リアルが忙しくて遅れてしまいました
それではどうぞ
シアが、最初のウザイ石板を破壊し尽くして数時間。なんとか落ち着かせることに成功させ、俺を先頭にして通路を進んでいる
シアが気の済むまで石板を叩き壊している時に暇だったので、南雲とユエを交えてライセンの大迷宮について確認程度に話し合って、俺とシアが先導して南雲やユエが後ろに追従する形になった。
これにはれっきとした理由がある。この場所は谷底よりも更に魔法がまともに使えなくなっているのだ。魔法特化のユエでも上級クラスの魔法でなければまともに使うのも難しく、その上級魔法でも威力が減衰しており、中級以下に至っては魔法を使っても二メートルで効果が出れば御の字、今まで魔物を強力魔法で一発で葬ってきたユエにとってはやりづらいだろう
そして南雲、こちらも多大な影響が出ているのだ。〝空力〟や〝風爪〟といった体の外部に魔力を形成・放出するタイプの固有魔法は全て使用不可となっており、〝纏雷〟もその出力が大幅に下がってしまっている。ドンナー・シュラークは威力が半分以下に落ちている。シュラーゲンも通常のドンナー・シュラークの最大威力レベルしかない。
また、魔晶石シリーズに蓄えた魔力の減りも馬鹿にできない。俺とシアは基本的に斬ったり殴ったりだから別に良いかもしれないが、二人は
「なぁ遠藤……確かこの大迷宮は大量の罠が張り巡らされてるって言ってたが……」
「……何も無さすぎる」
「安全な道だから……大丈夫な筈なんだが、うん……俺まで心配になってきた」
更に十分が経過し、嫌な予感が的中してしまった。何故ならば、目の前に広がるのは斬り捨てられている無数の矢の残骸、そして見覚えのある水溜まりとヒビが入った壁……二十分前までいた場所だったからだ。
「えぇっ!? こ、この場所って……」
「……ん、嫌な予感が当たった。最初の部屋」
「……おい、さっきあった石板の反対方向に新しく……」
南雲の言葉通り、新しく石板が追加されていた。そこには……
"仕掛けに怯えながら進んだ先にあったのは、スタート地点でしたぁ! ぷぷぷ~! "
"安全に通れる道なんてあるわけないじゃ~ん? "
"ねぇ、ねぇ、どんな気持ち? どんな気持ちなの? ねぇ、ねぇ"
「「「「……」」」」
しばらく無言で文字を見つめていた四人だったが、俺がため息をつくと三人は一斉に此方をみる
「はぁ……これは流石にキレそうだわ」
「ま、まぁまぁコウスケさん! 確かに罠一つない安全なルートだったんですから……き、気を落とさずにぃ」
「……こんなの気にしないで行こう」
「まぁ、予想できた事だしな」
冗談で言った俺のキレる発言に、三人が慰めてくる。それに「冗談だ。気にしてない」と返し、取り敢えず俺とシアが前衛で南雲とユエが後衛っていうのは変えずに俺の直感便りで慎重に進む事となった。
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南雲に"マーキング"("追跡"の固有魔法のこと)任せて進むこと五分、とある広大な空間に出た。
そこは、階段や通路、奥へと続く入口が何の規則性もなくごちゃごちゃにつながり合っており、まるでレゴブロックを無造作に組み合わせてできたような場所だった。
「これはまた……」
「ザ・迷宮って感じだな」
「……ん、迷いそう」
「面倒くせぇですぅ」
面倒そうに思いつつも、南雲は"マーキング"を、俺は直感と眼帯を取って魔眼石を使いながら罠に注意して進む
「この鉱石は……"リン鉱石"っていうのか、へぇ空気に触れると発光する……か」
「……ッ! おい南雲そ━━」
南雲は薄青い光を放っている鉱物が気になったようで、〝鉱物系鑑定〟を使って調べたらしい
聞きながら嫌な予感がして振り返ると共に止まるように言おうとして━━
ガコンッ
という音を響かせて南雲の足が床のブロックの一つを踏み抜いた。そのブロックだけ南雲の体重により沈んでいる。「えっ?」と一斉にその足元を見た。
その瞬間、
シャァアアア!!
そんな刃が滑るような音を響かせながら、左右の壁のブロックとブロックの隙間から高速回転・振動する円形でノコギリ状の巨大な刃が飛び出してきた。右の壁からは首の高さで、左の壁からは腰の高さで前方から薙ぐように迫ってくる。
「はわわっ! こ、コウスケさ!?」
「ふん、こんなもん回避するまでもない」
迫る刃に俺は突っ込み、まずは右の刃を斬り、そのまま流れるように移動して左の刃も斬り捨てる。
斬られた二つの刃はクロスするように飛んでいき、壁に突き刺さった。
「終わりか……?」
「どうだろうな……」
「警戒を……ッ!? 南雲、ユエを抱えて前方に回避しろ!」
第二陣を警戒して、注意深く辺りを観察する俺と南雲。何もなかったので終わりだと思ったが、唐突に真上から嫌な予感がしたので、南雲にユエを抱えて回避するように言い、俺もシアを抱えて同じように前方に飛ぶ。
直後、今の今まで俺達がいた場所に、頭上からギロチンの如く無数の刃が射出され、まるでバターの如く床にスっと食い込んだ。やはり、先程の刃と同じく高速振動している。
冷や汗を流して足先数センチに落とされた刃を見つめる南雲。ユエも硬直している。シアも一瞬だけ青ざめた表情をした後に俺に抱き抱えられているのに気がつき、デレデレし始めた。もう
「……完全な物理トラップか。どうりで魔眼石じゃあ感知できないわけだ」
俺の魔眼石では感知できなかったので、どうやら純粋に魔力を用いない物理トラップのようだ。意味がないなら魔眼石を晒している必要はないので眼帯を再度着け直す
「……危なかった。ありがとうコウスケ」
「もう少し慎重に行くべきだったな……悪かった。にしてもあれを斬るとは流石だな」
「えへ……はきゅっ!?」
「あの程度なら誰でも斬れるよ……それより先に行こう」
いつまでもイヤンイヤンしているシアをもはや定番となったデコピンをし、先に進むように促す。
「なぁ遠藤、アイツは大丈夫だと思うか?」
順番を俺、南雲、ユエ、シアに変更して先に進んでいると南雲からそう話しかけられた
「大丈夫だろ、ユエも身体強化は化け物レベルだって認めてたし、この大迷宮では魔法は使い物にならない代わりに物理特化なら有利だし……馬鹿なのが欠点だがな」
「馬鹿なのは知ってるし、そっちじゃなくてだな……俺とお前はオルクス大迷宮の魔物や鉱石を使った防具や武器があるからこの程度の罠なら殺される心配なんて無い。ユエも勿論そうだ"自動再生"があるしな」
「あぁ成る程……」
南雲の言いたいことがわかった。つまりは俺と南雲、ユエは防具や固有魔法があるから罠程度では死ぬ危険はないだろう。だが、シアの手持ち戦力は身体強化の魔法と""、ドリュッケン、動きやすさ重視の軽装だ。そして残念ながら"未来視"は未だに完全に使いこなせてはいない。
必然的に俺たち四人の中で一番危険なのはシアだ。今はデレデレしてる余裕なんてあるかもしれないが、その事に気がついた時シアのストレスが天元突破するであろうことだけは確かだった。
「あれ? コウスケさん、ハジメさん、何でそんな哀れんだ目で私を……」
「強く生きろよ、シア……」
「ドンマイ、フォローはする」
「え、ええ? なんですか、いきなり。何か凄く嫌な予感がするんですけど……」
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今度こそ俺達四人は、トラップに注意しながら更に奥へと進む。それはもう本当に注意深く、大袈裟かもしれないが一歩一歩進んでいる
オルクスでは大量に湧いて出てきた魔物だが、今のところ一切出てきていない。そもそもこの大迷宮は魔物のいない迷宮とも考えられるが、それは楽観が過ぎるというものだろう。それこそトラップという形で、いきなり現れてもおかしくない。
時間をかけて進み、やっと通路の先にある空間に出た。その部屋には三つの奥へと続く道がある。取り敢えず入り口に〝マーキング〟だけして貰い、俺達は階下へと続く階段がある一番左の通路を選んだ。
「うぅ~、何だか嫌な予感がしますぅ。こう、私のウサミミにビンビンと来るんですよぉ」
階段の中程まで進んだ頃、突然、シアがそんなことを言い出した。言葉通り、シアのウサミミがピンッと立ち、忙しなく右に左にと動いている。
「南雲━━」
「お前、変なフラグ立てるなよ。そういうこと言うと『ガコン』……ほら見ろっ!」
「わ、私のせいじゃないすぅッ!?」
「!? ……フラグウサギッ!」
進むほどに嫌な予感はあったが、ついに俺の"直感"が警鈴を鳴らした。その事を伝えようと二人の会話に入ろうとして、嫌な音が響いたと同時に、いきなり階段から段差が消えた。かなり傾斜のキツイ下り階段だったのだが、その階段の段差が引っ込みスロープになったのだ。しかもご丁寧に地面に空いた小さな無数の穴からタールのようなよく滑る液体が一気に溢れ出してきた。
「くっ、このっ!」
「……危なッ!」
俺はというと、刀を床に突き立てて踏ん張り、南雲は咄嗟に靴に仕込んだ鉱石を錬成してスパイク状にする。どうやら義手の指先からもスパイクを出して滑り落ちないように堪えているようだ。ユエは、咄嗟に南雲に飛びついたので滑り落ちることはなかった。流石この二人、阿吽の呼吸である。
しかしながら日も浅く、急な事態での対処が遅い人物が一人。言わずもがな、シアである。
「うきゃぁあ!?」
段差が消えた段階で悲鳴を上げながら転倒し後頭部を地面に強打。「ぬぅああ!」と身悶えている間に、液体まみれになり滑落。そのまま、M字開脚の状態で南雲の顔面に衝突した。
「ごえっ!?」
その衝撃で義手のスパイクが外れてしまい、南雲は、右手にユエを掴んだまま後方にひっくり返った。足のスパイクも外れてしまい、スロープの下方に頭を向ける形で滑り落ちていく。シアは、そんな南雲の上に逆方向で仰向けに乗っかっている状態だ。
一番前にいた俺は三人を止めようとしたが、タールのような物の予想以上の滑りやすさに、体勢を崩して転倒してしまった。突き刺さったままで刃が此方を向いている危険な刀を南雲たちが突っ込んでくる寸前で抜いて納刀、三人に押される形で滑っていく
「てめぇ! ドジウサギ! 早くどけ!」
「しゅみません~、でも身動きがぁ~」
滑り落ちる速度はドンドン増していく。南雲が必死に靴や義手のスパイクを地面に突き立てようとするが既に速度が出すぎていて、中々上手くいかない。ならばと、直接階段の錬成を試みるが、迷宮の強力な分解作用により上手く行かない。
シアが、もがきつつも何とか起き上がる。南雲の上に馬乗りになっている状態だ。
「ドリュッケンの杭を打ち付けろ!」
南雲がシアに指示を出す。シアの持つ大槌ドリュッケンには、幾つかのギミックが仕込まれており、その内の一つが槌の頭部分の平面から飛び出る杭である。一点突破の貫通力を上げる為の仕掛けだ。それを地面に突き立て滑落を止めようというわけだろう。
「は、はい、任せッ!? ま、前! 道がっ!」
シアが背中の固定具からドリュッケンを外そうと手を回した。と、直後、前方を見たシアが焦燥に駆られた声をあげる。
「っ! ユエ!」
「んっ!」
咄嗟にハジメはユエの名を呼ぶ。それだけでユエは意図を正確に読み取った。
「おいシア、しっかり掴まってろ!」
「は、はい!」
シアは、馬乗りのままヒシッとハジメにしがみつく。
そして遂にスロープが終わりを迎え、俺達は空中へと投げ出された。一瞬の無重力。その隙にユエは魔法を発動した。
「〝来翔〟!」
「あ……」
風系統の初級魔法だ。強烈な上昇気流を発生させ跳躍力を増加させる魔法である。だが、この場は魔法の力が及ばない領域。ユエの魔法は、ほんの数秒の間だけ浮かせる程度の効果しか発揮できなかった。しかしハジメには十分だったようで、右手にユエを、首にシアをしがみつかせたまま、義手を天井に向けて掲げた。そして魔力を流すと……
パシュ!
という空気が抜けるような音を響かせて義手の内手首から細いワイヤーが取り付けられたアンカーが飛び出し天井の壁に勢いよく突き刺さった。そして、アンカーから返しが飛び出し完全に固定される。宙吊りになっている三人だが、どうやら心配無さそうだ。
俺はというと、別段危険は無いようなので下に真っ逆さまに落ちていく。ユエのおかげか落下スピードはほんの少し抑えられていたので、苦もなく着地━━グチャッ
「ん?」
どうやら着地の際に何かしらを踏み潰してしまったようで下を見る。そこには虫型の魔物? の死体、そして俺を避けるように黒い何かが蠢いていた。
カサカサカサ、ワシャワシャワシャ、キィキィ、カサカサカサ
その正体はおびただしい数のサソリだった。体長は十センチくらいだ。ユエを封印していた部屋に置かれた魔物に比べればかわいいものだ。いや、そっちの可愛いでは無いし、別に気持ち悪いだとかそういった嫌悪感も無いのだが、どうやら
「あらよっと」
気の抜けたような声と共に、その場から跳躍して南雲の足に捕まる。
「おっと……よお、人生初のサソリの海はどうだった?」
「貴重な体験だった……お前もどうだ? 毒なんて効かないし危険はないぞ?」
「あのぅ、コウスケさん上を見てください」
「上?」
シアに言われ、天井に視線を転じる。すると、何やら発光する文字があることに気がついた。
〝彼等に致死性の毒はありません〟
〝でも麻痺はします〟
〝存分に可愛いこの子達との添い寝を堪能して下さい、プギャー!! 〟
わざわざリン鉱石の比重を高くしてあるのか、薄暗い空間でやたらと目立つその文字。ここに落ちた者はきっと、サソリに全身を這い回られながら、麻痺する体を必死に動かして、藁にもすがる思いで天に手を伸ばすだろう。そして発見するのだ。このふざけた言葉を。
「いや、まぁ……麻痺耐性もあるけどさ…………」
「「「……」」」
何とも言えないミレディのウザさに俺たちは黙り込むしかなかった。「相手にするな、相手にするな」と自分に言い聞かせ、何とか気を取り直すと周囲を観察する。
「……ハジメ、あそこ」
「ん?」
すると、ユエが何かに気がついたように下方のとある場所を指差した。そこにはぽっかりと横穴が空いている。
「横穴か……どうする? このまま落ちてきたところを登るか、あそこに行ってみるか」
「俺はあの穴に行っても良いと思うが……」
「わ、私は、お二人の決定に従います。ご迷惑をお掛けしたばかりですし……」
「いや、そのお仕置きは迷宮出たらするから気にするな」
「逆に気になりますよぉ! そこは『気にするな』だけでいいじゃないですかぁ」
「……図々しい。お仕置き二倍」
「んなっ、ユエさんも加わると!? うぅ、迷宮を攻略しても未来は暗いですぅ……コウスケさぁん」
南雲とユエの容赦のなさに嘆くシアは俺に助けを求めてくるが
「んじゃ南雲、彼処に行くってことでいいな?」
「そうだな。なにより戻るより進む方が気分がいいし」
「……ん」
「了解っと」
「ちょっ、コウスケさん!? 無視はひど━━」
手を離してサソリの海へと再度ダイブ、グチャと何匹かサソリを潰しながら着地し、すぐさま跳躍して移動していく。南雲の方はアンカーをもう一本射出し、ターザンの要領で移動していっているようだ。
こうして俺らは無事に横穴へとたどり着き、警戒しつつも、この先に待ち構えているであろう嫌らしいトラップの数々を思い浮かべ、ウンザリとした表情をしながら通路を進むのだった
ミレディの迷宮の難易度上がってます。
今日中にもう一話出せるように頑張ります
それでは次の話でお会いしましょう
投稿と展開が遅いと思う?
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(投稿速度)が遅い
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(展開)が遅い
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待ってま~す
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畑山愛子先生っ!!すっきぃぃ!!
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園部好き!