仗助に双子の姉がいたらというもしも パート3 三部へ 作:蜜柑ブタ
途中で、アヴドゥルが……?
そしてイギーは……。
「くうううううう! 馬鹿野郎…アヴドゥル! てめぇが言ったんだろうが! 助けないって! 自分の安全を第一にってよぉ! てめぇが死んでどうすんだ!」
「……。」
「ワンワンワンワンワン!」
「イギー? ハッ!」
廊下を走り抜けようとしたとき、その先の通路に大穴が空いていることに気づいた。
つまり先ほどの敵が…、ヴァニラ・アイスがすでに先回りしたということだ。
「……ウ、エ。」
「ミナミ? っ!?」
ポルナレフを、虚ろなミナミが掴んで伏せさせた。直後、ポルナレフの頭上の後ろにあった柱が大きく抉れた。
「テキ…、ク…ル。」
「ミナミ…。生きろって…ことか? 生と死を操るお前…ブルー・ブルー・ローズが、運命が…俺に生きろって言うのか!?」
「……い、ケ…。」
「ふざけんな、お前も…!」
「…勝…テ…。」
トンッとミナミ(ブルー・ブルー・ローズ)が、ポルナレフを突き飛ばした。直後、ポルナレフが立っていた場所に穴が空いた。
『チィ! 外したか…。』
「……。」
『ヌウッ!?』
床からブワッと生えてきたブルー・ブルー・ローズが、ヴァニラ・アイスのクリームを絡み取った。
「ミナミぃいいいい!!」
「ワオオオオン!」
「イギー、お前まで…。く、くそぉ!!」
『ふっ、自ら身を差し出すか…。ちょうどいい。』
クリームからヴァニラ・アイスが出てきて、うつろな目をしたミナミを掴んだ。
ポルナレフと、イギーは、その隙に、別の場所へと移動した。
「DIO様も…、なぜこの娘に拘るのか…。分からぬ。まったく分からぬ…。だがDIO様のご意志は絶対。このまま連れて行く。」
虚ろな目をしているミナミの腕を引いて、ヴァニラ・アイスが移動した。ブルー・ブルー・ローズは、クリームによりバラバラに引きちぎられていた。
ヴァニラ・アイスが、ミナミを連れて歩いていると、別の階段から、コツコツと靴音が聞こえた。
「騒々しいな。ヴァニラ・アイス。」
「ハッ! DIO様!」
階段から上がってきた存在の姿を見て、ヴァニラ・アイスは、即座にその場にひれ伏した。
「……連れてきたのか。」
「はい! ご要望の東方ミナミを連れて参りました!」
「そうか…。よくぞやった。」
「ハッ!」
「……カ……。」
「?」
「必ズ……勝…テ…。」
「!?」
次の瞬間、ボッと、砂で出来たDIOの腹部からシルバー・チャリオッツの剣が突き出てきて、ヴァニラ・アイスの額を貫いた。
「ガッァ…! 貴様…!!」
「かかったなぁ!!」
「ぐっ…クッウウ!!」
「な、なに!?」
額から後頭部を貫かれているのに、ヴァニラ・アイスは、死ななかった。
「て、てめぇ…まさか…。」
「この…、どちくしょうどもがぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「ぐあ!」
クリームが出現し、偽のDIOが破壊され、ポルナレフと、イギーが吹っ飛んだ。
「贋物とはいえ、よくもDIO様を! DIO様をぉおおおおおおおおおおお!!」
そして、ヴァニラ・アイスは、頭に刺さったままの、シルバー・チャリオッツの剣を引っこ抜いた。
「く、くそ…!」
すると、ヴァニラ・アイスが、イギーに迫った。
「イギー!」
「このクソ犬が…、贋物とはいえ、よくも、よくも、このヴァニラ・アイスに、DIO様を破壊させたなぁああぁあああああ!!」
ヴァニラ・アイスは、クリームではなく、自分自身の拳と足でイギーを殴り、蹴った。
「蹴り殺してやる! 暗黒空間に撒き散らすのは一瞬だ! それでは、私の怒りが収まらない! 貴様が悪いんだ! 貴様がぁ!! 私を怒らせた貴様が悪いのだ! 貴様が悪いのだ!!」
「や、やめろおおおおおおおおお!!」
「マジシャンズ・レッド!!」
次の瞬間、爆炎がヴァニラ・アイスを包み込み吹っ飛ばした。
「なっ!?」
火炎に包まれながら、ヴァニラ・アイスは、見た。
無傷のアヴドゥルの姿を。自分が確かに殺したはずのアヴドゥルという存在を。
「あ…、アヴドゥル…?」
ポルナレフは、目の前のことが信じられなかった。
「すまない。遅くなってしまった。」
「あああ…、アヴドゥル、アヴドゥルぅうううううう!!」
「馬鹿。喜んでる暇があったら敵に集中しろ。」
「お、おう!」
「ば、馬鹿な…、確かに殺したはず! 私のクリームの暗黒空間に粉みじんにしたはずだ! なぜ、なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ、生きているぅうううウウウウウウウウウウウウウ!?」
火炎に包まれたヴァニラ・アイスが、信じられないと叫ぶ。
「どうやら、貴様…すでに人間ではないらしいな。この火力で燃え尽きんということは、おそらくは吸血鬼か?」
「おおおおおおおおおおお!!」
「同じ手は食わん。そして、貴様が吸血鬼と分かれば…。」
パチンッと指を鳴らしたアヴドゥルが、マジシャンズ・レッドの爆炎で壁に穴を空けた。すると日光がたくさん入り込み、火炎に焼かれているヴァニラ・アイスに浴びせられた。
「容易い。」
「貴様アアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「そのまま…、灰となれ。」
クリームがアヴドゥルに迫るが、眼前でグズグズに崩れ落ち、そしてヴァニラ・アイスは、灰になって消えた。
「イギー!」
ポルナレフが、イギーに駆け寄った。
イギーは、ゲホッと血を吐いた。
「息はあるようだが……。仗助さえいれば…。」
「アヴドゥル…、本当に、アヴドゥル…なんだよなぁ?」
「ああ。そうだが?」
「もしかして…、お前…。」
「ああ、そのようだ。」
心当たりがあるとしたら、それしかない。
二人は、うつろな目をしているミナミを見た。
「ポルナレフさん! アヴドゥルさん!!」
「仗助! お前、ジョースターさん達は!?」
そこへ仗助だけが駆けつけた。
「嫌な予感がして…、ひとりで来ちゃいました…。それより、イギー…。」
「あ、ああ、頼むぜ!」
すぐにクレイジー・ダイヤモンドがイギーを治療した。
イギーは、やがて目を開けた。
「イギー…! よ、よがっだああああああああああああああ!!」
「ギャウウウウウン!」
「イデデデデ! 噛むなよ!」
ギューっと抱きしめたイギーが、怒ってポルナレフの鼻に噛みついた。
「……じょーすけ…?」
「姉ちゃん?」
「アヴ…ドゥル…さんは…。」
「私は、ここにいるよ、ミナミ。」
「アヴドゥル…さん…、アヴドゥルさん!!」
「君のおかげだ…。君が私を連れ戻してくれたのだ、ミナミ…。」
「…あ……。」
「気にするな。今は。」
アヴドゥルに抱きついたミナミを受け止め、アヴドゥルは、慈しみの目を向けながら、その頭を撫でた。
ミナミは、ポロポロと涙を流した。
アヴドゥル、1回きりのコンテニューにより生還。ただし寿命1年。
イギーは、まだ消費せず、仗助に治された。
ヴァニラ・アイスが、イギーが作った偽のDIOに騙されたのは、太陽が入ってこない通路だったことと、DIOが部下がミナミを連れてくるのをずっと心待ちしていたのを知っているからでした。
次回、DIO登場かな?