仗助に双子の姉がいたらというもしも パート3 三部へ   作:蜜柑ブタ

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皇帝と、吊られた男の暗示編。



展開が、原作とは違いますが、アヴドゥルは……。


皇帝と、吊られた男の暗示

 

 

「わしは、インドは初めてなんだ。」

 ジョセフがそう言った。

 ジョセフは、インドという国にあまり良い印象がないらしい。あくまで想像(イメージ)だが、カレーばかり食い、乞食とか泥棒ばかりで、熱病かなにかにすぐにかかりそうだと言う。

「ひっでーイメージだな。」

「けど、私達の時代でもあんまりいい印象ないんじゃない? 人口が多すぎるとか、カースト制度があるとか、牛が神聖だから野放し状態だとか、川に糞便を垂れ流しで生活用水にも使ってるとか…。」

「うぇ…、ぜってー水飲まねぇ。」

「フフフ、それは歪んだ情報だ。心配ないです。みんな、素朴でいい人達ですよ。私が保証します。」

 アヴドゥルがそう言った。

 まあ、アヴドゥルが言うならと、思ってカルカッタへと降り立った。

 ところが……。

 

 カオスだった。

 

 バクシーシバクシーシとお金をねだる乞食達。

 排気ガスを巻き上げる凄まじい渋滞。

 糞便たれがしの、野放しの牛。

 押し売りしてこようとしてする怪しい商人達……。

 

 言ってたらキリが無い。

 

「あの~、アヴドゥルさん?」

「ね? いい国でしょ? これだから、いいんですよ、これが!」

「ええ~~~?」

 

 カルカッタ。

 そこは、19世紀のイギリス人が、『この宇宙で最悪の所』と呼んだ場所である。

 

 

 そうして、やっとの思いでホテルに到着。

 近くのレストランで、インド名物、チャーイを頼んで一息。

「ま、ようは慣れですよ慣れ。」

「なかなか良いところだぜ。」

「マジっすか、承太郎さん! 俺は、無理だなぁ…。」

「仗助って、なんやかんやで潔癖だからね。」

「この国がやべぇんだよ~。ブランドで2万したクツが、牛のクソで汚れちまったし…。」

「汚れるのが嫌なら、履かなきゃ良いでしょそんな良いの。」

「履かなきゃクツの意味ねぇじゃん! 姉ちゃんは、オシャレに興味なさ過ぎ! いい歳なんだから、化粧のひとつでもしろよ!」

「なにを~! このブランドオタク!」

「こりゃこりゃ、姉弟喧嘩はやめなさい!」

 顔を近づけ喧嘩を始める二人の間にジョセフが割り入って止めようとした。

 

 ガシャーーン!

 

 その時、鏡が割れる音がした。

「なに?」

「今のはトイレの方か? ポルナレフ!」

 異変に気づいた一行は、トイレの方に行くと、窓を開けているポルナレフがいた。

「ついに…。」

「ポルナレフさん?」

「ついに、奴が来たぜ! 承太郎、仗助、お前達が聞いたという鏡を使うというスタンド使いが!」

「えっ、ってことは…。」

「ああ! 俺の妹を殺したドブ野郎~~~! ついに会えたぜ!」

 

『ククク…。』

 

「!」

「ミナミ?」

「今…、笑い声が…?」

「ジョースターさん。悪いが俺はココで、あんた達とは別行動をとらせてもらうぜ。」

 ポルナレフは、ついに見つけた妹の仇を討つべく、単独行動をしようとしていた。

 それについて、アヴドゥルが咎めた。

 相手が分からない状態で、行くのは危険だと。

 だがポルナレフは聞かない。両手とも右手だと分かっていれば十分だと。

 そうして、ポルナレフとアヴドゥルの言い合いが始まった。

 そして、ポルナレフは、頭に血が上っているあまりに…。

「以前DIOに出会ったとき、恐ろしくて逃げ出したそうだな! そんな腰抜けに、俺の気持ちは分からねーだろーからなぁ!」

「なんだと?」

 ピシッと空気が凍った。

「俺に触るな! 香港で運良く俺に勝ったってだけで、俺に説教はやめな。」

「貴様…!」

「ほお~~~? プッツン来るかい?」

「こいつ!」

「よせ、アヴドゥル。もういいやめろ。行かせてやろう、こうなっては誰も止めることはできん。」

「……いえ、彼に対して、幻滅しただけです。あんた男だったとは…。」

「そうかな?」

「…ミナミ?」

「……ごめんなさい。」

「ミナミ? おい!」

「ポルナレフさん。見届けさせてください。」

「…ミナミ? 来るんじゃねぇよ。コイツは、俺の戦いだ。邪魔だぜ。」

「まあまあ、私はワタシの導きに従うだけだよ。」

「みちびき~?」

「ほら、アレ。」

 ミナミが指差す先には、地面からピョコッとちょっと出ているブルー・ブルー・ローズの鮮血色の根っこが、こっちだと言わんばかりにフリフリ振るわれていた。

「じゃ、俺も導かれようかな~?」

「おい、仗助! お前まで…。」

「姉ちゃんをひとりで行かせられるかよ。それに、邪魔はしませんよ。誓うっす。」

「本当か? ……もう勝手にしろ。」

 ポルナレフは、呆れたと肩をすくめ、背中を向けた。

「ブルー・ブルー・ローズが導く先に、吊られた男がいるってことだよな、姉ちゃん?」

「そういうことだと思うよ。今までだって、そうやって導かれてきたんだから。」

「…どういうこった?」

「あれ? 私達に勝手にしろって言ったじゃん?」

「そうじゃなくて! ああ、もう! おまえら…! あの赤い根っこ追いかけりゃ、J・ガイルがいるのか!?」

「誰か…それとも、何かがある可能性は高い。今までずっとそうだったもの。ね?」

「おう。」

 ミナミは、仗助と顔を見合わせ笑った。

「ほら、ポルナレフさんを呼んでる…。」

「……信じるぜ。」

 ピョコピョコと、地面を移動する赤い根っこを追い、ポルナレフは移動を始めた。

「ミナミ! お前…。」

「このカルカッタ内にいるなら…、私の射程範囲内だと思います! 逃げ場は…ありませんよ。」

「こっそり追いかけりゃいい。」

「承太郎!」

「あんたも心配だろ? アヴドゥル。」

「っ……、別行動してポルナレフを追おう。」

「決まりだな。」

 そうして、ポルナレフに気づかれないよう、追跡することとなった。

 

 

 

 

 ピョコピョコと移動する根っこは、やがて建物の間の方へ移動した。

「くっそ、まだいねぇのかよ! どこまで行けば…。くそっ、見失った! どこだ!」

 

 

「ーーーーーっかしいなぁ…? 予定じゃ、この辺りでポルナレフの野郎が来るはずだったのによぉ。」

 

「!」

 建物の間に入り込んだところで、そんな男の声が聞こえた。

 振り返ると、そこは市場だったのだが、カウボーイの格好の男が葉巻を吸って、もう一人の男と一緒にいた。

 そして、ポルナレフは、見た。カウボーイの格好の男の横にいる男の左手が、“右手”であることに。

「野郎! ついに! ぐえぇ!」

 飛び出そうとした瞬間、首をブルー・ブルー・ローズに巻き付かれ、引っ張られた。

 まるで行くなっと言っているようだ。

「じゃ、邪魔すんじぇねぇよ! ミナミぃ!」

「私じゃないよ。ブルー・ブルー・ローズがそうした方が良いって動いただけだもの。」

「邪魔すんなって言っただろうが!」

「あっ!」

 シルバー・チャリオッツを出したポルナレフが、ブルー・ブルー・ローズの赤い根っこを切り刻んで逃れた。

 

「J・ガイル!」

 

「なにぃ!?」

 カウボーイの格好の男が突然のポルナレフの登場に驚いていた。

「なーんだ、予定が狂ったかと思ってちっとばかし、心配したぜ。だがまあ、予定調和か?」

「てめぇじゃねぇ! そっちの…、っ! どこだ、どこに行きやがった!?」

「さあね? けど、近くにはいるぜ?」

「なにぃ、どこだ!」

「それこそ必要ないぜ。このホル・ホースがあんさんを始末するからな。」

 ホル・ホースという男が、手から拳銃型のスタンドを出した。

「この皇帝のカードを持つ、エンペラーがな!」

 そして銃口を、ポルナレフに向け、撃った。

「シルバー・チャリオッツ!」

 しかし、弾丸は、シルバー・チャリオッツの剣で弾こうとした瞬間にあり得ない方向に軌道を変え、ポルナレフの真横を狙った。

「ダメ!」

「あっ!」

「なっ!?」

 飛び出してきたミナミがポルナレフを庇い、エンペラーの銃弾がオートで出てきたブルー・ブルー・ローズの根っこをも貫いて、ミナミの右耳を抉った。

「っっ…。」

「ば、馬鹿野郎! なにしてんだ!」

「ああ…なんてこった…。女を傷つけちまった…。しかも、ターゲットの東方ミナミじゃねぇかよ!」

「耳ぐらいでガタガタ言わないで…。スタンドから放たれた銃弾なんだから…、弾だってスタンドでしょ? 頭に血が上りすぎなんだよ。」

「そういうことじゃねぇよ!」

「ポルナレフ! スタンドの銃弾が戻ってくるぞ! マジシャンズ・レッド!!」

「アヴドゥル!?」

 その瞬間だった。

 水たまりに反射するアヴドゥルの背中に映像に映り込む包帯男のようなスタンドが手首の刃を、アヴドゥルの背中に突き刺していた。

「ぅ…。」

「銃弾が…!」

 戻ってきた銃弾が、背中を傷つけられてよろめいたアヴドゥルの額を抉った。

「あっ…。」

 っという間に、アヴドゥルが額から大量の血を流して倒れた。

「へ…ヘヘ、ハハハハ、こいつはラッキーだ。俺のエンペラーとJ・ガイルの鏡は、アヴドゥルの炎が苦手でよぉ。一番の強敵はアヴドゥルと思ってたから…ラッキー!」

 

 

 うぅぅぅぅううううおおおぉぉぉぉおおおぉぉ

 

 

「はへ? なんか、今…?」

「……好きに…。」

「!? 帽子から! うおお!?」

 ホル・ホースの帽子から、ブルー・ブルー・ローズが生えて、顔を傷つけた。傷つけた傷口から青いバラの花が咲いて落ちる。

「姉ちゃん、ダメだ!!」

「ハッ!」

 『好きにしろ』と言いかけた、ミナミを仗助が正気付かせた。

「危ねー、俺の寿命!」

 慌てて自身の寿命である青いバラの花を拾い上げたホル・ホースに、青いバラの花がパッと消えて戻った。

「……アヴドゥルさん…。仗助…。」

「…ごめん。」

 仗助は、アヴドゥルの傍で項垂れた。

「失った命までは、クレイジー・ダイヤモンドじゃ戻せないとは聞いていたが…。」

 合流した花京院が、傷を癒したが目を覚まさないアヴドゥルの首に触れて脈を診て、首を振った。

「まっ、人生の終わりってのは、大抵の場合は、あっけない幕切れだ。さよならの一言もなく、死んでいくのが普通なんだろーねぇー。ヒヒ…。」

「……じゃあ、あなたは、肥やしになって、その命を他の人にあげる?」

「ハッ!? うわわ、ま、ままままま、待てって!」

 ホル・ホースは、気がつくと自分の周りにブルー・ブルー・ローズの根っこに包囲されていたことに気づいて焦った。

「ポルナレフ! 今のうちに下がれ! 相手の挑発に乗るな! まだ分からないのですか? アヴドゥルさんは、言った。ひとりで戦うのは危険だと。しかし、あなたは…。」

「俺に…どうしろって言うのだ…? アヴドゥルは、背中を卑劣にも刺されて…、妹は無抵抗に殺された…! この無念を抑えろと!?」

「だいじょうぶ…。だいじょうぶだよ。ポルナレフさん…。」

「ミナミ?」

「このカルカッタにいる限り…、逃げ場なんて…。」

「た、頼む! このスタンドを引っ込めてくれよーーー! 耳をやっちまったことは謝るからよぉおおお!!」

「謝るなら、地獄で、アヴドゥルさんに懺悔して。……J・ガイルもね。」

 

「ヒィイイ!」

 

「J・ガイルの旦那!?」

 右手の左手に、地面から生えてきたブルー・ブルー・ローズに絡みつかれて、人混みから引っ張り出されたJ・ガイルが、ポイッと放り出された。

「なにやってんだ! 作戦が台無しだぜ!?」

「くっそ…うっとうしい、根っこだ!! 鏡の中まで…。」

「へ? えっ、あっ!? ハングドマンが!」

 見ると、市場に置かれていた鏡に映る、ハングドマン(吊られた男)というスタンドが、ブルー・ブルー・ローズに雁字搦めにされていた。

「ひとつ、教えてあげる。私のスタンド、ブルー・ブルー・ローズは、どんな無機物でも触媒に出来るらしいの。例え…、鏡の中だろうとね。私がこのカルカッタにいる限り、あなた達に、逃げ場なんてなかったんだよ!!」

「こ、この、アマぁ…!! てめぇ、スタンドを制御できないんじゃなかったのかよ!?」

「違う…、私は、“ワタシ”……。ブルー・ブルー・ローズは、ワタシであり、私じゃない。」

「ようは、勝手に動く意志を持ったスタンドってことだ! 今っすよ! ポルナレフさん!」

「おお!!」

「ち、ちくしょう! ホル・ホース、デタラメでも良い、撃て撃て!」

「そ、そうは言っても…、俺の弾丸は、単発式で…。ギャーーー! 俺の腕に根っこが!」

「早くしろーーー!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 次の瞬間、駆け出したポルナレフのために道を開けるように、ホル・ホースとJ・ガイルを包囲していたブルー・ブルー・ローズがどいた。

「我が妹…そして、我が友…、アヴドゥルの無念を晴らすため! 針串刺しの刑だ!!」

「ヒエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」

 あっという間に、全身穴だらけになったJ・ガイルが吹っ飛び、近くの建物の壁に逆さまの状態で引っかかった。

「これがホントの、『吊られた男(ハングドマン)』か。あとは、閻魔様に任せた…ぜ…。」

「ぽ、ポルナレフさん…。」

 そこで、ポルナレフは、仇を討ったことで、すべての緊張の糸が切れたのか、意識を失った。

「……まだ、やる気?」

 倒れていったポルナレフを支えたミナミがホル・ホースをジトッと見ると、ホル・ホースは、ヒッと短く悲鳴を漏らした。

 やがて、ブルー・ブルー・ローズが消えた。

「お、俺は、ナンバー1より、ナンバー2! 俺の哲学だぜ!」

「そう…、じゃあ、さっさとどっか行って…。」

「あ、ああ!」

 ホル・ホースは、背中を向けてすごい逃げ足で逃げていった。

「姉ちゃん! 耳!」

「だいじょうぶ…。それより、今のうちに…。」

「なんだ…気づいてたのか…。」

 花京院が“気絶”しているアヴドゥルを支えながら、立ち上がった。

 やがて、承太郎とジョセフも合流し、ポルナレフの意識がないうちに、素早く打ち合わせをした。

 

 エジプトへの旅路のための乗り物を手配するため、アヴドゥルには死んで貰った状態でいてもらい、別行動してもらうためだ。

 

「すまないな。旅の無事を祈る。」

「そっちこそな。」

 そうして、アヴドゥルは、SPW財団の人間と共に別行動を開始し、意識を取り戻したポルナレフには、簡素ではあるがアヴドゥルを埋葬したと言っておいた。

「……そうか。」

「張り詰めていた糸が切れちゃったんだね?」

「ああ…、そうみたいだ。びっくりするほど、力が入らねぇ…。この日のために…、この日のために全てを費やしてきたんだ…!」

「……お疲れ様。」

「…ありがとよ。」

「仇を討ったわけだが…、ポルナレフ。君はこれからどうする?」

「……旅に連れてってください! 勝手なこと言って抜けたことは謝りますんで。ここまで来たら、最後まで付き合う。」

「そうか。ありがとう!」

「じゃあ、旅の続きの始まりだ! いいか! DIOを倒すにはよ、みんなの心をひとつにするんだぜ? ひとりでも勝手なことをするとよ、奴らはそこにつけ込んでくるからよ!」

「…メッチャ、ブーメラン。」

「うぐ…、言うなよぉ…。」

「締まらないなぁ…。」

 花京院がヤレヤレと、ため息を吐いた。

 

 

 




ホル・ホースのエンペラーの弾が単発式というのは、捏造です。もしかしたらもっと撃てるのかもしれないけど、誘導弾ですからね…?

なお、人混みの往来でバトルしたけど、ブルー・ブルー・ローズを見て、みんな逃げてるので、警察沙汰にはなってません。ブルー・ブルー・ローズの存在を人に言っても信じないでしょうしね。

アヴドゥルを原作ルートに連れて行くのも考えましたが、それだと、潜水艦をどうするかってなって、結局原作通り一時的に抜けてもらいました。
7人目のスタンド使いみたいに、潜水艦ルートっていって、アヴドゥルの代わりを務めるルートも考えました。
けど、原作を抜けると、完全にオリジナル展開しかないので、他のスタンド使いとの戦いも考慮して、アヴドゥルに抜けてもらいました。
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