仗助の双子の姉がいたらというもしも、パート2 第二部『戦闘潮流』へ 作:蜜柑ブタ
シュトロハイムは、仗助に直してもらったということにしました。
あと、後半は、ミナミとシーザーの会話が主。
「しかし、たまげた! 実にたまげたぞぉ!」
「あー、もううるせぇな。やっぱ直してやらなきゃよかったんだ。」
「直してやってくれよって、言ったのは、お前だぞ、ジョジョ。」
「あ、そうだったぜ。」
感激してうるさく声を上げるシュトロハイムにうんざりするジョセフに、シーザーがツッコミを入れた。
「まさか、カーズによってバラバラに切り刻まれた我が精密機器の塊の体を一瞬にして直してしまうとは! いったいどういう原理だ!?」
「えーと…、触っただけっすけど。」
「でも、弱点はありますよ。」
「ほう? それは?」
「死んだら……、生き返らせられません。あと、完全に消滅している場合も直せません。」
「…ふむ、なるほど。神の奇跡のごとく万能とはいかんか。我が軍の研究材料になると思ったが、そうでもなさそうだな。」
「げー! 勘弁してくださいっすよ! 実験体なんてごめんですからね!」
「フハハハハ! 無駄だ無駄! その力、我がナチスのために捧げるがいい!」
「関節ひとつ動かせないほど、グシャグシャに変形させますよ! 脳みそも金属と同化させて、永遠に生きさせますよ!?」
「うぉ…、そのような永遠は、勘弁願う…。だが、そのようなことも出来るのか?」
「……過去に2名ほど、うちの弟は、岩と本と一体化させた経験がございますが?」
「いやん! なにそれ! 怖っ!」
ジョセフが裏声で体をくねらせ怯えたようにした。
「だから…、できる限り、うちの弟は怒らさないようにしたほうがいいですよ? ぶち切れると、元の形に直る保証はどこにもありませんからね。」
「もし、ぶち切れていたら?」
「あなた、とっても芸術的な作品に早変わりでしたでしょうね。もしくは、ただの鉄球か…。残ってる肉体部分も残らず同化させられて。」
「……そうか。」
さすがのナチス軍人であるシュトロハイムも想像して、冷や汗をドッとかいていた。
「それはそうと、リサリサさん。」
「なにかしら?」
「保険のため、エイジャの赤石の一部を拝借するってできます?」
「つまり赤石を砕くと?」
「一部だけです。」
「それは…できないわ。」
「うーん…、装飾部分は結局飾りだから…、今回はなんとか取り返せたけど、装飾部分を外されたら仗助のアレでも無理だから…。」
「なるほど、そういうことなのね。ですが、完全なる形でなければ、エイジャの赤石は、その意味を成しません。光の屈折が少しでも狂えば…、スーパーエイジャとしての力は発揮できないのです。」
「じゃあ、諦めます。」
ミナミは、自分が出した提案を却下され諦めた。
「ところで、ミナミ…といったな。」
「はい?」
シュトロハイムに話しかけられ、ミナミは、シュトロハイムの方を見た。
「お前にも、この仗助という小僧と同じような力があるのではないのか?」
「っ…。」
「その反応! やはりか、双子だとは聞いたが、同じ腹の中で育っただけに同じ力が宿っていても何ら不思議ではない! さあ、教えろ! お前の力はなんだ!?」
「そ、れは…。」
「おい、シュトロハイムのおっさん。聞かれたく無いことは聞くなって親に教わらなかったかよ?」
怯えるミナミにジョセフが庇うように腕を伸ばして間に入った。
「ジョジョ! もし、この娘の力が、柱の男どもにとって脅威となる力ならば、情報は共有すべきだとは思わんか! 柱の男達にエイジャの赤石を渡さぬためにもな。」
「だから…。」
「私の力は……、この世でもっとも不平等な力…。」
「ミナミ。」
「私の力は……、生命から寿命を奪い取る力です。」
「それだけか?」
「……。」
「姉ちゃん、無理すんな! 喋りたくないなら喋らなくていいんだぜ!」
「…ハッ! ご、ごめ…。」
「顔色が悪いな。仗助、先にホテルで休ませろ。」
「待て、まだ話は…。」
「俺達は確かに、今、あんた達ナチスと協力体制にあるが……、今にも倒れそうな女の子に無理矢理尋問するようなことはさせねぇぜ。」
シーザーが庇っている内に、仗助がミナミに肩を貸して、その場から逃げた。
***
シュトロハイム率いるナチス軍がとってくれたホテルの一室で、ミナミは、ベッドの上で枕を抱えていた。
近くのテーブルには、ルームサービスの食事がほとんど残されていた。
仗助は、今いない。
すると、コンコンと扉が叩かれた。
「入るぞ。」
シーザーだった。
ミナミは、シーザーの方を見ず、背中を向けていた。
シーザーは、食べ残された食事を見て、ため息を吐いた。
「食える内に食っとけ。いつ奴らが襲ってきても対応できるよう、体力が必要だからな。」
「……食欲無くって。」
「なあ、ミナミ。すねてるのか?」
「違います。」
「すぐ否定するってことは、機嫌が悪いって証拠だぞ?」
「もう!」
「おっ、やっとこっち向いたな。」
起き上がったミナミに、シーザーは、クスッと笑い、椅子に座った。
「……あの機械野郎じゃねぇが、教えてくれないか? お前の力のこと。」
「っ…。」
「アイツには言わない。もちろん、ジョジョにも、先生にもだ。約束する。」
「!」
「無理に吐き出したくなくっても、吐き出せた方が楽になるって事もあると思ってな。ましてや秘密にしていることだと余計に。余計なことだったか?」
「………本当に?」
「ん?」
「本当に…言わない?」
「もちろんだ。神に誓っていい。」
「……じゃあ、教えます。私の能力は、さっきも言いましたが、生命から寿命を奪うこと。だけど、その命を、他人に与えることもできます。つまり、生と死を自由にする力…。限られた、あらかじめ決められた寿命の長さを変えてしまうんです。」
「それで、さっき『この世でもっとも不平等な力』って言ったのか。」
「はい…。もし、この世の命の総量が決まっているのなら…、それを奪って、勝手にするって……、良いことだと、思います?」
「……思わんな。」
「あと……。」
「まだあるのか?」
「……これだけは、これだけは、私が一番嫌いなことなんですけど…。」
「なんだ? 言ってみろ。」
「……1回だけ…、どんな死因も無かったことにできるんです。」
「死因を…無かったことに?」
「つまり、1回だけなら…、無傷で生き返ることができるんです。例え、重傷を負って死んでも、病気で死んでも、毒とか薬で死んでも。」
「…もう1回死んだら?」
「完全に死にます。」
「……そいつは、知られるわけにはいかねぇな。」
ナチスは、自分達の支配が長く続くことを目的に不老不死を狙っている。
もし、死を無かったことにできるなんて力を知られれば、バラバラにされたシュトロハイムを直した仗助以上に狙われることになるだろう。
1回だけと制限はあるものの、調べられ、その力の根底を暴かれて、量産なりして運用できれば自由に命を操れる術が手に入るだろう。
「嫌う理由は、1回しか使えないからか?」
「それもありますけど……、もしその1回で生き返った場合…、あらかじめ入られていた寿命分しか残りません。」
「つまり?」
「例えば、1年分だけなら…、1回死んだ後、1年しか生きられません。新たに寿命をあげないとどうやっても死にます。」
「それを解消するためには、他人の命を奪うしか無いってことか。」
「だから……、嫌いなんです。誰かを救うためには、誰かを犠牲にしないと成り立たない、こんな力! 欲しくなかった!」
ミナミが頭を抱えて叫ぶと同時に、部屋の天井や床、壁からブルー・ブルー・ローズの鮮血色の根っこが出現した。
「こ、これは!?」
「あっ…、逃げてシーザーさん!」
「これがお前の力か、ミナミ!」
「私、この力を制御できないんです! 肥やしにされる前に…、あっ。」
すると、フッと何事も無くブルー・ブルー・ローズは消えた。
「消えた…。消したのか?」
「いいえ…。いつも勝手に出て勝手に消えるから…。」
「どうも…、ミナミの感情とかに反応しているくさいな。あの時も、カーズ達を追い詰めてたな。カーズ達は、ミナミの力がやばいって感じてたのかもな。」
「でも数千年単位で生きてる相手が…、1、2年ちょいの寿命の変動を気にするとは思えないんですけど。」
「もしかしたら、ミナミの知らない部分があるんじゃないのか? 隠された力の特性とか。」
「私の…知らない…。」
「嫌っているからこそ、盲目になって、見えてない部分があるかも知らないだろ?」
「それは…そうかも…。」
「制御できれば…、カーズ達には脅しぐらいにはなったと思うが…贅沢は言えないか。」
「……私の力について、知っている範囲ですが、以上です。聞いてくれて…、ありがとうございます。」
「礼には及ばないさ。話を聞いただけで、なにもできなくてすまない。」
「……本当に…ありがとうございます。」
ミナミは、頭を下げ、それから微笑んだ。
「あっ、やっと笑ったな。」
「へ?」
「やっぱレディには、笑顔が一番だ。ミナミ、君が力に悩まず、いつかずっと笑顔でいられることを祈るぜ。」
するとシーザーが立ち上がり、ミナミの額にキスを落とした。
「わっ! シーザーさん!」
「幸運のおまじないさ。」
「もう!」
「ハハハハ。」
シーザーは、プリプリ怒るミナミの視線を受けながら、笑いながら部屋を出ていった。
その直後、扉の隙間に挟まっていた、青いバラの花が落ち、シーザーの頭部に落ちて、光となって消えた。
シーザーなりに、ミナミを気遣って行動。
けど、ミナミは、寿命どういう形にして奪うのか、与えるのかを教えなかった。
重要なのは、青いバラの花ではないのだということであえて言わなかったのか…それとも?
扉の隙間あった青いバラの花は、ブルー・ブルー・ローズが勝手にやりました。