仗助の双子の姉がいたらというもしも、パート2  第二部『戦闘潮流』へ   作:蜜柑ブタ

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カーズとの戦いからの後日談。



シーザーが妙なフラグを立てる?


最終回です。


2019/08/29
タイムスリップの原因を追加しました。(原因は3部編と同じ)


未来で会いましょう

 あれからというもの、ジョセフは、シュトロハイムの紹介でSPW財団にサイボーグ技術を提供してもらい、無くした左手を義手にしてもらった。

 究極の生命体カーズをウィルスとか細菌レベルまで退化させたミナミは、ブルー・ブルー・ローズによる消耗が激しく、寝たきりが続いた。

 すでに2ヶ月は経過し、白髪だらけになっていた髪は少しずつ元の色を取り戻しつつある。

 

「あれ? リンゴの皮を剥く音が嫌いって言ってませんでしたっけ?」

「何度もやれば慣れもするさ。」

 上体を起こせるベットで上体を起こして寝ているミナミのため、シーザーは甲斐甲斐しくリンゴを剥いてやっていた。

「それよりか、あれから進展は?」

「…まったくない状況みたいだ。究極生命体とか云々以前に、時空を越えたってのは、科学をもってしても難しいらしい。」

 柱の男達との戦いが終わった後、元の世界に帰る方法を模索して貰っているのだが、そもそも原因が不明で、時間も経っているため帰る方法はまったく見つかっていない。

「いつまでもここにいるわけにはいかないし……、どうしようかな?」

 50年以上も過去の世界に、自分達の居場所はない。

 すると、シーザーは、ふとリンゴを切る手を止めた。

「?」

「……なあ、ミナミ。」

「なんですか?」

「もし…帰る方法がこのまま見つからないようなら、……一緒に住むか?」

「………えっ?」

「も、もちろん、仗助も一緒にな。急に返事はできないだろうから、ゆっくり頭の隅にでもおいといてくれりゃ…。」

「えっ? えっ? えええーーーーー!? シーザーさん! 言ってる意味分かってんですか!?」

「俺は、本気だぜ?」

「いやいやいやいやいや! シーザーさんみたいなモテる人が、私みたいなチンチクリンなんて…。」

「お前、それ本気で言ってんのか? どこがチンチクリンだ…。ま、胸のデカさも尻も育ちすぎ感はあるけど、許容範囲だぜ?」

「もう!」

「ほれ、アーン。」

「ムグッ!」

 切ったウサギリンゴを口に押し込まれ、続く言葉を封じられた。

 ミナミは、必死でガシュガシュとリンゴをかみ砕き、飲み込んだ。

「……もう…。」

 しかし続けようとした言葉が出ず、ミナミは、そっぽを向いた。その耳や首まで真っ赤になっていた。

 シーザーは、クックッとおかしそうに笑った。

 

「クラッカーヴォレ!!」

 

「うお!? あぶね!」

 

 そこへ、ジョセフの武器であるクラッカーが飛んできて、ハッとしたシーザーが咄嗟に逃げたため、座っていた椅子が破壊された。

「なにすんだ、スカタン!?」

「てめぇ、なに人の未来の娘を口説いてやがるんだ!? 仲を許した覚えはねぇよ!!」

「お前の許可なんざいらねぇよ!」

 ジョセフが、キリキリと左手の義手を鳴らしながら、怒鳴る怒鳴る。

「姉ちゃん! 口説かれたの!?」

「……。」

 仗助が駆けより、ミナミに聞くが、ミナミは、両手で顔を覆い、表情を隠していた。しかし、耳は赤いし、首も赤いし……。

「シィイィイイザアアアさぁぁぁん?」

「ちょっ、待て…、仗助…、お、俺は…その…。」

「やめて、仗助。」

「けど! ま…まさか姉ちゃん?」

「ダメ! ダメだからな、ミナミ!! お父さん許しませんからね!!」

「今はお父さんじゃないでしょ…。」

 ミナミは、は~~~っと長い息を吐いて吸った。

 

「ジョジョ、シーザー。話があります。」

 

「あっ、エリナ婆ちゃん!」

 リサリサがエリナと共に部屋に入って来た。

「どうしたんですか、先生? 話とは?」

「大事な話です。本来ならば…、カーズとの戦いで察して貰うつもりでしたが…、思っていたよりも察しが悪いようで。」

「いいのよ、エリザベス。この子は、たまに変に鈍いのですから。」

「そのようですわ、お義母(おかあ)さま。」

「……んん? おい、今何って言ったよ? エリナ婆ちゃんのこと…。」

「お義母さまと言いました、それが?」

「いやいやいやいやいや! 大問題だっての! なんで、あんたが……。えっ、待てよ…。」

「先生…?」

「…本当に察してなかったんだね。」

「変なところで鈍いんだな。」

「おい、お前ら! なにを知って…。」

 

「ジョジョ。私は、あなたの実の母です。」

 

 リサリサの口から、衝撃事実。だがミナミと仗助は、油柱の時に事前に知っていたことだ。

 

 シーーーンっとなるその場。

「ちょいちょいちょいちょい…、なに笑えない冗談言ってくれてんのかなぁ? だって、あんたさぁ、あの油柱で、俺のこと養豚を見るような目で見てたじゃねぇかよ!」

「あれは、修行のためです。私は、母として以前に、波紋の師として、心を鬼とし、あなた達を鍛えなければなりませんでしたので。…シーザー?」

 見るとシーザーは、固まっていた。漫画的表現をするなら、石になっているみたいな…。

「シーザーさーん?」

「……ハッ!」

 ミナミに袖を掴まれ、引っ張られてシーザーはやっと我に返った。

「ほ、本当なんですか!? 先生!? コイツ…、ジョジョの母親というのは!?」

「ええ。間違いなく、この子は私が産んだ子です。」

「けど、俺…、両親はもう死んじまったって…。」

「それは、私が説明する。」

 そこへスピードワゴン。

 

 スピードワゴンが言うには、リサリサの夫は、ジョージⅡ世。つまりジョナサン・ジョースターの息子に当たる人物だった。

 ところが、過去の因縁が浮上し、かつてジョナサン・ジョースターを殺したディオの配下だった吸血鬼ゾンビがひとり生き延びており、あろうことかジョージⅡ世が所属していたイギリス空軍の司令官となっていた。

 しかし、ジョージⅡ世は、普通の男だった。資質はあったが、波紋の修行をしていなかった。そのため、正体を探りストレイツォらに伝える前に敵に悟られ、逆襲にあい、その死は事故として処理されてしまった。

 しかし、リサリサは、すぐに夫であるジョージⅡ世を殺した相手が吸血鬼ゾンビだと確信し、当時若かったこともあり、冷静さを欠いて単身でその吸血鬼ゾンビを倒した。

 だがそれがいけなかった。

 何も知らない軍人に見られ、波紋のことを知らぬ者達には、リサリサがイギリス空軍の司令官を何らかの方法で殺し燃やしたのだと決めつけてしまった。

 たちまちイギリス軍に指名手配されたため、そこで、スピードワゴン達は、リサリサの過去の全てを隠し、そしてエリザベスという本名も捨て、リサリサという名を名乗り、波紋使いとしての使命を全うするため、今日まで生きてきたのだ。

 この件については、エリナも知っており、まだ赤ん坊だったジョセフには、両親は死んだ…ということで、孫のであるジョセフには、波紋のことを知って欲しくないと願ったのだ。

 

 だが皮肉。やはり運命は星の血筋に強要する。

 生まれながらに波紋使いだったジョセフは、運命から逃げられなかった。

 

「………そうだったのかよ。」

「すまん…。ジョジョ。」

「ごめんなさい。ジョセフ…。」

「婆ちゃんは謝らなくていいさ。別に俺、怒ってるわけじゃないんだぜ?」

 ジョセフは、プウッと頬を膨らませる。

 すねているのだ。

「俺だけ仲間はずれだったのが、ちっとばっかし、気に入らねぇってだけだぜ。」

「ああ、そうそう。あなた達を油の柱に突き落としたあと、ミナミと仗助には、私がジョジョの母だと言うことは言いました。」

「なに~~~~!?」

「ご、ごめんなさい…。」

「秘密って言ってたんで…。」

「おま~えら~!」

「だってだってぇ!」

「そうっすよ! いきなり母親だって言われてたら、修行に支障が出たでしょうが!」

「そういえば、ジョジョ。スージーQという女性が、お前を探していたぞ?」

「あ、やべ、今日デートだったんだ。」

「シニョリータを待たせるな。」

「シーザー…、俺は許さないからな?」

「へん、お前なんか怖かねぇもんね。」

「ぐーーー!!」

「ほら、早く行きなさい、レディを待たせるなんて紳士として恥を知りなさい。」

「う、わ、分かってるよ、エリナ婆ちゃん! じゃ、行ってくる!」

 そうして、ジョセフは、急いで部屋を出ていった。

「まさかと思いますが…、ジョジョの将来の花嫁となるのは…。」

「はい……。スージーQさんです。」

「もし…正妻の人と結ばれて貰わないと…、色々と大変でしたから…。」

 リサリサの屋敷で色々と頑張ったのだ。ジョセフがスージーQと結ばれるように。

「しかし…、将来的には、あなた達が生まれるきっかけとなる不倫をやらかすのですね?」

「は、はい…。その予定になってます…。」

「あとで、折檻します!」

「エリナさーーん!?」

 持っていた杖をギリッと握りしめたエリナに、スピードワゴンが焦った。

「自業自得だ。」

「ところで、シーザー。あなた、ミナミに、一緒に住まないかと言っていたようですね?」

「ハッ!!」

 シーザーは、ハッとした。

 リサリサは、血縁関係上、ミナミと仗助の祖母なのだ。

 つまり…、そういうことだ…。

「波紋の修行だけじゃなく! ミナミにふさわしい、私を納得させるだけの男にして差し上げます!」

「ひーーーーー!!」

「し、シーザーさん…、ファイトっす。」

「……あれ?」

 ミナミは、ふと自分の手が透け始めていることに気づいた。

「あっ! 仗助も!」

「まさか帰れるのか!?」

「分かんないけど、そんな気がする!」

「おいおい、急だな!」

「ミナミ!」

「ごめんなさい。…シーザーさん。気持ちは嬉しかったです! 未来で会いましょう! さよなら!」

「ミナミーー!」

 消えていくミナミを抱きしめようとしたシーザーだったが、抱きしめる直後で、ミナミと仗助は消えた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 帰った時、ミナミの状態を見て、未来の承太郎達は大慌てとなった。

 すぐに病院の手配。健康検査。

 

 過去への旅の原因となった、虹村家に納められていた謎の羅針盤の話も…。

 

 色々と終わった後、ジョセフがやってきて、ぜひ会わせたい人がいると言った。

 すると、初老という感じの金髪の男…けれど、目の下の変なアザは……。

 

「シーザー…さん?」

 

「よっ、久しぶりだな。50年以上ぶりか?」

 

 すっかり、若かった頃の勢いは無いが、落ち着いた声がそう言い、そして、少しシワのある顔が笑顔になる。

 

「ああ…、シーザーさんだ…!」

 

 その笑顔は、過去の時代で見た、シーザーの笑顔と同じだった。

 

 思わず涙ぐむミナミに、シーザーが近寄り、ギュッと抱きしめた。

「ふぇ!?」

「あん時、最後に抱きしめ損なったからな。50年以上ぶりなんだし、いいだろ、ジョジョ?」

「こんんの……、スケコマシがーーーー!!」

 ジョセフが杖を振り回して怒った。

 

「シーザーさーーーーん!!」

 

 病室に来た仗助も怒り、一気に騒々しくなる。

 

 

 シーザーは、ワハハハ!っと笑いながらもミナミを離そうとしない。

 ミナミは、シーザーの腕の中で、笑った。

 

 

 

 

 双子の星の過去への旅は、こうして終わったのだ。

 

 

 

 




当初の予定じゃ、シーザーとそういう関係になる予定じゃ無かったんですけどね…。

シーザーは、未来にいるミナミ達に自分が元気なことを伝えるため、ジョセフと違って波紋の呼吸をしています。
そのため、老化速度がジョセフより遅い。


これで、2部編は終わりです。


評価、感想、お気に入り、本当にありがとうございました。

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