ハイスクールD×D×O【番外劇場】   作:カノサワ

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こんにちは、カノサワと申します!
今回はヴラドさんとコラボ小説を作ることになり、大変嬉しい限りです!
では、ヴラドさんどうぞ!

※この話の時系列はフェニックス戦後です、もし矛盾点などが出ましたら申し訳ございません。


やっはロンドン!!
知ってる方は久しぶりー!
知らない方は初めましてー!
最早自分で作った子達よりもコラボに呼ばれることが多いヴラド・スカーレットと申します。
今回はカノサワさんのところに遊びに来させて頂きましたー!
…っと、あまり長いとダレるからこの辺で…コラボをお楽しみくださいませ~♪ヽ(*´▽)ノ♪


クロスオーバー=別世界と戯れと邪神の試練=

ヴラドside

 

「ん~…此処どこやろ?」

 

ハロハロ、私の名前はヴラドだよー?

現在、休日なのでディケイドのオーロラを使用して出掛けたのですがズレが生じて行き先が全く知らない場所に出てしまいました。

目視でわかることは此処が廃工場のような所だろう。

 

「魔力やそういったモノを確認して、索敵魔法使ったけど…もしかしてここって[ハイスクールDxD]系の世界かな?まぁ、もし他の人の担当世界だとあまり好き勝手しにくいから面倒なんだよな~…オウッ!?」

 

そんな独り言をぶつぶつ呟きながら適当に歩いていると角で物凄い勢いで走ってきた誰かとぶつかった。

なんだと思ってそちらを見ると…血相を変えた悪魔が倒れてました。

 

「おーい、おじさん大丈夫かーい?」

 

「クソッ…くそガキがそんなところで突っ立ってんじゃねぇッ!!邪魔だろうがッ!!」

 

「…あ?イヤイヤ、走ってきてぶつかってきたのは…悪魔のおじさん ダ ヨ ネ ? 」

 

「ヒッ!?」

 

ぶつかって勝手に倒れてた悪魔が突然立ち上がるとこちらを脅すようにオラついてきたので…笑顔で首を掴んだまま外なる神々の狂気を直接浴びせてあげたら顔が凄いことになってるし腰を抜かしたのか上手く立てずに私が掴んであげてる首が勝手に絞まっているようになってる。

 

「グ…ぐるじぃ…は、放…せ……グググ………」

 

「え?やだよ?なんで私が君みたいな三下にもみたいに蝙蝠モドキの言うことを聞かないといけないのかな?立場考えないといけないよ、私の狂気で勝手に腰抜かして掴んでただけの首が勝手に絞まってるのは君の体重のせいだからね?ほら、頑張って立たないと首が伸びるよー?」

 

「グ…ググ… …お、お願いしますッ!! し、死にた…くな…いん…… ですッ!!」

 

狂気で精神が安定してないせいで思考もまともに出来ないせいで最初は高圧的に言ってきたのに結局無様に私の腕を掴みながら涙を流しながら命乞いをしてきた。

…けどね?

 

「うん、苦しそうだから今…楽にしてあげるね?」

 

「あ…ありが「それじゃあ…さようなら」ど ……う… …ッ!?」

 

笑顔で少し掴む力を緩めたら安堵の表情をして何故か感謝の言葉を言おうとしてきたので別れの言葉を告げてそのまま一気に力強く首を掴みそのまま……一思いに首をへし折ってあげた。

最後の表情は…とっても良い絶望に染まりきった顔であったね。

 

「フフフ…うん、やっぱり恐怖に染まった顔ってものは希望から一気に突き落とした時が一番だね♪」

 

そんな事を呟いているとさっきの悪魔が走ってきた方から何人かの足音が聞こえてきた。

どうやらこちらに向かってきているようだ…まぁ、誰が来るのか悪魔を掴んだまま待っていようかな?

誰がくっるかな~?

 

▲▼▲▼▲▼▲▼

 

マリヒコside_

 

「朱乃さん!あのはぐれ悪魔は今どこら辺にいますか!?」

 

「ええ…恐らくはあの廃工場辺りですわね!」

 

どうも、マリヒコです。

俺は今和服姿の空を飛ぶ朱乃さんを横で走っている状況である。

 

なぜこうなっているかと言うと、部室でゆっくりしている時にはぐれ悪魔の討伐任務が入り、現場へ行った際にはぐれ悪魔が部長を見た時にグレモリー相手じゃ分が悪いとかなんとか行って逃げ出して、今俺らがそれを追っている所だ。

 

「あのはぐれ悪魔て相当凶暴な奴ですよね!?なんで部長を見た時に逃げたんですかね?」

 

「情報によるとあの悪魔は自分より格下の相手しか戦わないそうね!所詮はそこまでの悪魔って事!」

 

空を飛ぶ部長に、走りながらそう質問するのは俺の昔ながらの親友、兵頭一誠。

部長の話から察するに相手はそこまでの実力はないものの、ほっとけば被害を拡大させる危険な人物に変わりはないそうだ。

 

「部長!もうすぐ追いつきそうです!」

 

「今回の相手は…余裕そうですね。しっかり掴まってください」

 

「はうぅ…ごめんなさい小猫さん」

 

そして俺らと同じく走ってはぐれ悪魔を追う佑斗に、そして冷静にアーシアをお姫様抱っこしながらそう呟く小猫ちゃん。

そして…

 

「はぐれ悪魔ゲドゥ!そろそろ観念しな…え」

 

「部長!どう…かしま…」

 

先にはぐれ悪魔に辿り着いたイッセーと部長。

だが、何か様子がおかしい、まるであり得ないものを見ている様な感じだった、そして部長に追いついた俺と朱乃さん、そして木場と小猫ちゃん。

 

「…嘘だろ?なんだあれ…」

 

「信じられませんわ…!」

 

「…あれは」

 

「…」

 

俺がそう言葉を発すると同時に、朱乃さんもそう言う。

木場も驚いた様子でそう言い、アーシアと小猫ちゃんは無言だが、驚きの様子は隠せずにいた。何せ_

 

 

_少女が()()()()()()()()()()()()()()()片手で首を持ち、体ごと持ち上げていたからだ。

 

「おや?おやおや?若いながら皆さん良いものをお持ちですね~?これは将来が楽しみな子達ばかりだ!!」

 

そんなあり得ぬ光景に言葉を失った俺らをみた少女は、まるで何か面白いものを見たかの様な表情をしつつ、片手ではぐれ悪魔を地面に引きずりつつ近づいてくる。

 

「え、えーと…その人危ないから離した方が、いやあれ?この場合危ないのはどっち?あれ?」

 

どう考えても状況的にはあの子がとんでもないだろうけど、あり得ぬ状況で俺は素っ頓狂な事を言う。

 

「…マリヒコ君、あのはぐれ悪魔はもう死んでいるよ」

 

「「え、マジで!?」」

 

「…アーシア先輩は見ない方がいいです」

 

木場のその言葉に驚きを隠せぬ俺とイッセー。

そしてその無残な光景を見せぬかの様にアーシアの視線を逸らす様に小猫ちゃんは言う。

 

「うん?あー確かにこれ邪魔だね?ぽーい」

 

それに対して少女は、まるでゴミをそこらに投げ捨てるかの様にはぐれ悪魔…だったものを投げ捨てる。

その光景を見た俺を含むグレモリー眷属らは咄嗟に身構え、そして部長は問いただす。

 

「貴女…何者?」

 

「え?あれ悪魔じゃないんですか?」

 

イッセーのその言葉にゆっくりと首を横に降る部長。あの人悪魔じゃない…て事は堕天使!?

 

「気配からすると堕天使じゃなければ天使の類でも無いわね…それに神器や魔力も感じないわ」

 

そう警戒するかの様に言う部長、それに対して少女は_

 

「私かい?転生させる者神または転生者を刈る者かな?まぁ、色々呼ばれてるからね~…とりあえずここではク・リトル・リトル神話の主 白痴の魔王<アザトース>のヴラド・スカーレットと名乗っておこうかな?」

 

アザトース_その名前発した瞬間、イッセー以外の者に戦慄が走る。無論俺にも緊張が走る。

少女はそのみんなの様子に首をこてんと傾けながら笑顔を見せる。

 

「え、えーと…アザトース?て何ですか?それにク・リトル何とかて…」

 

「イッセー…彼女の言葉が本物なら、アレは間違いなく神の類よ。でも…」

 

部長のその言葉にイッセーは「マジでぇええ!!?」と反応をする。だが部長は怪訝そうな顔で少女を見る、何せ…

 

「確かアザトースて…眼が覚めると宇宙が消滅するんですよね」

 

「お?よく知ってるね〜」

 

俺の問いに少女はそう軽く言う。うちのおじさんは何かとオカルトチックな本を買ってくる事もあり、その中にも勿論ク・リトル・リトル…()()()()()()()の本もあり、多少はかじった程度の知識はある。

その事をイッセーに伝えると、イッセー自身もクトゥルフの名前だけは知っているらしく、その神が目の前にいる事事態驚きを隠せずにいた。

 

「うーん、簡単に言うとね?私はアザトースを喰らった事で白痴の魔王<アザトース>に関する全ての権能・地位・存在を取り込んだ化け物って言えばいいかな?まぁ、今は私が白痴の魔王<アザトース>本人になったって事だよ~?イエーイ、ピースピース」

 

そう少女はくるくると回り、大人の女性や、また高校生、そしてゴスロリ姿の幼女に一瞬で変わりつつ説明する。

その説明は当たり前のように言っているものの、とんでも無い事を発言している。つまり彼女は邪神以上の存在だと_

 

「…その者がこのリアス・グレモリーの領域内に何の用かしら?もし変な事をするならただじゃおかないわよ」

 

だが部長はそれに尻込みせずにしっかりと言う。

 

「別にただの旅行気分で次元を渡ってきただけだよ?まぁ…君ら次第ではどうなるかわからないけどね?フフフ…」

 

少し意味深に言いながら怪しげな笑みを浮かべながら殺気でその場を染め上げた。

背筋が凍るような感覚のあと…一瞬自身が死んだのではと言う感覚に陥った。

生きていると確認できる温かさがある筈なのにそれを疑ってしまう…まるで生死の感覚を狂わされたような…

 

「っ_」

 

そのとてつもない殺気に一同は再び言葉を無くす。

しぃん、とまるで時が止まる様に俺らは動かない…いや、()()()にいた。

 

もし次の場面が動く時があれば、それは俺らが生きているか死んでいるか、その様な考えが浮かび上がるほどだ。

 

「ん?おや?まさかの君は…」

 

何かに気づいたように殺気を霧散させると…マリヒコの方を見て何かを思い付いたような悪い顔をしている。

 

「面白いね…欲望の王と赤き竜の帝王とは良いね!良いね!面白い!!と言うわけで闘おうか!!拒否権は…無いよ!!!」

 

「…え?あの?それって邪神様相手と_え」

 

_俺の言葉が放たれる前に、俺らは銀色のオーロラに包まれて行った。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼

 

「…え、ここは…?」

 

「闘技場…ですわね」

 

あのオーロラに包まれた後、見回すと辺りは一変して、古代ローマ風の闘技場に変わっていた。

 

「て言うか竜の帝王に欲望の王て…俺らの力すっかり割れてませんかこれ!?」

 

「そうね…相手は邪神を喰らった相手。それぐらいは余裕ね」

 

イッセーのその言葉に部長はそう言い返す。

確かヴラドさんだったよな。俺はその人を探す様に闘技場を見回すと…

 

周りから突然ファンファーレが鳴り始めた。

それに驚いてると目の前にその人は立っていた。

 

「さて、君達と遊ぶのにどんな姿で行こうか少し悩むね~…あ、君達はいつでも全力を出せるように先に準備しておいた方がいいよ?」

 

そう相手はまるで遊ぶ前かの様にリラックスをしている。

 

「…イッセーはブーステッド・ギアの準備!朱乃は魔力を貯めて!そして祐斗と小猫はいつでも行ける様に構えて!アーシアは私の後ろに!そしてマリヒコはオーズに!」

 

「は、はい部長!ブーステッド・ギア!!」

 

《Boost!!》

 

「わかりました、部長!」

 

「はい!魔剣創造!!」

 

「…了解です」

 

「は、はいっ!」

 

部長の指示が降ると同時にイッセーは籠手を展開し、朱乃さんは魔力を練り始め、更に木場は魔剣を創り出し、小猫ちゃんはファイティングポーズを取り、アーシアは部長の後ろに行く。

 

「行きます…!」

 

そして俺はドライバーを装着し、メダルを装填してオースキャナーでスキャンし_

 

《タカ!》

 

《トラ!!》

 

《バッタ!!!》

 

「…変身!」

 

《タットッバ!タトバタットッバ!!!》

 

オーズ、タトバコンボに変身をする!

 

そしてそれを見た相手は何かを悩み、懐を探り出すと…

 

「赤龍帝の籠手に魔剣創造、滅びの魔力にオーズ…うん、コイツにきーめた!!」

 

すると懐から取り出したモノを腰に装着させた。

それは三つの丸いくぼみがあり、青いラインが入っており…俺達がよく知っているモノだった。

 

「それってまさか…オーズドライバー!?」

 

「さぁ、いこうか?」

 

そしてバックルに赤、黄、緑の三つのコアメダルを装填し、バックルを傾けオースキャナでスキャンし_

 

「変身」

 

<タカ!>

 

<トラ!>

 

<バッタ!>

 

<タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!!>

 

全身を覆うように三つのメダル状のオーラを展開させ正面に上から赤、黄、緑のメダル状のオーラが揃うとそれが一つのメダルとなり胸部装着されるとそのままオーラが全身を覆い身体を変化させ、黒をベースに上から赤、黄、緑の三種類の動物の力を宿した欲望の王 オーズへと変身した。

 

「オーズが…」

 

「二人も…!?」

 

「なるほど…邪神様なら自在に物を作り出すことも出来るわけね。けど真似したぐらいで…」

 

《いや、それは違うぞリアス・グレモリー》

 

俺とイッセーの驚いた様子にそう部長が言うと、イッセーの籠手にそう、ドライグの声が響き出す。

 

《こっちの小僧のオーズは俺が昔戦ったのと比べれば生温い気迫だが…あれは違う。俺が戦ったオーズ…いや、それ以上だ。もし気を抜いてみろ、それで死ぬのはお前らだ》

 

_その言葉に全員に緊張が走り出す。

あれがもし古代の王…いや、それ以上の者であると言うのであれば勝ち目は薄いも同然だ。だが挑まれた戦いに背を向けれる程ヤワな精神は持ってはいない。

 

「なら全力で行くわ…祐斗!小猫!そしてマリヒコ!手加減は不要よ!」

 

「はいっ!!」

 

「…わかりました」

 

「り、了解!!」

 

先手を打ったのはまずは木場と小猫ちゃん。

二人が向こうのオーズに走り出し、木場は魔剣を創り出し_

 

「凍えよ!!」

 

冷気を放つ魔剣を振り放つ!そしてその刃がヴラドさんに当たる…が。

 

「ん~夏にはいい冷たさだね♪私を凍らせたいならコキュートス以上じゃないとね?」

 

「何…!?」

 

しかし木場の放つ魔剣の冷気をモノともせずに悠々と歩いている。

更に木場に替わるように前に出てきた小猫の拳を容易く受け止め…流れるようにそのまま投げ飛ばした。

 

「っ!?」

 

ドォン…と、壁にあたり、その後小猫ちゃんが地面に倒れ伏せるが、どうにか立ち上がろうとはしていた。

 

「小猫ちゃん!!…っ!!」

 

一瞬小猫ちゃんに意識が向くも、今は敵に集中し、足にバッタの力を解放し、ダァン!!と地面を蹴り跳躍し…。

 

「喰らえっ!!」

 

トラの爪を展開し、交互させるかのように相手に二連撃の斬撃を繰り出すが_

 

「バッタレッグの跳躍力を生かして上を取り、トラクローによる攻撃…メダル各種の使い方はいいね~…けど、まだ甘いよ?」

 

何処からか取り出したオーズドライバーのような剣を取りだし俺のクローを受け止める所かそのまま弾き飛ばした。

 

「っ…とっ!あっぶなぁ…」

 

ズサァッ!と地面に吹き飛ばされた際に爪で地面にブレーキをかけ壁にぶつかるのだけを阻止する。

て言うか相手は武器持ちか…にしても見たことない剣だ。模様とかがオーズドライバーに似ているけど…気にしている場合じゃない!

 

「マリヒコ先輩…行けますか」

 

そして先程壁に衝突しダメージを負った小猫ちゃんが俺の横に立ち構えを取る。

 

「っ…一気に三人でかかるよ!」

 

そしてヴラドさんとの剣戟で弾かれたのかこっちに勢いよく来て、構えを取り直す木場。

 

「オーケー…行くぞ!」

 

そして一気に走り出し、まずは小猫ちゃんの格闘攻撃が繰り出され、それに続くかのように木場は新たに風が吹き荒れる魔剣を創り、疾風をヴラドさんに浴びせかける!

 

そしてその際生じたであろう隙を狙い、バッタの跳躍力で一気に距離を取り、爪による突きを放つ!

 

「連携攻撃…いいね~そういうの好きだよ♪」

 

<キィン!キィン!キィン!スキャニングチャージ!!>

 

「ハァッ!!」

 

そう言いながら彼女…ヴラドさんは一枚の銀色のメダルを指で弾きオーズドライバーのような剣に"三枚"装填するとオースキャナーで剣をスキャンして__

"空間ごと敵を切り裂いた"。

 

「なっ…くぅっ!!」

 

「っ!!」

 

「えっ…せん、ぱ_!」

 

その斬撃に対し、木場は自身の魔剣で防ごうとするも、僅かしか防げなく魔剣は破壊され、木場自身もダメージを負う。俺は小猫ちゃんをその剣の範囲内に入らぬように突き飛ばし_

 

「っ…今、です!」

 

_身体中に一線の傷が入り、激痛が走り変身が解ける中。俺がそう言うと。

ヴラドさんの地面に、魔方陣が描き出され_

 

「ん?なんだこれ?」

 

ヴラドさんは魔方陣を不思議そうに眺めるようにしゃがみこんでジーっと見始めた。

そして…ドガァアアアアアアアアン!!!と、轟音を響かせ、ヴラドオーズに雷が落ちる!!

 

「ふふふ…これなら少しは効きますわね」

 

そしてヴラドオーズが居た場所には爆煙が広がる…そう、あの魔方陣は朱乃さんの雷を放つための魔方陣であり、俺らが戦っている間に朱乃さんの魔力を貯め、ライザーのレーティングゲームの際に体育館に放ったあの雷をもう一度ここで放ったのだ。

 

「ではマリヒコ君に佑斗君に小猫ちゃん。今のうちにアーシアさんの所に行って回復を_」

 

[コブラ!]

 

[カメ!]

 

[ワニ!]

 

[ブラカ~ワニ!!]

 

すると煙の中から聞いたことの無いコンボ音声が聞こえてきた。

そして煙の中から…見たことの無いオーズが"無傷"で歩いてきた。

 

「いや~まさかあんな攻撃をしてくるとは…いい攻撃だったからつい別のコンボを使いたくなっちゃったよ♪」

 

_その光景に一同は驚いたであろう。

倒せなかった事?否。例えあの雷で倒せなかったとしてもダメージは与えれたであろう。だがしかし。

 

今目の前にいるオーズは、俺が聞いた…悪魔達に伝わる伝説とはどれも当てはまらない姿だ。

 

「マリヒコ先輩…大丈夫ですか!?」

 

「え…あ、ああ、どうにか…」

 

小猫ちゃんの声に気が付く。

それを確認すると小猫ちゃんは「…失礼します」と俺の体を引き摺る。

 

「では…二人が回復している間に私が相手を…」

 

「いえ、朱乃先輩、僕も行かせてもらいます。僕の剣が伝わらないとなると少し…悔しいですからね」

 

ダメージを負っているであろう木場のその言葉に朱乃さんは驚きの表情を見せるも、木場のその覚悟を見た朱乃さんは何も言わず、ただ木場の横に立ち、未知のオーズをしっかり見る。

 

小猫ちゃんに引きずられながら自身の手足を少し動かし、そしてすっかり血まみれになって破けたジャージの方を見る…うん、どうにか腹部辺りの痛みだけで、意識はまだある。

後はアーシアの回復さえ受ければ戦場には復帰できるだろう。

 

「え?いや、回復しなよ?弱ってる人をいたぶる趣味は無いよ?待っててあげるからさっさと回復しなよ」

 

すると木場発言にヴラドさんは何言ってるの?みたいに言いながら腰をかけて待つ姿勢を見せてきた。

その発言に呆気取られたかの様子を見せた木場は、朱乃の方を見てうなづき、二人は背を見せずにゆっくりと、アーシアがいる方の背後へと移動する。

 

そして俺と二人がアーシア、そして部長とイッセーがいる地点に到達するとアーシアは俺と木場に優しい光を手から放ち、治療を始める。

 

「…ごめんなさい、私が上手く避けれなかったばかりに」

 

「いや、大丈夫…回復さえできれば後は戦えるから、それにしても…」

 

小猫ちゃんの謝罪の言葉を聞きつつ相手を見る。

 

「大丈夫だよ…それよりこれからどうするか、ですね」

 

「ええ…私の全力で放った雷がモロに当たったのにも関わらず、無傷でしたものね」

 

朱乃さんのその言葉の後に、イッセーは疑問そうにヴラドさんを見る。

 

「て言うかあのオーズ、俺が聞いた伝説じゃどれも色が当てはまらない様な…赤に緑に黄色。そして青に白…オレンジ?て言うか橙色ですよねあれ」

 

「そうね…少なくとも分かるのは一つ、アレはとんでもない防御力を持っている事ね」

 

その言葉に部長は怪訝そうな顔を見せる。

そしてイッセーは展開した籠手をジッと見て、言葉を口にする。

 

「…ドライグ、俺の足か目。それを引き換えに『禁手』を発動できるか?」

 

「!…バカ!そこまでして勝っても…」

 

「けどもうこれ以上見てるだけってのは俺には耐えられねぇ!…どうなんだ!?」

 

俺の言葉を振り払うかの様に籠手にそう叫ぶ様に問いかける。

そしてドライグの言葉が響き渡る。

 

《ああ、可能だ》

 

「!…それじゃ!」

 

が、ドライグはそのイッセーの言葉に《待て》と言い放ち、話を続ける

 

《ライザーとの戦いで分かってるだろ?どうせ5秒としか持たん。そんな不完全な『禁手』であの邪神と戦っても返り討ちにあうだけだ。アレはライザーと訳が違う。ゴリ押しで勝てる程甘い相手では無い》

 

「でも!」

 

《何も『禁手』を使うだけが正しい戦い方では無い》

 

その言葉にハッ、とした様子を見せるイッセー。

焦りが落ち着いたところを見ると、ドライグは話を続ける。

 

《…あの邪神に聞こえぬ様に声を小さくしろよ?お前らも来い。いいか…》

 

ドライグのその言葉に俺らは軽く内緒話、基作戦会議をする。

その間ヴラドオーズの方を見ると、「ま~だっかな♪ま~だかな♪」と、胡座をかきながらそう鼻歌を左右に揺れながら歌っていた。

 

…よし、作戦が決まると、みんなは顔を見合わせてうなづく。

 

「いい、マリヒコ、佑斗、小猫、朱乃…この作戦は貴方達がどれほど持ち堪えれるかが鍵よ」

 

その言葉にうなづき、部長は指示を下す!

 

「それじゃあ…あの邪神に目のものを見せてやりなさい!!」

 

ヴラドオーズに聞こえる程の声を張り上げ、俺らは『はい!!』と返事し、ヴラドオーズの前に立つ様に歩き出し_

 

「…行けれるかい?それで」

 

「ああ、多分後一回なら…」

 

俺は3()()()()()()()()()をドライバーに装填し、再び構える。

そしてオースキャナーを取り、メダルをスキャンし_

 

「…変身!!」

 

《ライオン!》

《トラ!!》

《チーター!!!》

 

そして自身の目の前に猛獣の紋章が三枚並び、それが一枚の紋章になると自身の体が変貌し、頭はライオンの様な鬣、腕にはトラの爪、そして足はチーターの様に発達しているコンボ。『オーズ ラトラーターコンボに変貌する!!

 

《ラタラタ〜!ラトラーター!!》

 

そして爪を展開し構え、ヴラドさんに言う。

 

「…ヴラドさん、ハッキリ言って俺には貴方に勝てれるビジョンが思いつきません。なら…せめて立ち向かう姿勢だけは見せます!」

 

「お!今度はラトラーターコンボだね?ちなみにラトラーターってエネルギー消費が激しいから気を付けてね?さて、覚悟も準備も出来たみたいだし…それなりに楽しませてよね?」

 

ヴラドさんは彼らの覚悟に敬意を表しながら立ち上がり、腕の盾を前方に構えたボクシングのようなファイティングポーズを取り、彼らに動きに目を配っている。

 

_コンボを使用したのはこれで二度目、その反動はライザー戦後でも痛い程よく分かる。

だが、未知のオーズに対して対抗するにはこれしかない。そして俺は木場と小猫ちゃんの方を見て、言う。

 

「木場!小猫ちゃん!…行くぞ!」

 

「うん!!」

 

「はい…これで挽回します」

 

そして木場の『騎士』の速さとラトラーターの速さでヴラドさんに一瞬で距離を縮める。

 

一撃目、木場の炎の魔剣による斬撃が放たれる

相手はそれを左腕の盾でいなしながら右足で魔剣を蹴り砕き木場を闘技場の壁に蹴り飛ばす。

 

二撃目、コンボによるパワーの上昇で斬れ味が上がった虎の爪で隙を与えぬ様に高速移動で詰め寄り連続で斬りかかる

相手はそれを両腕を合わせる事で巨大な甲羅型エネルギーシールドを発生させて全て防ぎきり、攻撃の隙をついて木場のように闘技場の壁に蹴り飛ばした。

 

三撃目、連撃で隙が出来たであろうその間を見逃さず、後方にいた小猫ちゃんによる鋭く、力強い拳が放たれる

相手は攻撃に合わせて両腕の合わせた盾を突撃し、殴った小猫ちゃんの方が拳を痛め怯んだ所を壁まで蹴り飛ばした。

 

「この程度の連携攻撃じゃまだまだだよ?ラトラーターの固有能力をうまく使って魔剣創造の特性ももっと生かしなよ?拳は叩き込むだけじゃなくてもっと受け流しや技を組み込むといいよ?」

 

そんなボロボロの俺たちを見て、敵である筈なのに何故か俺達はアドバイスを貰っている不思議な状況だ。

そしてヴラドさんは再び構えて此方の動きを見ているだけだ。

 

「…木場、小猫ちゃん、あれどう思う」

 

どうにか立ち上がった俺たちは、お互い顔を見合わせて言う。

 

「うん…中々厳しいね。特にあの盾は相当な防御力もあって突破が難しいし」

 

「それに…あの人の盾の使い方自体も上手いと思います」

 

真っ直ぐ行けば防がれ、横に行こうとすれば受け流され、隙を見せればあの盾に殴り飛ばされる。

それにまだ時間はそこまで()()()()()

 

「…まずは俺が隙を作ってみる。その後に二人ともよろしく!」

 

「!…わかった!」

 

「お気をつけて…」

 

そう言って俺は走り出し、ヴラドさんに向けてラトラーターのライオンヘッドの能力でもある、光熱放射を一点集中で放つ!!

勿論これは防がれるであろう、が…

 

「うーん、受け止めてばっかりは面白くないから…そろそろこっちから動くね?」

 

身体を反らし、最低限の動きで回避して攻撃するために両腕を横に開きノーガードのような構えで歩いてきた。

 

「っ!!」

 

そして殴り合いに持ち込むべく、チーターの高速移動で一気に駆け出し、トラの爪による連続斬撃を与えに行く。

相手が殴り返してこようが、チーターの加速力で出来うるだけ踏ん張り抜く勢いで一気に駆け出す!

 

「さっきまではあえて防いであげたけど…それも必要なさそうだね?」

 

しかしヴラドさんはその鋭い爪をあえて防がずに受けた…だが、ラトラーター素早い連続攻撃でどれだけ傷つけようと、その付けられた傷は瞬時に治っているのだ。

 

「はぁあっ!!」

 

「ていっ…!」

 

木場と小猫ちゃんが背後から攻撃をする。

木場の魔剣による斬撃に傷がつくが、すぐに治ってしまい。

小猫ちゃんの打撃も、幾ら喰らってもまるで効く様子が無い。ならば_

 

「朱乃さん!!」

 

「ええ…()()ですわ!!」

 

再びヴラドさんに魔方陣を展開し、雷の発射体制を整える。

 

「雷か…良いよ、撃ってみなよ?」

 

するとまた立ち止まって受け止める姿勢を見せてきた。

あまりの不気味な行動に驚くがすぐに切り替えすぐに対処できるように構えながら朱乃さんを護るように構えた。

 

「では…喰らいなさい!!」

 

そして雷がヴラドさんに放たれる。

_勿論これで倒れるわけがない、だがそれは想定内だ。

俺はすかさずオースキャナーを取り外し、もう一度メダルをスキャンしようとする。

 

「…うん、やっぱりこのコンボ…雷に強いや」

 

[スキャニングチャージ!!]

 

しかし、俺ががスキャンするよりも早く煙の中から物凄いスピードで何かが飛び出してきた。

それを認識したときには__俺は大きな鰐に噛みつかれていた。

 

「!…マリヒコ君!!」

 

_これでいい、この顎は恐らくあの未知のコンボの技だろう。

恐らくはこれに噛まれている間、技を放った相手は()()()()

そして身体中に来る激痛に耐え、オースキャナーでメダルをスキャンする!

 

《スキャニングチャージ!!》

 

「っ…のぉおおおおおおお!!!」

 

そして巨大なエネルギーを纏った爪で、挟んで来る顎に対し押しのけようとする。

勿論、俺のダメージが深く、力がもう入らない、だが僅かに時間を稼げた!!

 

「いまだ…イッセー!!部長!!」

 

その言葉にイッセーは籠手を赤く光らせ、そして部長にその手を向ける!

 

「ああ…部長!!受け取ってください!!」

 

《Boost》

 

「ええ…貴方達が稼いだ時間!無駄にしないわ!!」

 

そして今まで貯めた籠手の力を譲渡された部長が悪魔の羽を展開しながら、右手に紅い光を放ちながら飛んで来る!

 

「…だろうね」

 

しかしヴラドさんはまるでわかっていたようにリアスから放たれた紅い光の方を向き、素早くメダルチェンジを行いスキャンをした。

 

[タカ!]

 

[イマジン!]

 

[ショッカー!]

 

[ターマーシー!タマシー!ターマッシー!! ライダァァァー魂!! ]

 

なんと紅い光を変身時発生するメダル状のオーラで完全に防ぎ、そのまま別の姿へと変身した。

 

「…嘘、でしょ!?」

 

「マジかよおい…!」

 

その光景を見て、そう呟くイッセーと部長。

それもそうだ、ブーステッド・ギアの譲渡を受けた滅びの魔力ですらも受け止めた。もうこれ以上俺らに打てる手立ては無い。

 

「っ…!」

 

顎から解放された俺は変身を解除され、手を地面につける。

もう体力が尽きている…もし次に攻撃が来れば俺らの負けが目に見える。

 

「…君達の本気の攻撃に敬意を表してこの一撃で終わらせよう」

 

[スキャニングチャージ!]

 

するとヴラドさんは俺達から距離を取り、スキャニングチャージをし…こっちに放つために炎を溜め始めた。

 

「!…みんな!逃げ_」

 

「!…アーシア!!」

 

 

俺は周りにいるみんなにそう言おうとし、そしてイッセーはアーシアを庇うべく走り出す_

 

「ハァーッ!!」

 

そして溜められた炎がヴラドさんの手から解き放たれ___俺達の横を通りすぎた。

呆気にとられていると後ろから悲鳴が聞こえた。

振り返るとそこには異形の姿の怪物が燃えていた。

 

「はぐれ悪魔だね、君達が私しか警戒して無かったから狩らせてもらったよ?」

 

「…えーと、それって…」

 

「私達は…助けられたと言う事ですか?」

 

イッセーに庇われているアーシアがそうヴラドさんに言う。

「恐らく私が最初にやったはぐれ悪魔とコンビでも組んでいたんだろ、最初からあの場所に隠れてたみたいだから君達の力を試すついで潰すつもりだっただけだよ…」

 

変身を時ながら少し言葉を溜め…少し頬を赤らめ笑みを浮かべながら次のようなことを言ってきた。

 

「君達が思った以上にやれて愉しすぎで少し本気になりそうだったよ…こんな楽しませてくれる子達は久しぶりで心が高鳴ったよ♪」

 

…美少女な見た目のせいで無駄に似合っているが中々物騒なこと言ってないか?

 

「…ありがとう、私の眷属を助けてくれて…それと、私達の負けね」

 

部長はヴラドさんにそう言う。

その思いはみんな同じだった。力の差だけでなく、経験、戦闘センス、そして状況判断…全てにおいてヴラドさんの方が全て上だと言う事はもうみんな分かっていた。

 

「いや、この勝負は君達の勝ちだよ?」

 

だが、ヴラドさんは部長の言葉を否定するようにこちらの勝ちと言ってきた。

その事に疑問を持っていると理由を話始めた。

 

「まず前提条件として私と君達とじゃ力の次元が違うよね?その上、私は君達の力をほぼ全て把握しているしオーズに至っては自分も使うから戦闘スタイルすらも把握している…これじゃあそもそも公平ですらないよね?」

 

確かにそれは納得する…しかし、それは戦いをするなら当たり前の事で問題ないと思い、それが理由じゃないと思っていると突然満面の笑みを浮かべた。

 

「だけど君達はそんな私の予想を超える…いや、予想以上の力を見せてくれた!私と言う畏怖の存在を前にしても逃げずに挑んだ事こそが素晴らしい事だ!!未来ある若き悪魔よ、そして王の力を受け継いだ人間よ!絶望的な状況でありながら逃げずに私に挑み続けた事を誇るがよい!!」

 

_その言葉にみんなは驚いた顔をし、見合わせる。

 

「…えーと、イッセー俺ら邪神様に認められた…ぽい」

 

「な、なんか凄すぎて実感湧かないと言うか…取り敢えず喜んでおくか?」

 

「そ、そうだな、いぇい」

 

そんな気の抜けた会話を見て、部長は軽くため息をつくが、すぐ笑顔になる。

 

「そうね…私もまだまだって事を思い知らされたわ」

 

「今回の戦い…かなり肝が冷えましわね」

 

「そうだね…けれど、手応えはあった」

 

「はい…」

 

「私は回復しか出来ませんでしたが…皆さんがご無事で何よりです」

 

みんながそれぞれの感想を言う。

戦力の差はあったが、それでも満足のいく戦いであった。

 

「うん、喜んでおくといい?自分で言うのはあれだけどほんとに磨けば輝るモノがある子しか褒めないからね♪さて、そろそろ戻ろうか」

 

ヴラドさんが指パッチンをすると先程までいた闘技場ではなく最初にいた廃墟に戻っていた。

そしてヴラドさんは投げ飛ばしたはぐれ悪魔と先程まで焼いたはぐれ悪魔を抱えて此方に近づいてきて目の前に置いた。

 

「このはぐれ悪魔達の処理は君達に任せるね?まぁ、けど今日の事は覚えてないかもね?それじゃ、まったねぇ~♪」

 

そしてヴラドさんが再び指パッチンを鳴らすと突然俺たちは目の前が真っ暗になり、次に目を覚ますと___

 

▲▼▲▼▲▼▲▼

 

_目覚まし時計が鳴り響く。

それは最近おじさんが買ってきた『クトゥルフ目覚まし』と言うもので謎の呪文が目覚まし替わりに流れてくる。

 

「…おじさん、なんで変なもん買ってきたんだよ…んくっ」

 

俺はタコのバケモン、クトゥルフを模した時計のボタンを押し謎の呪文を止める。

いあいあとか聞こえてきたけど、目覚ましとしていいのかこれ?まぁそれは置いといて、パジャマからいつものジャージに着替え、スマホを見ると一件のメッセージが入ってた。

 

【よかったらうち来るか?オカ研メンバーみんなで集まるけど】

 

イッセーのメッセージだ…そう言えば昨日、俺らはぐれ悪魔を追っていて、それで確か相手はタッグを組んでいて…ん、あれ。

…もう1度記憶を振り返るも、その後倒して帰った…て言う記憶しか蘇らない、ん、なんか変だ…

 

「…まぁいいか」

 

俺はそう呟き、部屋にある鏡を見て自身の髪をポニテに纏め、例のタコ目覚まし…クトゥルフ目覚まし時計をチラ見して部屋を出て下の階に降りる。今日は土曜でお休みだ、部室でゆっくりするのもいいだろう。

 

「おはよーおじさん…あの目覚まし時計どこで買ったの」

 

「あ、おはよーマリヒコ君!いやーあれリサイクルショップで見かけてさー、ちょっとビビッと来たのよビビッと!で、使い心地はどうだった?」

 

「余りに独特すぎてコメントしづらい…それで、今日の朝ごはんは?」

 

「えーとね、ハニートースト作って見たけど食べて見る?」

 

「おー…それじゃ食べてみようかな、いただきまーす」

 

食卓へ着き、何気ない会話を交わしながら朝ごはんを食べる。

うん、カリッとしてて尚且つ蜂蜜の甘みが舌に広がる。

これはうちのメニューに出してもいいんじゃないだろうか。

 

そして食べ終わり、ご馳走様と言っておじさんに今日はイッセーの家に行くことを伝えると、「いいね〜、青春溢れて。ゆっくりして言ってね」と呑気に言う。

 

▲▼▲▼▲▼▲▼

 

イッセー家に到着し、家に入り軽くイッセーの両親に挨拶し、そして階段を上がり部屋へと向かう。

 

「よーっすイッセー」

 

「よっす」

 

ガチャリ、と部屋のドアを開けるとイッセーが挨拶をして来る。

 

「おはようございます、マリヒコ君」

 

「おはようございます朱乃さん…て、この箱は」

 

朱乃さんと挨拶を交わし、ふとテーブルを見ると一つの箱が目に入る。

 

「おはよう、昨日はぐれ悪魔を討伐したよね?これはその関係者からのお礼らしいわ」

 

部長曰く、匿名であのはぐれ悪魔を倒したことによるお礼で送られたものらしい。

 

「これは…有名店のシュークリームです」

 

と、小猫ちゃんは目を輝かせてそう言う。美味しいものに目がないね。

 

「けれど…箱の中には8個入ってたんだ」

 

「不思議ですね…」

 

と、木場とアーシアは疑問そうに言う…8個?

軽くオカ研メンバーを数えて見る、俺、部長、朱乃さん、小猫ちゃん、木場、そしてアーシアにイッセー…あれ、一個余るな?

 

「一応一個は、私のもう一人の『僧侶』に渡して置いたから安心して。けれどなんで…」

 

もう一人の『僧侶』。ライザー戦の後も魔界に関しての座学をして来たが、そのついでに部長の眷属にアーシア以外の『僧侶』がいるのを聞いている。今は事情があって会えないが、会える時が来るだろう。

 

「もしかしたら部長のファンとかじゃないですか?」

 

そうイッセーは部長に言う…ファンならありえるかもだけど、そこまでの事情を知るとは何者か…

 

「それはどうかしらね…まぁ後で考えるとして、みんなこれでお茶にしましょう。お願い朱乃」

 

「はい、部長」

 

そして朱乃さんがティーセットを用意し、紅茶を注ぎ、みんなに配り始める。

 

「それじゃあ…いただきましょう」

 

『はい!』

 

そして軽くイッセーの部屋でお茶会が始まる。

シュークリームの味の感想は…めっちゃ美味かった。

皮がサクッとしてて中がふんわりしたクリームがなんとも言えなくて、朱乃さんの淹れたお茶と中々合っていた。と言うかベストマッチ過ぎる!

 

「ん〜、いいシュークリームですねぇ。もしこれを届けた人に会ったらお礼を言わなくちゃ」

 

「そうですわね、うふふ」

 

「ああ…主よ、この幸せなひと時にどうか祝福を…うっ!!」

 

「あ、アーシア…大丈夫か?」

 

「このシュークリームはいいものです…あむ」

 

「そうだね、確かこれってかなり遠い店の物だよね」

 

「そうね、ゆっくりと味わいましょう」

 

_ゆったりとお茶の時間が流れて行く。

この風景を見て俺はこう思った…みんな、幸せそうでいいなぁ、と。

こんな風景を守っていきたい、と_

 

 

 

 

 

 

 

 

__その光景を離れたビルの屋上から覗く一つの影。

 

「どうやら記憶改編はしっかりされてるみたいだね」

 

ヴラドは彼らにかけた記憶改編がしっかりとされてる事を確認してホッと一息ついた。

そして今後彼らに振りかかる運命について少し考えていた。

 

「この世界は彼らの世界、転生者もいないこの世界にあまり干渉するのはいけないけど…もう少しだけ彼らの為になるような事でもしてから帰ろうかな?」

 

そう考えたヴラドはオーロラを展開し、この世界の何処かへと姿を消した___

 

▲▼▲▼▲▼▲

 

こうして気まぐれな外なる神の王と若き悪魔達との戯れは幕を閉じた。

しかし、その気まぐれが再び起きたさい、彼等はどうするのかは神のみぞ知る事だ。


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