聖戦士ダンバイン ~コモンの聖戦士~   作:早起き三文

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第26話「地上界」

  

「アイルランドの国!?」

「だから、アの国でバイストン・ウェル!!」

 

 先程からエコーと。

 

「ドレイク様の領地、そして俺はそこの騎士見習い!!」

「騎士、どこのゲームの話よ!?」

「オーラバトラー!!」

 

 見慣れぬ服にと身を包んだ男との問答は続き、そしてラチがあかない。

 

「佐藤、どうだ?」

「どうもこうも、皆川さん……」

 

 何か、その場にいる全員が頭にとキンキンくるその感覚に対し、疎ましげにそのこうべを振りながら、話をどうにか続けようとしている。

 

「不法侵入に妄想癖、やっかいな少年ですよ」

「だがな、佐藤」

 

 皆川と呼ばれた男は、佐藤という名らしき男と交代し、エコーの目の前にと座りこんだ。

 

「この、相手の唇と言葉が一致しない現象はなんだ?」

「さあ……」

「それに」

 

 一つ、咳払いをしたのちに皆川は。

 

「外に置いてあった、よくお台場とかにあるロボットの人形……」

「カンタムですよ、ユニコンカンタム……」

「それによく似た、あのロボットはなんだ?」

 

 そういいながら、皆川は一枚の紙をエコーの目の前にと差し出す。

 

「皆川さん、それは……」

「上の許可はとってある」

「よくも、まあ……」

 

 その差し出された紙、それはショット・ウェポンが書いた実験型ドラムロの説明書だ。

 

「あのロボットの中に置いてあった。英語と一緒によくわからん字が書いてある」

「ショット様が書かれた、ドラムロの説明文だよ……」

「そうなのか、栄光君?」

「はいミナカワ、さん……?」

「それでいい」

 

 何か、その皆川という男はしばらくの間、何かを考えていたようであるが、その彼の思考を遮るように。

 

「ミナカワさん、ドラムロを見せて下さい」

「……」

「俺と一緒に飛ばされてきたみたいですね」

「さぁてね……」

「あのドラムロを動かすキーは、俺が持っているんですよ?」

「……」

 

 エコーが見せびらかすように、自らの懐から取り出したオーラバトラーのエンジン・キー、それを眺めながら、皆川は。

 

「佐藤君」

「ハッ……」

「小野寺司令に連絡だ」

 

 

 

――――――

 

 

 

 ブォフ……

 

「良くできたオモチャだ……」

 

 昼の光が降り注ぐ中、例によって固い石畳の上でエンジン・キーでドラムロをアイドリングさせたエコー。彼の機体の目の前には、大型の対戦車用火器をその手に持った。

 

「完全に、カンタムじゃねえかよ……」

 

 ジエータイの人達が、呆れたようにそのドラムロを眺めている。

 

「こっち、向いてぇ!!」

 

 そのドラムロのコクピット、それを開放させているエコーのすぐ近くを飛んでいるシルキー・マウ。彼女の姿を一目見ようと、男女問わず多くの人々が集まって来ている姿を、エコーはドラムロの内部から見下ろす。

 

「小野寺司令、やはり地下施設の方が良かったんじゃないですか……?」

「皆川、このロボットは」

 

 小野寺司令のその言葉、それが放たれると共に、彼らの瞳はドラムロの肩の剣、そして。

 

「あきらかに、戦闘兵器だ」

「はい」

「地下で爆発でもされてみろ、よほど厄介だ……」

 

 その指はドラムロの掌、フレイ・ボム発射用の砲門にと向いている。

 

「ロボットに、妖精かよ……」

「一応あの少年は話が通じています、司令」

 

 また一つ、鳴り響くシルキー・マウへの歓声。

 

「宇宙人とかそういうのではないみたいですが……」

「レザーの衣服か、それでもバイクスーツではないようだが」

「はい」

 

 彼ら「ジエータイ」がドラムロを外にと出したのは、すでに発見された時に普通の人に。

 

――すげー、ロボットだ――

――スマホ、スマホ!!――

 

 撮影、それがされていた為であり、隠しきる手段が絶たれた為である。

 

「アメリカが、何か言ってこないかな?」

「映画用のロボットだと誤魔化せないでしょうかね、司令」

「あの偏執的なお国柄だぞ、自由の国を謳っていても……」

 

 その言葉が聞こえたか聞こえていないか、コクピットからエコーがその身を乗りだし。

 

「飛んでもいいですか、ミナカワさん?」

「そんなことが出来るのか、このドラムロとやらは!?」

「もともと、その為のオーラバトラーです!!」

「ダ、ダメだ、止めろ!!」

「は、はい……」

 

 皆川の慌てたようなその言葉に、エコーは慌ててドラムロのコンバーター出力を下げた。

 

 バッ、バッバ……

 

 そのドラムロの頭上を飛ぶ、待たしても見慣れぬこの「異世界」でのオーラマシン。

 

「あのマシンは、ミナカワさん?」

「アメリカの物だよ、栄光君」

「アメリカ?」

「そのショットとか言ったか、彼が書いていた字を母国語としている国だ」

「ヘエ……」

 

 アメリカ、その名はショットや地上人マーベル・フローズンにと聞いたことがある。その時。

 

「あ、もしかしてミナカワさん……」

「なんだ、栄光君?」

「ここは、ニホンという国ですか?」

「そうだ、知らなかったのか?」

「は、はい……」

 

 その、尻つぼみに囁くエコーの声に対して、皆川は軽くその頭を捻って見せる。

 

「俺のいた国、そこにシュンジという人がいまして」

「ふむ……」

「その人が、ニホンという国の人だったみたいです」

「なるほど」

 

 コクピットから聞こえてくるエコーの大声、それに対して皆川の声もまた、大きくなってしまう。

 

「警察の捜査願いにでも、あるかな……?」

「バイストン・ウェル、あの方はそこに異世界転生をされたと言っておりました」

「まあ、未だに私は半信半疑ではあるが」

 

 皆川はそう言いながら、深くため息をついてみせ。

 

「異世界、私は信じてみるしかないかな……」

 

 またしても、その言葉の後にため息が一つ。

 

「小野寺司令!!」

「おう、なんだ?」

 

 何か、慌てて駆け寄ってきた「ジエータイ」の隊員に、その組織で権限というものを持っている小野寺司令は。

 

「アメリカ軍が、そのロボットを見せろと言っております」

「来たか……」

「何か、すでにアメリカのジョーカー大統領には知らせてあるんじゃないですかね?」

「かもな……」

 

 その女性隊員の台詞に、皆川と同じく深いため息をついた。

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