聖戦士ダンバイン ~コモンの聖戦士~   作:早起き三文

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第10話「ドラムロ翔ぶ」

  

「ネデルの奴は、里帰りか」

「ええ、お屋敷にね」

 

 オーラマシン「ドロ」の整備をしている二人の男女、エコー少年とホリィ少女は。

 

「スルタン家、結構な名家よ」

「いいとこの出なんだな、アイツは」

「ええ、あたし達と違ってね」

「ちぇ……」

 

 世間話をしつつに、整備基地の廻りへと散らばっている、他のオーラマシンをふと見やる。

 

「あ、ドラムロタイプだ」

「こんな辺鄙な基地に、珍しいわねぇ……」

 

 そのドラムロのパイロットと思わしき、気品に満ちた男は何やら整備員と話し合っている様子だ。

 

「ドロの数も、結構あるわね」

「そうだな、ホリィ」

「そうそう、ドロで思い出したけど」

「なんだ?」

 

 何やら、フレキシブル・アームをバルカンにと換装した他のドロ、それを操っているクルー達が揉めている声がエコー達の元にまで届く。

 

「アームが三本しかなくて、より小型のドロって知っている?」

「なんだ、それは?」

「何か、どこかのギブン家の基地を攻めた部隊が見つけたみたい」

「へえ……」

 

 そのギブン家とドレイク・ルフト家の争いは、すでに家同士の揉め事という枠に収まらず、ちょっとしたアの国内乱のレベルにまで達している。

 

「ギブンのダーナ・オシーと同じようなもんかな?」

「分析した人によれば、結構良い出来だったみたいよ」

「じゃあ、異国からの輸入品……」

「かもね」

 

 輸入品、すでにオーラマシンはドレイク家だけの専売特許では無いことを意味する。現に。

 

「リのアルダムだって、ショット様が唸るくらいの素晴らしい出来だったみたいよ」

 

 アの国の隣国「リ」は、少数ながらも自国製のオーラバトラーを他国に輸出し、ドレイク家にも数は少ないが配備されている。

 

「戦争でも、始まるのか……?」

「すでにギブン家とは戦争じゃない」

「いや、そうじゃなくて国同士の」

 

 その言葉をエコーが吐いた時に彼が感じた寒気は、何も冬の風のせいではない。

 

「まあ、どっちにしろ」

「あたしたちは、今やる事をするしかない、でしょ?」

「人の心を読むなっての……」

 

 ブツブツと文句を言いながら、エコー少年はオーラ・セイバー・リキッド、マシンの補修部品が無くなったのに気が付き。

 

「ちょっと、基地司令部へと行ってくる」

「新しいフレイ・ボム加圧器も陳情出来ないかしら?」

「あれは結構消耗が激しく、あんまり意見が通らないんだよな……」

 

 補給部へと向かおうとした、その時。

 

 ボフゥ!!

 

「な、何だ!?」

 

 突如として、ややに離れた基地の地面から火柱が立ち上る。

 

「敵襲だ!!」

「敵襲!?」

 

 その見張り台の兵、彼女が発した声に。

 

「見張り、何を見ていた!?」

「おそらく、雲を隠れ蓑としていたんです!!」

 

 騎士ベッグ、オーラバトラーのパイロットであり、エコー達の直属上官が見張り兵の彼女を問いただす声がエコー達の辺りまで響く。

 

「エコー!!」

「おう、しかしに!!」

 

 いち早く整備中のドロにと乗り込んだホリィの声に、エコーも彼女と共にドロへ飛び乗ろうとするが。

 

「二人だけで、動かせるのか……?」

 

 爆発音、それがすぐ近くで聴こえたエコーはその身を震わせながら、プラットホームにとその身体を預ける。

 

 グ、グゥ……

 

「くそ、宙に浮かない!!」

 

 焦るエコーの視線の先にはダーナ・オシー、ギブン家のオーラバトラーが無人のバラウを破壊している姿が見え、その光景が余計にエコーを焦らせた。

 

 ドゥ、ドゥド……!!

 

 一機のドレイク側のドロが、敵のドロと相討ってエコー達のすぐ近くへと落下する。

 

「くそ、動けよ!!」

「エコー、急いで!!」

「わかってる、わかっているけど!!」

 

 バゥ!!

 

「うわぁー!!」

 

 またしてもエコー達のすぐ近くで爆発、その爆風に巻き込まれ、ドラムロのパイロットにと選抜された男の姿がその余波によりかき消された。

 

「そうだ……!!」

 

 一つ、頭にと閃く物を感じたエコーは、プラットホームから身軽に飛び降り。

 

「あのドラムロならば!!」

「ちょっと、エコー!?」

 

 パイロット不在となった、ドラムロへとその足で駆けた。

 

「俺にだって、オーラ力はある!!」

 

 恐らくはギブン家、それのゲドが近くに落下してくる姿に軽く脅えを感じながらも、エコーはドラムロの元へとたどり着き、急いでコクピットへと続くタラップをかけ上がる。

 

「よし……」

 

 いつぞや見たゲドバインによく似たコクピット内部、エコーはエンジン・キーと思われる鍵を回し。

 

「動く、動くぞこいつ!!」

 

 そのドラムロの背部コンバーターから、気流を発生させる。

 

 ギィ、イ……!!

 

「いけぇー、ドラムロ!!」

 

 オーラコンバーターは正常、ドロのフレイ・ボム計器類にと似た機器のメーターも正常。そのままそのエコー機「ドラムロ」はよく晴れた空へと飛翔し。

 

「フレイ・ボム発射!!」

 

 エコーの掛け声と共に、目前のダーナ・オシーにとフレイ・ボム、火焔放射器を撃ち放つ。その火球は見事ダーナ・オシーの胴体部へ命中。続けて彼エコーは。

 

「落ちろ!!」

 

 そのダーナ・オシーに止めの一撃を加えようと、彼はドラムロの肩に装備されている剣をその右手に持つようにと「念じる」

 

「ドラムロ、エコーか!?」

「ありゃ!?」

 

 だが、そのダーナ・オシーは騎士ベッグが駆る「ゲードラム」の剣によって止めを刺され、地上へと落下していく。

 

「ベッグ隊長!!」

「エコー、エコーなんだな!?」

「どうです、隊長!!」

「後ろだ、エコー!!」

「何!?」

 

 ややに自慢げにベッグへ答えたのが仇となったのか、エコー機は背後に見慣れぬウィングキャリバーの接近を許してしまう。

 

 バッ、ハァ!!

 

「う、うわ!?」

 

 そのウィングキャリバー、運搬機からの機銃掃射がドラムロの装甲を叩き、機体内部の計器類が大きくぶれる。

 

「く、くそ!!」

 

 あわててその身を翻そうとしたエコー、しかしその時、そのウィングキャリバーがフレイ・ボムの火焔により、コンバーターから火を噴き出す。

 

「エコー!!」

「ホリィか、助かる!!」

 

 地上に停泊したままのエコー達のドロ、そこからホリィがアームだけを動かし、そのウィングキャリバーを撃墜してくれたらしい。

 

「しゃらくさいんだよ!!」

「ガラリア殿か!?」

「騎士ベッグ、敵はまだいる!!」

 

 その女騎士ガラリアが駆るゲードラムもまた、一機のドロを叩き落とした。最初の奇襲による混乱も収まり、組織的な反撃が出来るようになったドレイク側に戦局は有利であると思われる。

 

「バラウ隊、フォウ相手に情けないぞ!!」

「バラウじゃフォウに敵わないんだよ、騎士ガラリア!!」

「泣き言は聞きたくないね!!」

 

 どうやら、敵のウィングキャリバーは「フォウ」という名らしい、それの一部隊が再びエコー機ドラムロにと狙いをつけ。

 

 ボボゥ!!

 

「くっ!!」

 

 ミサイル、火器を撃ち放った。それを的確にフレイ・ボムの爆風で撃ち落としてくれるガラリア。

 

「貴様な、情けないぞネイベル!!」

「す、すみません!!」

「何!?」

 

 ゲド、そしてダーナ・オシーの剣撃を打ち払いながら、騎士ガラリアは喫驚の声を上げる。

 

「貴様、ネイベルではないな!?」

「エコー、兵士です!!」

「後であたしの元へこい、修正してやる!!」

 

 バッフゥ!!

 

 またしてもエコー機を狙ったバルカンの連射。オーラバトラーに関しては素人であるエコーにかわしきれる筈がなく、ただドラムロの厚い装甲に助けられていだけだ。

 

「こな、くそ!!」

 

 それでもエコーは根性を見せ、そのバルカンを放ったドロのアームを剣によって切り払う。

 

 パァ、パァン!!

 

「撤退、撤退だ!!」

 

 恐らくは敵の隊長機なのだろう、信号弾を揚げた深紅のゲドが、襲撃部隊全軍にと退却命令をだす。

 

「逃がすか!!」

 

 その威勢がよいガラリア機が、背を向けたフォウを一機、叩き切る姿が。

 

「ハァ、ハア……」

 

 初のオーラバトラー戦による疲れ、それが現れ始めたエコーの目前で繰り広げられた。

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