仗助に双子の姉がいたらというもしも パート3 三部へ 作:蜜柑ブタ
ジョジョにおける一番のギャグ回は、第五部の、ギアッチョ戦後ミスタの治療をするジョルノを見たナランチャの不幸じゃないかと……思ってる筆者です。
香港のとある、飲食店にて。
「あの飛行機なら、今頃は、カイロについていたものを…。」
「分かっている。」
「しかし…、50日以内に、DIOに出会わなければ、ホリィさん…そしてこの時代の幼い仗助の命が危険なことは、前にも言いましたな……。」
「案じるのはまだ早い。」
そこでジョセフが語り出す。
100年前のジュールベルヌの小説では、80日で世界一周4万キロを旅をする話があり、その時代は飛行機が無く、汽車や蒸気船の時代であること。
つまり飛行機が無くとも、50日あれば1万キロ先のエジプトまでわけなく行けるということらしい。
そこで…っと、ジョセフは、海を行くルートを提案すると言った。マレーシア半島から、インド洋を突っ切る、いわば海のシルクロードと。
これについては、アヴドゥル、そして花京院、承太郎は同意した。
ミナミは、どうするか悩みチラッと仗助を見た。
「どうしたんじゃ、ミナミ?」
「…あのもしものことがあるので、ひとつ。」
「なんじゃ?」
「私達は、私達の時代に、水に混ざる能力を持ったスタンドと戦ったことがあります。」
「水に?」
「はい、水分…液体なら何でも…。不純物の多い牛乳でも、お湯から湧き上がる水蒸気でも混ざることが出来た恐ろしいスタンドでした。」
「つまり…君が危惧することは、海水に混じってきた敵に襲われる可能性か?」
「……まあ、海水ほどの容量で混ざってでも動けるスタンドなんていないって思いたいですけど、念のため言わせて貰いました。すみません、私は別に陸路を推薦したいわけじゃないですが…。」
「いや、よいよい。用心に超したことはないからのう。」
「…やれやれ、マジに、てめぇら、相当な数の場数を踏んでやがるな。いったい何人ぐらいのスタンド使いと戦った?」
「さあ? あんまし覚えてないっす。色々と命がけでしたっすから。」
「そうだよね…。私が昏睡してる間に、仗助、メッチャ戦ってたらしいし。仲間の手助けもたくさんあったけど。」
「……頼りになるぜ。」
「わー、承太郎さんに、そんなこと言われちまったよー。」
「や~ん、どうしよう。」
「やかましい! 前言撤回するぜ…。」
「じょーだんすよー。」
「あの空条さんも、こんな時期あったんだね。」
「っ……。」
ニャハニャハ無邪気に笑っている仗助とミナミに、承太郎は、イラっとしつつ、呆れて何も言わなかった。
「承太郎の、未来か…。興味深いが、後に取っておく方が面白そうだね。」
「あれ? 花京院さん何してるんです?」
「フフ、これはお茶のお代わりを欲しいのサインだよ。」
急須の蓋をずらした花京院を見てミナミが聞くと、花京院が説明してくれた。
「香港では、茶瓶の蓋をずらしておくと、お代わりを持ってきてくれるんだ。また、人にお茶を茶碗にそそいで貰ったときは、人差し指をトントンと2回テーブルを叩く、これが「ありがとう」のサインさ。」
「へえ、詳しいんですね。私なんて、故郷の町から外出すると言っても、海外までは行ったことないから疎くって…。」
「そうだったんだね。別に悪いことじゃないよ。おそらく多くの人は、故郷の国から出ることはあまりないんじゃないかな?」
「すみません…。」
そこへ、銀髪を縦長に固めた風変わりな髪型の男性がメニューを持って来た。
「ちょっと、いいですか? 私はフランスから来た旅行者なんですが…、どうも漢字が難しくてメニューが分かりません、助けて欲しいのですが…。」
「やかましい。向こうへ行け。」
「おいおい、承太郎。まあいいじゃないか。」
イラッとしている承太郎にジョセフがなだめながら言った。
「わしゃ、何度も香港に来とるから、メニューぐらい漢字はだいたい分かる。で…何を注文したい? エビとアヒルとフカのヒレとキノコの料理?」
「さすが、アメリカの不動産王…。」
「グレート…。」
っと、ミナミと仗助がジョセフに羨望のまなざしを送った。
ところが……。
ベイタンヨッピンズォッ(おかゆ)
テイエンチー(カエルの丸焼き)
メイツーミンルーチーユウ(魚の煮た物)
ツータイツ(貝料理)
「わ…、わはははははははは! ま…、いいじゃあないか、みんな食べよう、わしのおごりだ。」
「ったく、もうボケが来てんじゃねぇの? ジジイ…。」
「さすが人の上に立つ人…、なんでも人任せだったんだね。」
「うぐ…。」
図星だったのか、ジョセフがクラッとなった。
「ま、まあまあ! 何を注文しても結構美味いものよ! ワハハハハハ!」
「誤魔化してやんの。」
「あーあ…。」
「いや~、手間暇かけてこさせえてありますなぁ。ほら、このニンジンの形…。」
銀髪の男性が箸で星形のニンジンをつまみ上げた。
「星(スター)の形…。なんか見覚えがあるなあ~~~。」
「!」
その言葉に全員に緊張が走った。
「そうそう、私の知り合いが……、首筋に、コレと同じ形のアザを、持っていたな……。」
男性は、星形のニンジンをペタッと左肩の首筋辺りにくっつけた。
その直後、テーブルの上にあるおかゆの器がボコボコと泡立ちだした。
そして、針剣を握る手が飛び出してきて、ジョセフを切りつけようとし、ジョセフは咄嗟に義手で防いだ。
「マジシャンズ・レッド!」
アヴドゥルから飛び出してきた鳥人間のような炎を纏ったスタンドが火を吹く。
しかし、その炎を針剣を握る手が、剣でクルクルとかき回すように炎を絡み取った。
そして、おかゆから銀髪の男性の方へ、鎧を纏った銀色の騎士のようなスタンドが出現した。
「俺のスタンドは、戦車のカードを持つ、『シルバー・チャリオッツ(銀の戦車)』!」
剣に絡み取られていた炎を飛ばし、近くに横にされていたテーブルに時計のように炎が着弾して数字が刻まれた。
「モハメド・アヴドゥル! 始末して欲しいのは貴様からのようだな…。そのテーブルに火時計を作った! 火が12時を燃やすまでに、貴様を殺す!!」
「恐るべき剣さばき、見事なものだが……。テーブルの炎が12を燃やすまでに、この私を倒すだと? 相当うぬぼれが過ぎないか? …ああーと……。」
「ポルナレフ…。名乗らしていただこう。ジャン(J)・ピエール(P)・ポルナレフ!」
「メルシーボークー。自己紹介恐縮いたり……、しかし。」
次の瞬間、マジシャンズ・レッドから放たれた炎が、先ほど火時計が刻まれたテーブルの下半分を蒸発させた。
「うお! すげぇ! なんて火力だ!」
「広瀬君のと違う…。炎そのものの火力を自由自在に操れるんだ…。」
(※広瀬康一のエコーズAct2の能力は、文字の擬音を実体化させる能力である。その効果そのものをコントロールするわけではない)
「ふむ…、この世の始まりは、炎に包まれていた。さすが始まりを暗示し、始まりである炎を操る『魔術師の赤(マジシャンズ・レッド)』。しかし、この俺をうぬぼれというのか? この俺の剣さばきが……。」
するとポルナレフがコインを数枚出して、中に投げた。
「うぬぼれだと!?」
そして一瞬で、針剣で全てのコインを真ん中から串刺しにした。
よく見ると、コインの間に炎が取り込まれていて、燃えていた。
ポルナレフの説明によると、自分のスタンドなら炎をも切断できるということ。空気を切り裂き、空と空の間に溝を作ることができるのだという。それは、マジシャンズ・レッドの炎が効かないという証だと言った。
剣から落とされたコインが床に落ちる直前…。
ブワッ!と鮮血色の根っこが飛び出してきて、ポルナレフに襲いかかろうとした。
「あっ!」
突然のことに声を上げるのが遅れたが、次の瞬間には、全ての鮮血色の根っこがバラバラに切り刻まれていた。
「…ふん。制御不能のスタンドを抱えた人間がひとりいるとは聞いていたが、脆い…実に脆い!」
「うわぁ…本当に強いよ…。」
「グレート…。」
「先ほどのスタンドは、そちらのお嬢さんの物と見た。理由は知らんが、そのお嬢さんだけは殺すなと言われていてな。」
「なに?」
「ミナミを…?」
「わ…私を?」
「理由は知らん。だがこれだけは宣言する。全員、表へ出ろ! 順番に切り裂いてやる!」
「アヴドゥル…。」
「ええ…何が何でも勝ち、理由を聞き出さなければなりませんな。」
「……。」
「姉ちゃん。だいじょうぶ。俺が必ず守るから。」
「仗助…。」
ミナミは、少し震える手で、仗助の学ランの端を摘まんだ。
水に混ざる能力のスタンドとは、アンジェロのアクアネックレスですね。
あれ、条件が揃っていれば、マジでヤバいスタンドでしたよね。
DIOの命令で、ミナミだけは殺すなと言われているポルナレフ(洗脳状態)。
詳細は知らされていません。