仗助に双子の姉がいたらというもしも パート3 三部へ 作:蜜柑ブタ
その1で、勝負を付ける展開も考えましたが、やめて伸ばしました。
エンヤは、DIOにミナミの能力のことを占いはしたものの…?
ミナミを抱えて、老婆の民宿の部屋のベットに寝かせた。
「さてと…。」
「とりあえず、まずは水をもらいに行ってきます。口をゆすぎたいでしょうし。」
花京院が気を遣って水を貰ってこようと部屋を出ていった。
「くっそ~、ここもフィンガー・ウォッシュかよ~。」
フィンガー・ウォッシュトイレ。その言葉通り、トイレの後、手で水で洗う方式のトイレである。トイレットペーパーはない。
「ところで、じょ…。」
「待ちな。みんなに言っておくぜ。これから、俺の名前を呼ぶな。」
「はあ? なんでだよ?」
「いいから。」
「できりゃ、俺の名前も呼ばないでくださいっす。」
「分かりました。…僕の下の名前も呼ばないでください。」
水を持って戻ってきた花京院がそう言った。
ポルナレフは、変な奴らだぜ…っとハテナマークを頭に飛ばしていた。ジョセフは……、なんとなく何かを察しているようだが言わなかった。
「さてと…、俺はちっとばっかし、外でも散策してくるか。」
「この霧の中で散策しても意味はないですよ?」
「けど、つまんねーんだもん。あー、仕方ねぇ。民宿の中でも見てくるか。ま、ボロだし、珍しいもんもなさそうだけど、ジッとしてるよかマシか。」
「まったく、落ち着きがない。」
花京院は、ポルナレフの落ち着きの無さに呆れていた。
仗助は、窓の外を見ていた。
「どうだ?」
「相変わらず、霧がすごいっすけど……。もう…だいじょうぶだと思いますよ?」
意味深なことを呟く仗助に、承太郎は、そうか…っと短く返事をした。
そして窓から離れた仗助が承太郎の横を通り過ぎる際に。
「姉ちゃんの体が心配っす。できる限り早く始末をつけるっす。」
っと、耳打ちした。
「…ああ。」
「どこへ行くんじゃ?」
「トイレっすよ。」
「俺もだ。」
「そうか。」
「ミナミの様子は見ておくから行っておいで。」
「ありがとうございます。」
そう行って見送ってくれる花京院に、仗助はペコッと頭を下げた。
そして二人が出て行った後、ジョセフは、先ほどまで仗助が見ていた窓の外を見た。
「う~む。霧が濃いのう…。」
「うなされてますね…。」
呟くジョセフに、花京院がミナミの様子を見てそう言った。
「う、ううう…!」
「っ!」
次の瞬間、ブワッとベッドからブルー・ブルー・ローズの根っこが生えてきた。花京院は咄嗟に離れたことで傷つけられずに済んだ。
「なんじゃ!?」
「どうやら…、事が動き出したようですね。」
「なんじゃと!? はっ!」
ジョセフは、慌てて外を見おろした。
そこには、町中がブルー・ブルー・ローズの鮮血色の根っこに覆わせている光景だった。
「ま、町一つを飲み込むとは…! 住民が…!」
「いえ…、住民などいなかったのですよ。初めから。」
「はっ? っ!」
「エメラルド・スプラッシュ!」
次の瞬間、ドアが蹴破られたため、花京院が素早くハイエロファントグリーンからエメラルド・スプラッシュを放ち、入って来た相手を撃破した。
穴だらけになったのは、グズグズの体をした、この町の住民だった…モノ、否、死体だった。
「死体じゃと!? まさか…この町は…。」
「どうやら、初めから敵の術中だったようですね。あの二人は早々に気づいていたようですが…。本体について。」
「まさか、あの婆さんか!」
「ええ。おそらく節制のカードのスタンド使いが言っていたという、DIOにスタンドを教えた魔女でしょう。」
「いかん! ならば、承太郎達が危ない!」
「あの三人ならだいじょうぶでしょう。僕は気づかないフリしてましたが、案外敵は間抜けみたいですからね。」
「?」
***
花京院とジョセフ、そしてミナミがいる部屋で異変が起こる十数分前。
ホル・ホースが民宿に来ていた。
エンヤ…、DIOに仕える、魔女、J・ガイルの母親でもある両手とも右手の特徴を同じく持つ老婆。
そして、正義(ジャスティス)の暗示を持つ、スタンド使い。
ホル・ホースの姿を見たエンヤは泣く。よくぞ来てくれたと。お前は、息子の友達じゃったなと。
ホル・ホースは、つい社交辞令で友達だったと答えていた。
だが、エンヤの感情は違った。
J・ガイルを見殺しにしたと思い込むエンヤは、コンビを組んでいたホル・ホースを憎んでいたのだ。J・ガイルを殺したポルナレフの次に。
ホル・ホースの腕をはさみで突き刺し、そして自らのスタンド、ジャスティスでもって傷口に大穴を開けた。これが、ジャスティスの能力であり、穴を空けられてしまうと、そこから操られてしまうのだ。
こうやってエンヤは、町全体を死体を操り、本来は廃墟であるこの場所に幻影を作りだし、承太郎達を誘い込んだのである。
だが、怒りのあまりに、エンヤは、気づいていなかった。
すでに、術中に嵌めていたと思っていた事柄が、すでに逆転させられていたことに……。外の、異変に。
「おおーーい! 大変だ!」
「ケェえ!? ぽ、ポルナレフ!」
「な、何やってんだよ、婆さん! それにホル・ホースじゃねーか! どうしてここに!?」
「ポルナレフ! 承太郎達を呼べ! この婆さんは…、グヘッ!」
「てめぇは、自分の手でも食ってな!」
「な、なんだよ? 今の…、ってか、それどころじゃ…、町が…、根っこで…。」
エンヤは、侮っていた。そして油断していた。
たかが16歳の若い娘と。そしてなぜかDIOが欲しがっている能力者であるミナミのスタンド能力の力と、その脅威を。
エンヤの兵隊として用意されていた死体達は、すでにブルー・ブルー・ローズに飲み込まれて動けなくなっていた。
「息子を死に追いやった貴様だけは何が何でもぶっ殺すぅううううう!!」
「婆さん…、息子って…まさか…。」
「そうだよぉおおおん! 我が息子J・ガイルを、てめぇになぶり殺しにされた母親だよーー!!」
「うわわ!?」
エンヤは、その老いからは想像も出来ない身体能力でもってポルナレフを攻撃しようとするので、シルバー・チャリオッツで対応する。
「じょ、ジョースターさん!」
「むだだよ~ん。もう襲い。他の連中に知らせることはできんわい。なぜなら…。」
「なぜならって? なに?」
「ゲッ!? じょ、仗助!?」
「俺もいるぜ。」
「なにぃぃいいい!? じょ、承太郎!」
いつの間にか背後にいた二人に、エンヤは驚愕して、素早く飛び、距離を取った。
「いつの間に~~~!?」
「仗助に壁を殴り抜けさせたのさ。」
「ったく、あんな大音立てたってのに気づきもしないなんてよぉ…。」
「グギギギッギ…! なぜじゃ…、なぜわしの兵隊共がこんのじゃぁ!?」
「ああ、死体どもなら…。」
「外で一歩も動けない状態だぜ。姉ちゃんのスタンドでな。」
「な、なに~~~~!?」
エンヤは、近くの窓から外を見てさらに驚愕した。
外は、地面も見えないほど鮮血色の植物の根っこに覆い尽くされ、その隙間に死体の兵隊らしき手足が見えないこともない状態だった。
「姉ちゃんのスタンドを占って、DIOに教えたのって、あんただろ? まさかどれくらい力があるのかも知らなかったなんて言わねぇよな?」
「ウギギギギ…。」
どうやら人を生き返らせられる能力だけしか占っていなかったらしい。
「それでよぉ、なんでこんな早く気づけたのか…。導かれたからさ。姉ちゃんのスタンド(守護霊)に。」
「?」
「腰が曲がっちまって、視線が低くなっちまって、気づいてなかったみたいだな? それともボケか? 杖の先を見な。」
「ヒっ!?」
エンヤは、やっと手にしていた杖の先端にブルー・ブルー・ローズが生えていることに気づいた。
だが、エンヤは……。
「おのれぇぇぇぇ! じゃが、正義(ジャスティス)は、必ずかーーーつ!!」
その強大な精神力を振り絞り、植物と同じぐらいの強度しかないブルー・ブルー・ローズを引きちぎらせて、死体達を民宿の中へ入れた。
「オラオラオラオラ!!」
「ドラララララ!!」
襲いかかってきた死体達を、二人はそれぞれスタンドを出し、殴って撃破した。だがすぐに死体達は立ち上がる。
「むだだよ~~ん! 霧のスタンドをハッ倒せるか!? 剣で切れるか!? 銃で撃てるか!? キャ~ケケケケケケケ!! てめぇらにも穴を空けて操ってなぶり殺しにしてやるよ~~~!!」」
「ふ~ん? 穴か…。」
「仗助。」
「あいよ!! ドラァ!」
「!?」
仗助は、クレイジー・ダイヤモンドの力で死体達、そして、ホル・ホースの腕の穴をすべて消し去った。
「あ…あんがとよぉ!」
「なんじゃと~~~!?」
「敵討ちに燃える余りに、周りが見えなかったと見えるぜ。」
「エンペラー!!」
「シルバー・チャリオッツ!」
「スタープラチナ!」
「クレイジー・ダイヤモンド!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
いくら、強力で強大な霧のスタンド、ジャスティスといえども……、霧ゆえに、直接的な攻撃手段が無かった。
そして、死体達という駒を失ったエンヤは、いくら身体能力が高いといえども、4人のスタンド使いの前では、あまりにも無力だった……。
エンヤが、倒され、意識を失った頃には、霧も晴れ、ブルー・ブルー・ローズは、消えていた。
杜王町を覆い尽くせるほどだから、エンヤが作りだした町ぐらいなら簡単です。
果たして、霧と植物とどっちが強いのか?
本体を直接狙ってくることもあるので、無機物のない場所なんて無いでしょうから、軍配は完全にブルー・ブルー・ローズかな?