仗助の双子の姉がいたらというもしも、パート2  第二部『戦闘潮流』へ   作:蜜柑ブタ

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エシディシ編。その2。



バトル結果は、原作通り。


途中からオリジナル展開のような…、原作通りのような…?


エシディシ その2

 エシディシが、ニヤニヤ笑いながら、ズブズブと器用な体勢…というか、人間じゃできない動きで針の山に自らの体を突き刺していく。

 すると、針で穴だらけになった体を抜き、針から跳躍する。

「怪炎大車獄(かいえんだいしゃごく)の流法(モード)!」

 体に空いた穴という穴から、血管を出し、四方八方からジョセフに血管の先を向けた。

 ジョセフは、その血管から軽やかな身のこなしで避けていく。

 すると…、シュルシュルとジョセフが身につけていたニット帽の毛糸が抜けていく。ジョセフが逃げていくと同時に、シュルシュルと毛糸が針に。

「ぬっ?」

「へへ~ん、やっと気づいたか? どうして俺の帽子がちっちゃくなっていくのかにな! おめーは『結界』の中にいる! 波紋ロープだぜ!」

「……ふっ。」

「おい? なにがおかしい? お前なんか…。」

「気づかないと思ったか? お前は次に、『消してやるぜ、そのニヤついた顔を!』っと言う。」

「消してやるぜ、そのニヤついた顔を! …ハッ! てめ、俺の十八番を!」

「ジョジョ。よーくみろ、結界を張っているのは、俺の方だとな。」

 

「ああ! 足から血管が!」

「毛糸が切れる!」

 

「貴様の作戦など、すでに見切っているぜーーー!!」

 凄まじい数の血管針を出しながら、エシディシは笑う。

 避けきれなかった血管が、ジョセフの体の表面に刺さる。刺さったところから、ブスブスとジュウジュウと熱を持つエシディシの血液が煙を出す。

「ジョジョ。貴様を殺した後は、そこのお前に似た娘の方を殺すとしよう。どうにもあの時のことが気になって仕方ないのでな。」

「ああ…、なんか、血みたいな色の根っこみたいなもんがいっぱいあったな。あれか?」

「どうも、あれがあそこにいる娘と関係があると思えて仕方がないのだ。どういう原理かは知らんが…。ジョースケのような力ではないのか?」

「!」

「どうやら、図星のようだな?」

 ミナミの反応を見たエシディシがニヤリと笑う。

「あの時は、ついつい俺達に似合わずビビってしまったが、カーズへの土産として、スーパーエイジャとあの娘の首でも持ち帰るとしよう。」

「ああん? てめぇ……、俺の娘にそんなことさせると思ってんのかぁ?」

「お前の? ジョジョ、お前の見た目からすると、あれだけ大きな子供がいるとは思えんが?」

「色々とあんだよ。」

「だが…しかし…、お前も敗北はどうあがいても覆せまい。俺の策は、すでにお前の策を越えている。」

「……フフフン。」

「? 貴様…なにがおかしい? 生死を俺に掴まれている、こんな時に笑みを! 恐怖のあまり、気でも狂ったか!?」

「違う違う。やっぱ、お前さぁ…、寝ぼけてるぜ。」

「?」

「こうやって目を閉じると見えるのよ。『勝利』がな。その笑いだぜ。エシディシ…、おめーの『敗因』は、やはり2千年間、グッスリ眠りこけていたことだなあ~~~。」

「敗因! だと…。」

「おや~~? 分からないかな? おめーらが2千年間眠りこけている間に人間ってのは、コツコツと少しずつ進歩していたわけだが…、つまらないことだが、18世紀から19世紀にかけて『手品』や『奇跡』もずいぶんとエンターテインメントとして発達したんだ。俺さぁ、ひじょーーーに、だましの『手品』が好きなのよん!!」

 

「ああーーーー!」

「毛糸が!」

「仗助が直したわけじゃないよね?」

「やってない。」

 

「波紋、ロープマジックだぜ!」

「ば、馬鹿な! 切断したはずの糸が…。」

 ジョセフが毛糸の先端を引っ張ると、切断されたかに思われた毛糸が現れ、エシディシの体を絡み取った。

「貴様は、次に言う! 『貧弱な波紋より、先に俺に血管針をブチ込んでくれる』ってな!」

「貧弱な波紋より、先に俺の血管針をブチ込んでくれる!! ハッ!」

「波紋のビート!!」

 波紋伝導率100パーセントになるよう仕込みがされた毛糸に、この短期間で鍛えに鍛え抜いたジョセフの波紋が流れる。

「RRRRRRRRUUUUUUOOOOOOO!!」

 エシディシの体に毛糸が食い込んでいく。

「おおおおお、俺が! 俺が! 俺が人間なんぞに! 俺は、俺は! 俺は偉大な生き物だ……、や、やられるなんて…!! よくも! おのれぇええええええええええええ!!」

 ブスブスと崩れていく頭部のままに、エシディシがジョセフに最後のあがきと襲いかかる。

 そのエシディシに、最後のトドメだと、ジョセフが波紋を込めたパンチを喰らわした。

 エシディシは、骨も残さず、蒸発していった。その際に凄まじいエネルギーが放出された。

「何千年も生き抜いた、こいつの生命力か…。去りやがれ、何万人もの人間を殺して得たそのパワーのほとばしりと共に!」

 エシディシは、身につけていた衣装と、解毒薬が入った指輪を残して消えた。

「鼻につけたピアスってのが、気になるが…。まあいいか。」

「早く早く!」

「すんません、ジョセフさん。助けられなくて…。」

「別にお前らの助けが無くったって勝てたもんね。けど、格好よかったろ?」

 針山から戻って来たジョセフが、指輪を割り、中の薬を口にした。

「……どうですか?」

「………うーん。分かんねえ。でも、なんとなくだが、指輪が無くなったって感覚はあるような。」

「あとは……、ワムウ…。」

「任せときなって。俺がちょいちょいっと倒して、奪ってやるからよ。」

「あーもう、すぐ調子に乗る。」

「いいじゃねえかよ。堅苦しいなぁ。」

「……。」

「ん? 仗助?」

「あ、いや、なんでもない。」

 一瞬ボーッとしたように見えた仗助の様子に、ミナミが不審に思ったが、仗助はなんでもないと笑った。

「……ねえ、仗助。この間作った“レーズン”のマフォン美味しかった?」

「ああ、美味かったぜ。」

「波紋疾走!」

「なっ!?」

 仗助が答えた直後、ジョセフがチョップと共に波紋を流そうとしたため、仗助が凄まじい身体能力で避けて、距離をとった。

「ベリーだよ! エシディシ!」

『………チッ。勘の良い娘だぜ。だが、ここで死ぬわけにはいかん!』

 仗助に取り憑いたエシディシの脳が、仗助の体を使って、屋敷の方へ移動した。

「仗助!」

「追うぞ!」

 二人は、急いで屋敷へ向かった。

 

 仗助は、間もなく見つかった。

 屋敷の手前の扉のところで倒れていた。

「仗助!」

「だいじょうぶだ、息はあるぜ! けど、エシディシの野郎は…、体からすぐ出ていったみたいだな…!」

 

「キャア!」

 

「おい、スージーQ!」

「あなた誰ぇ?」

「おい、俺の顔分かんねぇのかよ! 俺だよ、ジョジョ。ジョセフ・ジョースターだ!」

「えー。マスクないから気づかなかったわ。」

「なんてこと言いやがる! それより、変なモノ見なかったか!? こう、なんか、人間じゃないもの!」

「見なかったわ。」

「そうか…。それはそうと、リサリサ先生は?」

「入浴中よ。30分は出てこないわ。覗いちゃダメよ?」

「誰が覗くか! それどころじゃねぇんだよ! シーザー達にも伝えてくれ! あと、ミナミは、仗助のこと頼む!」

「わ、分かったわ…。」

「早く!」

 ジョセフは、走って行き、ミナミは、意識の無い仗助を介抱しつつ、スージーQは、シーザー達のところへ急いで行った。

 

 

 ジョセフが走っていると曲がり角のところで、誰かとぶつかった。

「いってーーー!」

「っ…、じょ、ジョジョ! おまえ、なんでここに! エシディシは!?」

「シーザーちゃんかよ! それどころじゃねぇんだ! エシディシの野郎がまだ生きてて…。」

「どういうことだ? 仗助とミナミは!?」

「アイツは大丈夫だ! それより、エシディシが、リサリサのところに行く前に…。」

「ん?」

「シーザー?」

「あれ…あの根っこは…。」

 シーザーが指差す先には、まるでこっちだと言わんばかりに、フリフリと振られている床から生えたブルー・ブルー・ローズがいた。

 ジョセフとシーザーが向いたのを感じたのか、赤い根っこは、ピョコピョコと場所を変えて移動するように生える場所を変えた。

「あの先か…?」

「なに?」

「追うぜ!」

「おい! 待て!」

 ジョセフが赤い根っこ…、ミナミのスタンド、ブルー・ブルー・ローズを追いかけていく。

 そして、風呂場の扉の前に到着。

「おいおいおーい…。覗きの趣味はねぇっての…。」

 そうは言いつつソワソワしているジョセフ。

 ブルー・ブルー・ローズは、ここを見ろと言わんばかりに、鍵穴の方を示している。

「でもしょうがないよな~? そう導くんならよぉ…。へへへへ。」

 そしてジョセフが鍵穴の中を覗き見る。

 すると、リサリサの裸体の背中がちょうど見えた。

「うひょーー! ナーイス!」(小声)

 そして、再び鍵穴を覗くと…。

 そこには、スージーQの姿もあった。

「!?」

 彼女は、シーザーにエシディシのことを伝えさせに行かせたはずだ。なのに、反対側のココになぜいるっと、ジョセフは疑問に思った。

「まさか!?」

「おい、ジョジョ! 何やってやがる!?」

「先生、入るぜ!」

「おい!」

 ジョセフは、シーザーの言葉を聞かず、風呂場の扉を蹴破った。

 

『クククク…! ばぁかめぇ…、遅いわ…!』

 

 スージーQに取り憑いたエシディシが、笑う。

「スージーQ? エイジャの赤石をどこへ!?」

 タオルで体をかくしたリサリサが言う。

『今出航した郵便船にエイジャの赤石を乗せたぜ! てめーらがあの船を追うことは阻止してやる! それと…、この女は…まだ半分生きている、完全にこのエシディシを殺すには、この女ごと殺さなければならないぜーー! できるか? できねーよなーーー!?』

 

「それは…、どうかな?」

「ドラーーー!!」

『グゲーーー!?』

 スージーQの体を貫いたクレイジー・ダイヤモンドの拳が、エシディシの脳を掴んで引っ張り出した。

『グゲゲゲ!? そ、そうか…、お前がいたか…! ジョースケェェェェ!』

「よっしゃ、そのまま引っ張り出せ!」

『だが、俺を完全に引っ張り出せば…、この小娘の心臓を止めるぜ!?』

「なっ!」

 長い長い血管が、スージーQに依然張り付いていた。

『ヒャハハハハ! どうやらジョースケ…お前の力は、それほど遠くまでには使えないらしいな! じゃなきゃ、ジョジョとの戦いでとうに使っていたはず! 俺の血管はまだまだ伸ばせるぜ! 血管を切ってみろ! その瞬間に心臓は止まる! 残念だったな! そして、この俺の最後の力で、小娘を爆発させる! てめぇらを道ずれにしてなぁ!!』

 繋がっている血管からエシディシの炎の血液が送られ、スージーQの体が煙を上げながら崩れ始めた。

「く、くそぉ!」

「やむを得ません! 私が、やります!」

「いいえ! 俺が…!」

「ま、待て! 閃いたぜ! シーザー! 油柱で覚えた波紋の効果! あれだぜ! あれ! 一か八か、やってみるしかねぇ!!」

「……なるほど、あ、あれなら…、できるかもしれん。分かったぜ。ジョジョ、俺の呼吸に合わせろ!」

「おう!」

「なにを!」

 次の瞬間、ジョセフとシーザーが、スージーQの体に、同時に波紋を流した。

「俺が流したのは、弾ける『正』の波紋!」

「俺が流したのは、くっつく『負』の波紋!」

「これで…。」

「心臓はプラマイゼロだ!!」

『……ぎ……ぃ…。』

 スージーQがポロポロと涙を零し、やがて、スージーQにくっついていたすべての血管が剥がれた。

 クレイジー・ダイヤモンドの手の中で、風呂場に入り込む太陽の光を浴び、エシディシの脳が血管と共に消滅していった。

「や、やった…。」

「なんて野郎だ…、むかつくぜ。女の体に取り憑くなんて醜いことをしやがって。」

「いや、違うぜシーザー。そいつは逆だ。俺はコイツと戦って分かった。コイツは誇りを捨ててまで何が何でも仲間のために生きようとしたんだ。赤石を手に入れるために。何千年生きたか知らねぇが、コイツはコイツなりに生きたんだぜ。善悪抜きにして。コイツの生命にだけは、敬意を払う…!」

「ジョジョ…。」

「仗助…、スージーQさんを…。」

「分かってるって。」

 仗助は、スージーQの体をあっという間に治した。

 

 

 エイジャの赤石…、スーパーエイジャは、すでに出航して見えない郵便船に乗っていずこかへ送られてしまった。

 

 

 




クレイジー・ダイヤモンドなら、脳の状態からエシディシ復活できないかな?とも思ったけど、仗助が治さない意思で触ってるなら効果は現れないということにしました。
脳を引っ張り出したものの、血管が延びるので、エシディシ、必死に最後の力を振り絞って脅し、全員を巻き込もうとするも、原作通りプラマイゼロのダブル波紋で敗北。


次回は、シュトロハイムかな?


やべぇ…、2部メッチャ難しい……!
スタンドを突っ込むって難易度高すぎる!
無茶なネタをやってしまったと後悔しています。

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