戦姫絶唱シンフォギア Evolution's Symphony 作:セグウェイノイズ
後半パートが難産でした
今日も今日とて、nascitaの店内は寂れていた。
だが、客がいない訳ではない。珍しく二人も客がいる現状に惣一は満足げに頷くも、この場の空気はいただけないと肩を竦めた。
「ごゆっくり」
トレイに乗せたグラスと大皿を窓際のテーブルへ運ぶと、向かい合っていた二人の客は揃って頭を下げた。
妙に息が合う二人だ。“石動惣一”と美空はそうでもなかったが、
いや、確かこの世界の二人は、同じ音楽バンドの追っかけだったか。確か名前は……。
厨房でそんなことを考えていたとき、客の一人────立花響が、突如として勢いよく立ち上がった。
対面する男に伝票を手渡された響。カウンターまで歩み寄った彼女は、くしゃりと歪んだそれをカウンターへと叩きつけた。
「お会計、お願い」
響は視線を合わせることなく、消え入るようにそう呟く。
数日前とは別人のようだ。「みんなで海に行く」などとはしゃいでいた彼女はどこへやら、今や見る影もない。
いくら人間の感情を手に入れたといっても、親子の在り方というのは謎が多い。新たなサンプルを見せてくれた礼に、助け舟くらいは出してやろう。
「ツケにしといてやるよ」
「……ありがとう。あとごめん、机叩いちゃったりして」
「お前ら以外客もいねェし、気にすんな」
「いつも通り繁盛してなくて助かっちゃったな」
「ホントにそう思ってんなら感謝しなさいよ〜?」
「したじゃん」
響を見送った惣一は、そのまま窓際のテーブルへ────響の父親だという【立花
年は“石動惣一”より下だろうが、妙に老けて見える。ここまでくたびれた雰囲気の人間には出会ったことがないが、相応の理由でもあるのだろうか。
響の座っていた椅子に腰かけた惣一に首を傾げつつ、洸はへりくだった調子で口を開いた。
「……いやあすいません、お恥ずかしいところを」
「別にいいよ。こいつも、もともと俺用に作ってたサンドイッチだし」
「そうなんですか? じゃあお代はナシってことになっちゃったり……」
「なら、水でも頼むんだったなァ親父さん。ホイ伝票」
「……は、ならないですよね?」
「正解!」
料理はまだ残っている。なかなか口をつけようとしない洸を横目に、新聞をテーブルに広げてサンドイッチを頬張る惣一。
ちらちらと向けられる視線。気にならないといえば嘘になるが、こちらから話しかけてやる理由もない。
かすかに流れるジャズと紙の擦れる音が店内を満たしてしばらく、洸が口を開いた。
「ええっと……響から聞いてたりします? 俺のこと」
「特には聞いてねェけど、大分やらかしたってのは察せられるぜ」
「はは、大分どころじゃないですよ。酒に溺れて、家族に手ぇ上げて……仕舞いには世間の目から逃げ出した、最低の人間です」
「おお……。思ったより最低じゃないの」
互いの態度と別居している事実から、家族との関係は芳しくない。人間の常識に照らしてそう推測していた惣一だったが、返ってきたのは想像以上の答えだった。
なんでも、ライブ会場の事件以来不幸が続いたとのこと。その事件を引き起こした当人を前に、身の上話をぺらぺらと続ける洸に目を細める。
この男の存在自体、予定外のもの。響の成長に影響を及ぼしかねない以上、一刻も早い対処が望まれる。
手っ取り早いのは始末することだが、洸は響に近すぎる。
であれば、面倒だが手助けしてやるしかない。
「でもいいのか親父さん? せっかく娘と再会できたってのにこのままでさ。響ちゃん、あんたと話す気はあるみたいだったってのに」
「いやあ、どこまでいっても“俺が悪い”につきますから。俺がどうしようもない奴ってことくらい、向こうも分かってると思うんですけどねえ。
家族を壊したのは俺ですし……ああでも、
「マスターだ」
「マ、マスターさんみたいな人と出会えたんだから。俺なんかいなくても、うまいこといきますって」
店内を見回しながら、洸が力なく呟く。
気力というものがまるで感じられない。難波会長のバイタリティを見習ってほしいものだが、望み薄か。
「響ちゃんはあんたとの関係をやり直そうとしてた。ってことは、まだあんたらの関係は壊れてないってことだ」
まあ、もう少しだけ関わってみるのも一興だ。
それに彼の言葉や仕草、所々に
残ったサンドイッチを水で流し込み、惣一は洸と視線を合わせた。
「壊れてないんなら、いくらでもやりようはあると思うけどなァ。あいつの前じゃ言い辛ェけど、響ちゃんあんたにけっこう似てるし」
「そういうもんですかねえ」
「バイトの面接行く勇気はあるんだから、娘にも一歩踏み出してみりゃいいでしょうが。案外、うまくいったりするかもだぜ」
「勇気か……でもなあ……」
「煮えきらねェ親父さんだなァ全く」
洸を観察して数十分。
この男に“動く意思がない”ということが嫌でも理解できた。
原因の大半が自分であることを半端に理解しているからこそ、それを動かないための盾にしている。その様はある意味他責思考の体現ともいえた。
ひとまず、彼についての理解はこの程度で十分だろう。
響との関係改善を後押ししてやったが、どこまで伝わったか。彼女への悪影響が続くようなら、リスクを承知で始末も視野に入れるべきか。
思考を打ち切った惣一は、最後に趣味に走ることにした。
「でも心配するなよ、こういう時はカフェインで目を覚ましゃ一発だ! ウチのコーヒー、ごちそうしてやろうじゃないの」
「えっタダでいいんですか? いやあ、ありがとうございます!」
「いいっていいって!」
オリジナルブレンドを口にして数分後、洸は厚顔無恥にも口直しの水を要求してきた。水は無料だと覚えていたことがなんとも憎らしい。
やはり始末すべきだろうか。
「う、美味いか?」
「苦いし臭いし美味しくないし、0点としか言いようがないし」
「明日はわたしが作る。その方が絶対美味しいに決まってる!」
「コツでもあるのか?」
「内緒! 秘密はパパが解き明かして。錬金術師なんでしょ?」
「ハハ……この命題は難題だ」
「問題が解けるまで、わたしがずっとパパのご飯を作ってあげる!」
穏やかな笑い声が尾を引きながら、ゆっくりと意識が覚醒する。
水中から浮かび上がるかのような感覚には未だ慣れない。キャロルの元でチフォージュ・シャトーの建設に従事していたころと比べれば、“寝落ち”など考えられないことだった。
頭を上げ、目を擦りながら、エルフナインは時刻を確認する。
「いけない……十分程度寝落ちてましたか」
響、調、そして切歌がミカに敗北してから数日。
やはりオートスコアラー最強の彼女を倒すのは一筋縄ではいかないようだ。響については別の要因もあるようだったが、兎にも角にもキャロルに対抗するためには一秒も無駄にできない。
頬を軽く叩いて眠気を追い払うと、すぐに作業を再開する。
「……どうしてキャロルは錬金術だけでなく、自分の思い出までボクに転送複写したのだろう?」
手を動かしながらも、疑問がなかなか頭から離れない。
世界を識る。それが父、イザークからの命題。
その答えを知りたくて、エルフナインは今ここにいる。しかしそれも、キャロルがこの想い出をインストールしたが故に抱いた使命だ。
彼女は何を考え、世界を分解した果てに何を見ようとしているのか。
疑問は尽きない。
さらなる思考の海に沈み込みかけた、刹那。
「警報ッ!?」
壁面の警告灯が明滅し、けたたましいサイレンと共に非常事態の知らせを察知した。
椅子から飛び降り司令室へと急ぐ。
廊下を走りながら、エルフナインは状況を整理する。
オートスコアラーの出現、ファウストの軍勢、はたまたそれ以外の何かか。未だ定かではないため、情報の共が求められる。
現在本部に滞在しているシンフォギア装者は二名。
一人はマリア・カデンツァヴナ・イヴ。
そしてもう一人は────。
阿鼻叫喚の地獄絵図を斬り裂く二筋の斬撃が、悪しき行いを即瞬にて抹殺せしめた。
無論、それだけで終わるはずもない。爆炎から飛び出た二つの影が、残る異形の首元目がけて飛び掛かる。
「邪鬼の遠吠えの……残音、がッ!」
「月下に呻き狂う……!」
蒼き斬撃と白銀の刃が戦場を躍る。
漆黒の異形、スマッシュを吹き飛ばした翼とマリアは、着地と同時に残る敵影を見渡した。
前方に二、後方に四。さらに左右に二ずつ。計十体ものスマッシュが二人を囲っている。
見境なく暴れていた姿が嘘のように、奴らのカメラアイはもはや民間人を捉えていない。初めから狙いはこちらだったということだろう。
だが、むしろ好機。
「数は多いけど、捌けないほどじゃない。二手に分かれて……」
「ならば手数で畳みかけるのみッ!」
「ちょっと翼ッ!?」
疾走。
行く手を阻まんとスマッシュが押し寄せるも、好都合だ。まとめて屠れるというもの。
「迷い惑い、尽きぬ日々よ」
刀身が煌いた瞬間、スマッシュの全身に無数の剣が突き刺さる。
辞世の句すら許さぬ一閃は荒く、獣の爪撃の如く。天より降り注ぐ幾千もの涙が、鉄の身体に刻み込むのは戒名だ。
「されどッ……!」
前方、未だ残敵。
人々を脅かす脅威を前に、この胸が熱く滾る。それは防人としての義憤の炎だ。他に何があろうか────焔の熱源を黙殺しながら、翼は放った太刀を回し蹴った。
畜生共を巻き込みながら猛進するのは、巨大化した得物の刃。
地面を抉る破砕音が響き、やがて戦場から剣戟の音が消えた。
すなわち事案の終了。最後の一体に剣を突き立てた翼は、肩を上下させながら任務の終了を報告した。
「らしくないわね。不相応な大技の連発だなんて」
「……すまなかった。皆の前で声を荒げたりして」
横からかかった声の主に、顔を向けられない。
物言わぬ鉄塊と化したスマッシュを見つめたまま、翼は言葉を繋いだ。
「あの時も今も、
叔父様や緒川さんが否定してくれなければ、わたしは、きっと……」
「もういいわよ。アナタの感情のいくらかは、わたしも理解できてるつもりだから」
そこまで続けたとき、背中に軽い感触が伝わる。思わず頭を上げると、すぐ隣に立つマリアの姿があった。
翼の背に手を添えたマリア。彼女の仕草と微笑みから、妙に母性めいたものを感じるような……気がする。
思えば奏も、心揺れる翼に似たようなことをしてくれたものだ。
もっとも彼女の場合は“背中に手を置く”どころではなく、思い切り掌を叩きつけていたのだが。
「さ、戻りましょうか。涼しい部屋でスイカでも食べれば、昂りも落ち着くはずよ。流石に新鮮じゃないかもしれないけど」
「スイカか……暁にも、礼を言わねばならないな」
「そうね。きっとあの子も喜ぶはず」
言葉を交わしながら、戦場に背を向けた瞬間。
翼の背筋を走ったのは、悪寒。
しかし裏腹に、翼は自らの裡が急激に熱を帯びていくのを感じていた。
冷たく、重く、悍ましく、肌に張り付くこの感覚は。
つい先日相対した、
目の前に広がる
「……タイミングは最悪。よりによって……いえ、だからこそなの?」
こつ、こつ。
アスファルトを踏み鳴らす靴音が、やけに大きく聞こえる。
一歩、また一歩と音が近づくにつれ、甲高い悲鳴を上げていく理性の鎖。それをどこか他人事のように眺めながら、翼は彼女の到来を待つ。
風が吹いた。
木々が騒めき、
しかし悲しいかな、その風は
既視感。
あの炎の夜を思い起こす、真夏に似合わぬ冷たい風が頬を撫でる。
そして────彼女の五体が、姿を見せた。
「よう翼ァ。しばらく振りだね」
「……ッ!!」
「翼ッ!」
眼前に差し出されたマリアの腕が、翼になけなしの理性を取り戻させた。
だがそれも時間の問題。視界の先で気安く手を上げる彼女、“天羽奏”の何もかもが翼の逆さ鱗を刺激しているのだ。
既に鎖は決壊寸前。次、奴がふざけた真似をすれば、その時は────。
「マリアか。あんたが話し相手になってくれるってのかい? こっちとしても、打てば響く奴と話すのは悪い気はしないけどね。せっかくだし、あの日の問答の続きでもどうだ」
「驚いた。随分とおしゃべりさんだったのね」
「喋るのは好きだし間違ってはないよ。……にしても、あたしの相棒と随分仲がいいじゃないか。妬けるねェ」
「誰かさんのせいで、無駄話をしているほどわたしたちは暇じゃないの。そうでしょ、天羽奏の偽物さん?」
「ハッ! 偽物だって? 言うに事欠いてあんたがそれを言うとはね、フィーネさん」
問答を切り上げ、即座に本題に入ったマリア。“天羽奏”と言葉を重ねるほど碌な結果にならないと理解しているのだろう。
奴は一瞬目を丸くしたかと思えば、次の瞬間には口の端を吊り上げ肩を竦めてみせた。
歯が擦れる音が、やけに大きく耳へ届いた。
「天羽奏とブラッドスタークが同時に存在していた記録をこちらは保有している。ここにいる翼が生き証人よ」
「同時に……ああ、あの時の。でも残念、あれはあたしの一人芝居だよ。
実は洗脳能力のある聖遺物を隠し持っててね、そいつの賜物って訳だ。実際残ってないだろ? あたしとブラッドスタークが一緒に映ってるデータは」
「見え透いた嘘は吐くべきじゃないわ。もし本当にそんなものを占有しているのなら、それをドクターに使わなかったことへの説明がつかない」
「へえ、なんだってウェルの名前が出てくるんだ?」
「カ・ディンギル趾地でのドクターの蛮行に、アナタは怒りを露わにしていた。
ドクターと組んでいたなら、彼が
「それに?」
「計画遂行のためにあの狂人をどうにかできる手段があるのなら……使わないはずがないでしょうッ! わたしだって使ったかもしれないッ」
「切実だね」
舌戦を続けるマリアと“天羽奏”。
奴の口数が少なくなるのに反比例し、その口角はみるみる吊り上がっていく。その様がどうしようもなく苛立たしく、同時に総毛立つものを感じさせた。
奏とは似ても似つかぬ悪辣な笑み。例えるならば、愛玩動物の成長を喜ぶ飼い主のような────。
何かを誤魔化すような咳払いが場の加熱を和らげるも、翼にはまるで効果がなかった。
「と、とにかくッ! 言い逃れられるならしてもらいたいものね」
「…………」
目を伏せ俯いたまま、“天羽奏“は口を閉ざして動かない。
だが表情は笑顔だ。小刻みに肩を振るわす奴の姿が異質に映る中、とうとう彼女の口から息が漏れ出た。
「フ」
小さく、消え入るような吐息。
それは一秒後の爆発への予兆に他ならない。
『フッハッハッハッ!』
翼の耳朶に叩きつけられたのは────低い、男の声だった。
視界の端で、マリアの肩がぴくりと跳ねる。明らかな異変、翼とて同じような反応を返しただろう。
平時なら、ではあるが。
今や、この胸から湧き出る感情は変わらない。
その顔で。
これ以上、口を開くな。
『確かにウェルを引き合いに出されると弱い。一本取られたって奴かな』
「……認めるのか? 奏の名を騙っていたと」
奴の声が変わろうと、纏う気配が変わろうと。
聞きたいのはただ一つだ。
射殺さんばかりの殺意を込めた翼の視線を受け止めた“天羽奏“は、鼻を鳴らすと仰々しく両腕を広げてみせた。
『少し予定とは違うが、まあいいだろう。ご明察! 確かに
「ッ!!」
「死者を騙って汚名を着せるなんて……悪趣味極まるわね」
聞きたいことはもう聞けた、ならば次は斬り捨てるのみ。
姿勢を低く疾走の構えを取った翼。一歩踏み出し、刀を振り抜く────ただそれだけでいい。
命を取るつもりはない。だが、無事で済ませるつもりもあるものか。
『死者ね。
地を踏み締める寸前のこと。
肩を掴んだマリアの手と“天羽奏”の世迷言が、翼の足を止めさせた。
「煙に巻かれるつもりはない。自分が天羽奏じゃないと発言したのは、他でもないアナタでしょう」
『声が震えてるな。疑うなら分析でもなんでもしてみるといい……といっても、その様子じゃもう済んでるのか?』
ふと、困惑が憤怒を上回っていることに気付く。
刀の切っ先こそ辛うじて“天羽奏”へ向けられていたが、いつしか翼の四肢から一切の力みが消え去っていた。
脳裏を過ったのは、つい先日のやり取り。
ブラッドスタークの正体が露わとなった翌日、映像記録の解析結果が報告された際のことだ。
「耳介、虹彩、声紋、骨格……。科学的に見れば、すべての観点が天羽奏とスタークは同一人物であると指し示している」
「出鱈目を言うなッ!」
無論、そんな結論を風鳴翼が認められるはずがない。
報告を担当したフィーネとひと悶着あったものの、当の彼女も咀嚼しきれていない様子だった。何せスタークと奏は別人であると提唱した人物の一人でもあるのだ。理屈と感情の食い違いに、僅かなりとも葛藤があったのかもしれない。
いずれにせよ、翼にとって到底受け入れられない結果であったことは確かだ。努めて記憶の片隅に押しのけていた、のだが。
なぜ今れそれが蘇ったのか────自問するまでもなく、理由は明白だった。
奴の矛盾した論理が、奇しくも解析結果と
その時、正面からの笑い声が翼の意識を現実に引き戻した。
『流石仕事が早い。だが良かった! “この身体”は天羽奏のものだと、無事証明されたようだ』
「……同一人物、だけど別人。鎧の着装での急激な骨格変化……」
「乱されるなマリア。奴が奏であるはずがないッ」
「
「マリアッ!」
いつしか、肩を掴まれる力が弱まっていたことに気づく。
額を手で押さえたマリアは、呆然とただ一点を見つめている。揺れる瞳は“天羽奏”を映しておらず、ここではないどこかを見ているかのようだった。
この数秒で何が起きた? これではまるで立場が逆ではないか。
肩に置かれた手を掴み返すと、ようやくマリアの意識も戻った。だが浅い呼吸を繰り返す彼女からは、先ほどまでの覇気をまるで感じられない。
『成程な。フィーネを騙るためにお勉強に励んでたお前なら、この情報だけで結論に迫れても不思議じゃない』
「……でも、とても正気とは思えない。そんなッ、
『まあ、正解とは少し違ってるだろうが……部分点はくれてやるよ』
「お前達、何をッ」
笑う“天羽奏”と、動揺するマリア。
一体何の話をしている? 疑問が押し寄せるにつれ、鳴りを潜めていた苛立ちと憤怒がふつふつと湧き上がってくる。
再び声を荒げようと息を吸おうとして。
翼の脳裏を閃光が奔った。
────風鳴翼が偶然引き起こした天羽々斬の覚醒は、同時に櫻井了子の内に眠る意識を目覚めさせた。その目覚めし意識こそが私なのだ。
────わたしたちはフィーネ。終わりの名を持つ者だッ!
────あたしは何もしてねえよ。ソロモンの杖は、スタークがアメリカから来た時一緒に渡された。
────同一人物、だけど別人。
「何、を……」
マリアは
吸い込んだ空気が行き場を失い、力なく吐き出されていく。
ぱくぱくと開閉を繰り返す口。上下する視界、焦点が定まらない。
で、あれば。
ただ一言、絞り出すようにその言葉を発した。
「……お前は、誰だ?」
『ようやく、正しい聞き方ができるようになったか』
くつくつと笑いながら、“天羽奏”はかぶりを振る。
一呼吸。ただ息を整えるだけの仕草すら、まるで焦らされているかのよう。
一秒、二秒。
およそ三秒の沈黙を挟んで、奴はゆっくりと口を開いた。
『━━━━俺はエボルト。
親しみやすく言うなら、そうだな……宇宙人だ』
どこかから、息を呑む音がした。
「エボルト……確か、調が耳にした」
『あいつは余計なことばかりするからなァ。俺に忠誠を誓ってる間は大目に見てやってるが』
これが真実ならば、これまでの発言の矛盾にも説明がつく。
肉体と人格が同一ではない。
だが問題は、奴が宇宙人だということよりも“奏の姿を取っている”ということだった。
つまり奴────エボルトは、何らかの手段で奏の亡骸を
『今は奏の肉体に憑依してる。死亡したはずの歌姫の正体は、秘密組織の首領だった! キャッチフレーズには十分だろ?』
「憑依……それが、アナタが天羽奏の姿を取っている絡繰りとでも言うの?」
『絡繰りも何もそのままの意味だ。生きてる人間に憑りつくことができる、便利な能力だよ』
だからお前たちの考えているものとは理屈が違うと、エボルトは続けた。
二人の思い至った“エボルトはフィーネのように、人から人へ乗り移っていく存在”だという推測も、一部は当たっていたということか。
とはいえ、真偽はともかく宇宙人ときた。いくらS.O.N.G.が超常脅威へ対する組織といっても、予想にも限度があるというものだ。
と、つらつらどうでもいい思考を巡らせてはみたものの。
エボルトの口から飛び出た聞き捨てならない一言、翼の意識はそこから一歩たりとも動いていなかった。
「……生きている?」
『流石に死体に憑依しても、硬かったり柔かったり動かせたものじゃないからな。修復した駄賃に、死にかけの奏の肉体を使わせてもらってる』
「ちょっと待ちなさいッ! つまり、天羽奏は……」
『
生きている、と奴は言った。
生きている、一体誰が? いや、一人しかいない。
マリアの言葉と繋げれば明白だ。
だが
「じゃ、あ」
酷く喉が渇く。
どちらに従えばいいのか────愚問だった。
『いや、死んでないと言った方が正確か。どうせ心拍か何かの計測もしてるんだろ? なら、この肉体が死んでないことくらい分かるはずだ』
「奏が……生きてる」
『さっきから言ってるだろ。少しは信用したらどうだ? 俺が嘘を吐いたことがあるか?』
思考がまとまらない。
突如降って湧いた現実を、脳が満足に処理できない。
生きている。
翼の半身、片翼が。
あの逆光の夕焼けを最後に、分かたれたはずの相棒が。
彼女が、天羽奏が。
流れゆく無数の想い出に、視界が滲む。
それは戦場において致命的に過ぎるものであり、普段の翼であれば決して晒すことのない隙だった。
『さて……予定外だが正体も明かしたことだ。ついでにもう一つ、驚いていくといい』
「え」
故に────あるがまま、目の前の光景を受け入れてしまう。
エボルトが、自身の、否、
それがこの日、風鳴翼が見た最後の景色だった。
「貴、様ぁぁぁぁぁッ!!!」
「あっ……翼ッ!?」
呪いの剣を引き抜いて。
瞬間、闇に落ちる。
「……ここは?」
目が覚めると、そこには一面の闇が広がっていた。
どこか見覚えのある光沢を帯びた床。その上に横たわっていた翼は、ゆっくりと身を起こしながら視線を周囲に巡らせる。
「わたしは、何を……?」
頭に靄がかかったような感覚だ。
なぜこんな場所に一人でいるのか、そもそも今まで何をしていたのか。
うまく思い出せない。
何か、大事なことを忘れているような────ふと、次第に目が闇に慣れてきたことに気付く。
遠目に見える鮮やかな彩り。
見覚えのある機材に、奥へと延びたランウェイ。
間違いない、ここはライブ会場だ。
「もう一度、わたしはここで歌を歌うんだ」
錬金術師、そして◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎との戦いで、翼は世界への羽撃きを中断せざるを得なくなった。
この戦いが終わるまで、この夢は胸に収めておく。
だからこの景色は夢想であり、翼の願望そのものでもあった。
なぜこんなものを見ているのかは
会場いっぱいに広がっている、翼の歌を待つ皆のために────。
────違う。
遠巻きに見えるあれは、観客ではない。
鮮やかに光るあれは、サイリウムの光ではない。
禍々しい極彩色。あれは、あれは。
「わたしの歌を聞いてくれるのは、敵しかいないのか……?」
世界が切り替わる。
どこを見回しても、ライブ会場などどこにも存在していなかった。
あるのはただ、薄暗い闇だけ。
「お父様!」
突然、声が響く。
振り向けば、小さな少女がそこに立っていた。淡いスポットライトの下、瞳を不安げに揺らす彼女には見覚えがある。
あれは、いつかの。
「お前が娘であるものか。何処までも穢れた風鳴の道具に過ぎん」
次いだ男の声は、どこまでも硬質な響きを孕んでいた。
彼は少女の父親だ。背を向けて動こうとしない男を前に、少女は俯くばかり。
彼女が何を考えているのか、痛いほど理解できる。
認められたい────どれだけ拒絶されようと、その思いは変わらなかった。だから
「そうだ……この身は剣。夢を見ることなど許されない道具。剣だッ!」
剣に感情など不要。
そう心に決めたはずなのに、どうして忘れてしまっていたのか。人類守護の覚悟さえ携えていれば、◼︎◼︎◼︎◼︎の挑発に乗ることもなかったというのに。
それでも。
目の前で微笑む
「奏ッ!」
彼女の手を取り抱き寄せる。ただそれだけのことをしようとして、動きが止まった。
やけに軽い感触。
まるで、そこには何もないかのように。
油の切れたブリキのように、ゆっくりと彼女の腕に視線を落とす。
翼が掴んでいたのは、ただの腕。
「どうして……」
彼女の姿はもうなかった。
目と鼻の先にあったはずの片翼の顔は、地面に。
手が、足が、首が。惨殺死体のように離れ離れとなった彼女の五体を、翼はただ見つめる。
「剣では、誰も抱きしめられない……?」
触れたもの皆切り刻むのが剣であれば、この身は既に誰のことも────。
しゅるしゅる。
ふと、妙な音が耳に入った。
およそ人間のものとは思えない息遣い。下で何かが動いているのか?
足元には彼女の残骸以外何もないはず。
そう思っていた。
赤みを帯びた手足はいつしか無数の蛇へと変わっていた。薄暗い地面を爬行するそれらに、彼女の面影など微塵もない。
翼の握る彼女の右腕もまた、変貌を遂げる。赤い舌をちらつかせながら進む蛇たちは一つの場所に集まり、肉の団子を形成していく。
やがて、蠢く肉塊から四肢が生えた。
頭部まで形成した瞬間、その形にどうしようもなく見覚えがあることを翼は悟る。
「お前、は」
無数の蛇は消えていた。
代わりに立つのは、頭から血を被ったように全身を赤く染めた、異形の怪人。
「貴様はッ!」
どうして忘れてしまっていた?
気だるげに佇む目の前の怪人こそ、天羽奏を食い物にした奴こそ。
不倶戴天、翼の宿敵だったというのに。
黒くなる視界。
次第に遠のく意識の中、最後に翼は絶叫する。
────何があっても忘れぬよう、憎悪を込めて奴の名を。
「スタァァァァァァァクッ!!!」
『これは……』
「暴走ッ!?」
全身を黒く包んだ翼の姿に、マリアは思わず目を剥いた。
これがイグナイトモジュールの引き起こす暴走。あの精神状態だ、暴走したこと自体にさほど驚きはない。
問題は、翼が抜剣してから1秒と経過していないことにある。
モジュールが翼を突き刺したのとほぼ同時に、溢れた瘴気が翼を呑み込んだ。
それほどまでの憎悪。ダインスレイフは一体どれほどの悪夢を見せたというのか。
視線を彼女へ戻せば、ちょうど翼とエボルトが激突を果たしていた。
「━━━━ッ!!」
『制御に失敗すると暴走か。大層な強化アイテムだッ!』
甲高い金属音が響き、両者の間で火花が弾ける。
出現させた短剣を挟み込むエボルト。対するは腕の一振り、否、剣だ。五本の指を鋭利な刃に変形させ、鞭のようにしなる腕を奴に叩きつけている。
一拍遅れ、激突の余波がここまで到達した。
吹き込む風に目を細めながら、戦いの趨勢を見守るマリア。どうにか翼を鎮めたいところだが、あの様子では難しいだろう。
むしろ下手に介入してしまえば、待つのは同士討ちという未来のみ。それだけは避けねばならないが────。
『だが……対処法はもう割れてる』
「な……ッ!?」
突如、背後から声。
弾かれるように振り返れば、すぐ側に渦中の人物が立っていた。
なぜエボルトがここに。今の今まで、正面で翼と打ち合っていた奴がなぜ? 大きく飛び退き着地しながら、マリアの脳内を埋め尽くすクエスチョンマーク。
口の端を僅かに上げたエボルトに動きはない。絶好の機会だったというのに、何もしてこなかったのはなぜだ?
答えの見えない思考は判断を鈍らせる。
故に、マリアが
『お仲間だ。返してやるよ』
「翼ッ!? しまったッ……!」
ダガーと正面からぶつかり合うのは黒い
振り下ろされた異形の剣が、ぎゃりぎゃりと不快な音を立てながらマリアを斬り裂かんと爪を立てる。
なんて重さ。プレス機に立ち向かっているかのような錯覚すら覚えるほどだ。
だが動きは単調、受け流せないほどではない。切っ先を僅かに傾けやり過ごすも、間髪入れず逆の腕が襲いかかる。
腕だけではない。脚を、牙を。
五体全てを剣へ変生させて、翼は吼えた。
「◾️ァ◼︎◼︎◼︎━━━━ッ!!」
「目を覚ましなさいッ!」
『俺への憎悪も形無しだな。だからこその暴走なんだろうが……意識がない分扱いやすいのは、どの世界でも変わらないようだ』
笑い混じりの声が実に腹立たしい。
翼の狙いを奴へ戻すことも視野に入れるべきか。いや、今の奴は生身、天羽奏の肉体が剥き出しだ。翼が彼女の肉体を“傷つける”ことなど、何がなんでもあってはならない。
再び飛び退き体勢を立て直そうとして、ふと気づく。
ここはつい今しがた、エボルトが二人の戦いを観戦していた地点だ。
ならば────なぜ
また何かを企んでいるのか。
幸か不幸か、答えはすぐに見つかった。
「……ッ!?」
見えたのは、翼の腹部に手を当てたエボルトの姿。
瞬間、轟音と共に赤黒い波動が立ち昇った。
今までの戦いで幾度か見せた力だ。あれが所謂“地球外生命体”としての力なのかもしれないが、ひとまず隅に置いておこう。
重要なのは、波動を間近に浴びた翼が紙切れのように吹き飛ばされたという現実だ。
激しく地面を転がる翼。アスファルトを砕きながらバウンドする度に、彼女の身体から“黒”が剥がれ落ちていく。
やがて完全に元の姿へ戻った時、同じくして身体も止まった。力なく地に伏した彼女は既にギアを纏っておらず、それは即ち、
『せっかくのサプライズが台無しになるだろ? もっと落ち着いてもらいたいんだがね』
「どの口が言ってるのよッ!」
『奏の口だ』
やれやれと首を振るエボルトに、思わず声を荒げてしまう。これでは奴の思う壺だ。
睨み合ったまま翼の元まで歩み寄り、奴から視線を外さぬまま彼女の様子を伺う。どうやら気を失っているだけのようで、大きな外傷は見当たらない。
無論、早急に治療を受ける必要はあるだろうが、それもこの盤面を切り抜けてからだ。
『さて……ようやく静かになったな』
先に動いたのは、エボルトの方だった。
懐から取り出した臙脂色の箱を、無造作に腹部に押し当てたのだ。
淡い光と共に箱はエボルトの身体に巻きつく。バックル型のガジェットのようだが、奇妙な形状には見覚えがあった。
視線が奴の腹部に釘付けになっていたせいか。
翼の暴走ですっかり忘れていた、数分前の光景が脳裏に蘇った。
それはエボルトが自身の身体に腕を突き立てていた、残酷な光景。一度思い出せばしばらく脳裏に残り続けるほどの衝撃だった。
ならばなぜ、奴は今傷ひとつない────?
『奏から生成したボトルだ。いいものを見せてやるよ』
手にしていた橙色と黒色の小瓶────フルボトルというらしい────を、腰の器具へと装填したエボルト。
合わせて音声が鳴り響く。そのプロセスはやはり彼、ドクターウェルのそれと酷似していた。
であれば、これから奴がしようとしているのは。
『おお?』
「変身するんじゃ、ない……?」
次いで発せられた電子音声に、思わず首を傾げる。
ウェルの場合、ボトルの装填後“エボルマッチ”だの何だの鳴っていたと記憶している。しかし、今行われようとしているのはどうも違うらしい。
そして何よりも妙なのは、この音声に
もっとも、それも一瞬のこと。瞬きの間に奴は再び口角を上げ、肩を揺らして笑い始めた。
『こいつは予想外! 今なら
再び空気が緊張を帯びていく。
視線をこちらへ戻したエボルト。腰の器具に取り付けられたレバーを回して、両手を広げてみせた。
音声と同時、眩い光が辺りを包んだ。
突如視界を焼いた白色に、マリアは思わず目を覆う。僅かに開いた片目で正面を睨みつけるも、すぐに気休めにもならないと悟った。
『フハハハ、こういうタイプのボトルだったかァ!』
光の奥から、奴の笑い声が聞こえる。
ほぼ全てのペースがエボルトの手中にあることに歯噛みしながら、マリアはただ光が収まるのを待つしかなかった。
ようやく視界が元の景色を映し始めた時、僅かな異変を察知する。
正面で気だるげに立つエボルト、腰の器具に装填されていたフルボトルが一本
スロットの右側にあったはずの橙色のボトルはどこに消えたのか。目を凝らせば、エボルトの羽織る黒いジャケット、その胸ポケットが妙に膨らんでいることに気がついた。
視線に気づいたエボルトは、胸ポケットから“それ”を取り出す。
────一本のフルボトル。
赤銅色の小瓶を見せつけるように揺らしているが、正体はさっぱりだ。
消えたボトルが関係しているのかもしれないが、判断にはあまりに情報が少なすぎる。
「実験とはいえ、ぶっつけ本番ってのも性に合わない。残念だけど、お披露目はまた今度かな。
悪いね! 別に焦らす趣味はないんだ」
ぬせぬけとそんなことまで言い出した。
わざわざ奏の声に戻してまで何を言っている? このタイミングで撤退するというのか?
冗談かと一蹴したかったが、背を向けた奴の姿から見るにどうやら本気らしい。
翼のこともある、深追いはできない。しかし、少しでも情報は貰っておきたいのも本音だ。
僅かな逡巡の後、マリアはエボルトの背に声を張った。
「その腰の器具……エボルドライバーだったかしら?
それに、ドクターに渡したものと似すぎている」
「そりゃ、こっちがオリジナルなもんで。あいつのはただの複製品だ」
「オリジナル……完全聖遺物を複製できるというの……?」
「ああ、でも心配するなって! 妙なボトルもできちまったし、翼も使い物にならないし……今日は帰るとするよ」
「……ッ!」
無防備な背中。
今の奴に攻撃できないと確信しているが故の余裕だ。そしてそれは正しい。
マリアはただ、遠ざかっていく背を見つめることしかできなかった。
「賢明だね。じゃあな翼ァ、次は期待してるぜ」
軽やかなウィンクを残して、エボルトは残像を置き去りにその場を離脱した。
恐らくは高速で移動しているだけ。だがこの速度は異常だ。慎次に匹敵、あるいはそれ以上かもしれない。
「かなで……」
「……翼」
残像が風に溶けていく。
スマッシュは倒した。民間人の救助にも成功した。
任務は確かに完了したのだ。
それでも────。
敗北。
本部へ帰還するまで、この二文字はついぞ頭から離れなかった。
次回「フライトフェザーを見上げて」
翼さんのあれこれは一旦次回で終わります
本来は後半パートに弦十郎も参加(リモート)する予定でしたが、長すぎてやめました
鳴る! DXガングニールエボルボトル&シンフォギアエボルボトルセット
希望小売価格:3,600円くらい
・ガングニールエボルボトル
エボルトが天羽奏から成分を抽出して生成したエボルボトル。エボルトの元々の計画では、このボトルを使用してエボルに変身するつもりだった。
しかし実際はクリエーションが発動し、ライダーエボルボトルの成分を吸収し「シンフォギアエボルボトル」へと変化。計画のさらなる変更を余儀なくされ、変身することなく撤退した。
・シンフォギアエボルボトル
プロローグでエボルトが使用していたエボルボトル。左側のスロットに装填して使用する。
能力はまだ秘密。
補足(長い)
エボルトの元々の計画はこんな感じでした
・もうちょっと奏さん本人が敵に回ったと思わせていろいろするつもりだった
・プロローグの音声記録の件は承知していたが、「そういう聖遺物を持ってる」でごり押ししようとしていた(ソロモンの杖持ってたりエボルドライバーを聖遺物と言い張ったりしてるのでいけると踏んでいた)
みたいな流れでしたが、ウェルを証拠として上げられたことでぐうの音も出なくなりプラン変更したという流れです
その後は奏さんから生成したボトルで変身→圧倒しようとしてましたが、クリエーションが発動してよくわからないボトルができたので一旦帰りました
ガバチャーを超えたガバチャー
マリアさんが疑ってたのは、エボルトもフィーネみたいな存在かもしれないと思いついたが故でしたが、翼さんの場合はそこから「奏さんが生きてるのでは?」と思い至りかけたのが動揺の理由です。
その時は目を逸らしてましたが、その後に生きてるとか言われたので情緒がおかしくなりました