仗助に双子の姉がいたらというもしも パート3 三部へ 作:蜜柑ブタ
ケニー・Gとか、テレンス戦は、割愛。
館の外からでも感じ取れる、ドス黒い…邪悪な気のような重たい空気。
それは、この館の主が発するものであるだろう。
「さて…、どうする?」
すると、扉が勝手に開いた。
まるで入ってこい、いるのは分かっているからと言わんばかりだ。
「……俺ら、なめられてねぇか?」
「いや…、向こうは最初から我々が来ることを知っていた。虎穴に入らずんば虎児を得ず。入るしか、道はない。」
「そうだよな…。俺が先行するぜ。」
「気をつけろ、ポルナレフ。」
「あ? なんだこりゃ!?」
先に入り口を覗き見たポルナレフが声を上げた。
中に入ると、どこまでも続くおかしな通路が続いていた。
明らかにおかしい。屋敷の大きさにまったく見合わない。
「幻覚か?」
「気をつけろ、すでに敵の術中に入ったかもしれん!」
「おい、誰か来るぞ!」
すると、通路の遙か先から、浮いた状態で、シュイーンっと、誰かが飛んできた。
「ようこそ。ジョースター様。お待ちしておりました、私は、この屋敷の執事です。」
「なっ…、執事だ~~?」
「ダービーともうします。」
すると執事の男は、ペコリッと深く頭を下げた。
「ダービー…だと?」
「はい、あなた方に再起不能にされた、ダニエル・J・ダービーの弟です。私の名は、テレンス・T・ダービーともうします。」
「!」
「さあ、どうぞ。DIO様がお待ちです。」
「ふざけんなよ?」
「兄の弔い合戦か?」
「いいえ。とんでもない。私の兄は、あなた方に言いませんでしたか? 『勝負とは、騙されて負けた方が悪いのだ』と。…その通りだと思います。」
様子から察するに、別に兄であるダービーが倒されたことについては、これといって恨みは無いらしい。
テレンス曰わく、10歳以上は歳が離れていたし、それなりに兄のことは尊敬していたが、やり方が違うのだという。
兄は、古いタイプだと。
だからこそ、兄ではなく、自分の方がDIOが執事に任命したのだと言った。
「いかがなされました? 私との勝負をお望みならば…、館の中へ。」
「……スタンド!」
仗助がテレンスの手にスタンドが被さっているのに気づいた。
「失礼ですが、私のスタンド、アトゥム神は、兄のスタンドとタイプが違うのです。」
「めんどくせぇ、承太郎、ぶちのめせ!」
「オラァ!」
「賭けよう。スタープラチナの私への最初の一撃は、左腕から繰り出される。」
「!」
「第一の攻撃は、左腕のパンチ。賭けよう(ビット)。」
「……おかしい。」
「分からねぇ…、けどやな予感するっす! 承太郎さん! 攻撃したら…。」
「……いいや。」
次の瞬間、スタープラチナの拳が…、右手が放たれた。
しかし、攻撃は、スイ~っと軽やかに避けられた。
「おかしい…! やっぱり…、まるで最初から…分かってたみたいに!」
「ほう? 中々勘が良いですね。ですが…、東方ミナミ様、アナタだけは、DIO様より生かして連れてこいと言われていますので…。」
「ハッ!」
アトゥム神は、スタープラチナの右腕を掴んだ。
「ふふふ、賭けは私の負けですね。ですので、お詫びにとっておきの世界に連れて行って差し上げます。」
すると、アトゥム神、そしてテレンスの足場を中心に穴が広がった。
アトゥム神に掴まれている承太郎は、スタープラチナと共に引っ張り込まれる。
「承太郎!」
「承太郎さん!」
「ワンワンワンワンワン!」
「い、イギー!? あっ! 仗助!」
承太郎を引っ張り上げようとしたジョセフ、花京院、そして仗助が穴に引っ張り込まれて、穴がやがて消えていった。
穴が消えていく中、ジョセフが。
10分経っても、戻ってこれなかったら、館を燃やせと叫んでいた。
「じょうすけーーーーー!」
イギーのザ・フールに止められているミナミは、消えた穴に手を伸ばし、叫ぶ。
「ミナミ、気持ちは分かるが、いったん、出るぞ!」
「うぅううう! 仗助…。」
アヴドゥルとポルナレフに立たされ、入り口から飛び出した。
***
そして時は、わずか10分を過ぎていく…。
しかし、承太郎達が戻ってくる様子は、まったくない。
「どうして…、どうしてなの? どうしてそこまで私が必要なの? どうして、どうして、私なの? どうして、どうして…、私にこんな力が…!」
「落ち着け、ミナミ。今そんなことを考えてる場合じゃないんだ。」
「君の力の在り方…そして、その意味…、それは君が生きて帰ってからゆっくりと考えなさい。まず、これからやらなければならないことを先決にするんだ。」
「ぅ…ううう…。」
「ワフ…。」
座り込んでいるミナミを、アヴドゥル達が元気づける。
イギーは、足をピンッと立たせてペロペロとミナミの頬を舐めた。
「全員に…忠告しておく。」
するとアヴドゥルが言った。
「これから館に突入するが…、例え誰かが行方不明になり、そして負傷しても助けないつもりでいる。」
「!」
「イギー、そしてミナミ…お前達もだ。冷酷な発想だが、我々はDIOを倒すためにこの旅をしてきた。お前達の方も、もし、私がやれたり…お前達とはぐれても、私を助けないと約束しろ。自分の安全を第一に、考えるのだ。ひとりを助けようとして全滅してしまうのは避けねばならない。」
「…………ああ。分かったぜ。」
するとポルナレフが、アヴドゥルに握手の手を出した。
その手をアヴドゥルが力強く握った。
「ミナミ。」
「…はい!」
なんとか立ち直ったミナミもその両手を握った。
「生きて帰ったら…、豪勢な夕飯をおごれよ?」
「もちろんだ。」
「イギーにもね。」
「ワン。」
「よし! 入るぞ! アヴドゥル、イギー、ミナミ!」
そしてミナミ達は、館へ侵入した。
床をスタンドで調べ、そして壁も調べ、近くの別の部屋への出入り口から中を覗く。
「ジョースターさんは、館に火を放てと言ったが…、これだけ迷路では、火を放つのはこっちが危険だ。それより…。」
するとアヴドゥルがマジシャンズ・レッドから、奇妙な火の形を作り出した。
「それは?」
「生物探知器だ。」
すると、生物探知器として作り出された炎が早くも反応を示した。
さらに、イギーがクンクン!っと鼻を鳴らす。
そして、次の瞬間にザ・フールを出し、反応があった箇所を攻撃した。
「ぎゃああああああああ!」
小柄な男が壁から出てきて、倒れた。
すると、迷路が消えた。
「どうやら、スタンドを使った幻覚だったらしいな。これで、館を探索できる。」
「はい。……?」
「炎に反応は無い…。イギーの鼻も反応無し。では、行くぞ。」
「あ…。」
「ん? どうし…、危ない!」
後ろを見て硬直していたミナミを、アヴドゥルが突き飛ばした、その瞬間、アヴドゥルの体が、両腕を残して消えた。
「い……、いやあああああああああああああああああああああ!!」
ミナミが悲鳴を上げた。
『勘はいいが…とんだお人好しもいたものだな。』
「て…てめぇは!? アヴドゥルは、アヴドゥルはどこだ!?」
何もない空間から突如出現したスタンドに、ポルナレフが焦る。
『アヴドゥルは…、このヴァニラ・アイスが殺した。』
「なっ…。」
『このスタンド、クリームの、暗黒空間によって、バラバラに砕いて…。』
「な、ん…だと?」
「そんな…そんなぁ…。」
「ウゥウウウウウ!!」
泣き崩れるミナミ。あまりに突然のことに頭が着いていけないポルナレフ。ガタガタと震え上がるイギー。
『東方ミナミの…手足をもぐつもりだったが……。とんだお人好しが出てきたのでな。まあいい、どうせ全員…、このクリームの暗黒空間に粉みじんにして消してくれる!』
「うそだああああああああああああああああああああ!!」
「ぬっ!? シルバー・チャリオッツ!」
シルバー・チャリオッツがポルナレフの激情によって、普通より長い射程距離で発射され、ヴァニラ・アイスという敵の背後をついた。
「うぅうううううううううううううううう! アヴドゥルさん、アヴドゥルさん!!」
「立てええええええええ! ミナミ!! イギーも逃げるぞーーーー!!」
お互いに涙で顔を塗らした中、二人と一匹はその場から、近くの階段に向かい、登った。
残されたアヴドゥルの両腕の腕輪から、ブルー・ブルー・ローズが生え、離れた位置にあるもう1本の腕を引っ張り寄せるようにした。
ミナミが、ヴァニラ・アイスに気づいたが、アヴドゥルが庇ったため、原作通り粉みじんに……。
だが……?
次回は、ヴァニラ・アイス戦。