仗助に双子の姉がいたらというもしも パート3 三部へ 作:蜜柑ブタ
完全オリジナル展開です。
前回死んだと思われた、オインゴとボインゴは……?
カイロの街に、灼熱の国にまったく似つかわしくない氷が降り注ぐ。
実体のあるそれは、外にいた人々をパニックに陥らせる。
流れ弾があれど、そのほとんどの氷の弾丸は、ある一行を狙っていた。
ハヤブサ。
ハヤブサ目ハヤブサ科ハヤブサ属の、鳥類。
平飛行時の速度は100㎞前後、急降下時の速度は、飼育しているハヤブサに疑似餌を捕らえさせるという手法で計測したところ、時速390kmを記録したと言われる。
目を構成する視細胞が150万個。おおよそ、人間の8倍の視力がある。
「つまり、機動力、獲物の捕捉については、わしら人間じゃ勝ち目無しってことじゃーー!」
「けど、鳥は、鳥だろう!?」
「その鳥に今追われていて、ジリ貧なんじゃないか!」
虹村のザ・タイドにより、軌道を自在に変えて襲ってくる氷の弾丸に、横から縦から、右から左から、後ろから前から、とにかく休む暇も、気を抜く暇も無い攻撃を仕掛けられている。
「ゼエゼエ! こ…、こんな暑い中…走り回ってたら……。」
「いずれ、やられるぜ…。」
「ちくしょーーー! 鳥なんぞにここまで追い詰められちまうなんて!」
一行は空き家に逃げ込むが、それを追いかけて氷の弾丸が入ってくる。
素早く伏せて回避し、氷の弾丸は壁にすべて着弾した。
すると攻撃が止む。
「い、…いったん…きゅう…け…。」
ポルナレフがゼーハーゼーハーっと荒い呼吸を繰り返す。
「攻撃が止まりましたね…。」
「何も無ければ良いが…。」
全員息が上がっていた。
ピシピシ
「? なんか、涼しくね?」
「あっ!」
ミナミが外を指差した。
そこには、空を飛んでいたはずの派手なハヤブサが、こちらを見つめて地面に立っていた。
「あんにゃろう…! っ!? 足…!?」
「しまった、奴は氷を地面に走らせたのか!」
地面とほぼ同じ素材の床に氷が張り巡らされており、一同の足を張り付けさせていた。
「キュオオオオオオオオオオオン!」
甲高い鳴き声をあげた、ハヤブサが、自身のスタンド、ホルス神を出現させつつ、周囲に氷の弾丸を発生させた。
「は、外れねぇ! やべぇ!」
「マジシャンズ・レッド!!」
直後発射された氷の弾丸を、アヴドゥルが炎の壁を作って防ぐ。
だが、何発かの氷の弾丸が炎隙間を縫って部屋の中を飛び回った。
『ククク…、馬鹿め…、建物の中は安全だと思ったか?』
天井からフッと姿を見せたザ・タイドの手が撫でるように気流を描き、氷を導き、一同の肩や背中、足に氷を突き刺すようにした。
「いっ…つぅ…。」
「姉ちゃん!」
「私はいいから、みんなを!」
仗助を庇い、氷の攻撃を受けたミナミがそう叫ぶ。
マジシャンズ・レッドの炎の熱で、足を拘束していた氷は溶け、一同は仗助に治療をして貰いながら、裏口から飛び出した。
「ハッ!」
「マジシャン…ズ…!」
裏口から出て最初に見たのは、空中で静止しているとんでもない数の氷の弾丸だった。
アヴドゥルが出るのが送れ、炎の壁が間に合わず、制止していた氷の弾丸が他の者達めがけて飛んできた。
「オラオラオラオラオラオラオラ!!」
「ドララララララララララララ!!」
目の前に迫った氷の弾丸を、承太郎、そして仗助がダブルラッシュで防いだ。
しかし数が多すぎて、数発は、体に刺さった。
すると、建物を越えて、ハヤブサが飛んできた。
グイ~っと、動かないはずのクチバシを歪め、笑っているように見えた。
「来ると…、思ったぜ。」
仗助が、ニヤッと笑った。
砕けたはずの氷の弾丸の数発が、向きを変え、直された。
そして、ハヤブサめがけて飛んでいく。
「!?」
『馬鹿め。私を忘れて…、っ!? 貴様ら! なぜ…、がぁあ!!』
「!」
ザ・タイドからの声が途絶え、それに驚いたハヤブサの翼に、氷の弾丸が刺さった。
ハヤブサが地に落ち、だが、ポタポタと血を流しながらも、こちらを睨んで、氷の弾丸を生成する。
「ほう? あの猿と違って、最後まで降伏しないか…。たいしたプライドだぜ。よし、全力で来な。」
「キュオオオオオオオオオオオン!!」
カイロの灼熱の気温を吹き飛ばすような、凄まじい氷の嵐が発生し、前に出た承太郎に襲いかかろうとする。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
襲いかかる氷を全て砕きつつ、そして最後の一撃がハヤブサの胸に打ち込まれた。
キュ…オオン…っと、弱々しい鳴き声を最後に漏らし、ハヤブサは、地面に落ちて、ピクピクと痙攣し、やがて動かなくなった。
「て…手強い敵だったな…。」
「しかし、何か様子がおかしかったぜ。虹村が……。」
「えっ?」
「どうした?」
「あ、あれ…!」
「おーい!」
「ジョースターさん達ーー!」
そこへ、死んだはずのオインゴとボインゴが走ってきた。
「お、お前ら…、なんで!?」
「まさか…。そんな…!」
「姉ちゃん…。」
びっくりする一行の中で、ミナミは、青ざめて今にも倒れそうだった。
「お前達…死んだ…はずじゃ…。」
「そ、それが…俺らもよく分かんなくって…。」
「…なんか…、気がついたら生きてました。」
「ああ…ああああ…。」
「姉ちゃん、しっかり!」
「いつの間に…。」
「?」
「どうした?」
「ねえ……、あなた達…青いバラの花を拾わなかった?」
「えっ? あ、ああ…、変な赤い茎の色した青いバラか。確かに拾ったぜ?」
「僕も。」
「……。」
ミナミは、とうとう、気を失った。
「姉ちゃーーーん!」
「おい、どういうことだ、仗助?」
「それは……、姉ちゃんのブルー・ブルー・ローズっす。」
「ブルー・ブルー・ローズが? あれは、相手の寿命を奪うスタンドじゃなかったのか?」
「確かにそうっすけど…。けど…、1回だけ…1回だけ…、もし青いバラの花を拾って体に取り入れていたら…、死んだことが…なかったことになるんっす。」
ミナミを支える仗助が語った内容に、一同は驚愕した。
「ただ…、今までの寿命はなくなって…。取り入れたバラの本数分だけしか年数生きられないっす。例えば…、1本しか入ってなかったら、1年しか…。」
「つまり、生き返ったコイツの残り寿命は、1年足らずってことか?」
「えっ!?」
「たぶん…、拾ったのが1本だけなら…。」
「そ、それなら……、50本ぐらいほど、拾ったんですけど…。」
「ん? じゃあ、残り寿命50年といったところか?」
「そうなるっすね。」
「50年か…、うわぁ…、なんだか複雑だぜ。」
「兄ちゃん…、僕十分だよ。」
「1回だけってことは、それ以上死んだら?」
「死ぬっす。完全に。」
「な、なんちゅう能力じゃ…。隠しておったのか?」
「いえ…、この能力は…姉ちゃんが一番嫌ってるんす。だから…言えなかったんです。」
仗助は、そう言って、気絶したミナミを見つめた。
「ってことは…、ミナミ、僕らの命の恩人…?」
「そうなるな。」
「……じゃあ、恩は返さないと…。」
「ボインゴ…。」
「いいよね? 兄ちゃん。兄ちゃんが嫌なら…。」
「馬鹿野郎。弟を見捨てるなんてことするかよ。俺も付き合うからな。」
「お前ら…。」
「さっきの鳥は、番犬ならぬ、番鳥だったんだ。DIOの館の…。だから、今、守っている相手はいないはずだよ。」
「案内してくれるのか?」
「はい!」
「…ありがとう!」
そうして、オインゴとボインゴは、DIOの館へジョースター一行を案内した。
その道中、気がついたミナミに、オインゴとボインゴには、50年分の寿命入っていると言い、それで十分だからっと聞いて、ミナミは泣いていた。
「ここです!」
「むっ! こ、この圧迫されるような空気は…!」
「お前らは、逃げな。せっかく助かった命を無駄にすんなよ?」
「へ、へい! 行こう、ボインゴ!」
「うん! 皆さん! がんばって!」
オインゴとボインゴは、その場から去った。
「ついに…。」
「この旅も…。」
「終着ってわけか。」
一行は、ついにDIOの目前まで来たのだった。
ブルー・ブルー・ローズの、青いバラの花を拾っていたため、1回だけ死んだことがなかったことに。そのため、オインゴとボインゴは、生還。
運良く、大量に拾っていたため、残り寿命も50年とまあまあの長さで。
二人は、生き返らせてもらった恩を返すため、DIOの館に案内。そして、命を無駄にするなと言われ、離脱。
なお、虹村を倒したのは、オインゴとボインゴです。でも虹村は死んでません。
さあ、いよいよDIOの館。どうしようかな?