仗助の双子の姉がいたらというもしも、パート2  第二部『戦闘潮流』へ   作:蜜柑ブタ

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カーズvsブルー・ブルー・ローズ?


オリジナル展開です。


でも、ジョセフの左手は……。


究極にして、最弱とは…

 ブワッと出現した、ブルー・ブルー・ローズ。

 それを見たカーズの顔や身体から、ドッと汗が流れる。

「なぁ~にが究極だ! こんな根っこ程度がこぇえってどうなんだよ!」

「じゃ、弱点が…あるのか!? あの突然現れた血のような赤い植物の根っこが…!?」

「ぐ…、くぅうううう!」

「あっ!」

 するとカーズが両腕を巨大な鳥の翼に変えて飛び立った。

「逃がすかーーー!!」

 シーザーがシャボンカッターを繰り出す。

「撃ち落とせーーーー!!」

 シュトロハイムが、弾丸による攻撃を指示した。

 皆が、気づいた、理解した。

 

 あの鮮血色の植物の根っこに、カーズが…、究極の生命体が怯えているという事実に!!

 

 カーズは、頭部から生やした長い触覚で、シャボン玉のカッターを割り、そして自身を貫かんと撃ってくる弾を気にせず飛ぶ。

 地面を走るようにブルー・ブルー・ローズが移動する。カーズを追って。

 

「おい、スピードワゴン爺さん! 飛行機あるか!?」

「軍用機なら…。」

「よっしゃぁ!」

「待て! ジョジョ! 勝てるのか!? 勝機はあるのか!?」

「あるとかないとかじゃないぜ! 勝つんだよ!!」

「ジョセフさん、急いでくださいっす! 姉ちゃんの身体がもつまでに!」

 仗助の腕の中で、ミナミはぐったりと目を閉じていた。

 その髪の毛が徐々に白髪が増えていっていた。

「ありがとよ…。ミナミ…。お前の力が…、世界を救うんだ。」

 ジョセフは、振り返り、ミナミに駆け寄って、その額にキスを落としてから走り出した。

 

 

「ハア…ハア! なぜだ!? 私は、なぜ!?」

 

 カーズは、自問自答する。

 なぜ究極の生命体になったにも関わらず、変わらず…いやむしろ悪化した状態でブルー・ブルー・ローズを恐れているのかを。

 自分は、究極だ。

 不死身だ。不老だ。

 そしてすべての生命の頂点に立ったはずだ!っと。

 なのにあんなチャチな植物の根っこなんぞをなぜ恐れるのだと。恐れるモノなど、もはやこの地球上に存在しないはずだと。

 その時、カーズを覆う巨大な影上からきた。

 

『あーあー、こちら、ジョジョだぜ! 逃がすかよぉ!!』

 

 マイクからジョセフが軍用機を操縦しつつ、挑発的に言う。

 

「ぬうううう! だが貴様ごときに私を…。」

『撃ち落としてやるぜ!』

 ジョセフは、軍用機の機関銃の照準をカーズに合わせた。

「馬鹿が! ミナミはともかくとして、波紋使いごときが今更!」

 発射される機関銃の弾を、アルマジロのように硬質化させた自身の羽で防ぎ、なおかつ硬くさせたその羽を弾丸のようにお見舞いした。

 ジョセフが乗る軍用機の窓やドアなどにドスドスと硬質化した羽が突き刺さり、窓が破られる。

 ふいに軍用機が低空飛行になったため、カーズも同時に低空飛行になる。すると、その下にカーズを追っていたブルー・ブルー・ローズが生えてきているのにカーズが気づいた。

『捕まえろ、ブルー・ブルー・ローズ!!』

「ちいいいい!!」

 地面すれすれまで軍用機が低空飛行しカーズを上から威圧し、それより地面に近いカーズに向かってブルー・ブルー・ローズが迫ろうとする。

 

 

 愚カ

 

 

「ハッ!」

 脳に響くような不気味な声に、カーズは鳥肌が立った。

 

 

  オマエは、愚カ

 

 

「だまれぇぇぇぇぇぇ!! この究極生命体となったカーズを愚弄するな!!」

 

 

 究極トは、……永遠トは

 

 

 その時、カーズだけじゃなく、軍用機をも覆うような巨大な影が現れた。

 カーズもジョセフもつい見上げてしまった。

 

 見上げるのでは…、なかった…。

 

 

「う……、うわあああああああああああああああああああああ!?」

 

 

 ジョセフの悲鳴が物語っている。

 

 

 巨大な骸骨。

 

 それに絡みつく鮮血色の植物の根っこ。

 

 それは、恐怖と絶望の権化のような、途方も無いモノだった。

 

 ソレの右手が上がる。

 

「ひっ!?」

 

 もはやカーズは、全身の細胞という細胞が上げる悲鳴に従うより他なかった。

 そしてその大きさからは到底考えもつかない凄まじいスピードで振り下ろされ、軍用機はおろか、その下にいたカーズを地面にその手で叩き付ける。

 軍用機が爆破し、カーズもそれに巻き込まれる。

 

 

 

「ジョジョ!」

「…サンキュ…、シーザー…。」

 爆発する軍用機からジョセフを救い出したのはシーザーだった。

 岩の上へ引っ張り上げられ、その下でもうもうと燃える軍用機と、それを押さえつけるように右手を降ろしている骸骨の怪物。

「……仗助から聞いたぜ…。あれが、どうやらブルー・ブルー・ローズの本性らしい!」

「これが!?」

 ジョセフは、信じられんと声を上げた。

 あの鮮血色の植物の根っこの絡まる巨大な骸骨こそが、ミナミの力の全容だったなら……。

「ミナミ…、アイツなにを背負ってんだよ?」

 

 明らかに人智を越え、究極となった生命をも脅かすソレは……。

 例えるならば……。

 

「……DEVIL(デビル)…?」

 

 

 ジョセフがぼう然と、ブルー・ブルー・ローズの本性を見上げた時だった。

 

 スパンッ!と、ジョセフの左手が消えた。

「!?」

「ジョジョ!?」

 

「ぐあああおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 岩を掘って現れたのは、カーズだった。

 全身は焼かれ、ただれているのは、軍用機の爆破によるものだろう。

「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ!!」

 カーズは、狂ったように喚く。

 カーズの焼けた身体の部位から、ハラハラと淡い色の花びらと、青いバラの花が咲いて落ちる。

 その淡い色の花びらは…、サクラ…ソメイヨシノだったが、ジョセフもシーザーもそれどころではなく、気づかなかった。

 カーズの方を、ブルー・ブルー・ローズの本性が見る。

 そして再び右手を上げる。

「私は、究極だ…! あの太陽を克服したのだ!! 私は、神のごとく、この世界を…。」

「その神が…、そこのデカい骸骨に怯えきってるんじゃねぇよ!!」

 ジョセフは、切断された左手部分を押さえながら叫ぶ。

「だまれぇぇぇぇぇぇ!!」

「シャボンランチャー!!」

 シーザーが渾身の波紋のシャボン玉を発射する。

 だが…、もはや太陽を克服したカーズは、何事もなくシャボン玉を割る。

 カーズは、フー、フー…っと、荒い呼吸を繰り返していた。

 鳥の翼になっていた両腕が、ひな鳥のような産毛に変わり、やがてカーズの腕に変わった。その間にも、ハラハラとソメイヨシノの花と、青いバラの花が咲いて落ちた。

「せめて…。」

 すると、右手を上げたブルー・ブルー・ローズがその手を振り下ろそうと構えた。

「貴様らだけは道連れにぃいいいいいいいいいいいいいい!!」

 波紋の力を手にしたカーズがジョセフとシーザーに襲いかかる。

 それを、ジョセフは、拾っていたエイジャの赤石を盾にして防ぎ、波紋を吸収したエイジャの赤石から放たれた巨大なエネルギーが、ブルー・ブルー・ローズの本性に当たった。

 それとともに、目に光の無かった、ブルー・ブルー・ローズの本性の空いた両目にボッと灯が灯る。

 

「さぁせるかぁぁぁああ!!」

 

 胴体に大型機関銃を装備したシュトロハイムが、カーズを背中から撃った。

 カーズは、身体を硬化させようとしたが、硬化が上手くいかなかった。

 粘土のように、中途半端に硬く柔らかくなった背中に、大型機関銃の弾丸が突き刺さり抉る。

「な、なぜ…? 私の…身体が…!?」

 

 自分は、究極の生命としてすべての生命の力を得たはずだ。

 それが、なぜ発動しない?

 

 

「あなたは…、愚か。」

 

 

 その時、ミナミの声がカーズの耳に届いた。

 

 

「生命の究極とは……、もっとも弱いモノの称号でもある。」

 

 

 次の瞬間、声に気を取られたカーズを、ブルー・ブルー・ローズの手が捕えて持ち上げた。

 ハラハラとソメイヨシノの花びらと、青いバラの花が落ちていく。

 

 

「あなたは…、究極を履き違えた。」

 

 

「お……、うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 仗助に背負われたミナミの青い目と目が合ったときには、カーズの身体が、ブルー・ブルー・ローズの口が喰った。

 

 

 

 

 

 カーズは、生命の歴史の放流とも呼べるような場所に放り出された。

 

 抗おうと暴れるが、流れに逆らえない。

 

 どれほど力んでも身体は変化しない。

 

 どこまで続くか分からない放流の中、やがてカーズは、手足の動かし方を忘れ始めた。

 

 そして胴体の生命活動も……、そして…最後には…それを考えることが出来る頭脳さえも使い方を忘れた。

 

 そして放流の中で、カーズの身体が、シュレッダーにかけられた紙くずにように崩れ、放流に溶けるように消えていった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 太陽が高く上がる頃。

 

 ブルー・ブルー・ローズの本性である骸骨の怪物は透けていき、やがて消えた。

 

「か、カーズは? ハッ! ジョジョ!!」

 スピードワゴンが、シーザーとシュトロハイムに肩を貸されて歩いてくるジョセフを見つけた。

「カーズは、どうなったの!? 勝ったの!?」

 スモーキーが聞く。

 ジョセフ達は神妙な顔をしていた。

 そして、ジョセフは、地面に座り込んだ。

「……分からねぇ…。」

「分からないとはどういうことだ!?」

「分からねぇもんは分からねぇんだよ!」

 ジョセフが右手でガシガシと頭を掻いた。

「ジョセフさん!」

「仗助?」

「姉ちゃんが…。」

「!」

 それを聞いたジョセフとシーザーは、ミナミのところへ駆け出した。

 そこには、リサリサが必死に波紋の生命エネルギーを流し、すっかり白髪になってしまったミナミに治療を施そうとしている光景があった。

「ミナミ!」

「先生!」

「……死なせはしない!」

 リサリサは、自らの命を明け渡す最後の波紋の技、深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)を使っていた。

 しかし、ミナミは、目を覚ますどころか、呼吸している様子が無かった。

「馬鹿やろーーーー!!」

「ジョジョ!?」

 ジョセフは、ミナミの反対側の手を右手で掴んだ。

 そしてリサリサ同様に波紋を流し出した。

「やめろ、ジョジョ、その身体じゃ!!」

「うるせえーーーー!」

 スピードワゴンが止めようとするが、ジョセフは止めない。

 シーザーも横から加わり、手を握って波紋を流した。

「ミナミ…、お前…最初から…! 最初からこのつもりで!?」

「姉ちゃんは…、そういう人…だから。」

「泣くな!!」

 仗助は泣き崩れるが、ジョセフが叱咤した。

「過去がどうだとか、未来が変わるとかんなもんは、関係ねぇんだよ! 今ココにある新しい未来も、未来の娘だからって失ったら無意味なんだよーーー!! 目ぇ覚ましやがれ、ミナミーーーーー!!」

 ジョセフの涙が目を覚まさぬミナミの顔に降りかかった。

「……ぅ…。」

「ミナミ!?」

「……ぁ…、シーザー…さ…。」

 すると大量の青いバラの花の束を、ブルー・ブルー・ローズが持って来た。

「これ……だけ…あれば……いいよね?」

「ああ…、ありがとう。十分すぎるぜ。」

「よかった……。」

 ミナミは、消えそうな笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「で? 結局のところ、カーズはどうなっちまったんだ?」

 目を覚ましたミナミを新たに手配された軍用機で搬送中の軍用機の中で、治療を受けながらジョセフが聞いた。

「……この世で…、もっとも最強で、最弱の存在になっちゃったよ…。」

「さいきょうで、さいじゃく~~~?」

「それはつまり、カーズは生きていると!?」

 スピードワゴンや、シュトロハイムが驚愕する。

「カーズは、この地球で最も究極の生命の意味を履き違えた…。だから…、枠を正しただけ。」

「カーズは、どこへ!?」

「……どこにでもいる、でもどこにでもいないかも…。」

「? 意味が分かんねぇ。」

 シーザーが頭を捻った。

「生命…の定義って…、難しいと思うんです…。でも、この地球で最初に生まれたのは……、ただのタンパク質のような遺伝子の先駆けだったみたいですよ?」

 ミナミの言葉に、全員が首を捻る。

「……どこにでもいるけど…、どこにもいないかもしれない…。私は…そう思ってます……。」

「だからカーズは…?」

「………私が……究極で、最弱だと思う命…それは……、ウィルスや細菌だと思ってます。」

「!」

 それを聞いて頭の回転が良いジョセフは、察した。

 

 カーズは、ミナミが考える、地球上で最も究極に強く、だが最弱な命(?)といえる、ウィルスとか細菌などの極小の存在にまで進化を遂げてしまったのだ。

 

「いや、退化か?」

「進化と退化って…、紙一重だと思うんです。」

「ウィルスとか細菌だとーーー!? では、あの場にいた我々はすでに…。」

「けどどうやって見つけるんですか?」

「なに!?」

「知ってます? 人間ひとりの大腸の中だけでも、500兆以上の細菌が住んでるって言われているんですよ? あの場にいた私達の髪の毛の先から爪の先まで…。隅々まで顕微鏡で一匹も逃がさず、カーズを見つけ出せるんですか? それと、岩やそこらの地面も含めて…。」

「ぐっ!」

「そんな…極小の存在に…。しかし進化されたら、また究極の生命体として君臨するのでは!?」

「それは、たぶん…もう無理じゃないっすか?」

「仗助?」

 視線が仗助に集まる。

 仗助は、手の中で、カーズから落ちたソメイヨシノの花びらを弄んでいた。

「ソメイヨシノの花って知ってます? いわゆる桜の花っすけど…、別名クローン桜って呼ばれるんですよ。種から育たず…、人の手を使わないと増えることもできないっす。」

「それがなにか…?」

「カーズは…、たぶん…もう…、自力じゃ増えることも、進化することも出来なくなった可能性が高いってことっす。」

「あ、あの究極の生命体がか!?」

「……シーザーさんのおかげ…。」

「俺?」

「怖がってたからこそ、盲目になってたから…、怖がらなければ、ちゃんと見えて感じられるようになった…、ブルー・ブルー・ローズのもうひとつの力…。それは、命の容量を減らすこと……。」

「マトリョーシカみたいに、出せば出すほど小さくなる。どんどんどんどん…、命の受け皿が縮まって…、最後にはちっぽけな命しか入らなくなっちまった…。もう、カーズは、細菌やウィルスと同じ寿命しか生きられない、その命の中で輪廻を繰り返すだけの存在にまで命の容量を減らされてしまった。って、ことだよな?」

「…そういうこと。青いバラの花が、生命が持つ生きられる長さを示す命の力なら、ソメイヨシノの花びらは、その命の力を入れておくための受け皿を縮めることを示す。これが…、私の力……。今まで気づかなかった、力。」

 

 あまりの内容に、ミナミと仗助以外の皆絶句した。

 

 もはや、カーズは、思考すらできないほどの小さすぎる単位の命にまでさせられてしまい、その枠の中に完全にはまってしまい、脱出するということも、逆らうことももう二度とできないのだというのだ。

 

 

 究極とは、最弱。

 

 最弱とは、究極。

 

 どこにもいるようで、もうどこにもいない。

 

 

 それが、ミナミが出した答えであり、彼女が持つブルー・ブルー・ローズが導き出した答えだった。

 

 

 




ミナミと仗助が言っている、究極の生命体の在り方というか、地球上で最も究極で、最弱が、ウィルスとか細菌っていうのは、あくまでも筆者の考えです。

地球が誕生したとき、最初に生まれたのが、遺伝子の先駆けとなる、ウィルスとか細菌だったなら、最後に行き着くのはソコじゃないかと思って……。


なぜソメイヨシノの花びらだったのか?
別に花言葉にかけているわけでもないし、単に人の手を使わないと増えることができない、そして単一クローン桜という枠の中にあるという意味で、ブルー・ブルー・ローズの隠された力として、命の容量を増減させる力の具現としました。
一度減らされてしまった命の容量は、ミナミが増やす意志を示さないと増やせません。なので、カーズは、思考も出来ないほどの極小の存在として永遠に輪廻を繰り返します。


次回で、終わりかな?
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