聖戦士ダンバイン ~コモンの聖戦士~   作:早起き三文

27 / 28
第27話「東京上空」

  

「矢部総理から」

「はい」

「そのドラムロを、アメリカに引き渡せとの要請が出ている」

「ハッ……」

 

 その官房長官からの連絡は、そのまま自衛隊を「下り」

 

「小野寺さん?」

「皆川くん、ドラムロの件であるが……」

 

 自衛隊基地、小野寺司令にと命が下りた。

 

 

 

――――――

 

 

 

「エコーくん」

「はい」

「君には、アメリカに行ってほしい」

 

 ズゥ……

 

 皆川から出されたお茶を飲みながら、その言葉に対してエコーはしばしの間、無言である。

 

「アメリカ、ショット様やマーベル様の故郷ですよね?」

「広くて、いい国だよ」

「俺も、マーベル様のような方を産んだ国は好きになれそうです」

「最近、ジョーカー大統領のせいで、色々と揺れている国だがね」

「ジョーカー、大統領?」

「王様の事だ」

「ああ……!!」

 

 何か、その皆川の言い方に好意を感じたのか、エコーは茶菓子をくわえながら嬉しそうな声を上げた。

 

「あなたは、人に優しい人ですね、皆川さん」

「そうかな?」

「俺、いや私に色々と気を使ってくれる」

 

 その言葉、それは紛れもなくエコーの本心であったのだが。

 

「参ったな……」

 

 どうも皆川は、好意的な世辞と受け取ってしまったようだ。

 

「私達は、君をアメリカに売ろうとしているんだよ?」

「私はニホンに住めないので?」

「第一、国籍がない……」

 

 何か、呆れ顔でそう皆川が言いはなった時。

 

 ドンゥ!!

 

「何だ!?」

「失礼します、皆川三尉!!」

 

 何か慌てたように、一人の自衛隊員がエコー達のいる客室へと飛び込んできた。

 

「オーラバトラーが、もう一機東京の上空に!!」

「なんだって!?」

 

 その言葉を聞いたとき、エコーの袖にと掴まっていたシルキー・マウが。

 

「エコーさん……」

 

 その袖に掴まる力を、グッと強めた。

 

 

 

――――――

 

 

 

「何だ、この石の塔の集まりは!?」

 

 新鋭のオーラバトラーを駆るガラリア・ニャムヒー。アの国ドレイク家に仕える騎士の内ではエコーの先輩にと当たる彼女は。

 

「このような所で、人が住めるのか!?」

 

 その石の塔のありさま、それに苛立ちの声を上げている。

 

 バゥウ……!!

 

「また、地上とやらのウィングキャリバーか!?」

 

 その戦闘機、先程出会ったときはなんとか回避に専念できたが、今度は数が多い。それに。

 

「いつまでも、私はコソコソと逃げ回る訳にはいかんのだよ!!」

 

 見る人が見ればそれはF15イーグル戦闘機であると解るその機体は、しかし先の戦闘と同じく。

 

「くそ、ミサイルのロックオンが人形に出来ない!!」

 

 オーラバトラーが生体パーツを多用しているのが原因か、メイン・ウェポンであるミサイルの発射が出来ずにいる。その相手の戦闘機が作った「隙」に。

 

「くらえ!!」

 

 ガラリア機は、その手に備え付けられた大型オーラバトラー用火器であるオーラ・ランチャーを撃ち放つ。

 

 バフォウ!!

 

「な、何!?」

 

 その相手パイロットの絶命の声なぞは聴こえない、その余裕が無いほどに。

 

「ち、地上界ではオーラバトラーが強くなるのか……?」

 

 オーラランチャーの余波、それが巻き起こした凄まじい街中の破壊に、ガラリアはコクピット内で戦慄する。

 

「ガラリア、ガラリア・ニャムヒー!!」

 

 その動揺が強いガラリアに向かって、飛来する青いオーラバトラーが、彼女の機体を羽交い締めにしようと試みる姿が。

 

 

 

――――――

 

 

 

「ショウ・ザマのダンバインと、謎の新型オーラバトラーだ……」

 

 テレビの前でその画像を見つめている、エコーと皆川を始めとする自衛隊員達の前で繰り広げられていた。

 

「君の乗るドラムロも」

 

 そう言いながら、エコーを見つめる皆川の視線は厳しい。

 

「ここまで凄い兵器なのか?」

「そんなわけないでしょ!!」

「しかし、これじゃ核兵器だ!!」

「カ、カクヘイキがなんだか知りませんが……!!」

 

 核兵器、その言葉を聞いたときに何か、ゾワッとした感覚にエコーは戸惑いながらも。

 

「こんなの、ドラムロにもダンバインにも出来るものじゃない……」

 

 身にとしがみつく、シルキーの頭を撫でながらもエコーのその言葉は尻つぼみとなる。

 

 ガ、チャ……

 

「皆川三尉」

 

 その時客室のドアが開き、この基地の司令が。

 

「アメリカの連中が、あのドラムロを強引に持っていった」

「な、なんですって!?」

「やることが、アメリカだという意味だ」

「しかし、このドラムロはエコー君の……」

 

 そう言って皆川はエコーの方を振り向いたが。

 

「……」

 

 エコーはシルキー・マウと共に「テレビ」と説明を受けた物体を眺め、その画像にと。

 

「何だ、この恐ろしい感覚は……?」

「エコーさん……」

「大丈夫だ、シルキー」

 

 食い入るように、その視線を向けているのみ。

 

「単なる、疲れさ……」

「エコー君……」

 

 その言葉には、シルキー・マウよりも皆川三尉の方が心配そうな目を向けている。

 

「皆川さん」

「はい、エコー君」

「あの青いオーラバトラーは俺の知り合いです」

「ピンク色の方もか」

「解りませんが、ただ……」

 

 そう言いながら、エコーは自らの眉間を軽く押さえて見せた。

 

「何か、知り合いのような気がします」

「予感、か……」

「何かを、感じるんです」

「……」

 

 その言葉、それにこの場で沈黙している自衛隊員達、そして同じくその翅を震わせながら黙っているシルキーが。

 

「何か、アの国だけが世界ではないという」

 

 強い口調に満ちたそのエコーの言葉に、何かに押されたように身を固まらせる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。