赤龍帝が如く 作:神室の神龍
「ご馳走様っと」
俺が朝食を作り終えたあたりで起きてきた両親とともに朝食を食べ、学校に向かう準備を始める。残念ながら今日は平日であるため面倒くさいが普通に学校がある。
「じゃあ、行ってくるわ」
「「行ってらっしゃい」」
両親に見送られながら俺は学校へと向かう。俺は駆王学園の二年生である為、後輩も先輩もいる身ではあるが、一年の時に絡んできた不良を返り討ちにした場面を同級生に目撃されてから俺に近寄ってくる奴はそうそういなくなった。まあ、無論例外もいるが俺としてもあの時はやりすぎっと思っていたからしょうがないと言えばしょうがないけどね。
「お、一誠オハロー」
「よう、おはよう一誠」
「ああ、おはよう。松田、元浜」
こいつらがその数少ない例外に当てはまる二人。学校で堂々とエロ本広げたり猥談したりとやべぇ奴らではあるが、そういう所以外はまあいい奴らである。俺に近づいてくる理由は俺をそっち側に引きずり込むためらしい。俺も興味がないわけじゃないけど、学校で話すのはさすがにね。
「で?そろそろ俺たちと猥談を──」
「するわけないだろ」
「──だろうな」
「あのな?俺だって興味がないわけじゃないよ?でもさ、学校でやる必要はないだろ?学校でしか会えないわけじゃないんだし」
「うーん。学校が最も一緒にいる時間が多いから学校でしたかったんだが、仕方ない。じゃあ、今度誘うからその時にお前が何フェチか教えろよな」
なんでしょっぱなからそんなコアな話をしなけりゃいけんのだ。そう思いながらもこいつらとそれなりに楽しく会話していると、正面からいかにもな奴がこっちに向かってきているのが見えた。チッ、面倒だな。そいつはご丁寧にも俺の前で止まり、俺にはなしかけてくる。
「てめぇが兵藤一誠だな?」
「ああ、そうだな。でも、俺はお前なんぞ知らねえからどっか行ってくれねえか?」
「俺はお前を知ってるし、用もある。ちょっと面貸しな」
まあこうなるよね。ここで俺が断ったら何が起こるかわかったもんじゃないし、松田と元浜を先に行かせ、俺はそいつについていく。学校に遅れないように早めに、できれば一撃で落とそう。
「よく恐れずについてきたな」
近くの空き地でそいつはそう言う。恐れる要素なんてみじんもないから当然なんだけど、それを言って怒らせるのも面倒なので黙っておく。
「うちの学校じゃお前を倒せば名が上がるんでな。悪く思うな」
「御託はいい。早くかかってきな。こっちも時間がねぇんだ」
最近こんなやつばっかりだな。さて、やるとするか。俺は特に構えず自然体でそいつが何してくるかを見る。ここで武器出されたらちょっと腕の一本位折らねばならなかったが、そいつは普通に殴り掛かってきた。これなら余裕だな。俺は拳を受け流し、そのまま足をかけ転ばせ続けざまに顔面を踏みつける。そのまま、足を退けると同時に拳を振り下ろし、止めとする。
「よし、こんなもんか。相手は選んだ方がいいぜ?ってのびてちゃ聞こえないか。さて、学校に──」
「また喧嘩ですか、兵藤一誠君?」
「──いやぁ、これは俺が仕掛けたんじゃないですよ?生徒会長さん」
こうなると面倒だったからこそ俺は早く学校に行きたかったんだ。俺に話しかけてきた人物は駆王学園の生徒会長支取蒼那だ。この人も先ほどの例外に当てはまる人物である。まあ、生徒会の仕事の一環だろうが。それと、ドライグ曰く人間以外の種族である悪魔らしい。
「知ってますよ。あなたの友人が生徒会室に来て、わざわざ教えてくれましたから。私は、やりすぎように止めに来ただけです。遅かったみたいですがね」
男を見て、ため息をつきながら先輩はそう言う。歯が一本欠けて鼻血が出てる程度だが、下手言って説教は喰らいたくないのでそういう時は黙っておくに限る。
「貴方はある意味では有名人なんですから、気を付けてくださいね」
「はいはい、わかってますよ。それより早く学校行きましょうよ。もう授業始まってますし、先輩優等生なのに遅刻なんて印象悪くなりますよ?」
「先生にはちゃんと話をしてから来ているので大丈夫です。ですが、急いだほうがいいのは変わりないですね。行きましょうか」
俺たちは急いで学校に向かったが、残念ながら十五分以上は遅刻してしまった。先輩は事情を話してるらしいから大丈夫らしいが、俺はその時間の担任の先生に少し叱られてしまった。まあ、理由はどうあれ遅刻したんだから当然か。その後、手に付いた血に気づいた俺は水道水でそれを洗い流し普通に授業を受け始めた