聖戦士ダンバイン ~コモンの聖戦士~   作:早起き三文

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第21話「キロン城陥落」

  

「このビランビータイプならば!!」

 

 そのバーン・バニングス、アの国ドレイク・ルフト家に仕える騎士団長の勇ましい掛け声の通り。

 

「旧式など、敵ではない!!」

「お、落ちる……!!」

「よし、次!!」

 

 ミの国のゲド、及びダーナ・オシーなどは、その最新鋭機には全く敵わない。それ以外のドレイク軍オーラマシンにしても。

 

「もはや、我々の古式戦法は通用しないということか……」

「皆、あのナムワンにかかれ!!」

 

 小国「ミ」に対しては圧倒的なアドバンテージを誇っている、運搬機バラウが標準装備化しつつあるゲードラムにドラムロ。

 

 ズゥ、フゥ……

 

 そしてそれらには及ばぬものの、性能が向上しているドロ等の波状攻撃によって、ミの国国王「ビネガン・ハンム」が乗るナムワンが沈み行く。

 

「ミの旗艦が落ちたか……」

 

 その姿を遠目に確認したバーンは、彼のビランビー、新型オーラ関連機器「増幅器」を搭載したそのオーラバトラーの後方にと控える重オーラ・シップ。

 

「こちらバーン・バニングス、ブル・ベガーよ聴こえるか!?」

 

 ブル・ベガー、比類なき火力を秘めたそのシップに向けて、無線機を通して大声で叫ぶ。

 

「ミの中枢を叩いたように見える」

「了解、確認を急ぐ」

 

 夕陽に照らされた周囲のミの国軍勢、それらが途端に攻撃の手を緩めたからには、そのナムワンがミの中核を担っていたのは確かであると思われるが。

 

「まだ、周囲では戦いは続いている……」

 

 沈んだナムワンが激突したミの王城、それの制圧がドレイク軍の騎士団長である彼には残された用事としてあるとはいえ、まだまだ自分が戦い足りないと思う所が。

 

「俺が、オーラバトラーという時代の流れに乗ってきたということかな?」

 

 若さ、それであるとバーン・バニングスは自覚をしている。

 

 

 

――――――

 

 

 

「くっ!!」

 

 ギィ、ン……

 

 ネデルはザーベント、試作型ビランビーで一機のダーナ・オシーを撃墜したが、その剣が落とした敵機にと食い込んだ隙に。

 

「参る!!」

 

 深紅のダーナ・オシー、その明らかに他のタイプとは異なるオーラバトラーから、フレイ・ボムを投げ付けられる。

 

「何の、ダーナ・オシーめ!!」

 

 敵機からのそのフレイ・ボムをネデルは自らの空いた手、左手から同じフレイ・ボムの火焔を放射して相殺しつつに、先に撃墜したダーナ・オシーから埋め込まれた剣を力を込めて引き抜く。

 

「はあ!!」

 

 その抜刀の勢いを生かしつつ、ネデルはコクピット内でオーラ増幅器の出力を調整し、その変換効率をあげる。

 

「……く!!」

「落ちろ、ダーナ・オシー!!」

 

 だが、その紅いダーナ・オシーには恐らく名のあるパイロットが乗っているのであろう。出力自体はザーベントの方が圧倒的に上なのに対して、ネデルの目前の敵機はその勢いを反らすかのような機体捌きをみせていた。

 

「しぶとい!!」

「パワーが段違いか、新型!!」

 

 とは言え、そのダーナ・オシーのパイロットも自機ダーナ・オシーとザーベントとの性能差は解っている様子だ。いったんその紅い機体はネデル機にと。

 

 ズゥン!!

 

 体当たりし、そのまま機体間の距離を取ると。その背を見せ。

 

「逃がすか!!」

 

 ザーベントから放たれた股間部バルカン、それをあたかも背中に目がついているような正確さで発射線を見切り、そのまま日の沈み行く方向にと全力で向かう。

 

「おのれ、旧式のくせに速い!!」

「ネデル!!」

 

 そのダーナ・オシーを追撃しようとしたネデル機、だがその彼の後ろに迫った見慣れぬ機体をホリィのアルダムが、ミサイル・ランチャーで牽制をした。

 

「深追いはしないで!!」

「わ、わかっている!!」

 

 微かに緊張がほぐれてしまったネデル、その彼を謎の疲労感が襲い。

 

 ザァ、ア!!

 

 その何処か所属が不明な敵機、そのオーラバトラーがその手に持つ射撃兵器の発射を許してしまう。

 

「よけろ、ネデル!!」

「レーテか!?」

 

 他方面のドレイク軍に編入され、その部隊でベッグ隊長と共にミの軍勢と戦っていたレーテ機である黒いダンバイン、その機体の腕から放たれたオーラショットがその不明機の射撃武器、何か「矢」のように見えるそれらを的確に迎撃していく。

 

「ミはすでに落ちた!!」

「だが、まだ徹底交戦の構えの連中がいるんです、レーテ!!」

 

 そのレーテ機の支援の隙に体勢を整え直したネデルが見たのは、その不明機と剣を切り結ぶホリィ機アルダムの姿。

 

「思っていたより、この敵は!!」

「無理はやめな、ホリィ!!」

「うるさい、レーテ!!」

 

 何か、何かに意地になっているホリィの声に半ば呆れながらも、ネデルとレーテはその不明機、それが複数この宙域に展開し始めた事に対して。

 

「僕たちだけで、防ぎきれるのか……!?」

 

 その迷い、それがネデル少年の脳裏にと宿る。

 

「剣が、通らない!!」

「終わりだ、アルダム!!」

 

 どうやら、その敵の不明機は装甲も厚いようだ。アルダムの僅かに湾曲した剣はその敵機の外殻を貫通できず、そのままホリィ機は圧される形となってしまう。

 

「ホリィさん!!」

 

 その様子を見たネデルは、ザーベントの高出力を発揮させ、機体を体当たりさせる要領でその不明機を剣で貫こうとする。

 

 バァ、ア!!

 

 股間部バルカンからの威嚇音と共に、ダンバインも撃ち尽くしたマガジンを取り替え、レーテも彼らネデルとの阿吽の呼吸で再度の射撃、それをホリィとネデルへと近づく敵機達にと放ち続ける。

 

「う、うわぁ!!」

 

 ザーベントの突進剣をその機体に受けた不明の敵機。それがそのザーベントの剣を身体に加えつつ、煙を立てながら夕闇が覆い始めた牧草地にと、錐揉み落下をしていく。

 

「一機撃墜!!」

「ネデル、また射撃が!!」

 

 そのホリィの言葉と同時に複数の「矢」による遠距離射撃が、ややに姿勢が崩れたネデル機にと向かって飛ぶ。

 

 ボフゥ!!

 

「情けないぞ、新型の試作機!!」

「ガラリア様!!」

 

 援軍に駆けつけたガラリアのドラムロがフレイ・ボムの爆風でその矢達を吹き飛ばし、そして。

 

「おれだって、聖戦士なんだぜ!!」

 

 トッド・ギネスが駆る紺色のダンバインが、その剣に青い燐光を纏わせながら、敵の新型機へと果敢に突進していく。

 

「ミの国残党の方が手強い、バーンは楽をしている!!」

「そうなので、ガラリア様!?」

「ゼラーナ隊もいたしな、新型の出来損ない!!」

 

 確かに、そのガラリアの言葉通り、彼女らのオーラバトラーにはあちこちに微細な傷があるようにネデルには見えた。

 

「ここの敵が、最後のようだな……」

「ベッグ隊長……」

 

 ガラリア達に続いて援助に駆けつけた騎士ベッグのドラムロも損傷が激しく、ホリィは。

 

「何に出会ったんですか?」

「グナンの群れだよ、ホリィ」

 

 機体出力が大幅に低下を始めた自機アルダムの事も気にしながらも、そう自分達の隊長にと訊ねる。

 

「数が多かった……」

「グナン、とは?」

「恐らくは、ラウの国製のオーラボムだ」

「もしや、以前から時おり見かけた三本脚の……」

「そう、それだ」

 

 その、ややに主戦場から離れた場所で交わされるホリィとベッグの会話、それはネデルやレーテ、それにガラリア達が敵を受け持ってくれるから出来るものではあるが。

 

「ラウの国……」

 

 夕陽の光の中、ホリィが見つめているその敵不明機達が撤退を始めたその方向は、まさしくその「ラウの国」の方面である。

 

 パァン、パァ……

 

 その時、すでに夜が近づいた薄闇の中でミの国王城「キロン」の一際高い尖塔から、降伏の白旗と共に、停戦を求める信号弾が空にと放たれた。

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