仗助に双子の姉がいたらというもしも パート3 三部へ   作:蜜柑ブタ

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勢いで行きます。


力の暗示編。


また今回も、承太郎があんまり活躍してないかも。


力の暗示

 

 ドカーン ボカーン!

 

「や…やはりあの船長、船に爆弾を仕掛けてやがった!」

「みんな早くボートに飛び移れ! 近くの船に救難信号を出せ!」

「ちくしょう! この爆発じゃ、直す余裕もねぇぜ!」

「まあ、あんたの力もそこまで万能じゃ無いってことだよ。」

「仗助、ミナミ、急がんか!」

 全員が、そして船員達もみな避難用のボートに移動し、船はやがて沈んでいった。

「…落ち着きなさい、ミナミ。」

「水が近くにあると、つい…。」

「救助信号は打ったあるから、もうじき助けは来るだろう。一々気にしてたら身が持たんぞ?」

「は~、太陽があっちいぜ…。」

「ほ~、そうやって髪下ろすと結構ジョースターさんに似てるな? さすが息子?」

「シンガポールついたらワックス買ってくれよ、じじい~。」

「分かった分かった。」

「やっほー!」

「ねえ…、あんた達…、一体何者なの?」

 密航者の少女が、警戒した顔で聞いてきた。

「君と同じに旅を急ぐ者だよ。もっとも、君は父さんに会いに…、わしは娘と息子のためにだがね。」

「へ~…。ブフッ!」

「こらこら! 大切な水じゃぞ! 吐き出す奴があるか。」

「ち、違う…。み、みみみ、みんな! 見て! あれを見て!」

「えっ?」

 少女が指差した先には、大型タンカーが海に浮いていた。

「あれ…?」

「んん?」

「…お前らもか?」

「はい。」

「おかしいっすね…。なんかやな予感するっす。」

「お前達、何を案じておるんじゃ? まさかこの貨物船にもスタンド使いが乗っているかも知れないと考えておるのか?」

「……っていうよりは…。」

「気配がなさ過ぎってか?」

「タラップが降りているのに、なぜ誰も顔を覗かせないのか考えてたのさ。」

「!」

 そして、ジョセフ達は、改めてタンカーを見上げた。海の波の音だけが無情に響く中、その船から何の音も聞こえてこなかった。

「ここまで救助に来てくれたんだ! 誰もいねえわけねえだろーが! 例え全員スタンド使いだとしても、俺はこの船に乗るぜ!」

「ポルナレフさん!」

「…仕方ねぇ。食料も水も足りねぇんだし、罠だと分かってても行くっきゃねぇよ。敵だらけだとしても、食料と水奪って逃げりゃいいだけだしよ。」

「……うん。……ん?」

「どうした?」

「…ブルー・ブルー・ローズが…。」

 見ると乗っていたボートから生えたブルー・ブルー・ローズの根っこが、まるで行くなと言わんばかりにミナミの足に絡みついていた。

「やっぱり、この船…。」

「いいから来な。」

「わっ!」

 承太郎に無理矢理引っ張られ、ブルー・ブルー・ローズの根っこが千切れてミナミは、承太郎に受け止められる形でタラップに乗った。

 

 

 イ ク ナ

 

 

「っ…。分かってる、分かってるよ。」

「ミナミ?」

「……用心して行きましょう、承太郎さん。」

 ミナミは、自身にしか聞こえないブルー・ブルー・ローズからの幻聴に悩まされながら、承太郎、仗助と共にタンカーに上がった。

 

 

 上がってみても、誰もいなかった。

 そして船室にも誰もいなくて、すべての計器や舵が勝手に動いていた。

 だが、一応いた。正確には…船員では無かった。

 檻の中に、オラウータンが一匹。

 そして、檻のある船室から出た時…。

 タンカーの甲板にあった釣り針型のクレーンの先端が、船員の一人の頭を貫いて殺した。

「…っ…、み、見た?」

「あ、ああ…、不自然だ…! 明らかに殺意のある動きだったぜ、今のはよぉ~!」

 ミナミと仗助は、冷や汗をかいた。

 スタンド同士でのテレパシーのような念話で、ジョセフ達は会話した。

 どうやら、この貨物船は、自分達を救出するためじゃなく、皆殺しにするために来たらしいという推測。

 そして、誰も触っていないのに勝手に動いたクレーン。

 スタンドらしきものは見当たらなかった。

 敵の人数は?

 ならば、自分が調べますと、花京院がハイエロファントグリーンを解かせて船の隙間中に入り込ませた。

「な、なにがなんだか分からないけど、やっぱり、あんた達がいるからヤバいことが起こるんだわ…。疫病神なの? 災いを呼ぶ人間がいて巻き込まれるから、そいつには近づくなって…、そうなの?」

「……耳の痛い話だね。」

「ただの人間にゃ、そう見えてしかたねぇか……。」

「……ふん。」

「スタンド使いは、スタンド使いとひかれ合う……。そういう宿命って、誰かが言ってたね。……まさか…ねぇ?」

 ミナミは、ふとオラウータンを見た。

「あっ…。」

 仗助は察して声を漏らした。

「おい、どういうことだ?」

「実はっすね…、俺、スタンド使いの動物と戦ったことあるんすよ。」

「動物が?」

「ドブネズミだったっすけど、手強かったっす。未来の承太郎さんと一緒に退治したっすけど。」

「ドブネズミだ~? そんなのがスタンドを使ってたのかよ?」

「むむ…、そのような事例が…、アイツと同じか…。」

「あいつ?」

「分かった。誰かがここで、このオラウータンの挙動を見張り、他の者は他の船室を調べるというのはどうだ?」

「ああっ!」

「どうした? あっ!」

 少女の悲鳴じみた声を聞いて見ると、オラウータンが檻から消えていた。

「あれ? 姉ちゃん? 姉ちゃん!?」

「ミナミが消えたぞ!?」

「しまった、やられた! 奴だ…、あのオラウータンがスタンド使いだったのだ!!」

「俺、探してくるっす!」

「待て、仗助! 敵のスタンドの性質が分からん状態でひとりになるな!」

「ここは海上っす! 船室のどこかに移動させた可能性がある! 俺は、双子の弟だ! 直感だが探してみせるっす!」

「俺も行くぜ。」

「承太郎!」

「ひとりでダメなら、二人でだ。それでいいだろ?」

「頼みます…!」

 仗助と承太郎は、船内に駆け込んだ。

 仗助が直感で下へ下へと移動する。

 やがて、船室の一室にミナミが倒れているのを発見した。本来なら船長が船員達と会議をするような一室だ。

「姉ちゃん!」

「待て、仗助。」

「なんでっすか!?」

「見ろ。」

「っ!」

 見ると、船長が座る席に、船員服を着たオラウータンがふんぞり返るように座り込んでパイプを吸っていた。

「いつの間に…。」

「どうやら、野郎のスタンドだろうな。だが、スタンド像はどこだ…? すでに見えているのか? だとしたら……。」

 直後、換気扇のプロペラが外れ、生き物のように二人の背中に襲いかかってきた。

「スタンドは、この船そのモノか!!」

 スタープラチナの拳がプロペラを弾き飛ばした。だが向きを変え、今度は、プロペラの平たい部分がビンタをするようにスタープラチナと承太郎もろとも壁に張り飛ばした。

「ぐっ!」

「承太郎さん!」

「俺に構うな! 後ろだ!」

「はっ!」

 いつの間にか船の壁にめり込んで移動していたオラウータンの拳が仗助の背後を捉えようとした。

「ドラァ!!」

「グヒィ!?」

 それよりも早いクレイジー・ダイヤモンドの拳がオラウータンの腕をひん曲がるほど強く殴打した。

「ウキャアアア! ぐげええええええ!!」

 オラウータンが肉も骨も皮膚も分からない形状にさせられた自身の腕を見て、悲鳴を上げた。

「ドラララララララララララ!!」

 オラウータンは、クレイジー・ダイヤモンドの拳から逃れるべく、壁の中に逃げていったが……。

「この船を“元の状態”に、一部だけ戻したぜ。」

「ウギャッ!?」

 ボロッと崩れた壁からオラウータンが転がり出た。

「なるほど。てめーのスタンドは、姉ちゃんのスタンドと同じ、物質同化型って奴だ…。元はなんかのボロ船で、それにスタンド被せて移動してきたってところか。」

「ヤレヤレだぜ。エテ公、つまりテメーのスタンドは、力(ストレングス)の暗示ってところか? これだけのパワーだ。」

「ウギギギギ…。」

 変形した腕を庇いながら、オラウータンがミナミがいる船室へと下がっていく。

「姉ちゃんに近づくな! それ以上下がると、てめーを船の一部と合体融合させて二度と戻れないようにしてやるぜ!?」

「う…ウゥウ…う! ヒーヒヒヒ…!!」

「なんだよ? 急に腹だして、寝っ転がりやって…。」

「動物は、降伏すると、敵に腹を出すらしいな。だが、テメーはもう…、動物としてのルールから外れちまった。」

「あっ!」

 見ると、ミナミがいる船室には、他の船員達の死体があった。

「…承太郎さん、やっちまってくださいよ。」

「言われずともやるぜ。」

「ヒイイイイイイイ!!」

 そして、凄まじいスタープラチナの拳の嵐が、オラウータンを襲い、ボコボコのボロボロにした。

 壁に叩き付けられ、グフッ…っと最期に血を吐くと同時に、船がグニャグニャと蠢き始めた。

「どうやら、本体が死んだことでスタンドが消え始めたらしいな。ミナミを拾って急いで出るぜ。」

「はい!」

 二人は、気絶しているミナミを抱えて船上へ急いだ。

 

 

 ほとんどの船員を失い、ジョセフ達は、最初に乗っていたボートに飛び移って崩れていくタンカーから離れた。

「信じられないわ…。船の形が変わっていく…、あんなボロでちっちゃい船が今まで乗っていた船?」

 密航者の少女が信じられないと、沈んでいく元タンカーだった船を眺めて言った。

「なんということだ…。あの猿は、自分のスタンドで船を渡ってきたのか。恐るべきパワーだ。初めて出会うエネルギーだった。」

 スタンド使いとしては、この面子の中ではもっともベテランと言えるアヴドゥルが冷や汗をかいていた。

「我々は完全に圧倒されておった…! ミナミと仗助がドブネズミのスタンド使いの話をしなければ、あの猿を疑いさえしなかっただろう! しかし…、これ以上に我々の知らぬ強力なスタンド使いがこれからも、出会うのか?」

「……う…ん?」

「姉ちゃん、だいじょうぶか?」

「あれ? 仗助? 私…。」

「ようやくお目覚めか。簡単に攫われてんじゃねぇぜ。」

「えっ?」

「実は…。」

 かくかくしかじかと説明。ミナミは、ギョッとして、承太郎達に謝った。

 

 その後、間もなく、奇跡的に船が通りがかり、救助され、シンガポールに上陸することが出来たのだった。

 

 

 

 

 




力の暗示のスタンド使いのオラウータン、承太郎達の会話を聞いて、危険を感じてすぐに行動に移す。
ミナミを攫ったのは、もちろんDIOの命令です。
けど結局負け。
仗助のスタンドじゃあ、自分と相性が悪いと気づいて降伏するも、先に殺していた船員達の死体を見られて始末された。


次回は、悪魔の暗示かな?
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