仗助に双子の姉がいたらというもしも パート3 三部へ   作:蜜柑ブタ

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後日談。


4部時代へ帰った、ミナミと仗助。


そこで、二人は……?


未来は豊かに

 ミナミと仗助は、目を開けた。

「やったーーーーー! 成功ですね!」

「だけど、ミナミ、おま…、髪の毛!」

「おおおおおおおおおおおお! 白髪が!?」

「ジョースターさん落ち着いて!」

 現場がパニック。

 そこまできて、やっと、ミナミと仗助はすべてを思い出す。

 

 虹村の家の倉庫に収められていた、謎の古い羅針盤のようなものを見つけたのをきっかけに、二人は羅針盤に宿っていた力で過去へと飛ばされたのだ。

 かつて虹村の父親が弓と矢と共に、エンヤから贈られた品である、それは、羅針盤の針が指定した過去へと飛ぶ力を宿していたらしい。

 ただ、元の時代へ帰る方法は同封されてなかったため、康一達が消えた二人を連れ戻すためにジョセフや承太郎、そしてSPW財団も協力して解析を急いだらしい。

 

 羅針盤は、割れて壊れていた。どうやら役目を終えて、壊れたのだそうだ。

 

「まったく…、アヌビス神の時もそうだが、妙な拾いものをするな。」

「えっ?」

 呆れる承太郎の言葉に、二人はびっくりした。

 

「まったくだよ。心配かけるのもたいがいにしたないとね。ミナミ、仗助。」

 

「えっ!?」

 

 なんか聞き覚えはあるが、知っている声より落ち着いて、大人の響きを持ったその声の主は…。

 

「花京院さん?」

 

「ふふ、久しぶりだね。」

 

 独特の前髪も、スラッとした体格はそのままに、身長は少し伸びたのか緑の長いコートがよく似合っている。

 っということは…、っとミナミと仗助は顔を見合わせた。

 

「あ、アヴドゥルさんや、ポルナレフさん、イギーは!?」

「ああ、彼らも元気だよ。今頃、イタリアで弓と矢を追いかけてマフィア相手に戦ってるって聞くよ。」

「ほ~~~~~~。」

 まさか死んだなんて…っと思ったら、元気にしているそうだ。

 

 それは…、本来の正史において、孤立するはずだったポルナレフの運命を大きく変えたのだが、二人は知る由もない。

 

「でよぉ、過去の世界ってどんなとこだった? 土産ぐらいねぇのかよ?」

「あっ…。」

「どしたよ?」

 億泰の存在に気づいた二人は、青ざめた。

 その様子に、億泰は不思議がる。

「…ごめん。」

「なんで、謝んだ?」

「助けられたなかった…。」

「なんだよ?」

「……お前んとこの、親父さんだよ。」

「!」

「やっぱり……。」

「……いいんだ。お前らのせいじゃねぇよ。」

 そう言って、億泰は、肩を落とす二人の肩に手を添えた。

「いやぁ、虹村って強かったよ…。何度もやられかけた。」

「そうなのかよぉ? 俺も兄貴も、親父のスタンド知らなかったから。」

「1回目は、セスナごと堕とされそうになったし、それ以降も砂嵐は移動させてくるわ、別の敵スタンド使いと組んで、すごい攻撃を仕掛けてきたよ。」

「ほへ~。親父強かったんだな~。」

 切り替えが早い億泰が、花京院からの話でポカンとした。

「ところで、ミナミ。お前に会いたがってた連中がいるぜ。」

「えっ?」

「入っていいぞ。」

 

「ミナミさん。お久しぶりです。」

「久しぶりです。」

 

 少し老けた男と、見覚えのある髪型に、漫画を抱えた小柄な青年が入って来た。

「えっ…、もしかして…?」

「ハハ、、10年以上ぶりですもんね。」

「こっちは、オインゴ兄ちゃん。僕、ボインゴ。」

「あーーーー!」

 仗助も思い出して声を上げた。

「こっちのボインゴの、トト神のおかげで、羅針盤の調べもなんとかなったんだ。礼をしとけよ。」

「そうだったんだ…。ありがとう。」

「えへへへ。」

 ボインゴは、照れくさそうに頬を染めて漫画で顔を隠した。

「いや~、あれから、SPW財団に拾ってもらって、働かせてもらってるんですわ。それもこれも全部、ミナミさん達のおかげっすわ。」

「DIOに従ってたときより、お給料いいもんね。兄ちゃん。」

「ああ、それに良いことにスタンドを使うって気持ちいいもんなぁ、ボインゴ。」

 どうやらすっかり、心を入れ替えて真面目に仕事をしているらしい。

 

 自分達のあの旅に……意味はあった。

 

 花京院達の命の生存だけじゃなく、それ以外の運命にも影響したと知った、ミナミの目から思わず涙がこぼれた。

 

「おいおい、姉ちゃん、泣くことないだろ?」

「だってぇ!」

 

 自分がこれまで嫌悪してきた、生と死を操るスタンド、ブルー・ブルー・ローズ。

 その青いバラの花が、大いに役立った旅。

 果たして、それが正解だったのか……、不正解だったのかは分からない。

 

 けれど、今は……。

 

「少しだけ……、“ワタシ”のこと好きになれそう。」

「姉ちゃん?」

「あ、なんでもない。」

「おい、ミナミ、イタリアから電話だ。」

「えっ!?」

「ポルナレフ達だ。あの後で消えたんだ。アイツらお前のこと気にしてたんだぜ?」

「は、はい!」

 

『ミナミ~~~! 元気か~~~! 髪の毛ちゃんと生えたか~~~!?』

 

 電話口から聞こえたのは、あんまり変わってないポルナレフのベソをかいた声。

「あ、髪の毛は、まだです…。」

『ちゃんと、美容院いけよ~~!』

「分かってますよ。」

『ほら、困らせるな。ポルナレフ。』

『ワン!』

 少し遠いが、アヴドゥルの声とイギーの声も聞こえた。

 

 

 

 

 

 あの旅により、本来の正史を変えたが、未来は、豊かになりそうだ。

 そんな予感をしながら、ミナミと仗助は、元の時代へ帰ってこれたという実感に浸った。

 

 

 




過去へ飛ぶ羅針盤の設定は、捏造です。原作にも7人目のスタンド使いにも出てません。


感想欄で、オインゴとボインゴの話があったので、ちゃっかり出してみた。
あれから、SPW財団に拾われて、財団所属のスタンド使いになったということにしました。
近い未来しか分からないし、逆らえば酷い目に遭うけど、トト神の予言は、大いに役立つと思う。オインゴのクヌム神も使い方次第じゃ…ねえ。
ホル・ホースもとちょっと考えたけど、やってきたことがねえ……。

虹村の父親だけは、どうしようもなかったけど……。活動報告に書きましたが…。(悲)


以上で、双子の姉設定パート3である、3部ネタは終わりです。

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