そうして、僕は千歌さんと一緒に迷路を進んでいく。
途中の問題は協力して……いや、殆ど僕が解き明かし、その様子を見ては千歌さんが凄いと褒めてくれる。
少しかっこいいところと頼れる様を見せつけることができたかなと思う。
そんな浮ついた心で歩を進めるといよいよ最後の問題が掲示されたT字路に到着する。
「これが最後の問題のようですね」
他の問題とは異なり、大きな看板に金と銀の折り紙で作られた輪っかや星やハートのマークが盛り上がりを演出している。
「そうですね。えっと……問題は……」
「愛に必要なものは……『外見』か『内面』か……」
僕は思わず、顔を歪める。
今までの問題は知識を駆使していくものだったが、ここにきてまさかの哲学的な問題を提示されるとは思わなかった。
無論、こういうものに答えはない。あってもそれは人それぞれだ。
特に問題もそうだ。いくら外見が良くても内面が悪ければ受け付けられない人もいれば内面さえ良ければ外見なんて気にしない人もいる。
「ダイヤさんは……どっちですか?」
「千歌さん……」
千歌さんが真剣な眼差しを僕に向けてくる。
きっとここの答え次第で千歌が僕に対する味方が百八十度変わる。
僕は悩む。
確かに僕は千歌の優しいところや甘え上手なところが好きだ。だけど、それ以外にも可愛らしい見た目も好きだ。
外見や内面かだけなんて決められない。僕は全てにおいて、千歌さんが好きで、愛している。
だから、本当のことを言うならここの問題には僕の望む答えはない。
でも、選択肢が用意されている以上、どちらかを選ばないといけないんだ。
「僕は……」
問題を見た後、再び千歌さんを見た時、僕は思い出した。
違う。人生には必ずしも正解があるとは限らない。そして、迷路のように道は決まっていない。自分で好きな場所を歩ける。
そう教えてくれたのは千歌さんだった。
「すみません。答えが全くわからないです。ただ一つ言えることは僕の望む答えはここにはない」
「えぇ!?」
僕がはっきりと言い切ると千歌さんは驚く。きっと今まで答えを出し続け、正解していたからだろう。
でも、僕だって所詮は高校生だ。わからないことだってたくさんある。
「僕は千歌さんの全てが好きですから。内面とか外面なんかで区別できないですよ」
「そ、そこまで言われると…」
思いの丈を言うと千歌さんは頬を両手で抑え、顔を明らめて照れている。
そういうところが可愛くてさらに魅力的に見える。
「とは言いましたけど。これはアトラクションですし、流石にどっちかが答えにせざる得ないとは……」
格好をつけたものの結局はどちらかに進まないとこの迷路を抜け出すことはできない。取りあえず、どっちかの道に進まないといけないと思っていた。
「ダイヤさん! よく見ると真ん中が!」
すると、千歌さんが枝分かれした分岐路の真ん中を指差す。
そこには問題の書かれた看板があるがその後ろは黒いカーテンが垂れ下がっている。
看板を退かし、恐る恐るカーテンを捲るとなんと道が続いていた。
「どうやらこっちが正規ルートっぽいですね! 流石です!」
「そんなことないですよ! 今回もダイヤさんが答えを出してくれたから!」
「僕だけでは答えは出せても道は見つけ出せなかったですよ。千歌さんがいたから見つけられたんです」
「それなら、お互い協力できたってことで!」
「まさにそうですね!」
僕達はお互いを目を合わせ、笑い合う。
そして、道を歩きようやく迷路を抜け出した。