戦姫絶唱シンフォギア Evolution's Symphony   作:セグウェイノイズ

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ビルドのあらすじ風前書きは大火傷する気しかしなかったので載せたことがなかったのですが、3年くらい前に1つだけ書いていたのを見つけました
ちょうどいいのでここで供養させていただきます。心が強え方のみご覧ください。めちゃくちゃ長いです。



「……ん? なんだよ! もう始まってんのかよ、早く言えよ! ……ンンッ、 仮面ライダービルドの……じゃねえ! マジ最強! 仮面ライダークローズの万丈龍我は……あー……痛ってぇ!?」
「バカのくせにアドリブしようとすんじゃないよ。お前はいつも通り、てぇんさい! 物理学者の桐生戦兎くんを引き立てといたらそれでいいんだよ」
「うるせえ! 俺にももっと主役やらせてくれよ」
「一回譲ってやったんだから満足しなさいよ」
「もう一回くらいいいだろ! なあ美空!」
「ああ、もう! うるさい! 人がせっかくコーヒー淹れてあげてんのに、刻むよ!?」
「「ごめんなさい」」
「そうだぞテメェら! みーたんと俺の幸せ空間を邪魔すんじゃねえ! ねーっ、みーたん♡」
「あんたも大概だけどね……ちょっと、幻さんからもなんとか言ってやってよ」
「…………」
「いや、文字じゃその芸伝わらないぞ」
「わざとだよ」
「あっチャック閉めた」
「あれ? そういや紗羽さんどこ行った?」
「言われてみれば……。万丈にしては鋭いな。美空、何か聞いてないか?」
「さっき『お話してくる』って言って、出てったけど……」
「……抜け駆けだ! 追うぞみんな!」
「待て! ここから先へは行かさん」
「幻さん! まさか最初から……」
「あ? どういうことだよ?」
「そうだ。今頃紗羽たんが俺の出番を打診してくれている。これで俺の登場は確約されたようなものだ」
「てめっ、汚ねえぞヒゲ無し野郎! 勝手にアイデンティティ剃りやがって、なんて呼びゃいいんだよ!」
「黙れポテト! 変身!」
「……あーもう、うるっさい男ばっか! さっさと本編いっちゃって!」




INTERLUDE「絡繰仕掛けのレイニーデイ」

 波打ち際に散らばる、大量の瓦礫。

 事態の終結からわずか数時間で、そのすべてを撤去することは不可能だ。故に作業は翌日からとし、今は数人の見張りが交代で監視に当たっているのみとなっている。

 さざ波だけが聞こえる戦いの跡に、蠢く影が一つ。

 

 音を立てないように、その蛇は瓦礫に手をやり何かを探していた。

 月光を反射する、赤い金属質の鎧。石片を一つ、また一つと鋭い指先で弾いている。

 やがてお目当てのものを見つけたのだろう、蛇は迷いのない手で“それ”に向かって手を伸ばした。

 

 

 

『おっ! あったあった』

 

 

 

 瓦礫の下から、何かを引き抜く。

 漆黒の小瓶だ。それも、三本。小瓶を手にした蛇はそれを一振りする。

 内部の物質は黒に遮られ、見えない。だがその感触から、彼は目的を完遂したことを理解した。

 

 

 

『一石二鳥……いや、三鳥か? こいつは儲け物だなァ。ハッハッハッ……』

 

 

 

 小さな笑い声が、波間に融けた。

 物音に気付いた見張りが独り、そちらに照明を向ける。だが照らし出されたのは代わり映えのない、瓦礫と砂のみ。

 小動物か何かと結論付け、彼は再び見張りに戻った。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「首相への謁見、間も無くですね」

 

 

 

 首相官邸の応接室。

 ソファに腰を下ろし、ネクタイを整える弦十郎にあおいが声をかけた。

 

 

 

八紘(やつひろ)兄貴や斯波田(しばた)事務次官の話では、志は我々のそれと近しい、との事だが……」

 

「意外です。てっきり会ったことがあるものと」

 

「フッ。まあ、御用牙時代に横目に見たことくらいはある。熱い気概を纏った御仁に思えたが、まさか首相にまで上り詰めるとは予想外だった」

 

 

 

 あおいの言葉の通り、首相との謁見が間近に迫っている。

 就任してまだ日も浅い新総理が、最初の政府機関視察として二課を選んだ。それが今日の謁見に繋がっている。つまり、国防────ノイズと戦う二課の活動を重視しているということ。ありがたい話だ。

 

 弦十郎のよく知る人物からも、その人柄については高い評価を受けていた。さてどうなるかと息を吐いたその時、ノックと共に一人の男性が室内に入ってきた。

 

 

 

「お待たせしました。首相秘書の氷室です」

 

 

 

 弦十郎とあおいは立ち上がり、簡潔に礼を交わす。

 彼は【氷室幻徳(ひむろげんとく)】。首相の一人息子であり、首相補佐官としてその腕を振るう、若い期待の新人として名を馳せている人物だ。

 

 

 

「特異災害対策機動部二課司令、風鳴弦十郎です。氷室首相のご子息、でいらっしゃいますね。お話はかねがね」

 

「まだまだ未熟の身ですから、父から学ぶものは多いです。

 ……さあ、首相の準備が整いました。どうぞこちらへ」

 

 

 

 挨拶も早々に、幻徳の案内で部屋を移動する。

 官邸の通路は静まり返っており、絨毯を踏む靴音だけが僅かに聞こえた。

 

 首相たっての希望で、対談は執務室で行われることとなっている。

 斯波田事務次官などから弦十郎の人となりについて聞き及んでいるのかもしれないが、なんとも果断な対応だ。

 いくつかの扉を抜け、奥に鎮座する重厚な扉。その前で幻徳は立ち止まり、ノックを三度。

 返答を確認すると、彼は静かに扉を開いた。

 

 窓の外には、永田町の街並みが広がっている。

 壁一面に本棚が並ぶその室内で、執務机を離れ立つ初老の男性が目に入る。彼と視線が合った途端、男性は真っ直ぐこちらへ歩み寄ってきた。

 

 

 

「よく来てくれた、風鳴司令」

 

「氷室首相」

 

 

 

 差し出された右手を握り返す。

 

 

 

「このような場を設けていただき、感謝します」

 

「いや、礼を言うのはこちらの方だ。まずは国を代表して、君たちの働きに謝意を述べさせてもらいたい。どうぞ、かけてくれ」

 

 

 

 促されるまま、ソファへと腰かける弦十郎とあおい。

 首相の傍らでは、補佐官である幻徳が静かに立ち、控えている。無駄のない立ち姿だ。

 弦十郎は彼を一瞥した後、視線を首相へと戻した。

 

 首相────【氷室泰山(ひむろたいざん)】はゆっくりと口を開く。

 その眼差しは穏やかでありながら、確かな熱を宿していた。

 

 

 

「君たちについては風鳴八紘氏からも聞き及んでいるよ。国の基は、力よりも志にあると私は考えている。

 君たちのような者がこの国を支えていること、私は誇りに思う」

 

「恐縮です。ですが、我々は人類守護の防人として成すべきことを成しているだけのこと。

 そのお言葉は、鉄火場の最前線に立つ彼女たちに言ってやってください」

 

「シンフォギアを使う装者たちか」

 

 

 

 そう、弦十郎たち銃後の面々はあくまで指示を伝え、指揮を取っているだけにすぎない。

 実際に世界を救っているのは響たち、シンフォギア装者なのだ。その事実を、弦十郎は誰より理解している。

 弦十郎が先に感謝を受け取ることは、道理に合わないのだ。

 

 

 

「まだ若い命を危険に晒す現状にはやりきれないものがあるが……。

 彼女たちが、未来を切り開いたのもまた事実。君からも、よろしく伝えておいてくれ」

 

「託されました。必ずお伝えします」

 

 

 

 力強い眼差しを送る泰山。

 その真摯な視線をしっかりと受け止め、弦十郎もまた頷きで応じた。

 

 さあ、これでお互いの人となりはある程度理解できた。アイスブレイクはこの辺りでいいだろうと、初めに本題へ切り出したのは弦十郎だった。

 僅かに姿勢を正し、声の調子を引き締める。

 

 

 

「さて、本日は先の“フロンティア事変”の顛末について、お聞きになりたいとのことでしたが」

 

「うむ。やはり報告書だけでは、現場の熱を知る人間の息遣いまでは伝わらない。手間を取らせて申し訳ない」

 

「とんでもない。我々としても、認識の摩擦はなるべく減らしておきたい、というのが本音です。

 首相の考えに感謝こそすれ、手間を取った、などとは」

 

「そう言ってもらえると助かる」

 

 

 

 そうして、弦十郎はマリアやナスターシャ、ウェル博士の引き起こした“フロンティア事変”について報告を始めた。

 

 ────およそ1か月前のこと。ノイズを使役し、世界に対して宣戦布告したマリア・カデンツァヴナ・イヴ。彼女と共に事に及んだのは、米国の研究機関“F.I.S.”に所属していた科学者、ナスターシャ教授とウェル博士。

 月読調、暁切歌という未成年のシンフォギア装者を擁したマリアら、“武装組織フィーネ”の目的は、米国政府が秘匿していた“月の落下”という未曽有の災厄から人類を救済することにあった。

 

 その途上でウェル博士が暴走。米軍艦艇を襲撃、蹂躙するなどの暴挙に出た挙句、自らが人類を支配しようと目論んだ。

 これに対し、マリア、ナスターシャ両名は彼に離反。二課と共闘戦線のもと、最終的に月の落下は阻止された。

 

 とはいえ、世界を救ったという結果とは別に、マリアが全世界に宣戦を布告した事実は消えない。米軍の損失も相俟って、米国政府は彼女を極刑に処すべきとの要求を突き付けてきた。

 さらにその追及は、未成年である調、切歌にまで及ぼうとしたが────いち早く対応し、行動を起こしたのは外務省の斯波田事務次官である。

 彼の手腕によって、最終的にマリアたちの罪状は消滅。現在は国連の保護下に置かれている。

 

 あおいによる資料配布や、幻徳の補足もあり、報告は滞りなく進む。

 以上が、ここまでの話。ここからは未来の話だ。

 未だ動向が掴めない“彼ら”について、弦十郎は泰山への報告を続ける。

 

 

 

「そして、ウェル博士……。彼については、既に国際手配の準備を進めています」

 

「しかし、博士やブラッドスタークが用いるあの移動手段。あれの解析と対策が進まない分には、例え捕捉できたとしても拘束は難しい……というのが、現在の見解です」

 

「そうか……。その二名については、こちらでも各国との情報連携を強化しよう。内閣としても、未曾有の危険人物として最優先で対応に当たらせる」

 

「お願いします」

 

 

 

 未だ詳細が判明しない完全聖遺物、エボルドライバー。そしてそれをブラッドスタークから賜り、超常の力を得たウェル博士。

 真相の究明には、彼の確保が不可欠となるだろう。

 だが、こちらも手をこまねいているだけではない。先の戦いで、いくつかの新事実が判明している。

 

 

 

「それから、ブラッドスタークの発言。“セント”、並びに“葛城先生”。

 推し量るに人名を称していると思われますが、詳細は未だ不明です。目下、該当する人物の特定を急いでいます」

 

「ブラッドスターク……。彼についても、新たな事実が発覚したと聞いているが」

 

「ええ。ウェル博士が彼を“エボルト”────そう呼称していたと、月読調くんより報告を受けています」

 

「エボルトか。そちらの方向でも追跡させよう」

 

 

 

 ルナアタックより以前、ツヴァイウィングが活動していた際より姿を見せ、幾度となく二課への接触を図っている謎の存在、ブラッドスターク。

 ファウストという組織を運営していること以外、判明している事実は多くない。

 フロンティア内で、ウェルは彼の事をエボルトと呼び、その直後激しく取り乱したという。

 調の証言を鑑みて、その呼称は単なる偽名ではなく、真名、あるいはそれに極めて近しいものである可能性が高い。

 

 ただ、依然として奴の目的、素性は一切不明だ。

 確かなのは、彼が詳細不明の武装を用い、完全聖遺物を複数所持しているということ。当初彼が所持していたというソロモンの杖の件もある。セント、葛城という二つの名が、それを追求する一助となればいいのだが。

 

 スタークに興味を示した泰山がさらに掘り下げようと口を開いたその時。

 幻徳が彼に待ったをかけた。

 

 

 

「首相、そろそろお時間です」

 

「もうそんな時間か……仕方ない。続きは報告書で確認させてもらおう」

 

 

 

 立ち上がりながら、泰山は弦十郎に向かって静かに頷く。

 短い対話ではあったが、彼我の間に確かな信頼の火種が灯ったことを、弦十郎は実感していた。

 

 去り際、泰山は一歩前に出て口を開いた。

 

 

 

「今回の対談で、風鳴司令をはじめ、君たちの矜持を直で感じ取ることができた。

 “特機部二”、などと揶揄する声も多いが……。私個人としては、君たちの存在、そして理想はこの国に不可欠なものであると捉えている」

 

 

 

 僅かな笑みを浮かべながら、確かな意思を宿した瞳で彼は続ける。

 

 

 

「不可欠、ですか」

 

「うむ。この国を、ひいては世界を守護するという使命を抱いているのは私も同じだ。立場は違えど目指すものは一つだろう。

 君たちの活動の風除けとなれるよう、支えさせてもらう所存だよ。まあ、必要以上の横紙破りは控えてもらいたいが」

 

 

 

 最後の一言に、冗談めいた柔らかさが混じる。

 弦十郎はそれを受け、深々と頭を下げた。

 

 

 

「氷室首相……。ありがとうございます」

 

 

 

 そうして弦十郎たちは執務室を後にする。

 幻徳の案内でエントランスまで降り、軽く挨拶を交わして彼と別れた。彼もこの後公務があるらしい。

 

 ちょうどそのとき、廊下の向こうから女性が小走りで駆け寄ってきた。

 

 

 

「中央政経ジャーナルの滝川です! 氷室幻徳首相秘書ですね? ぜひ、首相のお考えについてお話をお伺いさせてください!」

 

「ああ、滝川さん。アポイントは確認しています。では、隣の部屋で夕方まで語り明かしましょうか」

 

「ええ」

 

 

 

 滝川と明るく名乗った記者に応じる首相秘書。

 廊下の奥へ消えていく二人を見送り、弦十郎も官邸を後にした。

 

 

 

「首相との対談、無事に終わりましたね」

 

「ああ。兄貴たちが太鼓判を押すのも納得の御仁だった。これからも、足並みを揃えていきたいものだ」

 

 

 

 迎えの車はすでに待機していた。運転手が後部座席のドアを開け弦十郎を迎えるも、彼はそれを手で制す。

 生憎の空模様────鈍色の雲が垂れこめているが、久々に顔を出しておきたい場所があった。

 脱いだジャケットを運転手に預け、シャツの袖をまくる。

 ネクタイを緩めながら歩き出した弦十郎に、あおいが首を傾げ、声をかけてきた。

 

 

 

「司令、どちらに?」

 

「何。……一杯引っ掛けにな」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 ガラスを叩く小さな音。

 響が首を横へ向けると、大粒の雨が窓を叩き、流れを作っていた。

 

 

 

「……雨、かあ」

 

 

 

 今日はとある理由で、傍に未来がいない。創世たちも先に帰ってしまっている以上、一人で寮まで帰るしかない。

 深まった秋が吹かせる風は冷たく、肌を刺すに冷える。

 そんな中、友人との賑やかな会話がないだけで、町は一段と静かに感じられる。

 

 傘を差しながら歩道を歩く響は、その物寂しさを紛らわせるかのように携帯を取り出し着信をかけた。

 コールが二度。すぐに応答してきた目当ての相手、未来の声がスピーカー越しに届けられる。

 

 

 

「こっちは雨が降ってきちゃって……。そっちはどう?」

 

〈本部に入ったときはまだ晴れてたけど、ちょっと雲が多かったかも……。ちょっと心配〉

 

「うーっ、わたしもそっちに行きたいんだけどなーッ」

 

〈補習だったんだから仕方ないでしょ?〉

 

 

 

 もっともな指摘に、響は小さく肩を落とした。

 今回の補習の理由は、任務とは一切関係がない。ただ単に成績が悪かっただけだ。その日程に未来のメディカルチェックが重なり、こうして一人きりの下校となっている。

 

 ダイレクトフィードバックシステムにより、神獣鏡のシンフォギアを強制的に纏わされた未来。

 自覚症状こそないが、後遺症が残っていないとも限らない。だからこうして、フィーネが定期的に未来の状態を確認してくれているのだ。

 

 

 

〈とにかくこっちは大丈夫だから、気を付けて帰ってね〉

 

「うん。未来こそ頑張ってね! それじゃ!」

 

 

 

 通話を終了する。

 そろそろメディカルチェックが始まる時間だ。響がずっと拘束していいわけでもない。

 

 だが、この妙な寂しさはなんだろう。普通の雨でこんな感情になることはないのだが。

 傘を叩く雨音を耳にしながら、響は曇天を仰き────得心がいった。

 そうか。今日の空の色が似ているのだ、()()()のものに。

 

 なら、

 

 

 

「ちょっと、寄り道していこっかな」

 

 

 

 足取りは軽く。

 響は、彼が待つ場所に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 雨が降りしきる灰色の街を、当てもなく歩く一人の少女。

 頬を撫でる冷たい風が、立花響から少しずつ熱を奪っていく。かじかみ、震える手で傘を握る。

 

 ふと思い立ち、傷だらけの鞄の中に手を突っ込む。

 取り出したのは携帯電話。横から入ってきた雨水が画面に落ち、光を反射して揺れている。

 

 

 

「…………」

 

 

 

 画面に表示される、無数の羅列。

 一分おきに届くメールと不在着信。溢れそうなほど受信ボックスを圧迫している。

 差出人は全て同じ名前、小日向未来。響の親友だった。

 

 心配をかけているだろう。メールの山がその証拠だ。

 

 

 

「ごめん、未来」

 

 

 

 だが、今はその心配を受け止められるだけの気力がない。

 唇からこぼれたのは、白い息と小さな謝罪。赤みを帯びた指先で携帯の電源を落とした響は、そのまま鞄の奥底へとしまいこんだ。

 

 ひときわ強い風が吹き抜けた。

 傘が反り返り、響の手からふっと離れる。それはあまりに突然で、気づいた時には全身に雨粒が叩きつけられていた。

 

 冷たい。

 

 濡れた服が肌に張り付き、体温を奪っていく。震える身体を抱き寄せるも、それは止まらない。

 通りすがりの人々が小さく眉を寄せ、気の毒そうに響を見てくる。

 その視線が突き刺さるが、響の素性を知らぬが故のものなのだろう。ある意味では、気が楽でさえあった。

 

 

 

「わたし、呪われてるかも……なーんて! あはは」

 

 

 

 声を上げて笑ってみせる。

 

 力は湧かなかった。

 

 喉の奥が凍り付いたように重く、声はすぐに掠れて喧噪にかき消された。

 

 

 

「あはは……は」

 

 

 

 歩く。脚を引きずるように、ただひたすら、当てもなく彷徨う。

 街灯の光を反射した路面に目を向けながら、ただ前へ歩いた。

 

 きっかけは、本当に些細な出来事だった。

 電車を降りる駅を一つ間違えた。ただそれだけ。

 次の電車を待てばよかったはずなのに、なぜか改札を抜け、雨の中を歩いていた。

 

 顔を上げると、そこは細い路地だった。

 白い壁が左右に並び、どこかから金属の駆動音が聞こえる。

 工場地帯だろうか? だとすれば、不法侵入になりやしないか……曖昧な考えが浮かび、消える。

 響はまた足を動かして────膝をついた。

 

 

 

「あれ?」

 

 

 

 濡れたアスファルトに手をつく。

 背中を預け、沈むように座り込む。

 力が入らない。冷え切った身体は、響から全身の感覚を失わせていた。

 

 

 

「……へいき、へっちゃら」

 

 

 

 いつしか、そんな言葉を唱えていた。

 よく口をつくこの言葉、果たして誰の受け売りだったか。ぽっかりと抜け落ちた記憶を無為に探るも、やはり答えは出てこない。

 

 空を見上げる。重く分厚い灰色の天蓋が空を覆い、今にもこの街ごと押し潰してしまいそうだ。

 重たくなる瞼。

 視界が黒く染まる刹那、響の身体から雨の感触が消えた。

 赤い傘を差した誰かが、こちらを見下ろしているような────。

 

 そこで、響は意識を手放した。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 目が覚めると、広がっていたのは知らない天井。

 そんな台詞を響が知るはずもなく、上体を起こした響はぼんやりと周囲を見回した。

 

 響が寝かせられていたのは、日本的な、木造畳張りの部屋だった。

 壁にはピンク色の壁紙が貼られ、角には謎の物体が鎮座している。あれはぬいぐるみか? 泣き顔のウサギのようなキャラクターが、異様な存在感を放っている。

 

 中央に敷かれた布団、そこに響は眠っていたことになる。知らない部屋。敷かれた布団。妙にファンシーな和室。

 これらが意味するのは、

 

 

 

「夢?」

 

 

 

 今までの出来事は白昼夢だったのか? 脳内が疑問で埋め尽くされたそのとき、不意に声がかけられた。

 

 

 

「あら……起きたのね」

 

 

 

 横を向くと、置かれた椅子に一人の女性が腰掛けていた。

 大人の女性だ。西洋風の装いに、薄紫のコートを羽織っている。物語に出てくる王子様のようなその装い。月の光のような銀色の長髪が、その浮世離れした雰囲気を際立たせていた。

 高い鼻や凛々しい眉。外国の人なのか? 彫像のような整った顔立ちに響は息を呑む。しかしそこから威圧感は感じられない。

 

 というか、この女性はいつからここにいた?

 周囲を見渡した際にはいなかった気がするが────と、問題はそれだけではなかった。

 ようやく思考が回り出した響は、勢いよく飛び上がった。

 

 

 

「ど、どちら様ですかッ!? ていうか、服が変わってるッ!?」

 

「当然の疑問ね」

 

 

 

 下を向くと、着ていた服まで変わっていた。

 知らない服だ。パステルカラーの色がちょっとかわいい。いや、そんなことより制服は?

 慌てふためく響に女性は微笑し、穏やかな声色で響に告げた。

 

 

 

「服は、濡れていたからそこで乾かしているだけ。心配はいらないわ」

 

「じゃあこの服、お姉さんの?」

 

「私と貴女じゃサイズが合わないでしょ。家主の娘のもの……らしいけれど」

 

 

 

 直後、コンコンと軽いノックの音。

 反射的に返事をすると、静かに襖が開く。廊下から姿を見せたのは、見たことのない壮年の男性だった。

 

 腕を捲った白いシャツと薄茶色のタイトパンツの上に、緑色のエプロンを着用している。見上げていてもわかる、相当な長身だ。

 室内だというのに、丸いサングラスとハットを被っている。彼は響の姿を認めるや、芝居がかったように両手を広げて口角を上げた。

 

 

 

「おっ、やーっと目ェ覚めたか。よかったよかった」

 

「だ、誰ですか?」

 

「ここの家主よ。貴女を助けると、そう決めたのは彼」

 

 

 

 朗らかな笑顔の男性に、淡々と告げる女性。

 ファンシーな空間で、その二人に挟まれている響はもう何が何やら分からなかった。

 そんなことを知ってか知らずか、男性は壁に背を預け、噛み締めるかのように頷きながら口を開く。

 

 

 

「いやァ、焦ったよ。買い出しから帰ってきたら、女の子がずぶ濡れで倒れてるんだもんなァ。

 担ぐ訳にも見逃す訳にもいかねェし、こいつがいてくれて助かったよ」

 

 

 

 親指で女性を指差す、謎の男性。いや、彼女も謎ではあるのだが。

 そんな彼に顔を向けることなく、女性はただ座っている。

 

 突然、パン、と手を叩く音。音を発した男性は、思い出したかのように再び明るい声を上げる。

 

 

 

「忘れてた! 店の方で色々用意してるから、準備できたら来てくれよな。チャオ!」

 

 

 

 軽やかに手を上げ、踵を返していく男性。

 その足音が遠ざかると、室内は嘘のように静寂に包まれた。いや、戻ったというべきか。

 しばしの沈黙ののち、響はふと気になっていたことを女性に尋ねた。

 

 

 

「……あの、さっきの男の人ってどんな人なんですか?」

 

 

 

 いきなり現れ、感情豊かに舌を回したと思えば、風のように去っていく。その奇妙な人物の正体が気になるのも無理はないだろう。

 そんな問いに対し、銀髪の女性は僅かに逡巡したのち、響に言い聞かせるかのように答えた。

 

 

 

「あの男は……そうね。一言で言うなら、“信用も信頼もできない男”よ」

 

「信用も、信頼も……? それってどういう」

 

「そりゃねェだろ~。こんなに帽子の似合う伊達男なんだぜ?」

 

「まだいたんですかッ!?」

 

 

 

 後ろから聞こえた明るい声に、響の方がびくんと跳ねた。

 振り返ると、案の定先ほどの男性が。それなりに時間は経っていたはずなのに、まさかずっと聞いていたのか?

 

 後から聞いた話によれば────

 

「年頃の女の子からの評判悪いと、流石に改めなきゃなんないでしょうが。イカした見た目は変えようがねェけどな」

 

 とのことだった。

 

 閑話休題。廊下から首を覗かせた男性に、銀髪の女性は眉一つ動かさず、視線を窓へと向ける。

 そのまま、変わらず淡々とした口調で言葉を返した。

 

 

 

「事実を言ったまで。何も間違ってないでしょう」

 

「酷ェ! お前の分のコーヒー淹れてやらねェぞ?」

 

「早く準備とやらをして来なさい。この子も困惑しているわ」

 

「へいへい……」

 

 

 

 肩を丸め、トボトボと去っていく男性。今度こそ本当に立ち去ったようだ。

 

 準備ができたら来てくれ、そう彼は言っていた。

 だがどこに行けばいいのか。準備といっても、布団から起き上がるくらいしかないだろう。

 困ったように女性に顔を向けるが、すでに彼女は立ち上がり、襖の側まで歩みを進めていた。

 

 

 

「それじゃ、行きましょうか」

 

 

 

 彼女に先導され、電気の消えた廊下を進む。

 床が軋む音がやけに耳に残る中、女性が突き当たりの扉を開けた。

 直後、視界に飛び込んできた光に目を細める。やがて目が慣れたとき、そこに広がっていたのは見慣れない西欧風の空間だった。

 

 オレンジ色の壁に、黒褐色のテーブルや椅子。中央にはカウンターとキッチンスペース。

 コーヒー豆だろうか、香ばしい香りが室内に漂っている。飲食店なのだろうか? 暖色の光に包まれた室内へ足を踏み入れるや否や、三度あの男性の声が響の耳に飛び込んできた。

 

 

 

「いらっしゃい! ま、入り口はそっちじゃねェんだけど」

 

 

 

 軽い笑いを交えながら響を迎える男性。

 エプロン姿の理由に合点がいき、内心納得し────そこで気づく。

 彼は響を助けてくれた、らしい。というのに、まだ何も言えていない。

 姿勢を正し、勢いよく頭を下げた。

 

 

 

「あっ、服ありがとうございました! 立花響です! えっと……」

 

「俺は石動惣一。このイカした喫茶店、nascitaのマスターだ」

 

「惣一さんですね! それで、お姉さんは……?」

 

「名乗るほどの者ではないわ。ただここを通りがかっただけ」

 

 

 

 女性の返答に、男性────惣一は胡乱げな視線を送った。

 彼女はそれを気にする様子もなく、銀色の髪を耳にかけては静かに響の側に立っている。相変わらず彼と目を合わせようとはしない。

 

 膠着状態が続くこと数秒。

 やがて、「仕方ねェな」とボヤいた惣一は口元に手をやり、響に顔を近づけ耳打ちしてきた。

 

 

 

「あいつはウチの常連だよ。近々引っ越すってんで、最後に顔出しにきたんだと」

 

「へーっ……そうだったんですね」

 

「名前くらい教えりゃいいのに、秘密主義が過ぎると思うんだけどなァ。

 やっぱ人間ってのは、何年も生きてると凝り固まるモンなのかね」

 

「聞こえてるわよ」

 

「おっといけねえ。火加減見とかなきゃ……」

 

 

 

 彼女の声が聞こえるなり、言い訳のように声を上げて厨房へと逃げ込む惣一。

 銀髪の女性は額に手を当て、呆れたように息を吐いている。お互いの遠慮のない態度を見るに、常連というのは正しいのかもしれない。

 

 

 

「お待ちどうさん。砂糖やらミルクはそっちにあるから」

 

「ありがとうございます!」

 

「ホントは俺の特製コーヒーをご馳走してやりたかったんだが……コイツが“それはやめろ”ってうるさくてな。インスタントで勘弁してくれ」

 

 

 

 少しして、カウンターに座った響にコーヒーカップが差し出された。湯気から上る香ばしい香りは、店内にただようそれと同様のものに感じる。

 

 響はミルクをたっぷり注ぎ、そっとカップを唇に運ぶ。

 少しして舌に広がったのは、ほんの少しの苦さとまろやかな甘み。冷えた体に温もりが伝わり、指先まで感覚が戻ってきた気がした。

 

 そして、響が一息ついたのを見逃さず────惣一は腰に手を当てながら、彼女に切り出した。

 

 

 

「で、だ。こんな雨の日に傘も指さずに、なんかあったのか? この世の終わりみたいな顔してたぞ」

 

「それは……ごめんなさい」

 

「ああいや、責めてる訳じゃねェよ!?」

 

 

 

 表情を曇らせた響に、慌てたように両手を振った惣一。

 

 

 

「言いたくないんならそれでいい。人間生きてりゃ、いろいろあるからな」

 

 

 

 遠くを見ながらの彼の言葉に、ほんの少しだけ胸の奥が軽くなる。

 だが、同時に響の心はちくりと痛んだ。

 言わないままでいいのか? 行きずりの人間を助けてくれたほどのお人よしに。

 

 

 

 ────でも、理由を言っちゃったら……。

 

 

 

 世間に疲れたから、などと言ってしまえば、二人を心配させてしまうだろう。

 この短い時間で、響は彼らの人となりを何となく理解できた。

 そうなれば、響は話してしまう。

 

 ライブ会場の事件に、響が巻き込まれたこと。

 そしてそれをきっかけに、人間の悪意に触れたこと。

 それは────話したくない。

 

 

 

「……でも、どうして惣一さんがこんな服持ってるんですか?」

 

 

 

 そんな胸中を誤魔化すように、響は彼の厚意に甘えることにした。服を見せるように両手を広げ、話題を変える。

 意図を接してくれたのか、惣一は突然の話題転換を追及するでもなく、話に乗ってくれた。

 

 

 

「あー……。あんま面白い話でもねェけどな。娘のなんだよ、それ」

 

「ええッ、娘さんの!? わたしが着ちゃ悪いですし、それに……まずいと思います!」

 

 

 

 頭をかきながら呟く惣一に、思わず大声を出す響。その大きさは、近くのカウンターに腰掛けていた銀髪の女性が片眉を上げこちらを一瞥するほどだった。

 だがそうだろう。サイズが合っているということは、彼の娘は響と同年代の可能性が高い。

 思春期真っ只中の娘の服を勝手に取り出す────それはつまり、死を意味する。

 

 良くしてくれた人を、むざむざ死なせたくはない。

 慌てる響だったが、惣一はかぶりを振ってそれを制した。

 

 

 

「いいんだよ、捨てる踏ん切りがついてなかっただけだし。

 ……もうそいつが着られることもねェんだから」

 

「もしかして、一人暮らしでも始めたんですか?」

 

「そうだなァ……まあいいか」

 

 

 

 言葉を濁すかのように、惣一は言い淀んだ。

 妙な空気が店内を通るも、すぐに霧散。彼もいつもの調子に戻るかのように肩をすくめた。

 

 徐に口を開いた彼の言葉を、響は待つ。

 なんの心構えもすることなく。

 

 

 

「嬢ちゃんも知ってるだろ? ライブ会場にノイズが出たって事件」

 

「ッ、……はい」

 

 

 

 跳ね上がる心臓。軋んだ音を上げる椅子。

 空調の音にそれはかき消され、彼に届くことはなかった。

 

 ライブ会場。なぜ、このタイミングでその単語が────勘付き始めた思考に蓋をするように、響は視線を落とした。

 

 

 

「あの日、そこに娘も……美空もいてな」

 

 

 

 ひゅっ、と息が漏れた。

 動揺は身体には出ていない、はずだ。響の様子を気にすることなく、彼は淡々と続ける。

 

 

 

「嬢ちゃんと同い年くらいだったんだが、ライブのチケットを俺に見せてドヤ顔してきてなァ、あいつ。

 あの日もウッキウキでここ出てったんだよ」

 

 

 

 彼の顔を、見ることができない。

 響はただ俯き、ひたすらカウンターの木目を視界に収めている。膝の上で震えるほど握り締められた両手は、きっと見えていないはずだ。

 

 

 

「まあ、後はニュースの通りだ。ノイズに襲われて、美空は死んだ」

 

 

 

 淡々と。記録を読み上げるような様子だった。

 美空。彼の娘は、もう生きていない。

 響が寝かされていたあの部屋。あれは美空の部屋だったのだろう。壁の装飾も、机の上も、ウサギのぬいぐるみも。一切埃が積もっていなかった。

 

 つまり彼は、あの日からずっと────。

 

 

 

「酷ェ話だよな。誰かに殺されたってんならまだ怒りの矛先があるってもんだが、ノイズは災害だ。怒って災害に勝てる訳でもねェし……」

 

「貴方と言うのは、本当に────」

 

 

 

 口を挟まず黙していた女性が、咎めるような声色で惣一に口を開く。

 なぜ、そんな態度を見せているのか。違和を感じる余裕は、その時の響にありはしなかった。

 

 

 

「しょうがねェだろ? 人に潰されて死ぬのと、ノイズにやられて骨も残らないのと、どっちが良かったか……なんて、答えは出ねェよ」

 

 

 

 と、その時だった。

 恐れていた瞬間が、訪れてしまった。

 

 

 

「……どうしたの? 顔が真っ青だけど」

 

「……ぁ、えっと」

 

 

 

 銀髪の女性の視線が、響へと向けられている。

 凛とした態度を崩さない彼女だが、その声からはわずかな柔らかさがあった。純粋に響を心配してくれているのだろう。

 となれば、彼の意識も響に向かうのも道理だった。

 

 

 

「あ〜っ、悪い! 聞いてて気分良い話じゃなかったよな!? 忘れてくれ……ってのも無理か。あーっと……」

 

 

 

 ちらと視線を上に向け、前髪越しに見えたのは両手を合わせ頭を下げる惣一の姿だった。隣の女性は口こそ開かないものの、じっと響を見つめている。

 やすりで削られるように痛み続ける、胸の奥。

 違う。自分が震えているのは、それが理由ではない。

 

 初対面の響をここまで案じてくれる、大人たち。

 そんな彼らの前で、言わないままでいる。それは不義理だ。

 

 でも、言えば、きっと。

 またいつものように、きっと。

 

 

「わたし、は」

 

 

 

 言いたくない。

 言いたくない。

 言いたく────。

 

 

 

「わたし、も。いたんです。その……ライブ会場に」

 

 

 

 言ってしまった。

 

 そこから先は、響の意思は介在しなかった。

 堰を切ったように口から溢れる言葉。時系列もめちゃくちゃで、関係のないことまで混ざって。片言のようにつっかえながら、それでも止まらなかった。

 

 自分もライブ会場にいて、そこで生き残った。

 それを言い終わったころ、逃げるように壁に顔を向けると、真上を指していた長針が右を向いていた。

 その間、惣一も女性も、一言も口を挟むことはなかった。

 

 

 

「だからっ……わたしは……」

 

「……なるほどなァ」

 

 

 

 ぽつりと零れた惣一の声。

 それだけで、嗚咽混じりだった響の呼吸が止まる。

 銀髪の女性はなおも、口を開いていない。

 

 

 

「それで、美空や俺に罪悪感があるってとこか? いろいろ話題になってるもんな、その手の話」

 

 

 

 彼の顔を見ることができない。

 朗らかに笑っていた惣一。その表情がもし、“彼ら”と同じ色に染まっていたら────それは、耐えられる気がしない。

 響はカウンターに手をつき、勢いよく立ち上がった。

 

 

 

「この服、すぐに返します。これ以上迷惑はかけられないし……」

 

 

 

 早口で言葉を重ねる。何か言われないうちに、着替えて外に出なくては。

 そう思い、踵を返した途端、

 

 

 

 

「待てって。勝手に話を終わらせるなよ」

 

「……そうです、よね」

 

「ああ」

 

 

 

 自然と、足が止まった。

 背中から感じる、二つの視線。二人は背を向けた響を、しっかりと見ている。

 言うだけ言った響を、それだけで帰す訳はないだろう。響はただ、未来の顔を思い浮かべて、彼の言葉を待った。

 

 

 

「まァ結論から言っちまえば────」

 

 

 

 その次の言葉を待つまで、どれだけの時間が経っただろうか。

 ほんの一呼吸の時間がやけに長く感じられた。絞首台を登る囚人はこんな感覚なのだろうか、そんな考えが、逃避のように頭を巡る。

 

 彼の口が開かれていく。

 息を吸う音がやけに鮮明に聞こえて、響は両目をきつく閉じた。

 

 

 

 

 

「気にすんな」

 

「……へっ?」

 

 

 

 

 

 聞こえた言葉は、あまりに短くて。

 反射的に振り向いてしまった響は目にする。そこにいたのは────飄々と、何でもないかのように腕を組んだ惣一の姿だった。

 

 思考が停止し、呆然と見つめるだけの響に、彼は続ける。

 

 

 

「嬢ちゃんがノイズをけしかけた訳じゃねェだろ。ノイズは“災害”なんだから。

 美空がノイズにやられた……そいつを誰かのせいにするなんて、人としてどうかしてんだよ」

 

 

 

 惣一がそう締めたと同時に、女性が椅子を回して身体の向きをこちらに変えた。

 相変わらずの芯の通った瞳で響を見据え、真っ直ぐ響を射抜く。「その事件、というのに明るい訳ではないけれど」、そんな前置きを添えて、彼女は響に言葉を投げた。

 

 

 

「貴女を非議した者たちの一体何人が、被害者と友誼があったのかしらね」

 

「そういうことだ。そいつの思う“正義”の為なら何してもいいのか、って話だな」

 

「…………」

 

「怒ってもどうにもならない、とは言ったけどな。

 俺は虫けらのように人を殺すノイズ共が許せない。思ってるのは、ただそれだけだよ」

 

 

 

 その言葉は暖かかった。

 けれど。

 それを額面通りに受け取るには、響はまだ勇気が足りなかった。

 

 

 

「でも……」

 

「……まァ、これで気が楽になるんなら言ってやるか」

 

 

 

 再び俯き背を丸めた響を見かねてか、惣一はガシガシと頭をかき、カウンターから出てくる。

 響の眼前に立って、目線を合わせて。

 ただ一言、その言葉を口にした。

 

 

 

 

 

「────許す」

 

 

 

 

 

 力が抜ける。思わずその場にへたり込んだ響の前で、彼もまたしゃがみ込む。

 白い歯を見せた、朗らかな笑顔で惣一は響の肩を叩いた。

 その手は、不思議なほど頼もしくて。

 

 

 

「あ……」

 

「他でもない、被害者遺族のこの俺が許したんだ。これ以上悩むのはルール違反ってやつでしょうが」

 

「惣一、さん」

 

 

 

 その名を絞り出すかのように読んだ響の前で、彼は勢いよく立ち上がり────また両手を合わせ、深々と頭を下げた。

 

 

 

「それよりごめんなァ、言い難いこと言わせちまって」

 

 

 

 そう告げるや否や、彼は走るような足取りでカウンターへと戻っていく。

 しばらくして振り返った彼の手には、小さな袋。黒い何かが入ったそれを揺らす彼からは、先ほどまでの空気をまるで感じられなかった。

 

 

 

「お詫びに特製コーヒー、サービスしちゃおうじゃないの! 結構自信あるんだよ」

 

「やめなさい」

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 軽食までご馳走になってしまった。

 ソーセージとレタスを挟んだホットサンドは温かく、響の身体にじわりと熱を戻してくれた。

 そうこうしているうちに時刻はすでに正午を回っていた。完全に無断欠席。そういえば、未来や家族にまだ何も連絡していなかった気が────よく考えれば、行方不明なのでは?

 

 それについて深く考えかけたその時、椅子が引かれる小さな音が聞こえた。

 隣に座っていた銀髪の女性が立ち上がったのだ。そのまま入り口に向かって歩みを進める彼女。どうやらこの場を去るつもりらしい。

 薄紫色のコートをはためかせる女性。長髪を揺らすその背中を見て、響は妙な感覚に陥る。

 今声をかけなければ彼女ともう会えないような、そんな感覚に。

 

 

 

「あっ、あのッ!」

 

 

 

 声をかける響。足を止めた女性に向かって、響は頭を下げた。

 

 

 

「ありがとうございました!」

 

 

 

 そう、まだ彼女へ礼を言えていなかった。

 今朝、雨の路地で響を助けてくれたのは他でもない彼女だ。なら、それを言葉にしなくては響の気が済まない。

 

 女性はわずかに首を回し、横目に捉えた響に静かな声で返した。

 

 

 

 

「私はただ心の声に従って、胸の内を言葉にしただけ。礼を言われるようなことをした覚えはないわ」

 

「だとしても、です!」

 

 

 

 彼女にとっては、本当にそれだけの行為だったのかもしれない。

 けれど、響にとっては、彼女が手を差し伸べてくれた恩人の一人であることに変わりはないのだ。

 

 

 

「……えーっと。それで、ですね」

 

 

 

 言いかけた響に対し、怪訝そうな表情を見せる女性。目の前の少女の挙動が妙になったのだ、無理もないだろう。

 続きを待ってくれている彼女の前で、数秒。ようやく決意を固めた響は、勢いよく右手を彼女に差し出した。

 

 

 

「お姉さんのお名前をッ! 教えてもらえませんか!?」

 

「言ったでしょう、名乗るほどの者ではないと」

 

 

 

 その響の要求は、即座ににべもなく断られた。

 初めにも名前を言わなかったのだ、何か理由があるのだろう。そう納得しようとするもやはり寂しい。

 肩を落とした響だが、次に口を開いたのは女性の方だった。

 

 

 

「……でも」

 

 

 

 その声に、思わず顔を上げる。

 彼女はすでに響を見ていなかった。ただ窓の外の景色を、いや、もっと向こう。遠く届かないどこかを見ているように響には思えた。

 首を傾げる響に対し、女性は静かに続けた。

 

 

 

「縁があったら、また逢いましょう。名乗るのはそれからでも遅くないわ。きっとその時には────この世界も、少しは変わっているはずだから」

 

「世界が変わる、ですか?」

 

 

 

 突拍子もないその発言。意味が分からず、響はただ鸚鵡で言葉を返した。

 その時、ふと目に入った彼女の手。強く握り締められた左の拳からは、言いようのない感情が滲んでいる。怒り、悲しみ、それだけではない。無数の感情が折り重なったような、何か。

 響はその感情の名前を知らなかった。

 

 

 

「人は何者にも支配されるべきではない。だから私は自由の為、人類の相互理解を阻む軛に叛逆し、それを撃ち砕く」

 

「相互、理解……」

 

 

 

 激しく渦巻く彼女の感情。それでも、その瞳はどこまでも真っ直ぐで力強く、前に向けられていた。

 話の内容など、難しくて半分以上理解できていない。だが、相互理解────分かり合うということ。その言葉だけは、響の胸にすとんと落ちた。

 

 途端、ふっと彼女を覆っていた雰囲気がふわりと解けた。

 目を閉じて、差す影を和らげさせた彼女の横顔。その口元がほんの少し上がっているのが見える。

 

 

 

「……なんて。次に逢った時には、そんな世界になっていればいいわね」

 

 

 

 その一言を最後に、女性は扉へと向き直る。堂々とした足取りで喫茶店を去って行き、後にはかすかに震えるドアベルの音だけが残った。

 やがて閉じられる扉。弾かれたように後を追い、響も勢いよく扉を押し開ける。

 だが、

 

 

 

「あれ……?」

 

 

 

 店表の路地に、既に彼女の影はなく。

 湿った空気の中、路地にはただ響一人が立っていた。

 なぜだか、女性の顔も朧げだ。あれほど視線が吸い寄せられ、その瞳と目が合ったはずなのに────響の心に戸惑いが生まれる直前。

 

 

 

「辛気臭ェこと考えてるだろ? アイツ」

 

 

 

 かけられた声に振り向くと、そこには腰に手を当てた惣一が呆れたように立っていた。

 空を見上げた彼の目は細められていた。光を遮るように片手が額に上がり、響も釣られて響も上を向く。

 そこにあったのはわずかな青空。雲の隙間から陽光が差し込み、店の壁まで光の柱が伸びていた。

 

 

 

「雨も止んだみたいだな。ちょうど制服も乾いた頃なんじゃねェか?」

 

 

 

 少しずつ色を取り戻しつつある景色を見て、惣一が言った。部屋に戻ると、確かに制服からは水気が抜けている。若干皺にはなっているものの、問題なく外は出歩ける程度だろう。

 手早く着替えを済ませ、響は入口で待っている惣一のもとへと向かった。

 

 

 

「それじゃあ、わたしはこれで。色々ありがとうございました!」

 

「気ィつけてな。まァ、なんだ。また何かあったら、話し相手くらいにはなってやるから」

 

「はいッ!」

 

 

 

 頭を下げる。今、響の裡にあるのは罪悪感ではない。正真正銘、純粋な感謝の気持ちだった。

 軽く手を上げて応じる惣一。出会った時と同じ、飄々とした笑顔だ。

 響の顔が、花咲くように明るくなる。路地を曲がるその時まで、何度も振り返りながら大きく手を振り続けた。

 彼の姿を、しっかり目に焼き付けるために。

 

 

 

「次は────()()()()()()()()()()()()()()ッ!」

 

 

 

 大通りに入り、再び空を見上げる。

 いつしか雲はどこかへ消え、澄んだ青色の空が街を覆っていた。気持ちのいい光を全身に浴びる中、響はふと空の端に灰色の雲が名残のように見切れていることに気づく。

 またいつ雨が降るとも限らない。脚を曲げ身体をほぐした響は、一直線に────走り出した。

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 移転後のリディアンからでも、nascitaまでそう離れていない。

 中学生の頃はここまで電車で通っていたことを思い出し、思わず苦笑する。

 今さらながら、財布には相当な負担だっただろう。それほどまでに、あの時の自分は彼に会いたかったのか……降りしきる雨がそんなことを思い出させながらも、響は店の前に立った。

 

 扉を引くと、カラン、と軽やかなドアベルの音。

 音が鳴りやまない内に、店内にいるであろう彼に向けて声を上げた。

 

 

 

「こんにちはー!」

 

「響ちゃんじゃないの。いらっしゃい」

 

「響くん。邪魔している」

 

 

 返ってきたのは予想通り、惣一の飄々とした声。

 だが、今日はそれだけではなかった。

 聞きなれた、しかしこの場では聞きなれない男の声が続く。声の主を視界に収めた途端、響は目を丸くした。

 

 

 

「あれーッ、師匠!? なんでいるんですかッ!?」

 

「知っての通り、俺だってここの常連だ。最近は足を運べていなかったのも事実だが」

 

「ホントだよ! 全然来てくれねェんだもんなァ、ダンナ」

 

「立て込んでいたものでな。すまないマスター」

 

「ご贔屓に頼むぜダンナ! 今日は偶然、バイト休みだっただけなんだからさ」

 

 

 

 二課の司令、そして響の師匠である風鳴弦十郎がカウンターに座っていた。

 驚きはしたが、同時に合点がいく。確かに、彼が響をここまで連れてきた際、“常連”と口にしていたような。だがそれ以来、この店で一度も弦十郎の姿を見ていない。

 確かに、それで常連というのは難色を示す人もいるだろう。惣一が拗ねた風を装うのも納得だ。

 

 弦十郎の隣に座り、いつも通りオレンジジュースを注文する。

 ストローをくわえながら二人の会話を聞いていると、「あそこの演技が」「炎の中」「上段回し蹴りが」と、次第に喫茶店には似つかわしくない単語が飛び交い始めた。

 なんの話をしているのか? 聞き耳を立ててみれば、どうやら最近観たレンタル映画の話らしい。

 

 

 

「あれ、惣一おじさんってカンフー映画よく観るんだっけ?」

 

「カンフーだけじゃねェけど、映画はけっこう観る方だよ。SFとか?」

 

「へーっ、なんだか意外」

 

「マスターのセンスには目を見張るものがある。まさか初心者であの作品を選ぶとは……」

 

「たまたまだって。でも、あの映画きっかけでハマったってのはあるかもな」

 

 

 

 感慨深げに話す二人。

 その様子を眺めているうち、ふと疑問が浮かんだ。弦十郎がここに来店して知り合ったと、そう話していた弦十郎だが、わざわざこんなところにまで来るものなのか。片や政府機関の長、片や売れない喫茶店のマスター。

 接点などそうそうないはずだが……。丁度いい機会と、響は思い切って聞いてみることにした。

 

 

 

「そういえば、二人ってどうやって知り合ったんですか? 師匠がnascitaに来た、って前は言ってましたけど……」

 

「行きつけのレンタルショップで、偶然マスターと鉢会ってな。

 映画談義に花を咲かせ、そのままここで話すことになった。後はまあ、こうして時折顔を見せに来ている」

 

「ほえー、そうだったんですね。もしかして、わたしとより付き合い長かったり?」

 

「どうだったかなァ……」

 

 

 

 思ったよりも長い関係のようだが、惣一はその頃のことをあまり覚えていないらしい。「歳を取ると忘れっぽくてダメだな」などぼやくように呟いていた彼だったが、それを揶揄うと「まだまだ若い」と鼻息荒く反論してきた。

 

 そんな他愛のないやり取りの後、咳払いを一つ。惣一は思い立ったかのように、カウンター越しに弦十郎へと詰め寄った。

 

 

 

「ってかそれより! 新作コーヒーのレシピ閃いたんだよ。ダンナも飲んでくだろ?」

 

「いや、俺は……」

 

「逃す訳ないでしょうが! 昔の俺とは違うんだぜ!?」

 

 

 

 惣一に押される弦十郎の姿は、なかなか珍しい光景だった。確か、以前「コーヒーだけは口に合わない」というようなことを言っていた気もする。

 普段からあおいの淹れたものに慣れている身としては、その落差で余計ダメージが大きいのだろう。

 

 とはいえ、弦十郎だけを苦行に送り出すわけにもいかない。

 こういう時は共に乗り越えるのが、あるいは共倒れするのが弟子の務めというものだ。

 

 

 

「師匠! わたしも一緒に飲みますから! 托生です……!」

 

「う、うム……」

 

 

 

 なんてことない時間が過ぎていく。

 コーヒーの味に弦十郎が顔をしかめたり、自分で淹れたコーヒーを口に含むなり、噴き出す惣一を見て笑ったり。

 守った日常の温かさに、響はそっと身を委ね────

 

 ────そして、時が流れる。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 観覧車の窓越しに広がる夜景は、いつにも増して煌めいて見えた。

 この光の下では、無数の人々が日々の暮らしを営んでいるのだろう────立花響は、そんな当たり前の情景をぼんやりと思い浮かべる。

 

 違う。ぼんやりとなんて、できない。

 気を抜けば思い起こされる、“あの言葉”。

 思い出さないように努めても、かえって鮮明に彼女の声が思い起こされる。

 

 

 

「……き。……響!」

 

「えっ? み、未来。どうしたの?」

 

 

 

 声に気付き、慌てて横を向くと、視界いっぱいに未来の顔が。

 響の額に手を当て、眉をひそめて首を捻っている。どうしたのかと尋ねれば、

 

 

 

「どうしたの、はこっちの台詞! 最近ずっとこんな調子だし、ちょっと心配」

 

「そ、そんなに変かなぁ、わたし!? いつも通り元気いっぱいのつもりなんだけど……」

 

「もう。17歳になってから向こう、ずっと上の空なんだから」

 

 

 

 あたふたと手を振り誤魔化すと、未来は拗ねたように口を窄めてそっぽを向いた。

 その仕草が胸に刺さる。心配してくれる彼女の様子が申し訳なくて、心が痛む。

 観覧車に乗ろうと提案したのは未来だ。なぜか元気のない響を元気づけようとしてくれているのだろう。

 何せ、自分でも“隠しきれている”とは到底思っていないのだから。

 

 

 

「故に伝えておく、立花響。この先どれほど迷い悩めど、“これ”が貴女の旅路の導となることを……切に願う」

 

 

 

 なぜ、どうして。

 

 

 

「■■■■には気をつけなさい。奴が本当の────」

 

 

 

 忘れるように頭を振って、その言葉を追い払う。

 ぎゅっと目を閉じ、“その姿”をかき消そうと踠く響。けれど、網膜に焼きついて消えてくれない。

 なぜ、なぜ、なぜ。

 無限に疑問がついて出る中、響は震える拳を強く握って────それを口にする。

 

 それは、魔法の言葉。

 大切な人から受け継いだ、大切な言葉。それさえ胸の裡にある限り、響は一人だって戦える。

 

 

 

「……へいき、へっちゃら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっちゃらじゃないでしょ?」

 

「────え」

 




次章予告


「ヒトに巣食った矮小なぞ、オレの錬金術で分解してくれるッ!」

「わたしには惣一おじさんがいるから」

「あれこそが! 僕という最新最後の英雄を乗せたァ、夢の方舟!」

「「「イグナイトモジュール! 抜剣ッ!!」」」

『いいぞ響……お前の本気を見せてみろッ!』

「かな、で……?」




「━━━━エボル、フェーズ1」





フェーズ3「万象黙示のカノンが薫る」














補足:絵面とカメオ出演について
・絵面
 どう考えても絵面が激ヤバなんですが、この話を思いついたとき(4年くらい前)は惣一単独でした。あまりにもあんまりなので謎のお姉さんを追加したという経緯があります。

・カメオ出演キャラクター3名
 数年前までキャラクター紹介のエボルトの部分に
「仮面ライダービルドからは彼のみの出演。」
と書いていたのですが、サイレント削除していました。
本物惣一の設定を思いついたときに首相は泰山パパにしようと思う→じゃあ幻徳も出せる→じゃあジャーナリストとして紗羽さんも出せる
となりました。万丈とかも設定的にはいます。本物美空は改稿版の0-1話に登場させました。
もう出番は多分ありませんが、他のキャラも3名ほど出るかもしれません。
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