東方妖狐録   作:鈴ノ風

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この作品は東方projectの二次創作です。
原作ブレイク、キャラ崩壊、独自設定、オリキャラ幻想入り、駄文乱文、そもそもプロットが不完全、その他諸々が含まれております。
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002 天魔と邂逅

 はいどうも皆様、お元気でしょうか?

 私? いやー、微妙に元気じゃないというか、その…………

「? どうかしたか?」

「いえ、こうもあっさりと常識を破壊されるとは思いもよらなかったので。ちょっとそっとしてください、自分の中で整理つけるので」

「そうか」

 犬走さんはそれだけ言うと、また視線を前に戻した。自分でも訳の分からんことを言っている自覚はあるんだが、その辺を気にしないのは、やっぱり根が良い人だからだろうな。

 さて、それではそろそろ説明するとしましょう。

 先ほど言った微妙に元気じゃない原因にして、常識を破壊した元凶。

 

 聞いたって信じないだろうが聞いて驚け、私は今、空を飛んでいるっ!

 

「い、今起こったことをありのままに話すぜ。コス……少女に手を掴まれたと思ったら空に浮かんでいた。な……何を言ってるのか、わからねーと思うが。俺も何が起きたのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……催眠術だとかマジックだとか、そんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……」

「……頭大丈夫ですか?」

 ついにツッコミが来た。

「電波にやられるほどチャチぃ脳みそではないですよ!」

「既に手遅れでしたか……」

 やめて! そんな哀れな人を見る目で見ないで! ちょっと調子に乗っただけだから!

 …………いやまて落ち着け、混乱しているのは確かだ。じゃなきゃポルナレフに憑依されるハズがないっ!

 そういや第五部であの人亀に表していたような…………あれ? もしかして本当にとり憑かれてたりする?

 オイ待てマジで落ち着け。このままじゃディオ様までやってくるだろうがっ!

 そうだ偶数を数えよう。普通は素数だろうけど偶数が良い。何故って好きだから、割り切れるあたりなんか特に。

 えっと、2,4,6,8,10,12,14――

「着きましたよ」

「のわぁっ!」

 ちょ、犬走さん? 今心頭滅却してるんだけど、横槍は酷くない?

「落ち着きたければ深呼吸すればいいのに」

「…………べ、別に忘れてたわけじゃないんだからねっ! た、たまには別の方法もありかなって思っただけなんだからねっ!」

「……別も何も、記憶喪失だったはずでは?」

「い、いいんですよこの程度のネタぐらい」

 かなり無理のあるツンデレだったが。むしろ気色悪だったが。

「いや、一瞬心臓がドクンってああいやなんでもありませんっ。可愛いとか思ってませんからっ!」

「…………」

 なん、だと。

 こ、これが本物のツンデレってやつか…………ほ、惚れたぜ。

「よ、余計なことはいいでしょ! それより天魔様のところへ」

「いやいや待ってくださいよ犬走りさん。まずは先ほどの言動に関する詳しい解説をですね」

「な、何のことですか?」

「さあ何のことでしょう? ところで顔真っ赤ですね。熱でも出ましたか?」

 とか言いつつ、彼女の額に手を伸ばす。

「ちょ、ま」

「おやおや熱いですね。こりゃ40℃くらいでしょうか? 体調管理はしっかりしないとだめですよ」

「べ、別に風邪などひいて、ひゃいん!」

「どうしました? いきなり飛び上がったりして」

「ど、どこ触って、ふぁっ!」

「どこって、しっぽに決まってるじゃないですか。もふもふ」

 彼女の真っ白な尻尾に伸ばした右手。そこから伝わってくるのは暖かく柔らかい毛皮の感触。ふさふさの毛と、その奥にある肉のさわり心地は私に春の夜の毛布を思い浮かばせた。

 記憶喪失の設定はどこ行った。いや、気持ちいいから構わないんだけどさ。

「ほらほら、ここがいいんでしょ?」

 しっぽの付け根近くを少し強めに握る。

「ひゃっ!」

「あっはっは、きもちー」

 なんか、やってることがエロゲの鬼畜キャラみたいになってきたな。でもやめられない。さわり心地うんぬん以前に、犬走りさんの表情がとてもいいのだ。顔を赤らめ目を潤ませ、恥ずかしそうに周囲の視線から逃げようと瞳を左右に動かす。

「んー、耳とかどうなるのかな?」

「わ、私で遊ばないでください!」

 犬走りさんが私を退けようと、両手を振る。でも焦りと恥じらいが混じったせいか、その防御はやすやすと突破できた。

「では」

 尻尾同様に白い犬耳に口を近づける。

「や、やめて」

 空気を思いっきり吸い込み、口を狭めて吐き出そうとしたその時。

 

「あ、あのー」

 

 なんかもう言葉にするのもはばかられるくらい申し訳なさそうな声が、私の動きを止めた。

「…………」

 声をかけてきたのは、黒い翼をはやした少女だった。頭には天狗の特徴ともいえる(正式には山伏の特徴なのだが)兜巾がのっている。

 彼女は顔を赤くし、目は怯えの色を見せていた。

 手には紙と筆らしきものが握られている。一見すると記者がメモ帳とペンを構えているようにも見えるが、体が硬直しているせいかやり場を失っているだけとも取れる。

「えっと」

 少女の視線で熱が冷めた私は、視線を感じて周りを見る。

 屋敷の中から出てきたと思しき女性たちが、あるものは唖然とし、あるものは嬉しそうに、あるものは平然と、こちらを見ていた。

「これは、あれか?」

 傍らに突っ伏した犬走りさんの『もうお嫁にいけない』という言葉で、確信する。

 やりすぎた。

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

「では、そこに座っていてください。すぐ天魔様が来ますので」

 案内をしてくれた少女は、そう言って部屋の真ん中あたりを指差した。

 椅子どころか、座布団ひとつ見当たらなかった。

「……わかりました」

 まあいいや。この部屋畳だし、フローリングに座るよりマシ。

 そう思うことにして、私は腰を降ろした。無論正座。座り方で向こうの機嫌は損ねたくないし。

 案内の子は私が座るのを確認すると、逃げるように立ち去って行った。いや実際逃げたのだろう。

「……」

 ため息をつく。そこには公開の色が自分でもわかるほどにじみ出ていた。

 いや、あれはやりすぎた。

 尻尾気持ちよかったし犬走りさんかわいかったけど、あれはダメだ。屋敷の者たちにはかなり警戒されてしまっただろう。

 そのことが今後に響かなければいいのだが……

「そればっかりは、考えても仕方ないか」

 過去は変えられない。それよりも今だ。そう思い、周囲を観察する。

 広い、本当に広い部屋だ。

 内装は完全な和式で、どこにも西洋の雰囲気はない。天井は高く、例えジャンプしても天井に手がつくことはないだろう。庭の側の襖が開けられていて、かなり豪華な庭園が見える。

 んで、何度も言うが広い。

 和風なこともあって、私の頭には時代劇の映像が流れていた。

「……」

 もうね、何が酷いって、記憶喪失の癖に時代劇を覚えてたりするのが酷いんだよ。私の頭、本当にどうなってるのかな? もしかしてあれ? 催眠術にでもかかった? まさか知り合いに時宮の人間がいるとか?

「……いや、流石にそれはないか」

 あったら困る。このまま戯言遣いが出て来ないかなって思ってる自分が一番困る。

「……人間失格でもアリだけど」

「何をブツブツ言っているんですか?」

 唐突に聞こえてきた声。それはもともとそこにいた少女のものだった。

 彼女は部屋の奥、上座に近い場所に座っている。ここの序列とかは知らないが、かなり上の地位にいるのは確かだろう。

「何って、世界と奇跡の可能性について、ちょっと」

「その前に自分の未来について考えたらどうです?」

「子供は女の子が良いな」

「そこじゃなくて!」

「好みの異性は財布が温かい人」

「基準そこですか!?」

「だってそのほうが将来安泰じゃん」

「もっと夢見てもいいじゃないですか!」

「えー。じゃあ許容範囲が広い人」

「ああそれはいい選択で、って違います! そんな遠くの話しじゃなくて!」

 じゃあなんだよ。

「あなた、記憶がどうであれ扱いは侵入者なんですよ?」

「うんうん」

 それは知ってる。

「だから、もしかしたらここで斬られるかも知れないんですよ?」

「なっ!」

 な、なんだってー!?

「そ、そんなバカな……」

「そう思うでしょ? だから」

「に、日本刀が見れるのか!」

「そういう話しでもなくてっ!」

「――――お静かに」

 リン、とした声が響く。

 声は、今まで話していた少女、そのすぐ向こうから聞こえてきた。

 まるで影のように、少女はそこにいた。別に隠れていたわけではないのだろうが、先ほどの声で、私は初めて彼女の存在を認識した。それほどまで、そこにいるのが自然だった。

「天魔様が、参られます」

 言葉には、それほど力は籠められていなかった。

 だが、別のものが、私たちの口をふさいだ。

 それは彼女から発せられたものではない。ふすまの外、廊下のほうから、身も凍るような威圧感が感じられる。

 言葉もなく、私は固まってしまった。

 こう着は一秒か、十秒か。ほどなくして、廊下の床が鳴り、足袋をはいた足が見えた。

「――――ふん」

 鼻で笑い、一歩。

 誰かが、部屋に入ってきた。

「……」

 格好はやはり山伏のそれ。年は四十ほど。腰には太刀刀を刷()いて差しているが、治外法権という単語さえ思い浮かばない。

 言葉を発する者は、誰もいない。上座近くの少女も、私たちを諌めた誰かも、皆等しく頭を垂らしていた。羽も高い鼻もなければ顔も赤くない、一見すると、どこにでもいそうな、ちょっと変わった格好の普通の人間。

 だが確信する。これが彼等の言う『天魔』なのだと。

 故に、言葉を失った。

 その絶対的な存在感に圧倒され、そして恐怖したから。

 これの機嫌を損ねてはならない。

 損ねれば、一瞬のうちに殺される。

 逃れることは出来ない。

 部下の有無ではない。例え向こうが部下を使うまいと、たった一人で私を殺せる。

 武器の有無でもない。例えこちらにマシンガンがあろうとも、抵抗すら出来ない。

「さて、貴様がこの山に侵入したものか?」

「私、は」

 声が震える。緊張と恐怖から、喉も唇も上手く動かない。

「答えよ」

「は、はい。確かに私は、結果的には侵入してしまいました。で、ですが故意のものではありません!」

「ほう」

「き、気付いたら山の中にいたんです。記憶を失っていて、何故そこにいたのかは分かりませんが……」

「つまり、迷い込んだだけだから、許して欲しい、と」

「はい」

 私は頭を下げた。ご機嫌を伺うとか、そんな考えは微塵もない。

 ただそうしなければ、それだけで殺されるという確信があったから。

「――――けるな」

「……え?」

「ふざけるなっ!」

 それはまるで爆音の如き怒号。今すぐ刀を抜いたとしても、私は疑問に思わないだろう。

「……」

 恐ろしい。記憶はないが、断言できる。

 私は、これほど恐ろしい存在に、出会ったことがない。

「貴様は、この神聖なる土地に侵入しておきながら、見逃してくれとほざくのか!」

 そしてこうも思った。これほどまでの怒りを湛えた者に、わたし程度が許しを乞えるはずがない、と。

 いかなる言葉を駆使したところで、所詮悪あがきに過ぎないのだと。

「貴様は、何様のつもりだ!」

「わ、私は、ただ」

「黙れ!」

 そう叫び、とうとう限界だったのだろう。

 天魔は、刀を抜いた。

「――――ッ!」

「ただの侵入者なら、見逃してやろうと思っていたのだが……」

 刃が、冷酷な輝きと共に、こちらに向けられる。

「……ここまで馬鹿にされたのでは、黙っているわけにもいかんな」

 マズイ、マズイマズイマズイ!

 逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ! このままでは殺される!

「――――ぁ」

 だが体が動かない。恐怖に怯えた心では、逃げるどころか立つことさえ出来ない。

 生存本能さえ塗りつぶす恐怖に、殺意に、私はただ、呆然とすることしか出来なかった。

「では、刀の錆になれ」

 いつのまにか接近していた天魔が、手に持った刀をギロチンのように振り降ろし――――――――

 

「騒がしいねぇ。風情が台無しだ」

 

 そんな呟きと共に差し出された小さな掌によって、軌道を逸らされた。

 ザン、と言う切断音。

 畳を深く切り裂いた刃は、そのまま行けば、わたしの胴体を真っ二つに出来たと、物語っている。

「な、なぜ」

「たまにはとそよ風に揺れる木々を見ながら酒を飲んでおったんだが。どこぞの誰かに雰囲気を壊されてな。それで来た」

「そ、そういうことではありません!」

 何だ、どういうことだ?

 天魔というのは、ここで一番偉いのではないのか?

「どうして邪魔をしたか、か? 私の許可なく、この屋敷で人を殺めようとしたくせに、自覚が無いと言うのか、天魔」

「で、ですが」

「ここは私の家、お前さんは天狗。さて、では私は誰だ?」

「――――申し訳ございません」

 そう言って、天魔は刀を収める。

 その後、彼が正座し頭を床につけたということは、この乱入した誰かが、それほどの権力を持っている証だろう。

 だが、何故。

「――――鬼神母神(きしんもじん)様」

「分かればよい」

 そう言って、胸を張った誰かは。

 

 小学校低学年ほどの、幼女であった。

 

「まさかのリアル小萌先生!?」

「誰だそれは?」

 通じなかった。

 




遅くなってしまって申し訳ありませんでした。鈴ノ風です。

えー、にじファンに投稿してたものを知っている方はわかるかと思われますが、主人公が暴走しました。
椛との絡み、あそこまでひどくはなかったんですが……どうしてこうなった。

とりあえず、夜中のテンションの一発書きなので、かなりひどいことになっていると思います。その辺は感想で指摘してくれると、とてもうれしいです。


今回は、この辺で失礼いたします。
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