「よく、俺の場所が解りましたね?」
「マーベルが、君のオーラをたどったのさ」
「へえ……」
さすがは聖戦士、とエコーは言いそうになったが、どうせ皮肉と受け取られると思い、その言葉をグッと喉へと落とす。
「シュンジ王と、同じ事が出来るんですね」
「シュンジか……」
「ええ、リの国の国王」
「あいつには、借りが出来てしまっているからな……」
そう言いながら、ショウ・ザマは一つ苦笑をしてみせる。
「だがな、エコー」
「はい」
「シュンジは、ドレイクの事をどう思っているのか、知っているか?」
「どうって……」
少しその言葉にエコーは考えを巡らせてみたが脚の怪我、それの痛みのせいかあまり考えがまとまらない。
「わからない、地上人ショウ」
「あいつも、ドレイクには不信感を持っている」
「まさか……!!」
「だから、俺を逃がしてくれたんだ、解るか?」
「……」
確かに、ショウ・ザマがラース・ワウから脱走するとき、シュンジ王は彼を一旦捕捉しながらも、結局は逃がす事を選んだ。
「しかし、リの国は……」
「ドレイクがオーラマシンを譲り、助けてくれた、その話は聞いている」
「そうです、ショウ・ザマ……」
雨が未だに降り注ぐ中、マーベルとレーテ、そしてチャムはエコーとショウの話を実と聞いている。
「その恩がシュンジ王にはないと?」
「だからこそ」
そこで、一旦ショウは話を切り。
「彼、シュンジは悩んでいる、板挟みになっているのさ」
「何にですかね、ショウ?」
「ドレイクの野望を止めるか、加担するかにだ」
そのショウの言葉は、今まで巷で噂されていた数々のドレイク・ルフトに関する疑心、それを肯定するものだ。
「……俺にどうしろと?」
「解らないの、バカ」
「悪かったな、フェラリオ……」
「チャム・ファウ!!」
「わかった、わかった……」
耳にとキンキン来る彼女チャムの声、それは今の精神的にも肉体的にも不安定なエコーには堪えるものである。
「俺は地上人でも、ましてや聖戦士でもない」
「わかっているさ、わかってる……」
「ならばなぜ、俺にそんな話題を?」
「マーベルの顔を立ててやったのさ」
その言葉、それに対してマーベル・フローズンが軽くその頭を振ったように見えた。
「さっきね、エコー君」
「はい、マーベル様」
「私がニーに連絡をして、ナムワンに貴方達の居場所を教えるように言ったわ」
「では……」
「間もなく、救援が来ると思う」
その言葉に、当のエコーよりも。
「やれやれ、天下の聖戦士に借りが出来てしまったか……」
レーテ、彼女の方が喜んでいるように見えた。
「じゃあな、エコー」
「もう行くので、ショウ?」
「ここにいつまでもいたら、俺達の方が捕虜になってしまう」
その正論にはエコーは反する言葉はない、しかし。
「結局、あなた達地上人は俺達に何を言いたい訳だったので」
「何も期待していない」
「だったら……」
「だが」
すでにマーベルは洞窟の外にと出て、オーラバトラーに乗り込むまで濡れないように頭へと手をやりながら、何とか少しでも雨をやり過ごそうとしている様子が見える。
「ドレイクへの盲信は止めた方が良い、地上人としての意見だ」
「ショウ、俺は」
「俺は?」
「所詮、コモンの人間です、アの国の人間です」
「だから」
そう言いながら、ショウもその背をエコー達にと向け、チャム・ファウを肩にと乗せたまま。
「何も期待していないと、言っている」
「すみませんね、地上人……」
それは紛れもない皮肉であったが、今度こそその皮肉は。
「あなたのような見識を持てなくて、ショウ・ザマ」
「……安心しろ、エコー」
聖戦士「ショウ・ザマ」にと通じたようだ。
「すみません、命の恩人に対して」
「いーだ、バカコモンのトーヘンボク!!」
「すまないな、フェラリオ……」
彼ら、地上人達の去り際にチャム・ファウがその舌をエコー達にと広げてみせたのに、わざわざエコーが彼女に頭を下げた所が、エコーという少年の気の良い所であろう。
「地上人とは」
「なんだ、レーテ?」
「おかしな考えをする……」
「まぁな……」
そのレーテの捨て台詞じみた言葉を聞きながら、エコーは。
「所詮は地上人だ、考え方の根本が違う、違いすぎる……」
と、己を納得させるように胸の内でそう呟く。
「だけど、な」
地上人、その単語を頭へと浮かべたエコーは、アの国に所属したままの、もう一人の地上人。
「トッドさんはどう思っているのかな……」
トッド・ギネス、彼の顔を思い浮かべる。
「ああ、そうだエコー」
「何だ、レーテ」
「ネデルだよ」
「はい?」
そのレーテの言葉、あまりにも唐突だった為か、エコーにとってすぐには意味が解らなかった。