気まぐれな蛇が兎を見守るのは間違っているだろうか 作:オワタ\(^⚪︎^)/
☆9評価 太刀花さん
☆8評価 J.Dさん、えくよんよんさん
ありがとうございます!
それからもし良かったら感想を書いていってくださいね
「…あの子…面白いわね」
とある部屋の一室。そこにいるのは10人いれば10人全員が美女と答えるほどの美しい女性と雰囲気だけで歴戦の猛者と分かる武人。
「フレイア様…それはあの少年でしょうか?」
「いえ、違うわ。あの子とは違う…ドス黒くて何色を入れても黒く犯してしまう……そうね…貴方を例えるなら武人…あの子を例えるなら蛇って所かしら」
「蛇…もしやあの男でしょうか?」
「あらオッタル…あの子に興味が湧いたのかしら?貴方にしては珍しいのね」
「…名の知れない冒険者ですが…実力は…オラリオでは私の次かと」
女性はそれを聴き、僅かだが驚いた。最強と呼ばれる武人の眷属、それが自分の次に強いと認めたのだから。
「そうね。面白い事になりそうね」
女性は笑みを深めその手に持ったワイングラスを傾けようとした時だ。
「…随分な評価だなぁ?えぇ?女神『フレイア』さんよぉ」
「あら、随分早いじゃない」
「てめぇが必要以上にこっちに視線送るもんでよぉ。鬱陶しいもんで出向いてやったんだ…感謝しな」
女性はワイングラスをそっと起き、声をした方向…自室の窓側を見る。そこには先程、女性が『あの子』と称した男が窓縁に腰を掛けて座っていた、
「フレイア様…」
「良いわ…客人として迎え入れなさい」
「は…」
「女神フレイア…もうちょい見んのやめてくんねぇかなぁ?ベルは気付いてねぇけど俺は気持ち悪くて仕方ねぇ」
男は遠慮なく女性に物を言う。女性は笑いながら
「仕方ないじゃない…貴方達の魂…とても良い色してるもの」
「ちっ…なら余計な事すんじゃねぇぞ。てめぇのやってる事は今の所はプラスもマイナスもねぇけどな…少しでもマイナス方面に向かうなら…殺すぞ」
男は巫山戯ていた雰囲気を消し、ドスの効いた低い声で女性を脅す。常人なら気絶ものだろうが目の前の女性は何ともないように笑っている。それが気に食わないのか男は舌打ちをし窓から飛び降りて消えていった。
「フレイア様…あの男は…」
「良いわ…あの子もプラスになると判断すれば此方を手助けしてくれそうだもの…それに貴方の良い好敵手に成りそうじゃない?」
「……そうでしょうか」
「えぇ…だってあの子は蛇でありながら武を極めているもの」
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「ちっ…あのクソ尼…ああいう奴ってのは面倒くせぇのばかりかよ」
俺はあの女の部屋から飛び降りた後近くの路地裏で木箱を蹴り飛ばす。あのタイプの奴と話してると無性に腹が立つ!
「あー…冒険者登録ってのも行かなきゃ行けねぇなぁ」
一応、俺が別のファミリアって感じに筋書きしてあるからそれの通りに動けば良いし、ベルには俺の詳細は伝えてないから漏れる心配もねぇ。
「っとこの格好でいるとヤベェな」
俺は帽子をかぶりついでに猫もかぶる。動物は嫌いだがな。
「さてと…ギルドに行って冒険者登録をして…適当に済ませますか残りの時間は」
俺は帽子を深く被りギルドへと歩いていく。
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「これで良しっと…少し怪しまれましたが…まぁ無事に冒険者になれましたね」
色々質問はされたものの俺のポーカーフェイスを見破れる筈もなく、普通にヘスティア・ファミリアとして冒険者登録が出来た訳だ。
「…さて、本当にどうしましょう…あぁそうでした、ベル君はロキ・ファミリアの人に助けられていたと言っていましたね。私がファミリアに入る前ですが、一団員として団長が助けられたからにはお礼を言いに言わなければ…まぁ名目は顔を知ってもらう事ですがね」
「何を持っていけば良いでしょう…確か…助けて貰ったのはアイズ・ヴァレンシュタインと言う方でした筈…好きな食べ物とかあるのでしょうか…まぁ適当に買ってきますか」
俺は適当に目が入ったジャガ丸くんと神なら酒だろ…と言う考えのもとある程度良い酒を買っていった。あ?金はどうしたのかって?んなもん路地裏ごろごろしてれば勝手に鴨が釣れるっつうの。マジで弱かったわ。
てか自分用に買ってみたがこのジャガ丸くんって美味えな。
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「あのーすいません」
「何か用か?」
「あ、私…ヘスティア・ファミリアのハザマというものです。つい最近、うちの団長がロキ・ファミリアのアイズ・ヴァレンシュタインさんに助けて貰ったという話を聞いたので、お詫びと安いものですがお礼を持ってきたのです」
門番は硬そうな顔をしていたが、「待ってろ」と一言だけ言いもう1人の門番に声をかけて中に入って行った。暫くすると赤い髪の女と金髪の女の子が出てきたってあのエルフの嬢ちゃんも居るじゃねぇか。バレねぇよな?
「ふーん。うちに用があるってのはあんたかいな」
「これはどうも神『ロキ』…私はヘスティア・ファミリアのハザマと言うものです」
「あのドチビの所の子が何の用や?」
んだ?仲悪いのか?ヘスティアとロキって…あぁそう言うことか…
「つい最近、団長がそちらのアイズ・ヴァレンシュタインさんに命を救って貰ったと聞いたので、団員として御礼をと」
「…その団長って白い髪の赤い目?」
「おや、容姿まで覚えていてくれているのですか。そうです貴方に命を救って貰ったベル・クラネルです。彼はどうも女性慣れをしていなくて貴方のような可憐で美しい女性を見てしまい恥ずかしさで逃げてしまったようなのです。ですから…命を救って貰った御礼と逃げてしまったお詫びをと…」
てかベルって露出の多い女を見るだけで顔赤くなるからな…マジで初心。
「んで?本人がいないやんけ」
「…すいません。本人は自分の情け無さからダンジョンで無茶に潜り、怪我をしてしまったので部屋で安静にして貰っています。ですから本人からは後日と言うことにしてもらえませんでしょうか?」
「…そうかいな」
話だけ聞いてるとテメェの所の犬が悪りぃんだろうが…教育がなってねぇんじゃねぇのか。
「こちらですが、お詫びと御礼の気持ちを込めて」
「ジャガ丸くん…」
「おや、好物でしたか?それならばよかったです。神ロキにもとお酒も入っているのでもしよければ…では」
俺はアイズ・ヴァレンシュタインに紙袋を握らせて、さっさと帰ろうとする。
「まちぃや」
「……何でしょう。神ロキ?」
後ろを見ると俺と同じように閉じてるように見える目が薄く開いていた。まるでなにかを見定めるような目だ…気に食わねえ。
「あんさん…あのドチビのファミリアの前に何処かファミリアに入っとったんかいな」
「えぇ…あるファミリア…と言ってもオラリオ外で私しかいないファミリアでしたが」
「その主神の名前は?」
「…さぁ?あの方自身も偽名を使っておられたので…私自身…分からないのです」
どんなけ見定めようとしても、嘘を見抜こうとしても無駄だ。俺のスキルでテメェら神の力は通用しねぇよ。
「そうみたいやな。すまんな!変な事聞いたわ!」
「…でしたら私はこれで」
「あ、あの!」
「……何です?」
やっと帰れると思ったらなに引き止めたんだこのエルフは…早く帰りてぇんだよ。
「貴方は…あのモンスターから私を助けてくれた人ですか?」
「そもそも、私と貴方は今が初対面ですよ?誰かと見間違えたんじゃないですかね?」
「…すいません」
俺がバレるのは今じゃ早すぎわ。まぁいつかはバラしてやるよエルフの嬢ちゃん。
「では私はこれで」
「…あの子に…よろしくって…伝えておいて」
「分かりました。伝えておきますね」
俺はしばらく歩き姿が見えなくなった所で溜息を吐く。
「あぁー息が詰まったぜ。慣れねぇ事はやるもんじゃねぇな…あーさっきのあのクソ神の顔を思い出しらムカついてきたわ…ちってめぇごときが俺を見定めてんじゃねぇよ。……ちっマジで苛つくんだよ…クソが」
俺は下に見られるのが嫌いだ。たとえ相手が貴族だろうが王だろうが神だろうが…探った視線や見下す視線ってのが1番気に触る。
「…さて、ベル君は今日アドバイザーの人と防具を買いに行っていますからね…なにもする事がありません」
ふと顔を上げて見ると目の前の店の名前が目に止まった。
「『豊穣の女主人』ですか…確かベル君がオススメしていましたね…残金は…大丈夫そうですね。しかし、明日にでもダンジョンに入って稼がなければ…お金は大事ですからね」
と思いつつ俺は店の扉を開ける。
「いらっしゃいませ〜!こちらの席へどうぞ!」
……何でだ?この女からあのクソ女神みたいな雰囲気が…気のせいか?…しかし店の雰囲気はかなり良いな。色んな情報も此処なら入りそうだ。
「……しかしメニューを見ても分からないですねぇ。この気持ちを例えるなら、外国のお店で文字は読めるのですがメニューの名前が読めても料理が想像できない…こんな気持ちですかね」
しかし、この店の店員ってのは看板で見た通り女主人で女しかいないのは分かるんだが…そこそこ修羅場をくぐってねぇとダメなのか?さっきの女以外…Level4…5…あたりしかいねぇな…これだと店の中で暴れられても問題ないな。防犯機能がいらない店か…怖っ。
「ご注文はお決まりですか?」
「すいません。まだ私此処らへんの料理には詳しくなくて…オススメの魚料理と度数の低いお酒をお願いできますか?」
「かしこまりました」
しかし改めて見て見るとアマゾネスにエルフにドワーフ、猫人もいるのか。動物嫌いな俺からしたら猫人や狼人の獣人は無理だし、性格問題ならエルフも俺と馬が合わねえ…合うとしたら戦闘狂のアマゾネスぐらいか?…いやねぇな。
「…はぁ…先が思いやられますねぇ」
「お待ちどうさまです」
「あぁどうも…んーベル君の言う通りですねぇ。匂いからでも相当な食欲をそそられます」
「…クラネルさんのお知り合いですか?」
「えぇ、私はハザマ。昨日ですがヘスティア・ファミリアの団員となった者です。此処はベル君にオススメされましてねぇ…以後お見知り置きを」
俺は手を出してすぐに引っ込める。俺はこの世界に来てまだ1日程度だが一応ギルドにあった書物をあらかた読んだし、頭の中にこの世界の大体が入っていた…確か
「すいません。エルフの方は多種族との特に女性の方は異性との肌の触れ合いに敏感でしたねぇ。無遠慮に手を差し出してしまい申し訳ございませんでした」
「いえ、そこまで謝ってもらう必要はないです」
「そうですか。では頂きます」
俺は目の前の料理が冷める前にスプーンで米を掬う。見た目的には魚を入れた炒飯みたいな物だ。それを口に入れ数回噛み、口の中で味わった後に食道を通し胃へと運ぶ。ほんのそれだけの動作でこの店のランクがかなり高いと分かるほどの美味さだった。俺が食べて来た中で確実に1位を取る店だろう。
「…米全体に程よく染み渡る塩加減。場所によって塩辛さが変わってしまうのは仕方がない事なのに何処をどう取っても塩辛さは程よいいい感じのまま…更にはこの魚の切り身…米全体に塩を振り、そこに塩分の塊といっても良いほどの魚を入れているのにも関わらずに米と一緒に食べても、塩加減のバランスが崩れることがない。決め手はこのパラパラなお米…炒飯には不可欠ですが所々に焦げ目をつけ食欲をそそる…完璧です。私が窯で作った茹で卵に匹敵する程の…」
茹で卵好きの俺の舌を唸らせるこの料理…おそらく他の料理もこれに匹敵する程の美味さ…前世では茹で卵馬鹿と呼ばれるほどの茹で卵好きだったが…此処の店の料理も…
「さてと…こちらのお酒は…この喉越しの優しさ…私はお酒を飲んだことがありませんがこのお酒は飲みやすいですね。これを機に少しお酒を飲んでみましょうか…おや、どうしました?」
「おみゃーさんもうちょっと静かに食べる事は出来ないのかにゃ?」
「仕方ないでしょう。こんなに美味しい料理は久しいのですから…こんなに美味しい料理ならこの値段も頷ける訳です」
「当たり前にゃ!ミア母ちゃんの料理はオラリオ一にゃ!」
「それはなんと…良い所に来たものですねぇ」
てかこの猫…働かなくて良いのか?あのデカイドワーフが睨んでんぞ?あ、顔青くして仕事に戻った…ウケるw
「…さてと…しばらくダンジョンに潜ってからベル君をアイズさんの所に連れて行きますか……」
俺は代金を猫に渡して店を出る。すると向こうにベルの姿が見えたので俺は近寄って声をかける。近くに犬人もいたが知らん。
「おやおや奇遇ですねベルさん」
「あ!ハザマさん!」
「…あの…ベル様?こちらは」
「あ!紹介するよ。団員のユウキ=ハザマさんだよ」
「どうも、今紹介されたハザマです。気軽にハザマとでも呼んでください」
「あ、はい。私はリリです。ベル様のサポーターをやらさせていただく事になりました。よろしくおねがいします」
一見は普通の女の子だな。ベルもそう思ってるだろう…しかしこの目は裏切る目だ…そもそもだサポーターをやるならもっと良い人間でも探せば良い…大方ベルのナイフ狙いか…確かあれヘファイストス産だろ?高えんだろうな。
「ベル君。近々アイズ・ヴァレンシュタインさんにお礼を言いに行きますからね。後先に帰ってヘスティア様の様子を見に行ってください」
「えぇ⁈ちょ⁈人使いが荒いですぅぅぅ!」
「っと言いながらも聞いてくれるのは人が良いのか…良すぎますね。あれは」
「あはは…ともかくよろしくお願いします!ハザマ様!」
ベルが居なくなり、俺に手を差し伸ばしてきた犬人の手を払った。犬人は何をしたか理解できないような呆けたような顔をしていた。
「こちらに近づかないでくださいよ。獣臭さが移ってしまいます。私はこれでも動物が嫌いでしてねぇ…特に貴方のような鼠みたいな餓鬼はね」
「っ⁈」
「別に貴方が何をしようが勝手ですが、ベルに危害を加えたり迷惑かけたら…」
俺は犬人の耳元に腰を曲げて顔を近づける。そしてただ一言を本性で
「……テメェをぶっ殺す…からなぁ?子犬ちゃんよぉ?」
「ひっ⁈」
「おやおやそんなに震えて…どうしました?さて夜も遅い…気を付けて帰ってくださいね。ではまた」
俺は犬人…いや子犬ちゃんに手を振り拠点へと帰る。あー遅くなったなぁ…ジャガ丸くんが売ってたら買って帰ってやるか。
「…あーあー面白くなって来やがったなぁ」
あ、あの子犬ちゃんのファミリア聞いとくべきだったなぁ。
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「な、何なんですか…あの男」
私はあの男が…ハザマという『人』が分からなくなっていた。いやあれは『人』じゃない…私は色んな冒険者を見てきた…その中で悪魔みたいな人もいたけどまだそれは『人』だ。でもあのハザマという男は…『人』じゃない『人』なんかの枠じゃ収まらない…あれは『悪魔』…『悪魔』と言う言葉が合いすぎる。
「…リリ…腰が抜けちゃいました」
しばらくはこの脚は動かないだろう。震えも止まらない…もうすぐ暗くなるから周りに人がいなくて良かった。…でもあの男の声が脳裏にこびり付いて離れない…思い出すだけで震えが増す。
「これは…当分動けませんね」
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「…ほ、本当に行くんですか?」
僕は目の前で服を正しているハザマさんに聞く。この問いはおそらく一昨日から何回もやっている。
「そう言っていたから昨日は辞めてあげたんですよ。良いですか?そうやって後に回せば回すほどお礼などは出難くなるんですよ!こう言うのは早めに言わないと!大人になって困るのはベル君ですよ!」
「は、はい!」
「全く…まぁ気持ちは分からないでもありませんよ。好きな人を前にすると舞い上がっちゃいますもんね」
「いや、あの!」
バレてる。数日しか会話してないけどハザマさんは人の感情を見抜くのが得意だ。僕は分かり易いらしいけど人の微妙な表情の変化で分かってしまうらしい。本当に尊敬できる人だ。
「さて…行きますよ。途中でジャガ丸くんを買って行きましょう彼女の好物らしいですから」
「は、はい!」
ハザマさんの後について行きロキ・ファミリアの本拠『黄昏の館』に来ていた。
「少し待っていてください。門番の人と話してくるので」
「あ、はい!」
ハザマさんはまるで友人に話を持ちかけるように、軽く門番の人に話しかけていた。門番の人も別に警戒とかそんな物はなくまるで友人のようにハザマさんと話をしていた。
「ちょうど良かったようです。後少し遅れていたらダンジョンに行ってしまったでしょう」
「すいません。僕が我儘をいって」
「いえいえ、先ほども申したようにベル君の気持ちはよく分かります。それに私はベル君よりも年上のお兄さんですよ?迷惑なんてかけられて当たり前なんです。普通ならベル君の年頃はまだ親に甘えていたいはず…ですからもっと我儘や甘えても良いんですよ?」
「ありがとうございます!」
ハザマさんと話しているとまるで僕に兄が出来たみたいで嬉しかった。優しくて親身になってくれて間違っていたら注意をしてくれる。決して甘やかしてばかりじゃない…こんな兄が本当にいたら良かったな。
「ほら…来ましたよ。貴方が苦手な人もいますけど…頑張ってください」
「…はい!」
ハザマさんが苦手という人は『凶狼』ベート・ローガさんという人だ。名前と2つ名はハザマさんに教えてもらいました。
「あ…あの時の」
「助けて頂いたのにお礼も言わずに逃げてすいませんでした!」
「ううん…別に気にしてないよ…ただ…ちょっと怖がらせちゃったかな…って思っただけ」
「いえ、怖いだなん「んで?今更来たわけか。あぁ?トマト野郎」…っ!」
アイズさんと喋っているとベートさんが横から僕を睨みつけてきた。怖いけど…怖いけど…大丈夫だ。僕は…強くなる。
「なんか言ったらどうだ?トマト野郎。テメェみたいな雑魚が冒険者をやってたら冒険者の質が下がるんだよ。さっさと冒険者やめて故郷へ帰ったらどうだ?」
「ベート!やめろ。前も言ったがミノタウルスを逃したのは我々の責任だ!それに彼はLevel1。いきなり来たミノタウルスに気が動転するのも無理はない」
「それで腰抜かして逃げて追い詰められた挙句に無様に血の雨被ってんだぜ?ダセェにも程があるだろ!ギャハハハハ!」
そうだ。僕はダサい。アイズさんみたいな強さも…ハザマさんみたいな強さも…僕は持ってない。でも…僕にも信念はある!
僕は目の前のベートさんにアイズさん、他のロキ・ファミリアの人達に口を開こうとしたその時だった。
帽子を深く被り直したハザマさんがベートさんと僕の間に割り込んだのだ。
「あぁ?なんだテ「さっきから聞いてればきゃんきゃんと…五月蝿い駄犬ですねぇ」……今なんつった」
今…ハザマさん…なんて?
「聞こえませんでしたか?いやぁ貴方達獣人は獣と同じなので耳がいいと思いましたが…駄犬ってのは耳が悪いようですねぇ?」
「テメェ…」
「全く、あれですか?オラリオ最高のファミリアのロキ・ファミリアと言うのは新参者の初心者の冒険者を虐めて楽しんでるファミリアなんですかねぇ」
「あぁ⁈テメェ馬鹿にしてんのか!」
「貴方の言動を聞けばそんな感想しか湧きませんよ。一に口を開けば雑魚、二に口を開けば雑魚と何ですか?貴方の脳みそはミノタウルス並みですか?良かったですねぇ。同じ獣ですよ?」
ベートさんの額に血管が浮き出てくるのにも関わらず、ハザマさんは口を止めない。
「だいたい、何故ベル君や新参者が入っただけで質が下がるのでしょうか…冒険者というのは誰しも最初はLevel1から始まる。貴方で言うところの雑魚ですね。ならば貴方が冒険者になった時もそれは質をお下げになられたのでしょうねぇ」
「もう一つ言わせてもらうならば、Levelというものは一つの強さの基準です。そこにいるフィン・ディムナさんはLevel6です。貴方、ベート・ローガはLevelが5です。さぁどちらが強いでしょう?」
「んなの「フィンさんですよねぇ?」…テメェ」
「いくら貴方がLevel5といえどLevel6のフィンさんには向かっては行かない。まぁ同じファミリアなのもありますが…それは置いて置いて。ならば、Level1…しかも装備が碌に揃ってないベル君がLevel2のミノタウルスから逃げるのは臆病なのではなく一種の戦略と言えるでしょう。勝てないのに逃げるのがカッコ悪いからという理由で向かっていくのは…まさしく馬鹿のやる事です。そういう人の事を雑魚と言うのですよ」
逃げるのは…一種の戦略。勝てなければ…逃げるのも手。
「つまりは貴方が言ってる事を貴方に当てはめると…貴方はまさしく雑魚と言うことになりますねぇ?良かったじゃないですか!貴方が馬鹿にしていた人達とおんなじですよ!ヒャハハハハハ!」
「ぶっ殺す!」
ベートさんはそう叫びハザマさんに襲いかかった。僕は勿論ながら、アイズさんもロキ・ファミリアの人達も反応が出来なかった。しかし、僕の目に映ったハザマさんは笑っていた。
「ハハハ…はぁ…脳の容量が少ないんですかねぇ…すぐ暴力…まぁ嫌いじゃありませんよ。動物は嫌いですがねぇ!」
目の前からハザマさんの姿が消え、僕が探して見つけた頃には、ハザマさんの脚には緑色のオーラが纏わり付いていた。
「これは正当防衛ですよ!蛇翼崩天刃!」
一直線のハザマさんの蹴り上げはベートさんの顔を直撃し、ベートさんを打ち上げた。地面に倒れこんだベートさんを見てみたが見事に気を失っているみたいだ。
「手加減はしておいたのでエリクサーは要らない筈ですよ。まぁエリクサーを使う羽目になっても私は悪くありませんよ…ねぇ?フィン・ディムナさん」
「そうだね。今回もうちのベートが悪かったよ」
「それは私に言わないでください」
「ベル・クラネル君だっけ?今回、そして前回の酒場でのベートの失言…本当に済まなかった。これは団長である僕の責任だ」
「えぇ⁈いや、顔をあげてください。ベートさんの言い分も…正しくないわけではない訳で」
そうだ。ベートさんに言われた言葉…あれはおそらく必要だったんだ。少し浮かれてた僕に対する戒めみたいなものなんだ。
「ハザマの言う通りだね。超がつくほどのお人好しだ」
「そうでしょう?そこがまた可愛いんですよ」
「と言うか君、さっきベートを煽るとき生き生きとしてなかったかい?」
「私…こう見えて人を煽るの得意なので」
分からなくも無いと思った僕は悪く無い。たしかに紳士的な行動を振る舞うハザマさんだけど何か…いじめっ子オーラが出てるし…ほらロキ・ファミリアの人達も多分同じこと考える。
「おや、こんな時間にベル君。リリさんが待っていますよ」
「あ!早く行かないと!ア、アイズさん!本当にありがとうございました!」
「うん……ジャガ丸くんありがとうね」
僕はアイズさんとロキ・ファミリアの皆さんに手を振ってリリの元へ走っていく。ヤバい!遅刻気味だ!
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「さてと私もダンジョンに向かいますかねぇ」
「丁度いい。僕たちも一緒に行くよ」
「はい?」
「君のレベルも事情も聞いたけどね。君の力量に興味が湧いた」
「うむ、儂もじゃ」
「私もだな」
「団長に同じ」
「私も私も!」
「……私は…特に?」
「私は気になります!」
「……ベル君について行けば良かったですねぇ」
マジ面倒くせえ事になりやがったなぁ!畜生がぁ!
この後、ひたすら蛇翼崩天刃だけで頑張り、ウロボロスの存在だけは隠し通した…マジ俺様ナイスだわ
一応書いておきますがベートさんはアンチではありません。ちゃんと良い人です…多分ね。