赤龍帝が如く 作:神室の神龍
「──兵藤一誠君!ずっと前から好きでした!付き合ってください!」
「は?」
学校からの帰り道、俺は突然そんな感じで告られた。服装からしてうちの学校の女子じゃないが、こいつ正気か?俺の悪名は悲しいことに広まっている。当然のようにあることないこと含めて広まった悪名及び噂を聞いたことあるなら俺に好意を抱くとはどう考えたって可笑しい。それともあれか?強い男が好きってパターンか?とか俺が考えてるとドライグの声が頭の中に響く。
『おい相棒。残念ながらそいつ堕天使だぞ』
『は?嘘やろ?堕天使ってこんなに可愛いの?あ、でもよくよく考えれば悪魔な会長も可愛いし人外ってのは皆顔面偏差値高めなのか?』
『さてな。感性が違うから何とも言えんが……それよりどうする気だ?多分だが、そいつはお前の命を狙ってるぞ』
『なぜに?』
『前にも言ったろ。俺は全勢力からして恐れられた存在だ。それを宿してる人間がいればそりゃ自分たちに被害が出る前に殺すだろうよ』
『お前のせいじゃん。はぁ、まあいいや。じゃ、頼むわ』
『了解』
その返事と共に脳内に喧しい機械音が響く。ドライグの宿る赤龍帝の籠手は、十秒ごとに力を倍加する能力を持っている。ただ、いちいち喧しくBoostと音を出す。それじゃあ、相手に今自分は何回倍加してると教えてるようなものだと真島の兄さんから注意された俺は、ドライグとの話し合いの結果外には出さす自分にだけ聞こえるように改良することに成功した。思ってることが相手に聞こえないようなものだ。
「あの、兵頭一誠君?」
「ん?ああ、ごめんね。告白されたの初めてだからちょっと動揺しちゃって」
さて、どうしよっかな。断っても良いんだけど、それで殺されるのは嫌だしかといって自分の命狙ってんの知ってて付き合うのはごめんだし。今気づいたけど、結界みたいなのが張られてるせいか人が人っ子一人いないし。チッ、しゃあねえな。
「悪いけど、お前とは付き合えないよ。堕天使なんだろ?俺の命でも狙って近づいてきたのか?」
「……流石、今代の赤龍帝ね。その通りよ。でも、貴方はあくまでもオマケ。私たちが計画を始めるまでの遊び相手のようなもの。仲間と私が貴方を殺すまでに貴方が私の正体に気づけるかって賭けをしてたの。殺せたら私の一人勝ち。ばれたら負け。まさか、こんなにすぐばれるなんて、もうちょっとは行けると思ったんだけどね」
「勝手に人の命賭けの道具にするのはどうかと思うけど?」
「別にいいんじゃない?結果的に貴方は私が堕天使であることを見抜いたんだから。それじゃあね、兵藤一誠君?」
そう言って、堕天使は飛び去って行った。やっぱり、感性が違うね。俺らが虫相撲するのと似た感じだろうか。いや、俺はもう虫相撲はやらないけどね?どっちかと言えばメスキングの方がまだやるかな。てか、せっかく赤龍帝の籠手使ったのに戦わなかったな。
「せっかく倍加した分無駄になったな」
『そういう日もあるだろ。俺としては久しぶりの出番だったから少し残念だがな。しかし、この街の連中は弱すぎないか?』
「銃撃たれてんのに平然と戦闘を続行する輩と比べるのは流石に酷だろ」
ここ最近は帰り道に誰かに見られてるような視線を感じるが別に敵意もないし無視でいいかな。ドライグ曰く悪魔の監視らしいけどドライグ本人もあんまり気にしてないようだし。てか、なんでさっき助けてくれなかったんだろ。死んだ方が都合が良かったんだろうか?そんなことを考えるも、腹の虫が鳴き出し、すぐに思考は今日の夕食が何かにシフトしていった。
まあ、偶には戦わずにレイナーレとの出会いを終わらせてもいいよね。死ぬか倒すかの二択が多い気がする気。