聖戦士ダンバイン ~コモンの聖戦士~   作:早起き三文

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第25話「祝福の時」

  

「では……」

 

 コンッ……

 

 儀礼の為として作られた、女性用の板金鎧を身に纏ったホリィのその細い肩、それをバーン・バニングスは刃の付いていない剣で軽く叩く。

 

「本来ならドレイク様にしか、ナイト・ストライクは許されないのだが」

「はい、騎士バーン」

「ホリィ・ウッド、貴公を騎士として認める」

 

 ブル・ベガー内部にと応急的にしつらえた騎士叙勲室、その中でホリィはバーン、アの国一の騎士として謳われる男により、騎士としての有り様を教わる。

 

「皮肉をいうようだが、ホリィ・ウッド」

「ハッ……」

「やはり、貴公の騎士叙勲はオーラバトラー乗りを増やすための、単なる肩書きとしての意味合いが強い」

 

 その言葉はホリィの心に刺さる物であるが、確かに自分の実力が騎士、オーラバトラー乗りとして高い水準を満たしているとは思えない。

 

「だが、騎士の名を手に入れたからには、今以上の精進をしてほしい」

「かしこまりました、騎士バーン!!」

 

 あくまでも、オーラバトラー操縦者イコール騎士としての図式、それをお偉方が「規律」として守る為の、彼女の騎士叙勲なのだ。

 

「でも、これでアイツに大きな顔はさせないぞ……」

 

 しかし、それでも何だかんだいって、騎士となった事は満更ではないホリィである。

 

 

 

――――――

 

 

 

「まあ、とりあえずは……」

 

 自分達の艦「ナムワン」にと帰還した騎士ホリィを、レーテを始めとした。

 

「おめでとう、ホリィ」

「ありがとう、レーテ」

 

 クルー、そしてパイロット達が、拍手を持って祝福する。

 

「ここに、エコーの奴がいないのは残念だけど」

「今ごろ、ショット様に良いように使われてるのではないですか、ホリィさん?」

「そうねぇ……」

 

 エコー、彼女ホリィの幼馴染みが今、どのような境遇にあるのかは解らないが、騎士叙勲を受けた自分としては自慢したい相手ではあるし。

 

「アイツにも、拍手をしてもらいたかったな……」

 

 少し、寂しさを覚えてしまうホリィ。

 

「でも、この時期に騎士叙勲とは」

「何ですか、ベッグ隊長?」

「いや、例のドレイク様がいよいよ……」

 

 その、騎士長ベッグの言葉、それが意味する所はあまり。

 

「ちょっと、あなた……」

「すまんすまん、ネイリン」

 

 この喜ばしい、祝いの場で言うような事ではない。

 

「さ、さあみんな!!」

 

 その場に流れた微妙な空気を吹き飛ばそうと、ネデルが実家から取り寄せた珍しい食べ物、それを材料として作った料理の事を皆にと話し。

 

「冷めない内に、食べましょう!!」

「そうだね、うん」

 

 ネデルの気を使ってか、レーテもまた彼にと同意する。

 

「でも、やっぱり」

「何ですか、ホリィさん?」

「エコーの奴にも、食わせてやりたかったな」

 

 そのホリィのどこか未練がましい声に、その場にいたナムワンのメンバーが苦く笑った。

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

「ここは……?」

 

 見慣れぬ夜の土地、あちらこちらにラース・ワウの名物である「電灯」が点いた柱が立ち上る床に、エコーは座り込んでいる。

 

「大丈夫ですか?」

「ん……?」

 

 その妙にでこぼこした、それでいて滑らかとも言える地面にと佇むエコーに、一人の小妖精「フェラリオ」が声をかけてきた。

 

「君は、確か……」

「シルキー・マウです、ええと」

「エコーだ」

「はい、エコーさん」

 

 そのフェラリオの翅から散らばる燐光、それが闇夜の世界をややに明るく照らす。

 

「お怪我は……?」

「いや、ないが……」

 

 それでも、自らが座りこんでいる石畳らしき物、それの尻に当たる不快感はなんとも言えない。

 

「どこの国だ、アの国ではない……?」

「オーラが」

「何だ、シルキー・マウ?」

「大気に含まれるオーラが、希薄です」

 

 そのシルキー・マウの言葉、それが意味する所はエコーには解らず。

 

「まるで、バイストン・ウェルではないみたいです……」

 

 ただ、シルキー・マウの言葉を耳にと入れているのみ。

 

 キィ……

 

「何だね、君は?」

 

 その時、石畳にと座り込むエコーの目の前に、見慣れぬオーラマシンが悲鳴のような音を立てて止まり、中から一人の男が出てきた。

 

「ここは、一般人は立ち入り禁止だが?」

「な、何だと言われても……」

「とにかく」

 

 そう、男は一つ咳払いをした後に彼エコーにとマシンの中へ入るように促す。そのマシンの中にはもう一人、人がいるような様子だ。

 

「事情を聴きたい、車に入りたまえ」

「あ、あんたは誰だよ!?」

「ここが自衛隊の基地であることは、君も解って入ったのだろう?」

「ジエータイ?」

 

 聞き慣れぬその言葉、その意味をエコーは男にと訊ねようとした、その時。

 

 リィ、ン……

 

「な、なんだ!?」

 

 フェラリオ、光輝くシルキー・マウを見た男は。

 

「ど、どこのオモチャ、いやドローンだ!?」

「どうした、香川?」

「皆川さん、妖精が……!!」

「はあ?」

 

 マシンの中にいるもう一人の男に叫びながら、何か激しく動揺をしている様子である。

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