頭空っぽにしてお楽しみください
≪朱雀院キリトの苦難の日々またはクラデュール・オ・レンジの滑稽な人生計画≫
私の名は朱雀院キリトという。
此処魔法世界≪ムンドゥス・マギクス≫に生み落とされた転生者というやつだ。
神を名乗る老人から『魔法を剣の形に凝縮できる能力』名付けて『黙示録の魔剣≪アポカリプス・バルムンク≫』を授かり、魔法界では珍しくもないので違和感がない筈であろう銀髪でクリアブルーとクリムゾンレッドのオッドアイ。紛う事なき美形の青年。それが私だ。
……本名が覚えのある創作物にアレ過ぎる響きだったので、思わず改名してしまったのは遺憾だが。
あれこそが黒歴史だ。だからこそ私は、捨て去ったかつての名を語る気はない。俺の、いや、私の本名は≪朱雀院キリト≫だ! それでいいじゃないか!!!
コホン。
そんな私だが、今現在は由緒ある国である≪ウェスペルタティア王国≫の姫殿下の近衛兵を務めさせてもらっている。
生まれこそ没落貴族で、家柄知った瞬間に「詰んだ」と悲嘆に明け暮れた日もあったが、私の実力を買っていただいた騎士団の先輩方には頭も上がらない想いである。そんな先輩方も先の戦争で勇敢に戦った勇者たちであった――。是非とも墓前には高価な花を飾らせていただくので、安らかに眠ってほしい。
さて、王族の近衛兵となれば騎士団の中でもエリートコース一直線なわけなのだが、かてて加えて警護に当たっている姫殿下の美しさは天井知らずである。
前世にて読んでいたラノベならば、間違いなくメインヒロインクラスの美貌。そして私が『転生者』という特別かつ特殊な立ち位置の人間なれば、間違いなく私こそがこの世界の『主役』の座を握っているはずだ。
リアルプリンセスラバーキターーーーーー!!!
………………と、逆玉の輿を想定していたはずだったのだが、ちょっと想定外のことに晒されて少し困惑しているのが最近の日常である。
この世界にネットが繋がっていれば、某掲示板にて解決策を安価で急募するくらいには困っている。我が脳内の『オマエラ』よ、今こそヘルプの時である。
まず、戦争があった。
世界を二分する大規模な戦争が起こり、我らが王国も両陣営から狙われていたのか、間に挟まれ激戦が治まらない日々が続いた。
今でこそ護衛をしている私だが、当時は騎士の一兵卒であった。そんな私が成り上がれたのも『騎士団大量虐殺事件』という生首がゴロゴロ乱雑に散らばった挙句に土地そのものを崩壊させられた『グレートブリッジ陥落戦』が根本にあるのだが、今はその話は置いておこう。
幼馴染の一人もいないままに戦争が始まった、などというギャルゲーでは有り得ない展開だが、これがエ●ゲーなら戦場で生まれる恋もあり得るかと思いきや、遭遇したのがそれこそ黙示録かと間違いそうな超局地的災害魔法の混沌である。引き起こしたとされている赤き翼は絶対に許さない。絶対にだ。
そしてその問題である赤き翼が、こともあろうに姫殿下に群がっているのである!
おいふざけんなよ糞共がテメェラ誰のヒロインに勝手に近づいてやがる距離をとれ距離をこれだけ威圧してもわからんのかよクソガキがぁあああああ!?
――ふぅ。
そして、そんなクソガキを出し抜いて、今私は『夜の迷宮』に捕らわれの身となっている姫殿下をお助けするべく馳せ参じた次第であった。
待っていてくださいアリカ姫!
この朱雀院キリトが! 今こそ貴女をお助けします!
そしてその暁には……っ! ぐふゅ、ぐひゅひゅふひゅひゅ――以下自粛――
× × × × ×
さーて、どういたしましょうかねー。
皆様こんにちは、首狩りメイドのマリーです。うっうー!
今私は、なんでか知りませんけど≪夜の迷宮≫とかいうなんだかエロティックな名称の場所にて、捕らわれのヒロインもどきをやっております。
……いえ、逃げようと思えば逃げられるのですけれども、捕えた人たちの狙いは私が本日御付であるヘラスの第3皇女であらせられるテオドラ殿下――ではなくて、会談ということでご一緒におられたアリカ姫だったらしく……。
……正直、メガロ側であったこの人を、私が守る必要性なんて微塵もないんですよねー……。
でも連れ出さずに逃げたら帝国にも居づらくなりそうな気もしますしー、アスナ様にも良心の呵責から顔向けできなくなりそうですしー。
……めんどくせーなー、全部ほっぽって逃げちまうか……でもそうしたら師匠が怒るかも知れないし……。
ぶっちゃけ大した面識もないであろうアリカ姫を放置するよりも、一応は国を挙げて迎え入れ準備万全である帝国の第3皇女殿下を放り投げるほうがずっと師匠には怒られそうな懸念でもあったりします。
でこつんさせられてしまいそうですー。
うっうー(´・ω・`)。
あ。
捕えた人たちが、なんだか私を見る目が若干やばげ。
師匠を見るお城の女中さんたちみたいな目ですね。
→ロリコンの目だよあれは!
→貞操の危機です!はわわ!
→もう全部ぶっち斬っちゃって良くない?
ですね。
それでは、お仕事お仕事ー。うっうー!
「アリカ様! 助けにk
≪祈典如の冒険でしょでしょ!?≫
「見様見真似、九頭龍閃!」
一体誰のを見真似たのか。
そら君改め師匠さんが、頭身以上の槍だか鉾だかで迷宮の魔獣をざっくばらんに解体した。
つよい(確信)。
「――はい、やってみ」
「無茶な!?」
縮地が使えるお人の基準で、一般奴隷に毛が生えた程度の小娘になんという無茶振り。
この人についていくのは早まったのかなぁー……。
だがしかし、他に碌な選択肢がないというのも事実なので、私は今日も冒険という名の修業を執り行う。
ハローハロー読者様。
読んでいる方がいらっしゃるかは甚だ疑問ですけれど、徒然なるままを日記みたいに書いてみてます典如です。
文章に残すことのリスクは百も承知ですけれど、思考を整理することに一役買うらしいからと、お師匠の教えの下に執筆活動中です。
ちなみにタイトルはせめてもの抵抗。
日々が冗談にならないので冗談ぽく書いてみた。
読む人は私の扱いに咽び泣くといーよ!
私との邂逅にて色々思うところがあったらしい師匠さんは、雪房とか赤目嵐とかと話をし、何やらこの世界についての造詣を一層深めたみたいでした。
私? 話についていけなくって途中で挫折。
少なくともこの世界には幽霊の類は私に憑いてきている三体以外にはいないらしい、ということは理解できたっす。
あとの例外は師匠のスタンド?くらいだとか。
理由については師匠が色々考察していたけど、あーいうことを語るのが好きな人なのかなー、ってスルーに近い形で放置してたらふてられてしまいましたです。
ふて寝する少年が可愛くて、ちょっとショタコンでもいいかも、と思いかけたことは墓の下まで持ってゆく。
ちなみに鋒吹丸は無口ちゃんなので、会合には参加せずに私ともふもふしてました。
――で、問題だったのはその先の事項。
なんか私のオーバーソウルってシャーマン●ングのアレとは結構別物であるらしく、使うごとに寿命とかそういったものが削れてしまっていたらしい。
マジっすか、と驚愕の真実にびっくりな私。
それをなんとかするために、今現在修業の真っ最中であるわけでありまして……。
――一般魔法を一通りと最低限の体術をハー●マン軍曹張りに仕込まれております……――。
「――あれですか、師匠は私に泣いたり笑ったりできなくなれと暗に言っていますか……?」
「いやいや、そんな機械みたいな人間を作る気はさらさらないよ? 泣いたり笑ったりしながら人並み以上のことをできる人間が生まれるほうがずっと有意義さ」
その割には烏丸ブートキャンプがハードモード以上にルナティック。
要求レベルが割高で、最近死んだように眠る日々が連日連夜です。
自衛隊の訓練って、こんな風なのかなぁ。
「何しろ個人スキルが命がけだからなー、それに頼らない生存戦略を組み立てるのは必須だろ? 出来ることが増えるのはそれに越したことはない」
「……コ●ン君って師匠みたいなのかなぁ」
「おい、現実逃避するな」
基本的に魔法を覚える必要性がこれまで皆無だとばかり思っていたわけですから、一からまた学び直すのがまた面倒で面倒で。
それに合わせて体術訓練を強いられておりますが、この人の基礎レベルがなんか普通におかしい。
呼吸と同時に踏み込みをしろとか、武器を構えて突くんじゃなくって構えた瞬間には遅いとか、判断以上に反射神経を優先させろとか、要するにノーモーション(無拍子)で体幹を組み立てろとか。
それって何処の達人レベルの修業ですか?
第七感覚を目覚めさせろ、とか、甲羅を背負って牛乳配達しろ、とか。そういう分かりやすいレベルの修業が望ましいです先生!
「そうこう言ううちに、第二波がきたぞー」
お休みは終了のご様子。
師匠の声と同時に、砂煙を上げて襲い来るのは腹を空かせた魔獣の群れ。
……うわぁー、目がすっごい血走ってるぅー。
……せめて魔法剣を作る師匠の技術を教えてください!
重力場を発生させるその槍とか!
この鋼の剣(RPG風)だけだと心許無いです!
「基礎が出来てからな」
チクショー辞めてやる!現実なんて辞めてやるー!
≪烏丸先生のハートフルボッコ魔法界講義初級編≫
霊が見えるという少女、典如を拾って大体二週間ほど。
俺たちは彼女の修業のためにダンジョンと魔獣で溢れかえっているRPGの本場、所謂≪夜の迷宮≫にてキャンプを張っている。
見た目年上を少女と呼ぶには語弊を招くかもしれないけれども、“前”での俺より年下に見える中学一年生くらいなのだから、もうそれでいいだろう。
こっちも別に敬ってほしいとか、態度に気を付けろとか、そういうことを言うつもりはないのだからお互い様、というやつである。
ちなみに≪夜の迷宮≫と聞くと、なんだか記憶の片隅にイベントが張ってあったような、原作知識が警鐘を鳴らす気配を微かに感じるわけだけど。
……まあ迷宮区もそれなり広いし、鉢合わせるとかそうそうないだろ。うん。
こっちも一応の目的あってのことだから、出会ってもスルーしておけば問題ない筈。
典如の修業、と書くと俺を知るものならば違和感を覚えるだろうけれど、彼女の場合は“いつものように”魔法圧縮コードを身体へ埋め込むのは憚られる。
別にこいつの体を気遣ったとかそういうわけではなくて、特典の消失が関わるから手が出せないわけで。
なんでそれを知るかって?
実行済みだからだよ、言わせんな恥ずかしい。
インキュバスのやつは簡単な重力魔法を埋め込んだ程度で二コポが消え去ったし、他にも2・3人転生者らしきレアスキル持ちを改造したらレアスキルが消失した。
どうにも俺の圧縮コードとの相性は頗る悪いらしい。
致命的なのが『幻想殺し』を持っていたやたらと説教の長い少年だったのだが、作って使いどころのなかった龍化魔法を埋め込んでみたら途端に無口になってしまった。
作品準拠ならば異能を悉く破壊するはずの右手のはずだったのだが、何故かスタンドとかスタイルとかは無効化できなかったので普通に圧倒できたのだけど。
魔法自体は大体無効化できているらしかったから、あのままだったらナギ程度には勝てるように成長できていたかも、と思うと若干悔やまれる。
面白そうだったのだけどなぁー。
こちらを転生者だと決めつけて殴り掛かってきたので思わず『捻じ伏せ』てしまったわけだが、作品に準拠するならあれは魔術基準世界だから魔術を下積みとしている異能を破壊可能なだけであって、そのままだと多分別の世界線じゃ役立たずのままに終わるのだろう。
憶測だけれども、転生特典も無効化できるように転生神に調整してもらった可能性が、……無きにしも非ずな微妙な芳香が微かに芳しい。まあ、俺のは特典でもない別世界の法則に則ったらしき技術だから無駄だったのだろうけど。
典如の話を聞いても思ったが、件の転生神は碌な事を仕掛けないのだなぁ、とやや呆れる。
今じゃあどれも想像するしかできないが。
件の少年、名を雲蔵といったか、が今どこで何をしているのかは全く持って不明。
トライピースにも入った様子はないし、生きてるのか?
さて、そんなもうどうでもいい話はさておいて。
夜の迷宮くんだりまで足を運んだのは、簡単に言うなら火事場泥棒みたいな理由だったりする。
レアな魔法アイテムが眠っていると聞くので、ちょっと漁りに。
――いや、そんな目で見ないでよ。
構造がどうなっているのか、ちょっと気になっているだけだよ。
大体調べ終えたら売るだけだからさ。
リライトが小刻みに発動しだしたんだから、今のうちに拾えるものは拾っておくべきだと思うんだよね。
それというのも、霊を見えるという話を聞いて、疑念があった魔法界の事情に少しだけ解析の目が向けられたからなわけだけど。
魔法界の死者が欠片も霊化していないということは、戦争の死者は全員が“完全なる世界”へと還元しているとも考えられるのだが、俺はそこにちょっと待ったをかけたかった。
そもそもアスナ不在の状況で、リライトが完全に発動しているとは若干疑わしい。
そこは造物主の手腕が関わっているのか?とも考えられそうだけど、それ以前にリライトの使い手以外の手で死んだ奴らの霊も存在してないということは、完全に消滅していることを指す。
そんな高度な技術が全員に備わっている世界?
その時点で眉唾過ぎる。
――となれば、“世界自体”にその下準備が備わっている、と考えたほうがむしろ自然な理屈が当て嵌まるわけだ。
この世界で死んだ命って、魔力になって循環するんじゃね?
円環の理に還るとか、そんな設定があるとかさ。
原作の最後の方、明日菜が魔法世界を再構築したシーンに、少しばかりの突っ込みを入れたいわけですよ。
それができるんなら、栞のお姉さんも蘇らせられるんじゃねーですかね?って。
魔法界においての完全なる死者と、リライトによって不完全に消失させられた被害者と、差異は一体何処にあったのかと。
俺としてはそこが少しばかり気にかかる。
もしこれが、復活させられなかったのではなくて復活できなかったのだとしたら、そこには相応の理由が眠るはず。
そう考えた末の、件の疑問。
世界自体を構築している魔力の脈動が存在していて、死者は漏れなく其処へ還る設定が出来上がっているのだとしたら。
だとすれば、霊を見れなかった、という事実も理解できる。
さてそんな事実を知った以上、俺としてはリライトには少しばかり抵抗したい。
せめて不完全すぎるあいつらの手筈をどうにかこうにか改造できないものでしょうか、と少しばかりの参考に魔法アイテムを乱獲するのが正当な理由。
どーよこの理論武装。
そんなに疑わしいならば見てろよ?
悪の組織も正義の味方も、どちらの勢力も壊すことなく、俺が魔法世界を救ってみせる!(キリッ)
「師匠師匠、なんか無駄にカッコいい顔つきしてるところ悪いんですけどちょいご相談が」
「なんだよ無駄って。カッコよければいいじゃねーかよほっとけよ」
「いやだって小学校上がらないくらいの男の子がそんな顔つきしたところで、ねえ?」
うるせぇな。
年齢(そこ)は言うなよ、気にしてるんだから。
心の中で大言壮語且つ主人公キャラ気取って騙っていたら、なにやら用事のある典如に突っ込まれた。
なんすか、何の御用?
レアアイテム見つけた以外の用事だったらスルーな。
「壁突き抜けて甲冑騎士が吹っ飛ばされていったんだけど、穴の向こうに女の子が何人か捕まっているって、雪房が」
ん? 山賊かなんかの住処だったのか?
――そんな呑気な気持ちで顔を覗かせたことを、俺は暫く後悔する羽目になる。
~黙示録の魔剣
アwポwカwリwプwスwバwルwムwンwクwww
所謂、ぼくのかんがえたかっこいいオリのうりょく()
よくあるよくあるwww
朱雀院のよく使うのはそのうち出す予定
え?死んでないですよ?
~うっうー(舌打ち)
三十路の岬で演歌を歌うようなやさぐれマリーがチラ見
なんというブラックマリー。いやさ、ブラッディマリー?
……大丈夫!マリーは相手の間合いの外から切り殺せるから返り血を浴びないのが仕様です!
……それ何処のスズキさん?
~典如の憑依合体
実はガチでケルベロス的肉体構成に則っている赤目嵐らの骸装形態。典如たんの皮膚や髪の毛血液などを素体に肉体を構成して鎧状に身に纏っているというのが正解
地味に寿命というか、身体細胞の分裂数が懸念される擬似的オーバーソウル
――そして地味に朱雀院君のレアスキル(もどき)を扱える烏丸
~幻想殺しの転生者
神成雲蔵(しんじょう くもぞう)。これさえあれば魔法使い相手なんてラクショーだぜ!と意気込んだかは知らないが魔法界へとやってきていた現実世界出身の少年兵
烏丸が察した通り、転生神の微調整を要求して相手が転生者ならばレアスキルという名の転生特典をも掻き消せるように設定してもらったらしい。が、そもそも烏丸の能力は特典と違うし、同じネギまでも別の世界線(宇宙)から移動したので効果がないままに瞬殺。というか幻想殺し自体が一つの世界を準拠にした基準点としての性能を持っているに過ぎないとかって原作であった気がするから、多分この解釈であっているんじゃないかなと思われるのだがどうか
ちなみに埋め込まれた龍化術式はRAVEの竜人みたいな見た目に変身する魔法。火も吹ける
もひとつちなみに、螺子で迎え撃たれた彼の最後の台詞「えっ、オ≪大嘘憑き≫!?ちょい待てそこは普通に贋作士だろボフォウ!?」
~物語を壮大にするならしっかりと設定語ってから終わってよ先生
リライトと魔法世界の関係性についての一種の解釈をさらっと語ったけれども、不明部分と納得できない部分が多大にあるままに風呂敷無理矢理畳まれても単行本を山積みにした焚書活動が勃発する土壌が育まれているだけなんじゃないかと僅かばかりの懸念があるのですがそれわ
有給とかで、寿命が違う程度で目くじらを立てる奴が普通に異常な精神性の持ち主みたいな書き方にしか見えない漫画を続けている場合じゃないっすよ先生
そもそもフェイトが出てきたけど、おもいっくそ敵の組織の大ボス的な立ち位置でついでに不死者でもあるんだから、排斥運動やっている下っ端がなんかただの快楽主義者っつうかちょっと強いチンピラみたいなキャラにしか見えなくなってきたのがどうにもこうにも以下略
言いたいことは大体書いたのでまた次回