見えたからだ。
「ねえ、カーズ。あなたは…、究極に…間違えた。」
ミナミがジョセフの背から降り、袖から生えたブルー・ブルー・ローズの根っこを見せつけるようにした。
根っこがシュルッと僅かに動いただけで、カーズがビクッとなった。
カーズは、自分の反応に驚き動揺する。
「………好きに…しなさい。」
ミナミが、そう言葉にした瞬間、辺り一帯にブルー・ブルー・ローズが出現した。
頭の回転が良いジョセフは、確信した。
ミナミならば、あの究極の生命体に勝てると。
カーズの間違いとは……?
そしてブルー・ブルー・ローズを前に焦るカーズに、ジョセフは、勝利を見出す。
そして、ブルー・ブルー・ローズにフルパワー状態になるための合図を送ったミナミは……。
次回は、筆者が考える生物の在り方などを交えて、戦いを展開したいと思います。