聖戦士ダンバイン ~コモンの聖戦士~   作:早起き三文

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第19話「邂逅(後編)」

  

「よく、俺の場所が解りましたね?」

「マーベルが、君のオーラをたどったのさ」

「へえ……」

 

 さすがは聖戦士、とエコーは言いそうになったが、どうせ皮肉と受け取られると思い、その言葉をグッと喉へと落とす。

 

「シュンジ王と、同じ事が出来るんですね」

「シュンジか……」

「ええ、リの国の国王」

「あいつには、借りが出来てしまっているからな……」

 

 そう言いながら、ショウ・ザマは一つ苦笑をしてみせる。

 

「だがな、エコー」

「はい」

「シュンジは、ドレイクの事をどう思っているのか、知っているか?」

「どうって……」

 

 少しその言葉にエコーは考えを巡らせてみたが脚の怪我、それの痛みのせいかあまり考えがまとまらない。

 

「わからない、地上人ショウ」

「あいつも、ドレイクには不信感を持っている」

「まさか……!!」

「だから、俺を逃がしてくれたんだ、解るか?」

「……」

 

 確かに、ショウ・ザマがラース・ワウから脱走するとき、シュンジ王は彼を一旦捕捉しながらも、結局は逃がす事を選んだ。

 

「しかし、リの国は……」

「ドレイクがオーラマシンを譲り、助けてくれた、その話は聞いている」

「そうです、ショウ・ザマ……」

 

 雨が未だに降り注ぐ中、マーベルとレーテ、そしてチャムはエコーとショウの話を実と聞いている。

 

「その恩がシュンジ王にはないと?」

「だからこそ」

 

 そこで、一旦ショウは話を切り。

 

「彼、シュンジは悩んでいる、板挟みになっているのさ」

「何にですかね、ショウ?」

「ドレイクの野望を止めるか、加担するかにだ」

 

 そのショウの言葉は、今まで巷で噂されていた数々のドレイク・ルフトに関する疑心、それを肯定するものだ。

 

「……俺にどうしろと?」

「解らないの、バカ」

「悪かったな、フェラリオ……」

「チャム・ファウ!!」

「わかった、わかった……」

 

 耳にとキンキン来る彼女チャムの声、それは今の精神的にも肉体的にも不安定なエコーには堪えるものである。

 

「俺は地上人でも、ましてや聖戦士でもない」

「わかっているさ、わかってる……」

「ならばなぜ、俺にそんな話題を?」

「マーベルの顔を立ててやったのさ」

 

 その言葉、それに対してマーベル・フローズンが軽くその頭を振ったように見えた。

 

「さっきね、エコー君」

「はい、マーベル様」

「私がニーに連絡をして、ナムワンに貴方達の居場所を教えるように言ったわ」

「では……」

「間もなく、救援が来ると思う」

 

 その言葉に、当のエコーよりも。

 

「やれやれ、天下の聖戦士に借りが出来てしまったか……」

 

 レーテ、彼女の方が喜んでいるように見えた。

 

「じゃあな、エコー」

「もう行くので、ショウ?」

「ここにいつまでもいたら、俺達の方が捕虜になってしまう」

 

 その正論にはエコーは反する言葉はない、しかし。

 

「結局、あなた達地上人は俺達に何を言いたい訳だったので」

「何も期待していない」

「だったら……」

「だが」

 

 すでにマーベルは洞窟の外にと出て、オーラバトラーに乗り込むまで濡れないように頭へと手をやりながら、何とか少しでも雨をやり過ごそうとしている様子が見える。

 

「ドレイクへの盲信は止めた方が良い、地上人としての意見だ」

「ショウ、俺は」

「俺は?」

「所詮、コモンの人間です、アの国の人間です」

「だから」

 

 そう言いながら、ショウもその背をエコー達にと向け、チャム・ファウを肩にと乗せたまま。

 

「何も期待していないと、言っている」

「すみませんね、地上人……」

 

 それは紛れもない皮肉であったが、今度こそその皮肉は。

 

「あなたのような見識を持てなくて、ショウ・ザマ」

「……安心しろ、エコー」

 

 聖戦士「ショウ・ザマ」にと通じたようだ。

 

「すみません、命の恩人に対して」

「いーだ、バカコモンのトーヘンボク!!」

「すまないな、フェラリオ……」

 

 彼ら、地上人達の去り際にチャム・ファウがその舌をエコー達にと広げてみせたのに、わざわざエコーが彼女に頭を下げた所が、エコーという少年の気の良い所であろう。

 

「地上人とは」

「なんだ、レーテ?」

「おかしな考えをする……」

「まぁな……」

 

 そのレーテの捨て台詞じみた言葉を聞きながら、エコーは。

 

「所詮は地上人だ、考え方の根本が違う、違いすぎる……」

 

 と、己を納得させるように胸の内でそう呟く。

 

「だけど、な」

 

 地上人、その単語を頭へと浮かべたエコーは、アの国に所属したままの、もう一人の地上人。

 

「トッドさんはどう思っているのかな……」

 

 トッド・ギネス、彼の顔を思い浮かべる。

 

「ああ、そうだエコー」

「何だ、レーテ」

「ネデルだよ」

「はい?」

 

 そのレーテの言葉、あまりにも唐突だった為か、エコーにとってすぐには意味が解らなかった。

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