仗助に双子の姉がいたらというもしも パート3 三部へ   作:蜜柑ブタ

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旅の終わり。


仗助の蘇生をしたミナミ。


そして、ある人物が登場。


『魔法使いの嫁』を一部参考。


DIO(ディオ)→ジョナ要素があります。


2019/08/20
ジョナサンの台詞、ちょっと書き加え。


注意!


呪いは、花へと昇華する

 朝日が昇る。

 ブルー・ブルー・ローズによる破壊と、その姿を見た者達の騒動もあったが、カイロは、やがてもとの姿を取り戻すだろう。

 

 SPW財団が管理する病院では……。

 

「ミナミの様子は?」

「……。」

 心配するポルナレフ達に、承太郎は首を横に振った。

「……精神の…後退か…。」

 アヴドゥルがそう呟く。

 

 ミナミに起こった異変…、いや、後遺症と言えるだろうか?

 ミナミの精神は、わずか4歳ぐらいまで後退していた。

 精神の後退と共に、記憶まで逆行しており、承太郎達がだれなのか分からなくなっていた。

 しかし、仗助だけは、なんとなく自分の弟だとは認識したらしく、仗助越しにジョセフが父親で、承太郎が歳の離れた甥っ子であることなどを伝えられた。

 体力も酷く消耗しており、まともに歩くことさえできなくなっていた。

 今は、病室で仗助の付き添いのもと、ベッドで寝ている。

 すでに、十数時間経過しているが、回復する様子は無い。それどころか、眠っている時間が長くなっているように思えるほどだ。

 病院に運ぶ時、そして、安心させようとジョセフが頭を撫でたとき。

 ゴッソリと髪の毛が抜けたときは、ジョセフは、焦りに焦ってパニックになっていた。ゴッソリ抜けた部分を隠すため、ニット帽を被せた。

 

「こんな例は、聞いたことがない…。」

「仗助を生き返らせたことが影響しているのでしょうか?」

「なあ…、助かるんだよな? ミナミは、死なないよな!?」

「分からん…。」

 そこへ医者と共にジョセフが、病室から出てきた。

「ジョースターさん、ミナミの様子は?」

「……ダメじゃ…。衰弱が酷い。」

「なあ…、あの技で…。」

「あれは、もとより、すべての命を相手に捧げるような捨て身の技だ。長らく波紋から離れておったわしには扱い切れんかった…。」

「ミナミがそれで生き返っても、ジョースターさんが死んでは意味がありません。」

「10時間ほど前に、日本にいるお袋が回復したとは聞いたが…。」

「申し上げ難いのですが……、今の状態では、あと24時間ももたないと思われます。」

 ジョセフの隣にいる医師がそう告げた。

 場の空気が一気に重たくなった。

「…助ける方法は…ねえのかよ?」

「手は…尽くしました。ですが、我々はスタンド使いではありません。スタンドによる後遺症の治療方法は…。」

「……仗助は?」

「病室におる。ずっと手を握ってやっているよ。」

「……ん?」

「承太郎?」

 承太郎が何かを感じた。

 病室の扉から、ニョロッと、ちびっとだけ、黒っぽい赤になったブルー・ブルー・ローズの根っこが出ていたのだ。

「まさか…。」

「おい、承太郎!」

 承太郎が、病室に入った。

 そこで見たのは、ベッドの上で眠るミナミの上に、見覚えがある頭蓋骨がひとつと、そして、その頭蓋骨から生えたらしい、黒っぽい赤に染まってしまったブルー・ブルー・ローズに支えられるように病室の中に出現している、ひとりの青年の姿だった。その青年の周りには、黒い泥のようなモノが舞っていた。

 仗助は、何が起こったのか分からず椅子に座ったままぼう然とソレを見上げていた。

 その顔立ちは…。

「あんたは…。まさか…。」

 

 

『……その通りだよ。僕は、ジョナサン・ジョースター。ジョセフ、承太郎…、仗助、ミナミ、君達の先祖の…魂の一部だ。』

 

 

「お…お爺ちゃんなのか!?」

 ジョセフが驚愕した。

「し、しかし、魂の一部だと…。」

『僕は…、ディオに奪われた肉体に少しだけ残っていた生命のエネルギーにこびりついていた、ジョナサン・ジョースターの魂の一部なんだ。』

「なぜ、あなたが、ここに?」

 花京院が聞くと、切なそうにジョナサンは、微笑む。

『僕を……消して貰いたくて…、ブルー・ブルー・ローズに頼んだんだ。』

「なっ!」

 承太郎達は驚愕した。

『見えるかい…? 僕の周りに浮かんでいるこの黒いモノ…、これは、僕に…、ジョナサン・ジョースターに執着し続けたDIOの魂であり未練なんだよ。いわば、呪いのようなもの…。彼女を…、ミナミの命を蝕む元凶だよ。』

「呪い!」

『このままでは、ミナミは、呪いに殺されてしまう。だから、僕はその前に僕を消してもらおうと思っている。』

「なぜ、あんたが消えることになる? 呪いの元凶は、その泥だろう?」

『……僕自身がこの呪いの中心にいるんだ。僕を芯にして、呪いは成り立っている。だから、僕を消さない限り、呪いは消えない。』

「……消えると…どうなる?」

『…僕という魂は消えるだろう。その先のことは分からない。』

「あなたは、自分がジョナサン・ジョースターの魂の一部だと言いましたな? もしあなたが消えた場合、すでに天国にいるあなた自身の本体ともいえる魂は?」

 アヴドゥルが聞くと、ジョナサン・ジョースターの魂の一部は、首を横に振った。

『おそらく…、僕が消えた影響を受けて、…消えるだろう。』

「そ…!」

 そんな…っと、ジョセフも承太郎達も絶句した。

『でも、仕方が無いんだ。DIOは、僕を求めて、僕を離すまいとした。それは死んでも変わらなかった。だから呪いとして残り、やがてミナミを殺して、この世に残ってさまよい、無差別に人を呪い殺すだろう。僕を捜し求めて……。そんなことになるぐらいならば、僕はディオと共に消えるよ。それは、これから先のため…、未来につなげるために必要なことなんだ。』

「だからって…!」

 ポルナレフがあんまりなことだと言おうとした。

『分かっているさ。それがどれだけ、悲しいことかも…。天国でせっかく再会できたエリナや、スピードワゴンにも申し訳ないけれど…、仕方がないんだ。さあ、早く。今こうしている間にも、ミナミは…、僕らを天へ導こうとして、呪いに殺される前に自ら死のうとしている。』

「なにーーーーー!?」

『僕らは、もう天へ行く方法を忘れてしまった…。だからミナミは、そのことを知って、僕らをブルー・ブルー・ローズで捕まえて、自分から呪いごと僕らを取り込んだんだよ。自分の魂が天へ昇ると同時に、導くために……。でも、そんなことはさせない。させたくないんだ。だから、ミナミの意識が無いうちに、早く。』

「……どうしたらいい?」

「承太郎!?」

「承太郎さん!」

『簡単だよ。僕の血を引く、この場にいる誰かが、僕に触れて、ただ…『消滅』を願えばいい。そうすれば、僕らは、跡形も無く消えられる。さあ、お願いだ。僕らを…消してくれ。』

「……違うな。」

『?』

「ヒントは、とっくの前に、導き出しているぜ。」

『えっ?』

「なあ、仗助。」

「……そうっすね。」

「? どういうことじゃ?」

 ジョセフだけは、話が見えなかった。

「花ってのは…、種を残すために咲くんだ。」

『ううん?』

「そうっすね。とくにタンポポの花なんて、ずっと遠くに種を飛ばすために綿帽子を作るんすよ。」

 すると、仗助がジョナサンの魂に触れた。

「想像してください。花が…咲いて…、綿帽子が飛ぶように、綿帽子が導く先を!」

『!』

 

 そして、病室の中が、光に包まれ、花畑のような幻想が広がった。

 

 ジョナサン・ジョースターの魂の周りにあった泥が消え、代わりに、花畑の中で体育座りしているディオの姿があった。

 

『ディオ!』

『……ジョジョ…、ジョナサン…なのか?』

『ああ! やっと会えた! 僕が分かるんだね!』

『……何処へ行っていた…。この馬鹿が…。』

 ディオは、ジョナサンの腕の中で身を委ねるように目を閉じた。

 ディオを抱きしめたジョナサンは、仗助達の方を見た。

 その目には涙が浮かんでいた。

 

『ありがとう……。ミナミにも…、僕らを助けようとしてくれたことについて…お礼を言っておいてくれるかい?』

 

 

 さよなら

 

 

 最後に、そう言い残し、花畑と、ジョナサンは、ディオと共に、花吹雪の中に消えた。

 もとの病室に戻った一行は、ミナミのベッドの上にあった頭蓋骨を見つめた。

「これは…、エリナ婆ちゃんの墓に一緒に埋葬する。」

 ジョセフが、大事にその頭蓋骨を持ちあげた。

「うぅ…ん……。」

「姉ちゃん!」

「…じょーすけ? あれ、承太郎さんも? どうしたの? あれ? ジョナサンさんは?」

「この…、馬鹿伯母が…!」

「イタタタタ! なに? なに?」

「ほんと、馬鹿だよ、姉ちゃん…。」

「えっ? な、泣くことないでしょ? なに? 何があったの? ねえ、教えてよ…。」

 しかし、全員が涙ぐんでおり、中々教えてもらえなかった。

 落ち着いてから教え、そしてジョナサンからの言葉も伝えた。

「そっか…。あっ! そうだ、花京院さん達の寿命が!」

「ああ、それなら、回収したDIOから咲いた青バラを分配して、それぞれ70本、花京院とアヴドゥルに、イギーには、20本やった。」

「まあ、これから、70年間生きられるなら、十分すぎると思うが。」

「僕も十分だよ。でも、イギーはちょっと取りすぎ。人間年齢で、100超える気かい?」

「ワン。」

「そうだったんだ…。あれ…?」

 すると、ミナミの手が透けてきた。

 それは仗助も同様で、手どころか、体も透けてきた。

「あっ、もしかして!」

「帰れるのか!?」

「おいおい、早急だな!? 土産もなしでいいのかよ!」

「いいんすよ! 未来で…、元気な姿見せてくれたらいいっすから!」

「そうそう!」

「じじいも、正妻の人に殺されないよう気をつけろよ?」

「お、思い出したじゃないか! 馬鹿もんが!」

 ひいいいっと、スージーQからの怒りがあるということに怯えるジョセフであった。

「じゃあ、さよな…。」

 ら…っと言いかけて、二人は消えた。

 

「やれやれ…、嵐のように消えちまったな。」

「ジョースターさん? どうするんですか、これから?」

「ま、まずは……、妻に言い訳を…。」

「それより、この時代の仗助の無事を確認したらどうです?」

「それもそうじゃ! あと、挨拶も! あ、ああと、あと、生活費の援助も…。」

 ジョセフは、これからアレコレしなければならさそうだ。

 きっと地獄のような目にもあうだろうが、自業自得だ。

 承太郎達は、ジョセフのそんな様子を見て、笑った。

 

 

 未来から来た、二つの星の旅は、こうして終わったのだった。

 

 

 




奪った肉体にジョナサンの魂の一部があったことを、DIO(ディオ)は、全然気づかず……。
自分を残して天へ行ってしまったと思い込んで、連れ戻すためにミナミのスタンドを狙っていたが…、最後には魂の再会という形で念願は叶う。

当初の設定では、ジョセフがハーミットパープルで昏睡してしまったミナミに潜行して、ジョナサンとDIO(ディオ)の未練という呪いの泥を見つける設定でした。
けど、設定を膨らませて、全員にジョナサンと未練の呪いの泥を見せる形にしました。

DIO(ディオ)がなんでジョナサンの頭蓋骨を持ってたのか…。
あれだけ最後にはジョナサンに拘ってた男が、首から上を海に捨てたとは思えなかったんですよね。ただそれだけ。


なお……、虹村に関しては……、こればかりは運命を変えられなかったという悲劇となります。
ペットショップとのコンビ戦後、日本へ逃げ帰りました。そして……。
彼を救済処置すると、4部に響く響く……。形兆がスタンド使いを量産した動機が無くなる。



あとは、後日談かな…?
未来に帰ったミナミと仗助は……。



2019/08/21
綿胞子じゃなく…、綿帽子でしたね。すみませんでした!

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