魔王、リースグランデ。人類にとっての絶対的悪であり、滅ぼすべき神敵であるとされる彼女は、俺が所属していた王国ではまるで悪魔のように残虐で、ゴブリンのように汚らしいナニカであるとされていた。
実際に会うまでは、魔王が男であると俺は思い込んでいたし、そもそもリースグランデという名前も人類は知らなかったのだ。いや、知っていたとしても、何も変わりはしなかったのだろう。
知っていたところで、人々にとっての魔王とは人類の憎むべき神敵であるということに変わりはいのだから。
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凄惨な笑みをたたえて、牢屋に囚われた俺の前に立つ魔王を、俺は力なく見上げて話しかける。
「 何の、用ですか…?」
言った瞬間、魔王の笑みが楽しげに深まるのが分かった。
「何の用…? 何の用、だと。くふっ、くはははは! 私が、私のモノの所に来るのに一々理由が必要か!? いや、要らぬ。要らぬとも! …ふふっ、だが、まあ強いていうとするならば、お前に会いたかったらだよ。ユリウス。ああ、愛しい、愛しい私のモノよ」
言いながら魔王が近づいてくる。そして牢にぶつかろうとした瞬間に、まるでそこに何も無かったかのように牢を通り過ぎてきた。
これこそが、人類が魔族という種に勝てぬ理由。魔族のみが持ちうる絶対的種族優位。魔法だ。
そもそも、魔族とは一体何のことを指すのか。端的に言ってしまえば、それは魔法を使える人型の生物のことである。つまりは、前世で言ったところのエルフや獣人といった魔法を扱う幻想的な人型種族もまた、魔族であり、人類にとっての敵なのである。
「ふふっ、なあユリウス。今、一体何を考えているんだ? 何を思い、どう感じているんだ? 見たい、知りたい、感じたい。お前の全てを知り尽くしておきたいんだ。」
思考に没頭しているうちに俺の目の前まで近づいていた魔王が、その長身を屈めて、座り込んでいる俺の顔を覗き込むようにして言う。
そしてフラッシュバックする恐怖とトラウマに、思わず顔を背けようとすると、それを察知していたかのように伸びてきた魔王の手が俺の顔を包み込んで固定した。
ーーーっ!
思わずその手を振り払おうとすると、体が震えて動かなくなる。気づけば、いつのまにか妖しく輝く魔王の瞳に囚われていた。
あぁ、怖い。恐ろしいんだ。寒くもないのに体の震えが止まらない。ぶわっと髪が逆立ち、鳥肌が立つのがはっきりと分かる。
気がつけば、俺の顔の至近距離に、魔王の顔があった。その息遣いすら聞こえてきそうなほどの距離と、浮かべた残虐的な笑みに涙が溢れそうになるのを、必死で堪えて瞬きを繰り返す。
にたり、と魔王の笑みがさらに深まると、すでに近い所にある顔をさらに近づけて、恐怖する俺を尻目にすっと顔を逸らして耳元で囁いた。
「ユリウス、ユリウス、ユリウス。かわいいなぁ。なぁ、何をそんなに怖がっているんだ? ん? もしかして私を誘っているのか? こんなに涙を堪えて、あぁ、こんなにも…そそる顔をしてっ!」
いつのまにか俺の後ろに回っていた手に力を込めて抱きしめられるのが分かった。息苦しさに身を悶えようとして、体が動かずにそのまま魔王に耳を艶めかしく舐めらて、しゃぶられる。
「ん、やぁっ! あ、ふぅ、ひぃ!」
自分の喘ぐ声が気持ち悪くて、恥ずかしくて、堪えきれずに溢れてきた涙を魔王に舐めとられる。
「やめっ、て、くだ、さいっ!」
押しのけようとした手は動かずに、無力に震える身体をぎゅっと抱きしめられる。顔中を舐めまわされて、唇を奪われて、貪られるがままに口の中に舌を侵入され、そのままくちゅくちゅと舌同士を絡ませ合う。
「ーーーーー!」
呼吸が出来ずに意識が朦朧とする。体が火照って、頭がはたらかない。どれだけこうしてたらいいんだろう。グチュグチュといつのまにか音を立てて絡まり合う舌を感じながら、そうおもった。
「ーーーっ、はぁ、はぁ、はぁ。あぁ、ユリウスっ! もう私の我慢は限界だ! お前を今から、私色に染め上げてやる! 汚して、穢して、どうしようもなく私という存在を、お前の中に刻み込んでやろうっ!」
どれだけ時間が経ったのだろう。あまりかんがえられない? わからない。りーすぐらんでにお姫様抱っこされてべっどにつれて行かれる。
あ、それはだめだ。
「やっ、らあ! もうだめぇ、っ!?」
ふかふかのべっどに放り込まれて、りーすぐらんでがおおいかぶさってくる。はあはあと息を荒げたりーすぐらんでの唾液が顔にかかって、それを拭おうとしたてをぎゅってつかまれる。
べっどにおさえつけられて、またキスされる。頭の後ろに手が差し込まれて、持ち上げられながらりーすぐらんでの顔に押し付けられて、意識が消えていく。
「ーーーあぁ、ユリウス。愛してる。今夜は優しく抱いてやろう」
さいごに、声がきこえた。