俺と雪ノ下の最初のポケモンがユキワラシなのはまちがっている。   作:リコルト

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これで、アンチ回は終了ですかね。


こおりタイプ使いのカンナ

 

 

(カンナ……だと!?)

 

 

 突如バトルフィールドに降り立った女性。俺からしたら、助けてくれた恩人である彼女の名前を聞いて、俺はもちろん、雪ノ下も驚きを隠せなかった。

 

 なぜなら、彼女はカントー地方を舞台にしたポケモンのゲームでは四天王というラスボスのようなポケモンの世界では数少ない存在だったからだ。

 

 だとしたら、あの並外れた雰囲気も理解できる。まさか、ジムリーダーと戦った後に四天王にも会えるとはな。目の前で彼女の実力の片鱗を見てしまったが、今の彼女には絶対に俺達では歯が立たないだろう。返り討ちにされてしまう。

 

「いきなり何だし!?割り込んでくるなし!」

 

「彼らのバトルに先に割り込んだのは貴女でしょう?そんなに戦う気満々なら、私が相手をしてあげる。トレーナーに攻撃をさせられる貴女のポケモンが可哀想だわ」

 

「なっ!?なら、やってやるし!!」

 

 カンナさんの挑発に乗ったような形で三浦はカンナさんと対峙する。フシギダネ対ジュゴン。これはもうタイプ以前にレベルの問題だろう。どちらかが先に瞬殺されるなんて見なくても分かるな。

 

「そこのニドリーノの少年。名前は?」

 

「ひ、比企谷八幡です!」

 

 急にカンナさんに名前を訊ねられ、俺は噛みそうになるが、どうにか自分の名前を答える。

 

「比企谷……成る程、彼の息子ね。見た目にも面影があるわ。なら、八幡くん。これを持って、あの金髪くんとこの場から離れた方が良いわよ。私、あまり加減しないタイプだから」

 

 そう言ってカンナさんは俺に緑色の袋に入った粉のような物を受けとらせる。

 

「カンナさん、これは?」

 

「かいふくのくすりよ。これを使って、金髪くんのヒトカゲと貴方の二体のポケモンを回復させなさい。状態異常と体力が回復するから」

 

「分かりました。行くぞ、葉山!」

 

「あ、ああ、すまない」

 

 カンナさんの忠告に従うように俺は葉山と共に雪ノ下達がいるベンチへと移動した。そして、ベンチを移動した俺達はカンナさんから貰ったかいふくのくすりを葉山と自分のポケモンに飲ませる。すると、ポケモン達はみるみると戦う前の元気な姿を見せてくれた。流石はかいふくのくすり。その効果は高い一級品の価値なだけはある。

 

 しかし回復させたは良いが、この状況はあまりにも良いとは言い切れない状態だ。先程まで文句を言っていた由比ヶ浜はカンナさんが現れてからは怯えたように黙ったままだし、優美子はカンナさんに堂々と宣戦布告。どうか、何事もなくこのバトルが終わって欲しい。

 

 

「そちらから仕掛けてどうぞ」

 

 

「ちっ!!余裕ぶっているのは今の内だし!フシギダネ!ジュゴンにつるのムチ!」

 

 

「ダネッ!ダネッ!」

 

 

「ジュゴン、受け流しなさい!」

 

 

 三浦のフシギダネが二本のツルを使ってジュゴンを何度もひっぱたく。しかし、その攻撃はジュゴンには全く効いていなく、余裕なジュゴンは水族館にいるアシカみたいな声を出す。

 

 

「ま、全く効いていない。どうして!?」

 

 

「当たり前よ。このジュゴンは私がパウワウの頃から共にした私の最初のポケモンよ。私が優しく丁寧に育ててきたジュゴン……貴方みたいなポケモントレーナーに負けるはずが無いわ!」

 

 

「なっ!?」

 

 

「……今から貴女には二つの選択肢を与えるわ。ここで、貴女が降参を認めるなら、私もこれ以上は何もしない。けれど、もし貴女が戦いを続けるなら、取り返しのつかないかもしれない事を貴女のポケモンにするわ。貴女がポケモンの事を思うトレーナーなら、貴女はどちらを選択するのかしら?」

 

 なるほど、カンナさんはポケモンに優しいトレーナーなら、遠回しにここで降参しなさいと言っているわけか。これ以上、戦ってもジュゴンに勝てる見込みは無い。俺ならば、カマクラ達を傷つけさせたくないから、すぐに降参を即断する。

 

 だが、カンナさんの言う取り返しのつかないかもしれない事とは一体どういう事だろうか?

 

 

「あーしに降参をしろって言うし!?ふざけないで欲しいし!ポケモントレーナーなら、最後まで戦ってやるのが常識だし!」

 

 

 だが、その問いかけの相手はプライドの高い三浦。ここまでやっても、降参のこの字は彼女の頭には無いようだ。その答えにカンナは手を頭に付けて、悩ませた様子を見せている。

 

 

「……そう、ごめんなさい彼女のフシギダネ……」

 

 

「何をしんみりに謝っているし!フシギダネ、はっぱカッターだし!」

 

 

 三浦は戦闘を続行。彼女のフシギダネがジュゴンに向けてはっぱカッターを繰り出す。それと同時にカンナさんは苦渋の決断の末、ある技を命令する。

 

 

 

 

 

 

 

「ジュゴン………ぜったいれいど」

 

 

 

 それと同時にバトルフィールドが先程のれいとうビームと比にならないぐらいの冷気と白い霧がバトルフィールドを一気に包みこむ。カンナさんの忠告に従わなければ、あの冷気を直に喰らっていただろう。離れたベンチに座っているだけでも、冬と思わせる冷気が立ち込めている。

 

 

「ふ、フシギダネ!!」

 

 

 やがて、白い霧と共に冷気も分散し始める。それと同時に三浦はフシギダネのいた場所へと駆け寄る。対照的にカンナさんは全て分かったようにジュゴンを自分のモンスターボールに戻していた。

 

 ぜったいれいど………俺と雪ノ下はその恐ろしい技をゲームで知っていた。ゲームでは当たる確率がほとんど低い技、しかしその技が当たれば、一撃必殺。そんな技を三浦のフシギダネは喰らったのだ。カンナさんが躊躇ったのも十分に分かる。

 

 

「いや!いや!フシギダネ!返事をしてよ!」

 

 

 三浦は泣きながら、フシギダネを抱えて必死に何度も呼び掛ける。しかし、フシギダネの体は凍りついたように微かな動きすら見せない。

 

 

「貴女もポケモンの為に泣ける優しい気持ちはあったようね。本当はそれをあの段階で気付いて欲しかったのだけれど」

 

 

 そんな三浦の元に、フシギダネをあんな状態にしたカンナさんが近寄る。三浦からしてみれば、恨めしい人物かもしれないが、今の彼女にはカンナさんに文句を言う気持ちすら無かった。今の彼女にとって、そんな小言よりもフシギダネを想う気持ちの方が勝っていたのだ。

 

 

「……これを持って、友達と共にポケモンセンターに向かいなさい。今なら、まだ間に合うわ」

 

 

「これ……は?」

 

 

「ふっかつそうよ。ポケモンにはかなり苦いけど食べさせれば、意識を取り戻すわ。後はさっきの金髪くんにあげたかいふくのくすりを使って、ポケモンセンターで休ませれば大丈夫よ」

 

 

 それを聞いて、三浦は涙を隠さず、すぐに行動に移した。まず、葉山達にカンナさんに言われた事を話し、協力してくれないかとお願いする。

 

「比企谷、優美子が本当にすまなかった!次会った時は優美子と一緒に謝罪する!だから、また会ったら、俺ともう一度戦ってくれ!」

 

 優美子から事情を聞いた葉山はそう言い残して、海老名さんと戸部と由比ヶ浜を連れて、フシギダネをポケモンセンターへと急いで連れていく。

 

 あの人数がいれば、フシギダネもきっと大丈夫だろう。運動部に所属していた葉山と戸部に連れて行かれれば三浦達女組よりも早く着くし、人手が足りないという問題も生まれない。

 

 俺達も行こうとは思っていたが、俺に攻撃をしてきた三浦は気が動転していると思うし、葉山と戸部と海老名からは行く間際に謝罪をされたから、行かなくても良いか。葉山が言っていたようにまた近い内にどこかで会いそうだ。

 

 

 

 

 取り残された俺と雪ノ下。そんな俺達に四天王であるカンナさんが話しかけてきた。

 

「さてと、ようやく落ち着いて話せるわね。改めて私はカンナ。元は四天王と呼ばれていたけど、今は自分の故郷を拠点にポケモンを改めて鍛え直しているただのトレーナーよ」

 

「は、初めまして雪ノ下雪乃です」

 

 初めての四天王に萎縮する雪ノ下。さっき名前を聞かれた時、俺もそんな感じだったわ。ちなみに、俺はさっき名前を言ったので省略。

 

「ふーん、あの生意気な陽乃とは大違いね。あれの妹がこんな礼儀正しいとは……」

 

「あの、姉さんとはどういう関係なんですか?」

 

 雪ノ下の顔をジロジロ見て、ポロっとこぼれた一言に雪ノ下が反応する。

 

 

「あー、教えてなかったわね。昔、私は陽乃とトレーナーズスクールのクラスメイトで、今はポケモンを鍛え合うライバルのような関係よ。実は陽乃に貴女について面倒を見て欲しいと言われたのよ」

 

「姉さんが?」

 

「そう!あのムカつく魔王様がね!まぁ、詳しい話はポケモンセンターにあるホテルで話しましょう。二人とも、ジム戦で疲れていると思うから」

 

 

 

 

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