仗助に双子の姉がいたらというもしも パート3 三部へ 作:蜜柑ブタ
4部辺りから、特殊能力がトリッキーになってきたから、こんな純粋なスタンド能力は、ほとんどいなかったんじゃないかな?
場所を、タイガーバームガーデンに移し、シルバー・チャリオッツの本体であるポルナレフとの戦いが始まった。
「ここで、預言してやる。まずアヴドゥル…。貴様は、貴様自身のスタンドの能力で滅びるだろう…。」
「アヴドゥル…。」
「承太郎、手を出さなくていいぞ。これだけ広い場所なら思う存分、スタンドを操れるというもの。」
アヴドゥルが前に出て、ポルナレフと向き合った。
ミナミと仗助は、ゴクリッと息をのみ緊張した。
スタンド使い、それもベテラン。
そういう人物は、二人にとって未来の空条承太郎とジョセフ・ジョースター以外にいなかった。
さきほどの飲食店で見ただけだが、アヴドゥルは相当な使い手だと若い二人は感じた。
だが、相手であるポルナレフも相当に強い。それは、さきほどの飲食店でイヤというほど感じた。
チラッと話には聞いていたが、こんな強敵を相手にし続けて、DIOという災厄とぶつかったのかと思うと……。
「半端じゃないよ…。」
「……グレート…。」
そりゃ強制的に強くなるに決まってるわ…っと、二人は、チラッと承太郎を見た。
そうこうしていると、アヴドゥルとポルナレフの戦いが始まっていた。
飲食店で披露されたあの剣のさばきが容赦なくアヴドゥルのマジシャンズ・レッドを襲うが、マジシャンズ・レッドは、それを躱す。
隙を突いてマジシャンズ・レッドが炎を吐くが、その炎を剣で払った瞬間、マジシャンズ・レッドの背後にあった石像が、マジシャンズ・レッドと同じ形に削られた。
「野郎っ! こ、…こけにしている! 突きながらマジシャンズ・レッドにそっくりの像を彫ってやがった!」
「中々、くくく…、この庭園にぴったりマッチしてるぞ、マジシャンズ・レッド。」
すると、マジシャンズ・レッド、そしてその本体であるアヴドゥルの動きと表情が変わった。
「来るか…。本気で能力を出すか。面白い…。うけて立ってやる!」
「みんな! 何かに隠れろ!」
「えっ?」
「アヴドゥルのアレが出る! ……とばっちりで火傷するといかん!」
「えっ? えっ?」
困惑していると、ミナミは花京院に、仗助は承太郎に掴まれて近くの石の影に連れて行かれた。
『クロスファイヤーーーー! ハリケーーーン!!』
次の瞬間、アンク型の凄まじい火炎が放たれた。
「ホラホラホラホラ! これしきの威力しかないのか!? この剣さばきは、空と空の溝を作って…、炎を弾き飛ばすと言ったろうがぁーーーーーー!!」
凄まじ炎にまったく憶していないポルナレフのシルバー・チャリオッツが、炎を巧みに切り裂き、そして、炎の方向をアヴドゥルへと向けた。
そしてアンク型を失った火炎がマジシャンズ・レッドに命中した。
「あ、アヴドゥル!」
「炎があまりにも強いので、自分自身が焼かれている!」
「は、早く助けねぇと!」
「ダメ! あの火力に近づいたら、火傷どころじゃすまない!!」
「ふははは。預言通りだな。自分の炎で焼け死ぬのだ、アヴドゥル。」
ポルナレフが笑う。
すると炎に包まれたマジシャンズ・レッドが、ポルナレフに襲いかかった。
「やれやれやれやれだ。悪あがきか?」
にやけた顔をしているポルナレフが、シルバー・チャリオッツの剣でマジシャンズ・レッドを真っ二つにした。
だが……。
「むっ!? これは…。ぐ、がああああ!?」
切り裂いた所から炎が生きているように襲いかかり、シルバー・チャリオッツを焼いた。
「あれは…、スタンドではない! 人形だ!」
「ふふふ…。炎で目がくらんだな。貴様が先ほど作ったマジシャンズ・レッドの彫刻の関節をドロドロに溶かして動かしていたのだ。私は、炎を自在に操れると言っただろう?」
「すっげぇ!」
「つまり、炎じゃ、マジシャンズ・レッドには、どうやっても勝てないって事かぁ…。は~。」
「占い師の私に、予言で戦おうなど。10年早いんじゃないかな?」
そして再び放たれたアンク型炎・クロスファイヤーハリケーンがシルバー・チャリオッツに放たれ、今度こそ焼いた。
あまりの火力に、シルバー・チャリオッツの鎧が溶解し、本体ごと吹っ飛んでいった。
「うわぁ…。今まで色々とトリッキーなスタンド使いは見てきたけど…、正統派っての? 小細工の無い純粋なスタンド能力がこれほどだなんて…。」
「炎って、こえ~~~。」
「お前ら、よっぽど変なスタンド使いと戦ってきたんだろうな…。」
「変なじゃなくて、厄介なんですよ。」
「ん?」
「どうしたの? あっ。」
「? …!」
次に見た瞬間、倒れていたシルバー・チャリオッツの溶けた鎧が弾け飛んだ。
そして、倒れていた本体であるポルナレフが飛ぶ。
「ブラボー! おお、ブラボーー!」
ピンピンしていた。火傷はほとんどなかった。いや、火傷はしているものの、軽傷…だ。
「フフフ! 感覚の目でよーく見てろ!」
「うっ! これは!?」
「見ろ! シルバー・チャリオッツが!」
「なんかスッキリした骨組み!? みたいになってる!」
「甲冑を外したスタンド、シルバー・チャリオッツ! 呆気にとられているようだが、私の持てる能力を説明せず、これから君を始末するのは、騎士道に恥じる。闇討ちに等しい行為だ。どういうことか、説明する時間をいただけるかな?」
「あんにゃろう…、おちょくりやがって…! 何が騎士道だ!」
「落ち着け、仗助。」
思わず飛び出そうとした仗助の肩を承太郎が掴んで止めた。
そこから、本当にしっかりと、ポルナレフは、説明してくれた。
ようするに、甲冑のおかげで先ほどの火炎から身を守れて、甲冑を脱ぎ捨てたことで身軽になり、自分自身を持ち上げる瞬間を見えないほど素早く動けるようなったのだそうだ。
それについて、アヴドゥルは、そのことでプロテクターというか、防御が失われ、今度こそ喰らったら命はないということでは?っとツッコんだ。
「ウイ、ごもっとも。だが、無理だね。なぜなら、君にとって、ゾッとすることをお見せするからだ。」
次の瞬間、甲冑を脱ぎ捨てたシルバー・チャリオッツが6、7体に分裂した。
「ば、馬鹿な…! スタンドは、ひとり、一体のはず!」
「いやぁ、そうでもないっすよ?」
「私達が知っている人で、軍隊型…っていうのかな? ものすごい数の小さなスタンドを操る人もいましたから。」
「そうそう、まさに軍隊だったぜ。俺、死ぬところだったし…。」
「…だとよ。」
「残念。これは、残像だ。フフフ…。視覚ではなく、君の感覚へ訴えるスタンドの残像群だ。君の感覚はこの動きについてこれないのだ。」
ミナミと仗助は、思った。
今までそれぞれに特殊な能力を持ったスタンド使いと出会ってきたが、これほどに単純で、すごい使い手は未来の空条承太郎を抜いておそらく出会ったことはないと。
「こんどの剣さばきは! どうだぁああああああああ!?」
「クロスファイヤーハリケーン!!」
「ノンノンノンノンノンノン。無理と言ったろう?」
そして、あまりの速さにいつの間にかアヴドゥルの顔や体中に穴が空いた。
「な、なんという正確さ…。これは、相当に訓練されたスタンド能力!」
「ふむ…、わけあって10年近く修行をした。さあ、いざまいられい、次なる君の攻撃で君にトドメを刺す。」
「騎士道精神に、とらやで手の内を明かしてからの攻撃。礼を失わぬ奴…。ゆえに私も秘密を明かしてから、次の攻撃に移ろう。」
「ほう?」
「実は、私のC・F・H(クロスファイヤーハリケーン)にはバリエーションがある。十字架の形の炎だが、一体だけではない。分裂させ、数体で飛ばすことが可能だ! C・F・H・S(クロスファイヤーハリケーンスペシャル)!! かわせるかーーーー!?」
「すっっっご! あの炎をあの数で!」
「アヴドゥルさん…、俺あの人と戦って、勝てる気しねぇ…。」
「あんた、近接戦タイプだもんね。」
「あまいあまいあまいあまいあまい!! 前と同様にこのパワーをそのまま貴様にぃーーーー!!」
しかし、その直後、ポルナレフの足下に地面から、アンク型の火炎が飛び出してきてシルバー・チャリオッツの分身もろとも吹っ飛ばした。
「な、なんだとぉぉおお!? ぐ…ふ…。」
すると、アヴドゥルは、ナイフを倒れたポルナレフの方に投げた。
「炎で焼かれて死ぬのは苦しかろう。その短剣で…、自害するといい。」
そう言ってアヴドゥルは、背中を向けた。
炎に包まれているポルナレフは、ヨロヨロとナイフを握り、その背中を見る。
だが。
「フフ…、このまま潔く焼け死ぬとしよう。それが君との戦いに敗れた私の君の能力への礼儀……。自害するのは……無礼…。」
「!」
そしてポルナレフは、炎に身を任せるように目を閉じた。それを見たアヴドゥルは、指を鳴らし、炎を消した。
「あくまで騎士道とやらの礼を失わぬ奴! しかも、私の背後からの短剣を投げなかった。DIOからの命令を越える誇り高き精神! 殺すには惜しい。承太郎。」
「ああ。抜くぜ。」
「えっ?」
「ちぃとグロイから気をつけ…、うぇぇぇ!」
「うわっ! あれが、肉の芽ぇ!? 気色悪!」
「で…、それ、どうするんですか?」
「こうじゃ、波紋疾走!」
抜かれた肉の芽を、ジョセフが波紋の一撃で消し去った。
「仗助、出番だ。」
「うーす。クレイジー・ダイヤモンド!」
仗助は、ポルナレフと、承太郎、そしてアヴドゥルを治療した。
「す、すごいな。あっという間に治ったじゃないか。」
「すごいでしょ。うちの弟。」
「…君のスタンドも相当すごいけどね。制御できないのが難点だが。」
「それは…。」
「いや、すまない。君は相当気にしているんだったね。気を悪くさせてすまない。」
「いいんです。だいじょうぶですから。」
「まっ、これで、肉の芽がなくなって、にくめないやつになったわけじゃ、ジャンジャン。」
「なー、こーゆーダジャレ言う奴ってよー。むしょーに腹が立てこねーか?」
「ぷっ…。」
「ね、姉ちゃん…。」
「ご、ごめん。」
お爺ちゃんっ子で、古いダジャレ好きな一面があるミナミであった。
この後、目を覚ましたポルナレフに一緒に来ないかと誘い、一行はSPW財団にチャーターした船を手配してもらい、港へ向かうのであった。
ポルナレフ仲間入り。
トリッキーなタイプばかり相手してただけに、純粋なスタンド能力では勝てるかどうか分からないという風にしました。
単純なスタンドほど強い…って、どこからの言葉でしたっけ?
アヴドゥル対ポルナレフの戦いは、入る余地が無かったため、二人には見物に徹して貰いました。